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<インタビュー>Perfumeの幸せとは、そして彼女たちが生き甲斐とするライブのあり方とは



Perfumeインタビュー

 Perfumeのアルバム『PLASMA』がリリースされた。他を寄せ付けない画期的なテクノロジーとの融合で、日本のみならず国外ファンも魅了してきた彼女たちは、コロナ禍に急速に発達し、今となっては当たり前となった配信ライブとライブの最先端を何年も前から追い求め、実現してきた。

 ライブが“アーティストとしての生き甲斐”と呼ぶ彼女たちに最新アルバムとここ最近の近況を聞きに、6月中旬頃に事務所を訪れた私たちは、待機中、取材部屋の外からも聞こえる明るい3人の声に、自然と笑みがこぼれた。そして、Perfumeは久しぶりに会う私たちをとびきりの笑顔で迎えてくれた。(Interview: 永堀アツオ)

――ベストアルバム『P Cubed』を挟み、オリジナルとしては前作『Future Pop』以来、4年ぶりとなる通算8枚目のアルバムが完成した感想から聞かせてください。

あ~ちゃん:うれしいです! ライブをやりたいから新曲を出しているので、自分たちが活動できる原本となるニューアルバムができたことが本当にうれしいです。中田さんっていう神的存在が自分たちのことを、こうなったら面白いんじゃないかって想像してくれたものがここに詰まってて。本当に愛だな~って感じてシビれるほどうれしいし、これでツアーを廻れるんだって思ったらまた楽しみがいっぱい増えて、何度も言いますけど、本当にうれしいですね(笑)。

のっち:ツアーやリリースはあったので、そんなに久しぶりという感じはしなかったんですけど、もう4年も経っていたことには驚きました。そして、できあがったアルバムを聴いてみると、今の世の中をとらえたというか、「Perfumeが今、歌うとしたらこんな感じの曲なんじゃない?」みたいな中田さんからの提案だと思ってて。その提案していただいた雰囲気は、力が入ってなくて余裕がある、かつ希望や優しいメッセージも込められてる。すごく寄り添ってくれてる感じを受け取りました。

かしゆか:コロナでストップした時期を挟んだことで、いつもの流れみたいなものをいったん断ち切って、自分たちがやりたいことをゆっくり考えたり、一番大事だと思えることと向き合えたりする時間ができたんですね。だから、「よっしゃ、ここからエンジン上げてくぜ!」みたいな感じより、肩肘張らずにリラックスできるような、日常に溶け込めて、柔らかい時間帯を感じられるアルバムになってるなと思いました。

――みんなで考えた、気づいた一番大事なものとはなんでしたか?

のっち:やっぱりライブですね。私たちはライブが好きで、ライブのためにいろんなことをしてて。オンラインライブが主流になる前からオンラインで楽しめるようなコンテンツや、テクノロジーとコラボした何か、直接見るだけじゃなくて映像で観るからこそ面白いものをやってきてて。だからこそ、オンラインライブをやってほしいという声もたくさんいただいたんですけど、Perfumeのライブの面白さはやっぱり直接みんなで空間を作り上げることだなって感じてて。オンラインライブの面白さももちろんあるんですけど、あの時期に改めて、生のライブの大事さを再発見できましたね。

あ~ちゃん:本当にそれに尽きると思います。お客さんがどう感じているかはわからないですけど、私たちはそうだと感じました。以前はオンラインでやるからこそ面白い表現をやっていただけで、ライブがオンラインでしかできなくなったときに……それだけが、自分たちの生き甲斐ややりがいとか、自分たちが生きてる心地がする感覚をもらえるものということではなかったですね。だからオンラインだけっていうのは私たちにとっては違ったんですよね。

――Perfumeは今ではドームツアーが当たり前のように行われていますが、ブレイク前から「ライブ中心に活動してます」と言ってましたよね。

あ~ちゃん:そうですね。最初は、ライブしかできなかったから、「ライブ中心です」と言っていて(笑)。テレビに出られるようになって、前よりたくさん方から「ライブが観たい」と言ってもらえるようになってからも、私たちはライブを選んできました。そういう時代からずっと積み重ねてきたものが自分たちの中にもあったんだなって、ライブができなくなったときに特に強く感じました。

――これが私たちの生き甲斐なんだって特に感じたライブはありますか?

あ~ちゃん:昨年8月にぴあアリーナMMでライブ【[polygon wave]】をやった時、拍手ひとつひとつが音と合わさって、自分たちの中で眠っていた“自分たち”みたいなものが呼び起こされる感覚がありましたね。みんな声を出せないはずなのに、会場の中でこだまする拍手の音にすべての魂がこもってて、その魂が自分たちの身をどんどんと作っていく。「あ、再生成されたんだ……」っていう感覚があって、自分たちはやっぱりライブなんだなって感じたんです。みんなと一緒に作るこの空間が何よりの活動の軸なんだなって。それがすごく大事なんだってわかったけど、ライブは当然のように集まれるものじゃないんだとも感じました。もしメンバーがひとりでも体調不良になった場合、ライブを中止にしなくてはならないわけだから、それくらい奇跡的なことなんだなっていうのもわかって。だから、よりご褒美っていうか……だからこそライブをやりたいって思っちゃうし、ライブを実現させたいって思ってくれる人たちのひとりひとりのパワーも上がって、やれることをみんなで一生懸命やって。無事にステージ立てた時は感動しますね。


▲Photos by 上山陽介

――ライブへの思いは中田さんと共有してますか?

かしゆか:ライブの感想は話してないかな。

のっち:でも「マワルカガミ」っていう楽曲をもらって、私たちのライブへの思いみたいなものが中田さんもわかってくれているって驚きました。特に<ステージに立つの>っていう言葉。ライブの会場にいるみんなの話だし、「ステージに立った時にこの曲を歌えるでしょ」っていう中田さんからのエールも感じて。レコーディングの時に「ライブの曲だ!」ってわくわくしましたね。

――ぴあアリーナMMで披露した曲ですが、キラキラしてるのにちょっと泣けるんですよね。

あ~ちゃん:泣けるよねぇ~。

かしゆか:うん。レコーディングで泣きました(笑)。もともとは、ライブのために書いてもらった曲ではなくて、何曲もどんどんレコーディングしていく中で生まれた曲なんですよ。でも、どうしてこんなにも私たちの気持ちをわかってくれるんだろうって感じました。私たちにはステージに立ちたいって思いがあるけど、ステージは私たちだけじゃ成り立たない。僕はただマワルカガミで、みんながいてくれてこそ輝けるっていう思いとか、こういう状況だからこそ、<大丈夫>っていう言葉がすごく響いて。声に背中を押されてる感覚とか、歌詞の全部が痛いほどわかるんですよね。自分がライブで感じてきた、自分だけの思いだったものを、お客さんと一緒に共有できる曲に落とし込んでくれたので、ライブで歌えた時はすっごくうれしかったです。

あ~ちゃん:レコーディングの時は、あんな怖い前奏じゃなかったんですけど(笑)、曲の内容はすっばらしいよね。本当に感動したし、最後の<ステージに立つの>っていう言葉が「シンガーソングライターみたいじゃん。あいみょんみたい!」って思いました。すっごく嬉しかった! 私たちは曲を書いてもらってるので、自分(シンガーソングライター)がステージに立つからこそ書ける歌詞は、あきらめてたんですよ。でも、それを中田さんが書いてくれて。「中田さん、もうPerfumeじゃん!」って思いました(笑)。もう乗り移っているっていうか、中田さんの魂は多分ステージにあるんでしょうね。Perfumeの横並びにきっといる。だからこそ書けるんだって思ったし、憧れがまた1つ叶いましたね。

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