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<インタビュー>ちゃんみなが語る、愛おしい場所“東京”を歌った「TOKYO 4AM」

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 昨年10月にリリースされた、最新アルバム『ハレンチ』がロングヒット中のラッパー/シンガー、ちゃんみな。あれから約1年ぶりにリリースされる新曲「TOKYO 4AM」は、ドラマ『-50kgのシンデレラ』の主題歌として書き下ろしたものである。主人公・陽芽のやるせない恋心に寄り添うような歌詞世界は、ちゃんみな自身の体験ともシンクロしながら聴き手の心にまっすぐ届く。LAにて制作したことにより、長く住んだ街“東京”への特別な思いが込められているところにも注目したい。韓国デビューを控える彼女に、新曲の制作エピソードをじっくりと聞いた。(Interview & Text:黒田隆憲 / Photo:Yuma Totsuka)

韓国デビューを控えた今“東京”を歌う意味

――新曲「TOKYO 4AM」はドラマ『-50kgのシンデレラ』の主題歌として書き下ろしたものだとお聞きしました。

ちゃんみな:ドラマの主題歌を書き下ろすこと自体、私にとっては初めてのことで。いつも自分が経験したことに基づいて歌詞を書いているタイプなので「私にできるのかな?」と心配していたんですけど、ドラマの制作チームの方々から「いつも通りのちゃんみなさんでお願いします」と言っていただいて。私の経験から歌詞を書いても構わないということだったので、すごく嬉しく思いました。実際、本当にいつも通り曲を書いたら「それでOKです」と(笑)。「そんなタイアップ、これまでにあったんだろうか?」と嬉しい反面、不安にもなりました。

――(笑)。とはいえ、ドラマやその原作もご覧になったんですよね?

ちゃんみな:もちろん。正直言うと、最初に『-50kgのシンデレラ』というタイトルを聞いたときには、「痩せないと恋愛ができない」とか「痩せることで恋愛が成就する」とか、そういうストーリーだったらどうしよう? と思ったんです。でも実際に原作を読んでみたら、全然そんなお話ではなくて。

もともとぽっちゃり体型の主人公が、あるとき恋に落ちて痩せることを決意するのですが、最終的には「外見ではなく中身が大切」という展開になっていたんですよね。痩せているとか太っているとか、そういう外見とは関係のないところに人の「美しさ」はある。そういうテーマの物語は今の時代にすごく必要だなと思ったし、何より主人公の陽芽ちゃんがすごく可愛いくて。私がもし彼女だったら、こういう曲を書いているんじゃないかなとも思いましたね。



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――物語の中で陽芽は、恋する「イケメン」御曹司・富士崎宰と自分が「釣り合わないのではないか?」と悩みます。人を外見や「スペック」などで判断してしまう風潮って、現代社会にも相変わらず残っているように個人的には感じることがあります。

ちゃんみな:そういう風潮に私はあまり共感できないですけど、まあ人それぞれニーズは違うのかなとも思うんですよ。お金持ちであることに魅力を感じる人もいるだろうし、ルックスに重きを置く人もいる。そのルックスだって「細身がいい」とか「ちょっと太めがいい」「マッチョがいい」とか本当に色々あるので。「スペック」という言い方はどうかと思いますけど、でも「スペックが高い」と言われている人たちだって、そうなるために超頑張ってきたわけですよね。

――確かに。

ちゃんみな:それだけ頑張ったのに、全く報われないのも可哀想じゃないですか(笑)。努力した人はモテて当然だとも思うし、そういう人の前に立ったときに「どうせ私なんて……」って思っちゃう陽芽ちゃんの気持ちも分かる。

――いずれにせよ他者と自分を比べて落ち込んだり、逆に優越感に浸ったりするのはナンセンスというか。まずは自分の軸を見つけることが大切なのかなと。

ちゃんみな:そうですね。

――ただしこの曲「TOKYO 4AM」の歌詞は、そんなドラマのメインテーマとは違う部分に焦点を当てていますよね。

ちゃんみな:私は今、韓国デビューを控えているんですけど、その前に「東京」をテーマにした楽曲を出したかったんですよね。ラブソングに落とし込んではいるものの、「好きな人」よりもはるかに大きくて広い存在を歌っていて。私が東京にいる頃やいた頃、そこで出会ったものや人、ファンのみんな全てに想いを馳せながら書いた歌詞なんです。

私は人が少しでも過ごした場所には「命」が宿ると思っているのですが、それでいうと東京には私の「命」が至るところに宿っている。すごく愛おしい場所なんですよね。この曲は海外で作ったんですけど、海外まで行って東京という言葉が出てくるくらい愛おしい場所だったのだなって改めて思いました。その場にいた時は嫌で仕方なかった記憶も、嬉しくてどうしようもなくなるような記憶も、これから少し離れるかと思うと全て「受け入れ」に入るというか。実際に出てみたらものすごくいい街だったんだなと気づいたんです。引っ越すときになって急にその場所が恋しくなる感覚ってあるじゃないですか。それに近いものがある。



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――離れて遠くから見たからこそ、改めて愛おしく感じることってありますよね。LAでの制作はどうでしたか?

ちゃんみな:今まで2年間パンデミックの中で東京にいたことも、今思えば私にとっては新鮮な経験だったというか。2年間丸々どこにも行かなかったことなんて、これまで一度もなかったわけですから。ただ、前作の『ハレンチ』ではJ-POPを自分なりに研究したり、日本の音楽の素晴らしさにもう一度触れたりしていたのですが、そのうち脳味噌がすごく「東京」になってしまって何も出ない悪循環に陥ったんですよ。それで海外に行くこともすごく心配していたんですけど、コライトメンバーの一人であるGazzoをはじめ、めちゃめちゃバイブスがいい人ばかりで。ギターを弾いてくれて、そこに私が歌を乗せて……という感じで本当すぐに出来上がりました。英語の発音に関してはめっちゃ言われましたけどね(笑)。

――曲名を「午前4時の東京」という設定にした理由は?

ちゃんみな:私が一番活発な時間帯なんですよ、朝の4時って(笑)。こういう仕事をしていると、というか私の性分かもしれないんですけど、普段はあまり外に出ず家で楽曲制作をしていることの方が多いですし、ものすごい「夜型」なんですよね。午前中、仕事のない時は基本的に寝ていて、夕方くらいに起き出してゴールデンタイムは夜の10時くらいから朝の6時くらいまで。考え事にフィルターをかけてくれて、必要なことを考えたりできる時間ですし、中でも朝の4時がものすごく好きなんです。

――そのくらいの時間は確かに集中力が上がるというか、ゾーンに入りやすい気がします。

ちゃんみな:まさに。昨日と今日の境目というか、次の日の気配が徐々にしてくる感じも好きなんですよね。

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シンデレラよりも、ロックスターの方が共感できる

――“君の周りにはシンデレラ 私は君に愛を歌うロックスター”という歌詞にはどんな思いを込めましたか?

ちゃんみな:以前、「Princess」という曲をリリースしたのですが、そこでは“シンデレラにはなれない”という気持ちを書いているんです。「主人公にはなれない」とずっと思っていたので私は。シンデレラよりも、ロックスターの方が自分にとって共感できる存在なんです。

――ちゃんみなさんの思う、ロックスターの定義とは?

ちゃんみな:心のままに「真実」を歌うような人のことですかね。それで道を切り開いていくような、本能のまま音楽と一体化しているような人を私は「ロックスター」だと思います。

――例えばどんな人が思い浮かびますか?

ちゃんみな:私は大のロック好きなのでめちゃくちゃたくさん思い浮かびますよ。例えばアヴリル・ラヴィーン、ニッケルバック、ザ・ビートルズ、エルヴィス・プレスリー。マイケル・ジャクソンも私はロックスターだと思いますし、マドンナ、レディ・ガガ、ビヨンセ……たくさんのロックスターがいて、みんな真実を歌ってきたと思います。日本だとTHE BLUE HEARTSやサザンオールスターズとか。

――“I don’t wanna fall in love but I’m feeling it I know how this ends”という歌詞も印象的なのです。

ちゃんみな:常にそういう気持ちはありますね。恋に落ちたときにはすでに終わりのことを察しているというか。ごくたまに何も見えなくなる時はありますし、よくわからないまま付き合ってしまうこともありますけど(笑)、基本的には「どうせこういうことになるんだろうな」とか、「きっとこういうことで傷つくのだろうな」「この人のこと傷つけてしまうと思う」みたいになんとなく感じているんですよね。


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――もちろん、どんな関係でもいつかは終わりが来るし変化しないことなどないと思うのですが、例えばその人との未来までイメージするようなことってないですか?

ちゃんみな:いわゆる「運命の人」ってなんなんだろう? とは思いますね。「運命の人に出逢いたい」という人はよくいますけど、例えば初恋の人が運命の人なのか、一緒に今食卓を囲んでいる人がそうなのか、それとも人生をめちゃくちゃにされた最低の相手のことなのか、死ぬときに見送ってくれる人なのか。きっと死ぬ間際ですら、その最低の男のことも覚えていると思うんですよ。「あの時は大変だったな」って(笑)。

――死ぬ間際、そばで看取ってくれる人とは違う相手を思い浮かべている可能性もないとは言い切れない(笑)。

ちゃんみな:そうそう。「死ぬときに自分は誰を思い出すんだろうな?」と思う(笑)。そうやって考えてみると、一緒にいる未来までイメージできる相手だけが運命の人なのではなく、私は出会った人全てが「運命の人」じゃないかと思うんです。たとえ人生めちゃくちゃにされたとしても、そんな相手に出会えただけでラッキーなのかもしれない。

――『ハレンチ』から1年くらい経ちますけど、特に印象に残っている活動というと?

ちゃんみな:やっぱり武道館ですかね。武道館でライブをすることは自分にとって一つの目標だったので、それが叶えられたことはすごく嬉しいですし、自分的にこの1年は、デビューから5年間でやってきたことのおさらいみたいな感覚がすごく強くて。ここまでずっと休まずに進んできた中で、今回の海外で一度整理した気持ちだったんですよ。これをやって、あれをやって「私が今これをやっているのは、あれがあったからだな」とか、「あのとき辛かったから今は別に辛くないわ」「あの頃はあれがめっちゃ好きだったけど、今はそうでもないわ」とか(笑)、そうやって振り返って気づくタイミングが今までずっとなくて。そうやって整理したことで、ようやくインプットすべきことをインプットできたのかもしれない。そういう感覚が今ありますね。




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――『THE FIRST TAKE』で「美人」を歌ったことも、かなり反響が大きかったのではないですか?

ちゃんみな:びっくりしました。「Fuck」という言葉を使っているので、それをカットするか、広告を付けないか、どちらかを選択するように言われたんですけど、いや「I'm a fucking woman and I'm fucking beautiful」をカットするわけにいかないでしょって(笑)。それで再生数が伸びなくても仕方ないと覚悟を決めて歌ったんです。そしたら思っていた以上の反響があって。

――この曲について、以前のインタビューでちゃんみなさんは「初めて“人を救いたい”と思って書いた曲」それを歌って世に問いかけたことで、クリエイティブの意識はどう変わりましたか?

ちゃんみな:何かすごくすっきりした感覚がありましたね。この曲を作るまではすごく時間がかかったんですよ。言いたいこともたくさんあるから、それを歌詞にまとめるのも大変だったし、歌詞に合う曲調、アレンジを見つけるのも難しくて。どれだったら正解なのか、ものすごく悩んで半年くらいかかったんじゃないかな。その燃え尽き症候群みたいなものもあって、曲が書けなくなってしまった時期もあったんですよね。

――そうだったんですね。

ちゃんみな:ずっと言いたかったこと、溜めていたことを一気に放出すると、私って一回エラーを起こすんだなということがわかりました。ため過ぎは良くない(笑)。

――韓国デビューに向けて準備中だと思うのですが、今後の展望について最後に聞かせてもらえますか?

ちゃんみな:韓国語ならではの表現の仕方など、今まで見せてこなかった引き出しを積極的に開いて見せていけたらと思っています。韓国特有の美学もあるし、それもすごく好きなので、「私だったらこういうアピールをしたい」と思うことがこれからどんどん出てくると思うし、「韓国語だったらこういう曲調ができるかも」とか、そういう新しい展開も積極的に見つけていきたいし、すでに見つけていることもたくさんあるので、楽しみにしていてほしいです。


ちゃんみな - TOKYO 4AM (Official Music Video) -

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