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<特集>開催まであと1か月、【FUJI ROCK FESTIVAL '22】注目アクトまとめ&クイズ
豊かな自然の中で音楽を楽しむことができる日本最大級の夏フェスとして名高い【FUJI ROCK FESTIVAL】(以下フジロック)。新型コロナウイルスの影響による2020年の開催延期、2021年の“特別なフジロック”を経て、今年は7月29日から31日に、ヴァンパイア・ウィークエンド、ジャック・ホワイト、ホールジーをヘッドライナーに迎えて新潟・苗場スキー場で実施される。
“いつものフジロックを目指して”と公式サイトにあるとおり、2022年は待望の海外勢を含むラインアップや深夜の<RED MARQUEE>ステージの復活をはじめ、喜ばしいトピックも多く、本日<ROOKIE A GO-GO>出演者を含む全ラインアップ、そして各ステージのタイムテーブルも発表された。本特集では、音楽ファンを魅了してやまないフジロックでの初ヘッドライン・ステージを控える3組に加え、注目アクトをライブ映像&クイズとともにピックアップする。当日のスケジュールを組んだり、気になるアクトの予習にぜひご活用して欲しい。(Photo: © 宇宙大使☆スター)
7/29 [FRI] 21:10~ l GREEN STAGE
▲「Sunflower (Live at Austin City Limits)」
初日の<GREEN STAGE>のトリを務めるのは、2000年代後半にかけて盛り上がりを見せた米NYブルックリンのインディー・シーン発のヴァンパイア・ウィークエンドだ。2018年のフジロックでは、ボブ・ディランの出演後に<GREEN STAGE>に初登場し、ハイムのダニエル・ハイムの飛び入り参加も話題となった。1stアルバムに収録された「A Punk」でのブレイクをきっかけに一気にメインストリームで注目を集め、2ndアルバム『コントラ』〜最新作『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』まで3作連続で米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”首位に送り込み、チャート結果と独創性を両立できている希少なバンドと言えるだろう。知れば知るほど沼にハマる、アイディアとセンス溢れるポップ・サウンドは、最終日の<WHITE STAGE>に出演するスーパーオーガニズムなどの若手にも大きな影響を与えている。最新作では、細野晴臣をサンプリングしていることもあり、昨年彼とスプリット盤を発表したのも記憶に新しい。ここ最近の出演フェスのセットリストを見ると、キャリアを網羅した内容となっているので、誰もが楽しめる鉄板セットになることが予想される。
01. トム・ジョーンズ
02. クインシー・ジョーンズ
女優として活躍するラシダ、その父は故マイケル・ジャクソンの名盤『オフ・ザ・ウォール』、『スリラー』、『バッド』やチャリティー・ソング「We Are The World」を手がけたことで知られるクインシー・ジョーンズ。ラシダは、2018年に公開された父のドキュメンタリー『クインシーのすべて』の共同監督も務めている。
7/30 [SAT] 21:10~ l GREEN STAGE
▲「Seven Nation Army (Live at Glastonbury 2022)」
2012年以来、10年ぶりにフジロックにカムバックするジャック・ホワイトは、<GREEN STAGE>2日目のヘッドライナーを務める。全米4位を獲得した4月の『フィア・オブ・ザ・ドーン』に続いて、今年2作目となるスタジオ・アルバム『エンタリング・ヘヴン・アライヴ』のリリース直後に苗場へ降臨することとなる。パンデミック中に大量の曲を書いたというジャックは、これら2作に関するGuitar Worldとのインタビューで、「今まで足を踏み入れたことのない場所もあり、自分には無理だと思っていた新しいテクニックにも挑戦した」と語っている。意欲作であることが伺えるとともに、現在アルバムを引っさげたヨーロッパ・ツアー真っ最中で、まさに脂の乗った状態でのオン・ステージとなる。ホワイト・ストライプスをはじめ、ザ・ラカンターズ、ザ・デッド・ウェザーなどの一員としてロック・シーンを牽引してきたこともあり、誰もが知る名曲の数々とそのダイナミズム溢れる演奏で多くのフジロッカーを虜にすることだろう。
01. 過去最高となるアナログ盤の週間セールスを記録。
02. 歴代最も収録時間(39分13秒)が短いアルバムとして1位になった。
初週に4万枚のアナログ盤を売り上げた『ラザレット』は、1991年にルミネートによる集計が始まって以来、過去最高の週間セールスをマークした。その後、アナログ盤の人気が一気に高まったことも後押しし、今年に入りハリー・スタイルズの最新作『ハリーズ・ハウス』のアナログ盤は、新たな最高値となる18.2万枚の週間セールスを叩き出した。
7/31 [SUN] 21:10~ l GREEN STAGE
▲「I am not a woman, I'm a god」MV
最終日の<GREEN STAGE>の華やかに締めくくるのは、オピニオン・リーダーとしても注目されるUSポップ界の異端児ホールジー。一度聞いたら忘れることのないハスキーな歌声で、BTSやザ・チェインスモーカーズのヒット曲に参加しながら、全米2位を記録した昨年8月の最新作『イフ・アイ・キャント・ハヴ・ラヴ、アイ・ウォント・パワー』では、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーとアッティカス・ロスをプロデューサーに起用。多様なジャンルにクロスオーバーしながら自身の音世界を拡大してきたが、新作はオルタナティブ、グランジなど90年代の影響が伺える実験的なサウンド、リンジー・バッキンガム、デイヴ・グロール、ピノ・パラディーノら名プレーヤーたちが織りなす本格的な演奏で、ロック・ファンにもアピールした作品に仕上がっている。プライベートで頻繁に日本を訪れていることを公言をしているが、2020年に予定していた来日公演が新型コロナの影響で中止となったため、自身のライブは2016年以来。現在行っている全米ツアーはセクションごとにテーマに基づいていて、まるで一つの物語を紡ぐような内容になっているが、そのシネマティックな世界観が<GREEN STAGE>でどのように表現されるのか気になるところだ。
01. BTS「Boy with Luv feat. ホールジー」
02. ホールジー「Without Me」
今や世界的グループとなったBTSとタッグを組んだ2019年の「Boy with Luv feat. ホールジー」の最高位は意外にも8位。同年に開催された【ビルボード・ミュージック・アワード】ではコラボ・ステージも披露された。2020年の『マニック』では、メンバーのSUGAが「SUGA's Interlude (with SUGA of BTS)」に参加している。
公演情報
【FUJI ROCK FESTIVAL '22】
2022年7月29日(金)、30日(土)、31日(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場
1日券21,000円、2日券38,000円、3日通し券49,000円
INFO: http://www.fujirockfestival.com/
<GREEN STAGE>
ここからはステージごとに注目のアクトをピックアップしていきたい。まずはフジロックの顔と見える、メイン・ステージの<GREEN STAGE>だ。米ビルボードが発表しているグローバル・チャート2種に、いずれも日本人アーティストとして最多数の楽曲を送り込むなど、瞬く間に現行シーンを牽引するデュオとなったYOASOBIは、初出演ながら初日のトリ前に登場。2020年にBillboard JAPANの年間首位をマークしたブレイク作「夜を駆ける」から直木賞作家とのコラボ・プロジェクト第2弾となる最新曲「好きだ」までヒット・ナンバーの数々、細部まで凝ったステージ演出に期待が高まる。
他にも、昨年デビュー30周年を迎えたOriginal Love、幅広い活躍を見せるPUNPEE、そしてUA、中納良恵、トータス松本という贅沢な面々を迎えたフジロックお馴染みのROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRAなど、バラエティに富んだ国内アーティストが<GREEN STAGE>を彩る予定だ。
▲「ツバメ」 from 初有観客ライブ『NICE TO MEET YOU』 / YOASOBI
<GREEN STAGE>初日に登場するブラック・ピューマズは、2019年に発表したセルフ・タイトル作とそのデラックス盤で【グラミー賞】に2年連続でノミネートされるなど、ここ数年の間に頭角を現したデュオだ。元々2020年のフジロックに出演予定だったが、今年念願のリベンジを果たす。米オースティンで結成され、ブルージーでソウルフルなライブに定評がある彼らは、2日目の<FIELD OF HEAVEN>のトリも務める予定で、ステージによって異なる演奏も期待できそうだ。
▲「Colors (Live at Abbey Road Studios)」 / Black Pumas
【グラミー賞】といえば、フライング・ロータスが主宰する<Brainfeeder>から発表した6年ぶりの新作『Mood Valiant』で、今年<最優秀プログレッシブR&Bアルバム部門>の候補に上がっていたハイエイタス・カイヨーテや、2部門にノミネートされていた韓国系アメリカ人のミシェル・ザウナーによるジャパニーズ・ブレックファストも外せない。後者は、昨年発売した3rdアルバム『ジュビリー』の高評価やミシェルの自叙伝とも言えるエッセイ『Crying In H Mart』の全米ベストセラー入りを経て、米国民的番組『SNL』のシーズン・フィナーレへの出演、米タイム誌が選ぶ「2022年の世界で最も影響力のある100人」に選出されるという大飛躍を遂げた。ハイエイタス・カイヨーテは、2019年の<GREEN STAGE>で随所に日本へのリスペクトが感じるられる超絶テク・ライブを届けてくれたが、ジャパニーズ・ブレックファストは初出演。ノリに乗っている両アクトの姿をしっかりと目に焼き付けたい。
01. 【コーチェラ・フェスティバル】
02. 【グラストンベリー・フェスティバル】
<GREEN STAGE>2日目に登場するスカパラは、米英2大フェスをはじめ、【ボナルー】や【モントルー・ジャズ・フェスティバル】などへの出演経験を持つベテラン・スカ・バンド。大ステージに映えること間違いなしの唯一無二のグルーヴに心ゆくまで身を任せたい。
<WHITE STAGE>
今年の<WHITE STAGE>のトリには、2017年出演時に圧巻のバンド・セットを見せたボノボ、アーティスト活動再開後初のライブを行うコーネリアス、Y2K的なアートワークも目を引くニュー・アルバム『デーモン・タイム』のリリースを9月に控えるムラ・マサと、どれもその音響の良さで知られるステージと親和性が高いアーティストが名を連ねている。
同時に、挑発的なアウトサイダー・ラッパーJPEGMAFIA、心に突き刺さるリアルさで聴き手を虜にする現在23歳シンガーソングライターのスネイル・メイル、ACAねのハイレベルなボーカル・スキルもさることながら前衛的なJ-POPを提示し続けている、ずっと真夜中でいいのに。、“新人アニソン歌手”としてブレイク中の今年デビュー40周年を迎えたラブソングの王様こと鈴木雅之、ハイブリッドなサウンドメイクでめきめきと存在感を表しているKroiなど、異彩を放つワン・アンド・オンリーなアーティストが名を連ねている。
▲「Kerala (Live at Fuji Rock Festival '17)」 / Bonobo
中でも見逃せないのは、ポスト・ロック、ジャズ、ブルース、クラシックなどの影響を受けた実験的サウンドが通を唸らせている、ブラック・カントリー・ニュー・ロードの初来日ライブだ。アルバムを2作続けて全英TOP5に送り込んだ今ノリに乗っている若手バンドで、最終日の<WHITE STAGE>を熱狂の渦に包んでくれることだろう。
BC,NRの後には、星野源やCHAIなど日本人アーティストのコラボでも知られ、新作『World Wide Pop』のリリース間近に迫るスーパーオーガニズムも控えている。2018年に出演した際は、シュールな映像を駆使した自身に満ちたステージで満員の<RED MARQUEE>を沸かせたが、ゆる〜い、独特の空気感を持った彼らの最新ステージが待ち遠しい。
▲「Live from the Queen Elizabeth Hall」 / Black Country, New Road
▲「Into The Sun ft. Gen Hoshino, Stephen Malkmus & Pi Ja Ma」 / Superorganism
公演情報
【FUJI ROCK FESTIVAL '22】
2022年7月29日(金)、30日(土)、31日(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場
1日券21,000円、2日券38,000円、3日通し券49,000円
INFO: http://www.fujirockfestival.com/
<RED MARQUEE>
飲食エリアのOASISに程近い屋内ステージ<RED MARQUEE>には、若手アーティストの登竜門的な<ROOKIE A GO-GO>に昨年出演し、見事メイン・ステージ出演権を勝ち取ったAcidclank、初のメジャー作品『Ladies In The City』を引っさげたライブ・セットを披露するNight Tempo、Billboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で最高4位を記録した「なんでもないよ、」がロング・ヒット中のマカロニえんぴつ、先日自身初となる日本武道館公演を開催したJ-ヒップホップ界のクイーン=Awich、今年デビュー25周年を迎えたGRAPEVINEなど、新進気鋭アクトからベテランまでが揃った。
▲「洗脳 (feat. DOGMA & 鎮座DOPENESS) & GILA GILA (feat. JP THE WAVY & YZERR)」Live at 日本武道館 / Awich
初日のトリを務める、ジ・インターネットの中心人物シドが紡ぐ、心地よいメロディとグルーヴは1日の疲れを癒してくれるだろうし、先日行われた【グラストンベリー・フェスティバル】では、ロードやフィービー・ブリジャーズのステージと引っ張りだこだったアーロ・パークスは、2日目の最終アクトに抜擢されている。うつりゆく日々を詩的でスウィートに歌い上げる彼女は、2021年のデビュー・アルバム『コラプスド・イン・サンビームズ』のリリース受けて、来日が待たれていたアーティストの一人だ。最終日は、言わずと知れたモグワイが圧倒の轟音サウンドを降らせ、余韻たっぷりのフィナーレを演出してくれることだろう。
▲「Hope (Live at Glastonbury 2022)」 / Arlo Parks
冒頭でも触れたが、今年は<RED MARQUEE>の深夜ステージが復活するという大きなトピックもある。昨年、電気グルーヴとしてヘッドライナーを務めたTAKKYU ISHINOを筆頭に、それぞれの解釈でダンス・ミュージックをアップデートしている食品まつり a.k.a foodmanやどんぐりず、<ROOKIE A GO-GO>出身のD.A.N.のDJセットやNight Tempoの昭和グルーヴDJセットまで、一晩中踊ってフェスの興奮と歓びを堪能するのに申し分ないアクトが結集している。藤井 風やSIRUPなどを手がけてきた名プロデューサー、Yaffleは、4ピース・バンドとして自身のアーティスト作品をライブ・アレンジで披露する予定とのことで、こちらも楽しみだ。
01. 夜拍
02. 夜韻
単純に響きがかっこいいですね。竹内まりや、中森明菜、杏里など、懐メロのオン・パレードの2019年のセットがウケて、「毎年来てほしい」という声も多かったNight Tempoが、今年は2日連続で登場。ちなみに公式グッズとして、「夜韻」とプリントされたコラボTシャツも絶賛発売中。
<魅惑のインターナショナル・アクト編>
世界の音楽シーンの傾向を捉えながら、アメリカや欧州以外の旬なアーティストを紹介してくれるのもフジロックの魅力の一つだ。モンゴルのロック・バンド、THE HUやインドのメタル・バンド、ブラッディウッド(初USツアーのタイトルを【Nine Inch Naans】にするユーモアも最高)が、初日と2日目の<GREEN STAGE>のトップバッターとしてそれぞれ登場するのには、より多くの人に触れてもらいたいという想いが伺えるし、朝からガツンとくる演奏で一日を爽快にスタートできそうだ。他にも、台湾を代表するロック・バンド=Fire EX.(2日目の <WHITE STAGE>)や、THE HU同様に、今年の【コーチェラ】に出演したターキッシュ・サイケ・バンド=アルトゥン・ギュン(最終日の<FIELD OF HEAVEN>)の伝統的な音楽や民族楽器を取り入れたステージは、まだ気軽に海外に行けない中、異国へとトリップさせてくれそうだ。
▲「This Is Mongol」MV / THE HU
▲「Dana Dan」MV / Bloodywood
世界からも高く評価を受ける美しい景観の中で、国内外のアーティストと日本の音楽ファンがリアルで繋がれる貴重な場を長年提供してきたフジロック。<FIELD OF HEAVEN>、<Gypsy Avalon>、<PYRAMID GARDEN>、<苗場食堂>、<Day Dreaming>など、ここでは紹介しきれなかった個性的なステージもまだまだたくさんあるが、探究心を持って思う存分に音楽と出会い触れ合いながら、最後の最後まで今年のフジロックを味わい尽くそう。
公演情報
【FUJI ROCK FESTIVAL '22】
2022年7月29日(金)、30日(土)、31日(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場
1日券21,000円、2日券38,000円、3日通し券49,000円
INFO: http://www.fujirockfestival.com/
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