Text：尹秀姫
Photo：ⓒHYBE LABELS JAPAN

　HYBE AMERICAのCEOであり、SB Projects創業者でもあるスクーター・ブロウンが『&AUDITION - The Howling - FINAL ROUND』にスペシャルゲストとして招聘された。『&AUDITION - The Howling -』とはBTSを擁するHYBEが手掛けたオーディション番組。ENHYPENを輩出した超大型プロジェクト『I-LAND』に参加していたK、EJ、NICHOLAS、TAKIの4名と共に練習生11名が、グローバルグループとしてデビューを目指すという今までにないスタイルで開催された。

Photos by ⓒHYBE LABELS JAPAN

　このオーディションが新しかった点をあげるとするならば、“協力型”のオーディションであったということ。オーディション番組はともすれば生き残りをかけた熾烈な蹴落とし合いになりがちだが、『&AUDITION - The Howling -』ではメンバーと支え合い、共に成長することが重視され、時には個人評価よりもグループの完成度が評価されるミッションもあった。ラウンドが進むごとに参加者15名全員の間に絆が生まれ、『FINAL ROUND』でのデビューメンバー発表では、惜しくも選ばれなかったメンバーたちも涙は見せたものの、最後には晴れやかな面持ちでデビューが決まったメンバーを祝福した。

　そんな中、&TEAMとしてデビューが決まった9名のメンバーたちに向けて、スクーター・ブロウンが掛けた言葉が印象的だった。

Photo by Bradford Rogne

　スクーター・ブロウンと言えば、音楽業界ではもはや説明不要と言えるほど名の知れた敏腕マネージャーだ。当時12歳だった、のちに世界的スーパースターとなるジャスティン・ビーバーをYouTubeで発掘し、最初にマネジメントした彼は、アリアナ・グランデ、デミ・ロヴァート、カニエ・ウェストなど、超ビッグスターをクライアントに持つ。幅広い交流関係を持ち、音楽、映像業界にまで事業を手掛ける彼が所有する会社のひとつであるIthaca Holdings LLCが2021年5月にHYBEに吸収合併され、HYBE AMERICAとなったことを機に、BTSを含むHYBE傘下のレーベルに所属するアーティストと関連事業は北米マーケットにその存在感を浸透させやすくなった。韓国そしてアジア地域で特に強い人気を誇るK-POPスターと、スクーターが持つ北米を中心とするクライアントが密着することで、両者が持つ巨大な基盤が今後拡大していくことだろう。

　今回の『&AUDITION - The Howling -』にスクーターが駆け付けたことで、いかに彼が日本そしてアジア地域の音楽に本気で取り組もうとしているのかがわかる。それと同時に&TEAMのグローバル展開への期待も高まっている。

　&TEAMに対して彼がかけた言葉は、世界を知る彼だからこそ出てきた言葉であり、非常に示唆に富み、これからの彼らにとって必要な言葉であったと言える。スクーター・ブロウン曰く、彼が仕事を共にしてきた世界的なアーティストはすべて、「Yes」と受け入れられることよりも「No」と否定されることのほうが多い、とのこと。しかし、その経験が彼らを素晴らしいアーティストに押し上げたのだと。「君たちは共に戦うチームで、家族なのだから、お互いに寄りかかっていいし、支え合うことを絶対に忘れないで。僕も楽しみにしているよ」と、どんな逆境も一緒に乗り越えていってほしいというあたたかい言葉をかけた。

　さらに、スタジアムでコンサートすることになったら必ず日本に駆けつけて応援するとも。「だから何があっても決して諦めないで。もし誰かがつまずくことがあったら、必ず他の誰かが助けてあげてほしい。今から君たちはファミリーだ。よくやったよ、おめでとう！　ここまで辿りついたのだから笑って」とデビューを祝福。これから&TEAMというグループ名でデビューする彼らにとって、ありがたく、為になるアドバイスを贈った。

Photo by ⓒHYBE LABELS JAPAN

　&TEAMはK、FUMA、NICHOLAS、EJ、YUMA、JO、HARUA、TAKI、MAKIの9⼈で構成され、12月7日にデビュー・シングルをリリースすることがすでに発表されている。チーム名には「多様な9名が&でつながり、⼈と⼈、⼈と世界を結び付け、ファンとつながり、ファンとファンもつながる。そして運命共同体となり、より良い⾃分へと成⻑するために、個々のエネルギーを集結させて⾃⾝の限界を超え続ける」という意味が込められている。ファンの愛称も「LUNÉ（ルネ）」に決まり、LUNÉと築いていく&TEAMの道に注目だ。