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<インタビュー>TEAM SHACHIが語る再始動後の歩み、1stフルアルバム『TEAM』で煌めく4色の個性
TEAM SHACHIが現体制初のフルアルバム『TEAM』をリリースした。
作曲を本間昭光、作詞をポルノグラフィティの新藤晴一が手掛け、ラップ・パートではKICK THE CAN CREWのMCUをフィーチャーした改名後初シングル「Rocket Queen feat. MCU」や、T Vアニメ『ドールズフロントライン』のエンディング・テーマで、原作の世界観ともリンクする重厚なサウンドを鳴らす本作のリード・トラック「HORIZON」など、計14曲を収録した本作は、いまの4人が掲げる“ラウド・ポップ”を軸にサウンドのバラエティを大きく広げた意欲作。メンバーいわく「いま持てるものを出し尽くした」1枚となっている。
2018年に改名を発表、TEAM SHACHIとして再始動したグループの歴史、現在地に至るまでの歩みも振り返りつつ、アルバムの手応えについて、4人に話を訊いた。
TEAM SHACHIとチームしゃちほこの融合
――2019年10月に現体制初の1stシングル『Rocket Queen feat. MCU/Rock Away』をリリースしたTEAM SHACHIですが、みなさんにとってこの約2年間はどんな期間でしたか?
坂本遥奈:挑戦しかしていない2年間だった気がします。改名してからは“ラウドでポップでブラス”な楽曲をやっていこうということで、2019年に出したミニアルバム『TEAM SHACHI』の収録曲もそういう要素が強めだったんですけど、その頃はまず「改名しましたよ」ということを知ってもらう1年で。そして2年目は“ラウドでポップでブラス”を軸にしつつ、ダンス・ミュージックやゲーム・サウンドを取り入れたり、毎回初めてのチャレンジがあったし、チームとしても「こういうチャレンジをしてみよう」と話し合う機会がいっぱいあって。“チームしゃちほこ”時代ではあまりなかったことなので、この2年間は“一緒に作っている感”をすごく感じていました。
TEAM SHACHIx長岡中越高等学校吹奏楽部「Rocket Queen feat.MCU」(マーチングバンド ver.)【Official Music Video】
――グループの在り方としても“共に創造するガールズユニット”を謳っていますよね。
咲良菜緒:そうです。共に創造するガールズユニットです。もっと言っていかなあかんね。
大黒柚姫:言っていこう。
秋本帆華:ちょうどコロナ禍が始まった時期だったので、配信系にチャレンジした2年間でもあったなと思います。家からライブをお届けする『おうち時間LIVE』は、いままでやったことがなかったけどすごく楽しかったです。配信企画『SPOT』では、廃校になった学校を会場にして、そこからライブを配信してみたり。そういう経験は今後のライブでも活かせると思うので、意味のある2年間だったなと思います。
――配信だからこそできる演出もありますよね。
秋本帆華:新しい演出のやり方を知ることができたし、家の中でも自分たちが綺麗に映る光の当て方を考えたり。カメラさんや照明さんのありがたさも感じましたね。『おうち時間LIVE』ではすべて自分でやるしかなかったので。
咲良菜緒:私は、ハル(坂本遥奈)の話とちょっと被るんですけど、楽曲の軸が決まったことでライブも変わったと思っていて。昔はジャンル問わずいろんな楽曲をやっていたので、けっこうカオスだったけど、TEAM SHACHIになってからは統一性が出てきたし、曲と曲のあいだもトークじゃなく演出でつないだりして。最初の1年間ぐらいは、TEAM SHACHIとしてのライブを確立しよう、TEAM SHACHIの曲を育てていこうというモードだったと思います。それと同時に、しゃちほこ時代の曲をTEAM SHACHIの色に染めるというか、いまの楽曲たちと馴染むようにミックスさせていく、“TEAM SHACHIとチームしゃちほこの融合”もテーマで。去年の10月にパシフィコ横浜でライブをしたんですけど、そこで私たちなりの“TEAM SHACHIとチームしゃちほこの融合”の集大成を見せられたというか、やっと完成した感じがありました。
――具体的にはどんなアプローチでミックスさせていったんですか?
咲良菜緒:純粋に音をラウド・ポップに寄せる。あとは、踊っていたところを“ノるだけ”にしたり、振り付けを変えたり……けっこう全部変えちゃってるかもしれないですね。
――もうスクラップ&ビルドみたいな。
秋本帆華:壊して、また建て直したってことか。
大黒柚姫:スクラップオア……?
咲良菜緒:アンド(笑)。
坂本遥奈:昔の曲もブラスの音が入るだけでまた違う華やかさが増しますね。「こんな感じになるんだ!?」って。
大黒柚姫:それぞれ歌声の個性も改めて発見したし、それを伸ばす2年間だったなって。例えばハルはラップを突き詰めたり、ほーちゃん(秋本帆華)の声質をより活かすようになったり。菜緒の突き抜けた歌声は唯一無二感があるし、私はハモリにチャレンジしたりして。あとは……絆が深まったなと思います。この4人もそうですけど、ブラス民と呼んでいるホーン隊が入ったり、ファンの名称もタフ民になって、さらにチーム感が強くなったなと思っていて。しゃちほこ時代からファンと共に作り上げる感覚はもちろんあったけど、いまはみんなで道を作って、その道を一緒に進んでいる感じがすごくある。
――メンバー間の絆ってどんなときに感じますか?
大黒柚姫:カップルみたいになっちゃうけど、沈黙が大丈夫とか。
坂本遥奈:あー、でも本当にそうかも。
大黒柚姫:意見交換もすごくするようになったと思います。レッスン中に「ここはこうしたほうがいいよ」と自主的に言い出したり。風通しがよくなったというか、お互いが思っていることを抱え込まずに伝えることができるのは素敵だなと思います。
――TEAM SHACHIが掲げる“ラウド・ポップ”って、自分たちではどんな音楽だと思いますか?
坂本遥奈:今回のアルバムの中だと「AWAKE」がけっこう分かりやすくて、サウンド的にはダイナミックでゴリゴリなんだけど、やっぱり私たち4人が歌って踊るとポップさは出ちゃうというか、出しているんですけど、そこが世間一般の“ラウド”な音楽とは違う部分なんじゃないかなと思います。
――今作からTEAM SHACHIの読み方を“シャチ”から“チームシャチ”に変更しました。その経緯についてもお聞きできますか?
坂本遥奈:以前から“チームシャチ”と呼ばれることは少なくなかったし、私たちとしても「まぁそうだよな」と思ってしまう部分はあって。今回、アルバムのタイトルを考えたときに“TEAM”というワードが出てきて、それは柚姫が言ったように、タフ民も含めて“全員で作っている”という意味でのチームで、その輪をどんどん広げていきたいという想いを込めてタイトルにしたんですけど、「もうここで“チーム”を解禁しちゃおうよ」ということになったんです。これからも愛称は“シャチ”のままでいいんですけどね。
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