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<インタビュー>mzsrz、1stアルバム『現在地未定』で魅せる“多様声”と“憑依声”



 エイベックス×テレビ東京による次世代オーディション『ヨルヤン』を勝ち抜いた5人のボーカリストによって結成されたmzsrz(ミズシラズ)。水のように無色透明で変幻自在な“多様声”と“憑依声”を持つ彼女たちは、DECO*27サウンドプロデュースによるバラエティ豊かな楽曲群を通して個々の存在感を強め続けている。そんなmzsrzの1stアルバム『現在地未定』が3月16日にリリース。昨年1月リリースのデビューシングル「夜明け」をはじめ、カラフルな歌声で表現された多彩な楽曲群を堪能できる力作に仕上がっている。


 今回のインタビューでは、かつて“見ず知らず”だった大原きらり、作山 由衣、実果、ゆゆん、よせいの5人が各々の魅力を紹介するほか、デビューから現在までの成長やレコーディングで得られた経験、そしてアルバム『現在地未定』の魅力について語った。

メンバーそれぞれの魅力を紹介

――今回のインタビューでmzsrzのことを初めて知るという方も少なくないと思います。そういう方に向けて、皆さんの口から「この子の魅力はこういうところ」と、おひとりずつ紹介していただけないでしょうか。最初はよせいさんについてお願いします。



よせい


作山 由衣(以下、作山):明るいです。

ゆゆん:頼れるお姉さんのような存在。私はよく相談をするんですけど、話をしっかり聞いてくれて……すごく優しいです。でも、最年少の作山 由衣と最年長のよせいの立場が真逆というか、精神年齢が真逆?

よせい:いつまでも若いということで、ポジティブに受け取ります(笑)。

ゆゆん:あと、歌声に透明感があって、天然水みたいな。彼女はTikTokでも活動をしているんですけど、その背景に天然水のペットボトルを置いてよく歌っていて。私はその天然水がよせいの本体だと思って、いつも聴いています。

よせい:透明感のある歌声だと言ってくれてるんだよね?

ゆゆん:はい!(笑)

よせい:ありがとう(笑)。

――では、続いて大原きらりさんについて。



大原きらり


よせい:mzsrzの中でラスボス的といいますか、歌の切り札みたいな存在。すごく伸び伸びとした、地声で張り上げる歌い方を得意としているので、そういった意味では力強い歌声がきらりの魅力なのかなと思います。

実果:きらりが歌うと、稲妻みたいな衝撃が刺さるというか。「フェーダー」の最後の部分とか聴いてもらえると、それが伝わると思うんですけど、聴くたびに毎回ハッとさせられます。

よせい:パーソナルな面で言うと、芯がしっかりしているところも魅力的。

作山:自分をしっかり持っているところが、カッコいいなと思います。

大原きらり(以下、大原):これ、恥ずかしいですね(苦笑)。

――ですよね(笑)。続いて作山 由衣さんについて。



作山 由衣


よせい:ピュアで真っ直ぐ。それは人柄だけじゃなくて、歌声にもそのまま表れていて。mzsrzを聴いてくださる方に対して、真っ直ぐ純粋に彼女が歌っている気持ちが届くような、そんな魅力があると思います。

ゆゆん:大人びているし落ち着いた話し方をするし、すごいなと思うんですけど、普段は甘いものをいっぱい食べていたり、お笑いを観てクスクス笑っている姿を目にすると、年下なんだなと実感します。

――では、実果さんについてはどうでしょう。



実果


ゆゆん:マシュマロのように白くてふわふわしていて。歌声も儚くふわふわしているんですが、ライブになるとスイッチが入って激変します。「インベーダー」のフェイクではがなり声を使っていて、「あれ、マシュマロはどこにいった?」と思っちゃうくらい、ギャップがすごいですね。

――最後はゆゆんさんについて。



ゆゆん


作山:カメレオンのように変幻自在な歌声。

よせい:曲によって表現の仕方や歌声を変え、その時々のキャラクターに憑依するような歌を歌うので、そこに注目して聴いていただければ魅力が伝わるのかなと思います。

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mzsrzの武器の1つは“多様声”

――昨年1月にデジタルシングル「夜明け」でメジャーデビューしてから1年ちょっと経ちましたが、以前と比べて成長や変化を感じることはありますか?

よせい:mzsrzとして活動していく中で、SNSを通じて「mzsrzのこの曲はこう思われているんだ」とか応援してくださる皆さんが抱えている思いを受け取ることで、自分の中の価値観が増えたり更新されていったことが一番成長した面かなと思います。


▲mzsrz(ミズシラズ) / 「夜明け」Music Video

大原:このグループは“多様声”を武器のひとつに活動していて、メンバー一人ひとりが個性ある魅力を持った声をしているんです。デビュー前までは、私の出せる声で突き進んでいこうと考えていたんですが、グループを組むことによってみんな歌い方が違うけど、みんなその歌声ではトップみたいな魅力を持っているから、そういった自分にないものを吸収していくことができて、新しい曲を歌うごとに歌い方がちょっとずつ変わってきている気がします。



大原きらり


――ライブ映像を拝見しましたが、違った個性がぶつかり合うというよりも調和している印象を受けました。

大原:そうですね。そこがこの1年の大きな変化だと思います。

作山:デビューしたときは、うまく歌おうという気持ちが強くて、一生懸命すぎて切羽詰まった感じになってしまったこともあったんですが、DECO*27さんが提供してくださった楽曲に毎回助けられて。歌うときや日常生活での悩みを全部肯定してくれて、歌詞で代弁してくれる、そういう楽曲たちにすごく助けられて、希望を持てるようになりました。その希望をさらに私たちが歌で表現することで、同じような悩みを抱えている人たちにも光を与えるといいますか、一緒に希望に向かって進んでいけるような歌をこの1年間でどんどん表現できるようになったと思っています。


▲mzsrz(ミズシラズ) / 「ONLINE-LIVE “現在地未明” 」Live Video

――そこに対して、少しずつ自信を持てるようになってきた1年だったと。

作山:はい。

実果:「夜明け」の頃はレコーディングも初めてだったので、「うまく歌えなかったらどうしよう?」と不安が大きくて、歌うことを楽しむのを忘れちゃうぐらいだったんです。でも、何度もレコーディングを重ねてみんなの歌を聴いているうちに、「次はもっと楽しむぞ」と思えて、今は本当に歌うことが楽しめるようになりました。



実果


ゆゆん:私も「夜明け」のレコーディングは何もかもが初めてでしたし、自分の歌声にも自信がなかったので、「この歌い方で合っているのかな?」と正解がわからなくて、その不安が「夜明け」にもきっと表れていたんじゃないかと思うんです。でも、このアルバムで最後にレコーディングした「Repeat」と聴き比べると、自分の歌い方の幅が本当に広がったなと実感できて。さっきメンバーが言ってくれましたが、私は1曲の中でいろんな感情を声で表現できるようにと意識しているんですけど、「パントマイム」や「Repeat」あたりでようやく自分なりの表現ができるようになってきました。



ゆゆん


――ゆゆんさんのように、“多様声”重視のmzsrzだからこその拘りってほかに何かありますか?

よせい:私は話すときと歌うときは同じように心がけていることがあって。感情が伝わりやすいように話すことを心がけているので、歌う際にも同じように歌詞に沿って感情を込めるようにしています。



よせい


作山:mzsrzの楽曲は、歌い手側も感情移入しやすい曲ばかりなんですが、私は歌うときのひとつには楽しむことが大切だと思うので、ちょっとネガティブな歌詞でも音楽に対する熱量とかそういったものが見えるように歌うことを心がけていて。聴いてくださる方の前に立って皆さんの思いを代弁したり、横に並んで手をつないで歩くことで希望を一緒に分かち合えるようすることを意識しています。



作山 由衣


――例えば迷いや不安が表現された歌詞もありますが、それをmzsrzのメンバーが時に強く、時に温かく歌うことで不思議とポジティブさが伝わってくるんです。そういう意味で、mzsrzの「歌」というものは、聴いていてどこかしら救われる、そんな音楽なのかなと思いました。

よせい:まさしく私たちは一人ひとりの方の心に寄り添えるように、そういう歌を届けられるようにと思って活動しているので、直接メンバーからも同じ想いを聞けてうれしいです。

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歌詞に注目 メンバーの印象に残っている楽曲は?

――ここからは1stアルバム『現在地未明』についてお話を伺いたいと思います。デビューから現在までの集大成のような内容に仕上がりましたね。

ゆゆん:はい、本当に幅広い楽曲が揃ったなと感じています。「Repeat」や「フェーダー」は冷静で落ち着いている感じだけど、「ノイズキャンセリング」や「パンデモニウム」は歌詞的には悪役というか、ダークなmzsrzを出すことができている。また「インベーダー」ではロックで“エモ”なmzsrz、「フィルター」では可愛らしいmzsrz、「パントマイム」では、一見静かなんだけど、実は攻撃的で怒っているmrsrzというよう、さまざまな表情が見えるアルバムだなと感じています。

大原:『現在地未明』というアルバムタイトルですが、mzsrz自身も、聴いてくださる皆さんも、自分が今どこにいるのかわからなくて不安になることがあると思うんです。今までmzsrzは、ひとりひとりに寄り添うように、歌を届けてきたということもありますし、名前の付けられない「不安」や「焦り」みたいな感情とか、そういう内面にあるようなところにまで寄り添えているタイトルだなと思いました。それに、“未明”ってどこか定まっていない感じがするじゃないですか。ゆゆんが言ったように、アルバムには幅広いタイプの楽曲が入っていて、ジャンルとしても定まっていない。でも、だからこそ、誰が聴いてもどれか1曲は好きな曲が見つかるんじゃないかと思うし、その人の気持ちに寄り添ってくれる1曲が見つかってほしいとも思う。そんな多彩で“よりどりみどり”なところがいいなと思っています。

よせい:私たちが本当に自信を持って、感情を込めて作った曲ばかりなので、これさえあれば大丈夫というようなアルバムになったと思います。

――本作に収録された楽曲の制作時期はまちまちかと思いますが、皆さんが特に印象に残っている曲はどれでしょう?

よせい:「フェーダー」のサビで初めて、ペアのユニゾン(一緒に同じ旋律を歌うこと)をした部分があるんですけど、私は〈流れていく 感情が〉のところを実果と歌ったんです。そのときは実果が先にレコーディングしたんですけど、「一緒にひとつの音楽を作っているんだ」と強く感じられて。そういう感覚に陥ったのも初めてだったことありますし、「フェーダー」の歌詞が私自身にも刺さってくるものもあって、この曲が一番印象に残っています。


▲mzsrz(ミズシラズ) / 「フェーダー」Lyric Video

大原:私は「ノイズキャンセリング」かな。この歌詞はSNSがテーマになっていて、SNSを使うことで簡単にいろんなことを知れたり、簡単にいろんな意見が聞けたりすることは魅力的なんですが、簡単に拾えすぎて考えることを放棄して、人との直接的なコミュニケーションの時間が失われているんじゃないかという危機感もあって。私もオーディションに応募したときに投稿系のアプリを使っていたんですが、そのときは「もっと私を見てほしい!」という欲が強すぎて、目的や楽しむ理由を見失ったまま評価だけを求めて続けているところもあったんです。でも、「ノイズキャンセリング」のレコーディングで、DECO*27さんから「“寂しさ”に寄り添うように歌ってみよう」という歌のディレクションを受けたときに、「なんでSNSを使っていたら寂しいのかな?」と考えて。けど、しばらく考えてるうちに「そういうことなんだ! なんて寂しいんだ!」と気付かされて。この時代を生きているからこそ、「ノイズキャンセリング」の歌詞は私にも刺さったし、聴いてくださる同世代の方にも刺さる歌詞なんじゃないかと思います。


▲mzsrz(ミズシラズ) / 「ノイズキャンセリング」Music Video

作山:私はリード曲にもなっている「フェーダー」がすごく印象に残っていて。この曲をレコーディングしていた時期、お仕事上、目上の方々が多いなかで活動をさせていただくうちに、学校の友達と喋っているときとの違いに気付く瞬間がたくさんあったんです。同じような活動をしている子が周りの友達にはいなかったので、誰にも相談できなくて、「もしかしたら誰にも理解されず、私だけが深く考えてしまっているのかな?」って思ってしまったんですけど、こうやってDECO*27さんが歌詞に言語化してくださったことで救われた部分もたくさんあって。「フェーダー」は子供から大人になるにつれてどんどん濁っていくような、そういうことを歌っているんですが、もしかしたら同世代にも私と同じような悩みを抱えている子がいるかもしれないので、この歌詞に共感した私が歌うことで「あなただけじゃないんだよ。みんなが、そばに付いているよ」と寄り添えたらいいなと思います。

実果:一番思い出に残っているのはレコーディングで泣いたこともあった「夜明け」なんですが、「フェーダー」は考えながら歌ったといことで印象に残っています。よせいと掛け合いのところを私が先にレコーディングしたので、誰かに合わせた歌い方ということができなくて。〈きっと きっと〉というフレーズの歌い方も、「大人になっていくことは仕方のないことだから諦めるんだ」という感じで歌うのか、「お願い、明るい未来になっていますように」と切望するように歌うのか悩んだんですが、DECO*27さんから「切望する感じがいいと思う」と言っていただけたことで今の感じになったんです。そうやって自分でよく考えて歌えたというのもあって、この曲は印象に残っています。そのあとに〈濁っていくんだ〉というフレーズがあるんですが、歌詞が暗い感じなので重く突き刺すように歌うのかなと思っていたら、「歌詞は暗いけど、実果はエアリー感のある、明るい感じで歌って」と言われて、自分と違う解釈だったなというのもあって、特に「フェーダー」のレコーディングは思い出に残っています。




ゆゆん:私は3rdシングルの「アンバランス」です。この曲でmzsrzとして初めてタイアップをいただいて、しかもそれが映画の主題歌ということにすごく驚いて。さらに、歌割りをいただいてみたら私が歌い出しで、最後も私だけソロがあったんです。そこでプレッシャーを感じで、「大丈夫かな?」と不安になってしまったんですが、歌う前に歌詞を自分なりに解釈をして。過去にいじめを受けた経験や、いじめられるのが怖いから逃げてしまう時期があったので、そういった部分でも、この歌詞は自分の過去そのものだなと思ったんです。だからこそ、歌い出しと最後のソロはより一生懸命、魂を込めて歌いました。


▲mzsrz(ミズシラズ) / 「アンバランス」Music Video

――歌詞ひとつ取ってもいろんな境遇や思いが描かれているので、誰でもひとつは共感できるポイントがあると思うんです。大人の僕が聴いてもそう感じるくらいですから、皆さんと同世代の方々はさらに強く共感できるのではないでしょうか。しかも、そういったメッセージをいろんなジャンルのサウンドに乗せて、5つの異なる個性的な歌声で表現している点も聴きどころですし。この5人が揃ったことは、本当に強い武器だなと思います。

よせい:私たちの声は、誰にも真似することの魅力のひとつだと思っていますし、これからも何事にも負けずに全力で頑張っていきます。

――mzsrzとして将来どんなグループになりたいですか?

よせい:mzsrz全員の思いとしては、これからも切磋琢磨して、お互いがお互いを尊敬しあえるようなグループになりたいというのが第一にあります。応援してくださる方々に対しては、mzsrzが誰かの人生の中で彩りをそっと添えられるような、そんなグループになりたいなと私は思っています。mzsrzを聴けば元気が出るとか、「今はちょっと悲しい、つらいからmzsrzを聴こう!」と思ってもらえるようなグループになりたいです。

――では、この先やってみたいことは?

よせい:ライブですね。

他のメンバー:うん。

作山:ライブってファンの方と直接お会いできる場じゃないですか。一人ひとりに向けて歌うことが実際にできることで、今まで以上に寄り添うことができると思うので、早く皆さんにお会いしたいです。




mzsrz「現在地未明」

現在地未明

2022/03/16 RELEASE
AVCD-96908 ¥ 1,980(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.夜明け
  2. 02.ノイズキャンセリング
  3. 03.エコー
  4. 04.インベーダー
  5. 05.パンデモニウム
  6. 06.フェーダー
  7. 07.アンバランス
  8. 08.パントマイム
  9. 09.フィルター
  10. 10.Repeat

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