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<インタビュー>majikoが考える幸せの定義とは――新曲「交差点」リリース
シンガーソングライターのmajikoが、2022年に入って2作目となる配信シングル「交差点」をリリースする。「幸せ」や「自由」に縛られ、身動きが取れなくなってしまった人たちの心象を綴る歌詞の世界が印象的。どこかオリエンタルなメロディや、意表を突く転調がドラマティックなアレンジなど、サウンド面でもmajikoらしさが炸裂した意欲作だ。なお、この曲はmajikoがモデルを務めるファッションブランド「0658」とのコラボレーションも企画されている。有観客ライブとしては1年半ぶりのワンマン【愛わかる-medewakaru-】を7月に控える彼女に、新曲の制作エピソードから筋トレ話(!)まで、ざっくばらんに語ってもらった。
――新曲「交差点」は、前作「劫火のエトワール」から2か月ぶり、2022年に入って2作目となる配信シングルです。制作はいつ頃から行っていたのでしょうか?
majiko:ニューアルバムのための楽曲をどんどん作ってレコーディングしている中でできた曲なので、曲自体は去年くらいからあったと思います。スタッフさんと話し合いをしていく中で今回のリリースが決まりました。
――アルバムの制作も同時に進んでいたのですね。
majiko:そうなんです。すでに曲は出揃って渋滞しているので(笑)、それを現在は絶賛レコーディングという感じですね。もうすぐワンマンを控えているので、それを越えたらまた佳境に入っていくと思います。年内にリリースできたらいいなと。
――「劫火のエトワール」は『バトルスピリッツ コネクテッドバトラーズ』の主題歌として書き下ろされた楽曲でしたが、今回のモチーフはどのように浮かんだのですか?
majiko:曲名どおり、交差点がモチーフになっています。交差点というのは、比喩的に言えば「人生の岐路」とも取れるし、「人と人とが交差する場所」とも取れる。そんな「交差点」の真ん中で、ふとバランスを崩し倒れ落ちてしまう人の歌なのだと、できあがってみて気づきました。「本当にこれ、私が書いたのかな」みたいな感覚って毎回あるんですよ。
――それはなぜなのでしょうね。
majiko:「開いている」というか、チャネリングしているというか……作品作りをしている人は、多かれ少なかれそういう感覚があると思います。なので「どうしてそこをこうしたの?」とか「この言葉はどこから出てきたの?」とか言われてもよく覚えていない場合が多いんですよね(笑)。
交差点って、本来は立ち止まってはいけない場所じゃないですか。でもそこで止まってしまったり、うずくまっちゃったりするのは一体何があったからなのか。自分自身もそういう経験があるので、改めて歌詞にできて良かったと思っていますし、聴いてくださった人たちにとってこの曲はどんな解釈になるのか、今から反応が楽しみです。
――この曲の歌詞は「自由」や「幸せ」について歌っていると個人的には思いました。majikoさんにとって「自由」や「幸せ」の定義ってどんなものですか?
majiko:うーん、どんなものだろう……(笑)。自分でもその答えはまだ見つかっていなくて、それを探すために歌詞を書いているところもあるんですけど、ありのままの自分を出せる場所を持っていること、もしくはそういう場所へと繋がっていくことが「自由」だったり「幸せ」だったりするのかなと思いますね。
ただ、「自由」や「幸せ」を実感できていないからといって、決して「不幸せ」というわけではないとも思うんです。衣食住がちゃんと保証されていても「何かが足りない」と思ったこともあるし。しかもそれを言葉にすることで、「自分を知る」というのも曲作りの面白いところで。「ああ、確かにあの時はそう思っていたな」「だとしたら、同じことを思っている人が他にもいるんじゃないかな」みたいに思いながら作りました。
――SNSを見ていると、「幸せじゃなければならない」「自由であるべき」といった強迫観念みたいなものを感じる時もあって。
majiko:そうなんですよね。いろいろな人が「幸せ」をアップするような世の中になっていますが、実際はそんな人ばかりじゃないと思うんです。表面的な幸せには惑わされたくないので、昔からSNSって結構苦手なんですよね……(笑)。それもきっと歌詞に反映されていると思います。
――SNSのそういう強迫観念的な空気って、コロナ以降より強くなった気はしますか?
majiko:誰もが家にいることを余儀なくされていた時期があったわけじゃないですか。抑圧されている中で「生きる場所を模索していた」というか。そういう中で、ある種の強迫観念のようなものが広がっていった感覚は確かにありますね。早くコロナ禍も収束して欲しいですよね。最近、Jリーグが声出し感染を段階的に導入し始めていますが、「ライブも頼むわ~」って思ってます(笑)。
――本当にそうですよね。サウンドに関しては、どんなことを意識して作りましたか?
majiko:「これ!」というリファレンスが最初からあったわけではなくて、私が今まで聴いてきた音楽たちのエキスが体の中に染み付いていて、そこから生み出されたサウンドだろうと自分では思っています。昔からハネるリズムが好きなんですよ(笑)。
――サビ前までの部分はソウルでメロウな曲調ですが、サビでは意表を突くような転調があったり、ドラマティックなストリングスが入ってきたり、1曲の中で二律背反する要素が混じり合っているのが印象的です。
majiko:ありがとうございます! アレンジはおっしゃるように「ドラマティックにしたい」と思ってストリングスを入れました。二律背反した要素が混在しているのは自分でも意識しているのかもしれないですね。楽しかったです(笑)。
――その辺りは、アレンジの木下哲さんともやり取りしながら作っていくのですか?
majiko:はい。木下さんには今作でもめちゃくちゃいい刺激を受けました。ギターワークも一緒に考えてくださって、サウンドにもより広がりが出たと思います。
――前作「劫火のエトワール」の時にも感じましたが、メロディはどこかオリエンタルな雰囲気がありますよね。そこもmajikoさんの持ち味なのかなと思いました。
majiko:オリエンタルな響きは昔から好きなので、それが無意識に反映されたのかもしれないです。
リリース情報
「交差点」
2022/6/29 DIGITAL RELEASE
https://umj.lnk.to/kousaten
公演情報
majiko ONEMAN LIVE【愛わかる-medewakaru-】
2022年7月2日(土)開場16:45/開演17:30
東京・恵比寿ガーデンホール
チケット:一般指定席6,800円(税込)
※全席指定。
※6歳以上チケット必要。未就学児入場不可。
※ご入場時は別途ドリンク代がかかります。
※今後の新型コロナウイルス感染状況により、予定している席種が変更となる可能性がございます。
――コロナ禍で曲作りに何か変化はありましたか?
majiko:コロナ禍はずっと「修行」の時間だなって自分の中で思っていて。今度のライブも1年半ぶりにやるんですけど、次に立ち上がる時にしっかりと力をつけておきたい、ただで休んでいるわけにはいかないという気持ちがあって。まるで「精神と時の部屋」にいるような2年間でしたね(笑)。
――(笑)。「修行」とは具体的にどんなことをしていたのですか?
majiko:作曲やアレンジでのインプットを増やしたり、アウトプットの仕方を工夫したり。インプットはできるけど、アウトプットが今まで苦手だったので、そういう苦手なことにも挑戦してみました。いろんなサウンドを、どうやったら面白くなるかとかそういう「研究」もしていて、その成果が今度のアルバムにはめちゃめちゃ入っているし、「頑張って作ったなぁ」と思っていますね。歌詞やサウンドなど、自分の本音の奥にある「好き」を形にできたような曲がいくつも入った、胸を張ってリリースできる内容になりそうです。
――楽しみです。
majiko:最近、サブスクで自分の過去作を聴いてみたんですよ。私、いったん世に出たものを後で聞き返すことが今までほとんどなかったんですけど、改めて聴いてみたら「めちゃくちゃいい曲だな」と思えたんです。当時自分が作っていたときの感覚が蘇ってきたし、「あの時はこんなことを考えていたんだなぁ」って、まるで昔の自分から手紙が届いたような気持ちになりました。
――自分で書いた歌詞に、後から救われるとか。
majiko:そうなんです! そういう時はしみじみ「続けてきてよかったな」と思いますね。なので、これまでの作品にももちろん自信を持っていますし、今作はそれ以上に良くなることは確信しているので、とにかく今は楽しみでしかない。早くみんなに聴いてもらいたいです。
――ちなみに、レコーディング中にインスピレーションを与えたものは?
majiko:ステイホーム期間中はめちゃくちゃ映画を観ました。あと、今、筋トレにハマっていて、Spotifyが公開しているワークアウト用のプレイリストを筋トレしながらシャッフル再生で聴きまくっていました(笑)。そのリストの中から「これは!」という曲を自分用の非公開のプレイリストに入れて、それもめちゃめちゃ聴いていました。そこからのインスピレーションはかなりあったと思います。
――ちなみに、筋トレはいつ頃からやっているのですか?
majiko:実は20代前半から筋トレに出会って、ここ2、3年はかなり本腰を入れて励んでいます。コロナ禍になって、体を動かしたり鍛えたりすることの大事さを身にしみて痛感したんですよ。「運動しないことは、元気にならない薬を毎日飲んでいるのと一緒だ」という趣旨の名言をどなたかが残しているのですが(笑)、本当にその通りだと思ったんですよね。一種の瞑想というか。頭の中にあるアイデアをまとめたいときに、すごくいいんです。アレンジに煮詰まった時など自分のデモを聴きながら走ったりして、運動するとやる気も漲ってくるし、気持ちも上向きになる。マジで筋トレは全てのクリエーターがやるべき。
――ところで今回、ファッションブランド「0658」とのコラボレーションも企画しているとお聞きしました。それはどのような経緯で始まったのでしょうか?
majiko:以前、ジムでお世話になっている六本木パーソナルジムANDBODYの道端さんが私の誕生日に洋服をプレゼントしてくれたんです。それが「0658」さんの服で、デザインや色使いがドンピシャで好きなテイストだったんですよね。「可愛い!」と思って嬉しくて配信ライブの時に着たら、ファンの方が「majikoちゃん0658の服を着てる!」とTwitterに呟いてくれて。それを「0658」のデザイナー、OBA(大場)さんが見てくださり、「僕、majikoさんの大ファンなんだけど!」と言ってくださったんです。
――すごく素敵な縁ですよね。
majiko:そこから連絡を取り合うようになり、何度かブランドのモデルをやらせていただいたりして、今回のコラボが決まったんですよね。まさかトレーナーさんからいただいた誕生日プレゼントから、ここまで話が繋がっていくなんて、不思議なことってあるものだな、筋トレって素晴らしいなって思いました(笑)。
――ところで7月2日に恵比寿ガーデンホールにて【愛わかる-medewakaru-】が開催されます。約1年半ぶりに有観客で行われるワンマンライブですが、こちらの意気込みをお願いします。
majiko:1年半前に豊洲PITのステージに立ったとき、お客さんは声を出せないし大きな動きもできない、マスク着用は必須で拍手しかできないような状況でも、「目」でその思いを伝えてくれていたんです。「愛」を目で見ることができる、目でなら「愛」がわかる、つまり「愛(めで=目で)わかる」とダブルミーニングでこのタイトルを付けました。お互いコロナ禍でいろんなことがあったし、いろんな思いをしたけど、一旦それを置いて、今まで頑張ってきた自分たちのことを「目で(愛で)分かってあげられる空間」にしたいなと。
明日からリハなんですけど、楽しみで仕方ないです。「ファンがライブを楽しみにしている気持ちは、アーティストには想像もできないくらい強いもの。ライブに人生を賭け、ライブを生き甲斐にしてライブのために生きている人たちだっている」ということを、以前誰かが言っていて。「確かにそうだよな」と思っているんですけど、今の私はそんなファンの方たちと同じくらいライブを楽しみにしているし、「生きている意味」そのものだと思っています。
――最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか?
majiko:なぜか最近、海外の方たちがmajikoを見つけてくださって、すごく熱心に応援してくださっているんです。なので、とにかく今は海外にいるmajikoのファンたちに一刻も早く会いに行って、直接「ありがとう」と言いたいです。
リリース情報
「交差点」
2022/6/29 DIGITAL RELEASE
https://umj.lnk.to/kousaten
公演情報
majiko ONEMAN LIVE【愛わかる-medewakaru-】
2022年7月2日(土)開場16:45/開演17:30
東京・恵比寿ガーデンホール
チケット:一般指定席6,800円(税込)
※全席指定。
※6歳以上チケット必要。未就学児入場不可。
※ご入場時は別途ドリンク代がかかります。
※今後の新型コロナウイルス感染状況により、予定している席種が変更となる可能性がございます。
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