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<インタビュー>Shiho、幅広いサウンドが志向されたニューアルバム『COLOR』を語る

インタビューバナー

 米国コンコード・レーベルよりFried Prideのボーカリストとしてデビューし、その後はソロのジャズ・ボーカリストとして活動を続けてきたShihoが、2枚目となるソロ・アルバム『COLOR』をリリースした。多彩なゲストを招いて制作された、カバーを含む全10曲のアルバムの背景と、共演を重ねてきたガスト・ワルツィングの招きで、今年5月にルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団と共演した公演から得られたことについても、詳しく話を伺った。(Interview & Text: 原雅明 / Photo: 遥南碧)

幅広いサウンドが志向されたアルバム『COLOR』

―――ソロ・デビュー作『A Vocalist』はご自身のプロデュースでしたが、『COLOR』もそうですか?

Shiho:そうです。Fried Prideの時からずっとそうなんです。プロデューサーがいるというシチュエーションがこれまで一度もなくて、アレンジも何もかも、全部、自分でやるのが当たり前だったんです。


――自分で全部やるのは難しくはないですか?

Shiho:逆にプロデューサーがいると難しいかもしれないですね(笑)。全部、自分で決めないといけないのは、責任も伴いますし、ちょっと怖くもあるんですが、それが普通で来てしまったので、私にとっては自然なんです。


――ということは、アルバム作りも事前にこうしたいというビジョンを描けているわけですか?

Shiho:そんなに前から練ったりはしてないですが、直前になると、この曲をこうしたいとか、誰を呼びたいとか決まっていきますね。





アルバム『COLOR』試聴トレーラー


――曲作りはどのようにスタートするのでしょうか?

Shiho:普段、短いフレーズを思い付いた時に、スマホのレコーダーに録っておくんですよ。それがいっぱいあるんです。それをスタジオで聴いて、ピアノで弾いて膨らませて1曲にするということが多いですね。『COLOR』に収録されているケイコ・リーさんをフィーチャーした「You’re My World」は満員電車の丸ノ内線で思い付いて、ちょっと隠れながら録りました(笑)。


――Shihoさんはジャズ・シンガー/ボーカリストを名乗っていますが、いろいろな音楽のバックグラウンドがあるように歌からは感じられます。

Shiho:分かりやすいからジャズ・シンガーと言っているだけで、自分でそう思ったことはあまりないんです。ジャンル分けというのは、やってる側はあまり意識してないですよね。


――『COLOR』でも、fox capture planやJ.A.M piano trio from SOIL&”PIMP” SESSIONSまで、幅広いサウンドが志向されてますね。

Shiho:そうですね。SOILのメンバーとは昔から知り合いで、J.A.M piano trio from SOIL&”PIMP” SESSIONSとも何度かご一緒しています。他の方たちもそうだったんですが、fox capture planだけは一緒にやったことがなくて、広がりという意味では彼らの参加は今回大きかったですね



――参加された方々についてお伺いします。まずは、「As If You Read My Mind」の桑原あいさんから。

Shiho:彼女が19歳の時に演奏を初めて見たんです。難解な変拍子の曲を笑いながら弾いてたんですよ。MCは素っ頓狂で(笑)、こんな凄い子がいるんだと驚きましたね。歌のバッキング・ピアノの人ではないから、アプローチが面白いんです。同じ道を辿るのが嫌な人なので、この曲もスタジオに来てもらってから譜面を渡していきなり弾いてもらいました。ライブ一発みたいな感じでしたね。


―――J.A.M piano trio from SOIL&”PIMP” SESSIONSをフィーチャーした「Holiday」は丈青さんの編曲ですね。

Shiho:ライブも一緒によくやっているので、彼がどんな感じのものが好きか知っていたから、そんなに意外な感じはなかったんですが、丈青さんはこんな可愛い曲も書くんだと思った人も多いかもしれないですね。女の子がキュンと来ちゃうような曲でもありますから。レコーディングは事前にあまり決めず、その場でいろいろやって進めました。凄く気に入っている曲ですね。


――次の「刀と煙」は、ピアノ・トリオとの演奏がとても良いと思いました。

Shiho:実はこの曲、ピアノの伊藤志宏くんが付けてくれたタイトルで、彼とは10年くらいデュオをやっているんですが、彼から「Shihoさんは女新選組だ」と言われたんですよ。その意味というのは、ジャズ・スタンダードをやるときイントロは決まってないことが多いんですけど、ピアノが一音出した瞬間に私はまだ歌ってないけど、一緒に音楽をしている、刀を抜いていると言うんです。しかも、新選組の中でも刀の強かった斎藤一だと(笑)。それが面白くて、斎藤一をモチーフに書いた曲で、このタイトルになったんです。


―――タイトルの意味が分かりました(笑)。fox capture planは2曲フィーチャーされていて、それぞれタイプの違う曲ですね。

Shiho:「Got To Get You Into My Life」はこういう風にやったら面白いかなという叩き台は私が書いたんですが、「Beautiful Evergreen」は原曲が「だったん人の踊り」という曲なんですが、彼らに丸投げしたので、まったくこういう曲になるとは思ってもいなかったです。この原曲が元々好きだったのと、あの人達がやったらどうなるんだろうという興味でお願いしました。


――アレクサンドル・ボロディンの「だったん人の踊り(Polovetsian dances)」は意外な選曲でした。

Shiho:昔、タバコのCM音楽で使われていて、その時から、なんて素敵なメロディなんだと思ってました。今回、ふと思い出して選曲したんですが、原曲は何処にいったんだ、という仕上がりでしたね(笑)。


――—メロディだけは残ってましたが、ビート・ミュージックや現代ジャズのアレンジに変わっていましたね。

Shiho:fox capture planも「これ、ライブで演奏できるかな、難しすぎてどうしよう」と言ってました(笑)。でも、凄く面白かったですね。


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「日本人である我々がやるからできるオリジナリティ、個性がある」


――—ケイコ・リーさんが「You’re My World」にフィーチャーされていますが、同じボーカルの方を招くのは特別な感じがありますか?

Shiho:確かに、歌同士って相性もありますし、コーラス・グループとも違うので難しかったりもするんですが、ケイコ・リーさんが日本の歌をカバーした『Timeless 20th Century Japanese Popular Songs Collection』で、「ロンリー・チャップリン」を一緒に歌わせていただいたのもあって、自分のアルバムでもぜひお願いしたいと思っていたんです。これが丸ノ内線で思い付いた曲ですね(笑)。


――—「Is This Love」にファーチャーされた武田真治さんとは、ライブで幾度も一緒にやられていますね。

Shiho:彼のライヴには殆ど出演してきましたね。彼のサックスはファンクとかリズム系の音楽で吹いているイメージですけど、意外とこういうムーディなものが面白いかもしれないなと思ってお願いしました。どういうアプローチでやればいいか、凄く悩んでいましたね。ジャズ・サックス奏者ではないし、バックで演奏する人でもないので、難しかったと思います。何度もデモを送ってくれて、音楽に対してとても真伨で、そのミュージシャンシップには脱帽しました。


――— 「Chatterboxes」でフィーチャーされたバイオリンの牧山純子さんについては?

Shiho:バイオリンと歌って、あまりやっている人がいないので、コロナでYoutubeチャンネルを開設したときに共演して、この曲もその時に書いたものです。Chatterboxesは「おしゃべり」という意味なんですが、牧山さんとは仲が良くて、よく二人で止めどなく話しているので付けました。これもスマホから見つけた曲です(笑)。





Smile with 牧山純子


――—最後の「Happy Song」は、アカペラ・コーラスユニットのHAMOJINとの曲ですね。

Shiho:この曲は前作でバンドでやったんですが、曲のキーが女性にとってもちょっと高いんです。それをHAMOJINの皆さんは文句一つ言わず、面白がってやってくれました。それぞれがとても歌が上手くて、さらっと聴けるんですけど、譜面を見るととても難しいラインを歌っているんです。


――— アルバムの話から離れますが、ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団との共演の話も伺えますか? 今年も招かれてルクセンブルクで公演をされましたね

Shiho:まだFried Prideをやっていた時に、サッポロ・シティ・ジャズというジャズ・フェスで、オーケストラの指揮者でジャズ・トランペッターでもあるガスト・ワルツィングさんと知り合いました。それからルクセンブルクに何回か呼んでいただきました。


――—アンジェリーク・キジョーの『Sings with the Orchestre Philharmonique du Luxembourg』のプロデュースも担当していましたね。オーケストラと彼女のボーカルとの組み合わせがとても印象深いアルバムでした。

Shiho:ガストさんはオーケストラでやるのをライフワークとしているんですが、普通のことをやるのが好きではないんですね。オケとやって面白いことをいつも探しているんです。私のことも、よく「普通じゃない」と言ってます(笑)。所謂、普通のジャズ・シンガーではないから面白いということだと思うんですけど。



――—ルクセンブルクでの反応は如何でしたか?

Shiho:ルクセンブルクで「あなたはアメリカ人のシンガーの真似をしていないからいい」と言わたんですが、自分ではそんなことは思ってもいなかったんですが、たぶん器用でないことも個性に繋がったんだろうなと思います。いままでやってきたことが、間違ってはいなかったということを、その一言で知ることができて、良かったと思いました。


――—ジャズだと、アメリカとの距離感を否応なしに意識せざるを得ないところがあります。

Shiho:洋楽のジャンルのものをやっていると、本物に近付きたいという謎の呪いにかかって(笑)、ジャズであればアメリカで生まれ育ってこないと培われない、分からないことがあって、だから本物を突き詰めるってとてもナンセンスなことだと思うんです。逆に日本人である我々がやるからできるオリジナリティ、個性がある。そこでしか、勝負できないことだと思うんです。でも、最初にFried Prideでアルバムを出してから20年も経って、ジャズの世界も凄く間口が広がってきたと思います。それは、とても良いことですね。


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Shiho「COLOR」

COLOR

2022/09/14 RELEASE
KICJ-859 ¥ 3,300(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Music & Life
  2. 02.As If You Read My Mind feat.桑原あい
  3. 03.Holiday feat.J.A.M piano trio from SOIL&“PIMP”SESSIONS
  4. 04.刀と煙
  5. 05.Got To Get You Into My Life feat.fox capture plan
  6. 06.You’re My World feat.Keiko Lee
  7. 07.Is This Love feat.Shinji Takeda
  8. 08.Beautiful Evergreen feat.fox capture plan
  9. 09.Chatterboxes feat.牧山純子
  10. 10.Happy Song feat.HAMOJIN

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