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<インタビュー>ØMIこと登坂広臣が語る、BTS・SUGAとのコラボ曲「You」の反響と決意表明の最新作「SHINE」



インタビュー

 2021年2月、自身がプロデュースするプロジェクト『CDL entertainment』を本格化させたØMI。デジタル・シングル『ANSWER... SHADOW』を皮切りに、作品をリリースし続けて精力的な活動を見せている。10月15日にはBTSのSUGAをプロデュースに迎えた「You(Prod. SUGA of BTS)」をリード曲とした『ANSWER... SHINE』をリリース。「You(Prod. SUGA of BTS)」はBillboard USチャートにおいても“Hot Trending Songs”で17位、“Billboard World Digital Song Sales”で3位を記録し、国内外問わず幅広い層に受け入れられた。そして12月13日には、デジタル・シングル「SHINE」をリリース。三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカリストとして、ソロ・アーティストとして、そしてプロデューサーとして、エンタテインメント・シーンで活躍し続けるØMIに楽曲について、自身について語ってもらった。

「自分自身は何者なんだろうか?」

――まずは、改めてØMIさんがソロ活動をはじめたきっかけから振り返らせてください。

以前からスタジオに入って自分の好きな音楽を制作していたのですが、本格的にソロ活動を始めるタイミングを図っており、活動を始めたのが2017年のことです。ちょうどその頃、三代目 J SOUL BROTHERSとして国内で大きな結果を出せた実感がありまして。グループとして成果を出せたことをきっかけにソロ活動をスタートさせました。

――ØMIさんの場合、音楽だけでなくカルチャーをひっくるめて“ソロプロジェクト”とされています。

表現者としてステージに立って自分の名前だけが出るというソロ活動ではなく、曲に紐付いてカルチャーを発信するべきだという感覚がありました。例えば、自分を象徴するモチーフを月として、楽曲やミュージック・ビデオの描き方、ライブまで全て連動したストーリーにするとか。そこからアパレル展開をして、曲に紐付けたポップアップ・ストアを出したりもしました。表舞台のØMIを自分でプロデュースして、そのほかの仕掛けも自ら展開しています。

――2021年2月にはHIROOMI TOSAKAからØMIへ名義を変更されました。大きなターニング・ポイントだと思うのですが、活動コンセプトに変化があったりも?

根本的な変化はありません。ソロ活動をスタートした当初から、Afrojackにサウンド・プロデュースしてもらっていて、ソロ活動で作る音楽は“日本に向けて”“海外に向けて”というものを特別意識していませんでした。ただ、『CDL entertainment』を本格始動させるタイミングで名義を変更したいな、と。海外の友だちやプロデューサー、家族やファンの方もOMIと呼んでくれていますし、HIROOMI TOSAKAと海外の方が呼ぶことはほとんどなかったので、このタイミングで呼びやすい名前に変更しました。

――コンスタントに楽曲をリリースされていますが、よりグローバルにØMIさんが知られるきっかけとなったのが『ANSWER... SHINE』。その前作となる『ANSWER... SHADOW』とは真逆の“光”がコンセプトとなっていますが、同作はどういった狙いで制作されたのでしょうか?

名義を変更する前にリリースしたアルバム『Who Are You?』は、「自分自身は何者なんだろうか?」という問いかけを自分のエンタテインメントである音楽に乗せてできあがった楽曲です。その問いかけに対しての答えが『ANSWER』シリーズ。光と影の部分は誰しも持っていますが、アーティスト活動をしているとそういった明暗が自分の中でよりはっきりと存在してくるんです。「じゃあ、まずは影の部分を表現しよう」というのが『ANSWER... SHADOW』。それだけじゃなくて真逆の明るい光の部分も表現しないといけないと思っていたので、『ANSWER... SHINE』を制作しました。どちらにも“演じている自分”は入っておらず、偽ることなく自分の心境を吐露しています。

――2作品はセット、ということですね。その『ANSWER... SHINE』のリード曲「You」は、BTSのSUGAさんがプロデュースしています。

はい。BTSのプロダクションであるHYBEさんとは以前からお付き合いがあり、LDHの会長であるHIROさんとHYBEのパンさんとで「大きなエンタメ、新しいエンタメをやれたら面白いですね」という話もしていたようです。ですが、コロナ禍でお互いの国を行き来することが難しくなってしまい、それであればアーティスト同士で面白いことをやりたいと僕から提案をさせてもらいました。タイミング的に『ANSWER... SHINE』の制作に取り掛かる時期でもあったので。SUGAさんのソロ活動の世界観や、彼が楽曲提供/プロデュースした作品、海外アーティストとのコラボ作品をずっと拝見していて、『ANSWER... SHINE』の世界観と合いそうだと考えてオファーをしてみたところ、快く引き受けてくださいました。



ØMI - You (Prod. SUGA of BTS) -Official Music Video-


――「合いそうだ」と感じた部分はどこなのでしょうか?

SUGAさんが楽曲を通して伝えている心の明暗の部分であったり、楽曲をアートとして表現している部分でしょうか。それが自分と似ているなと感じました。『ANSWER... SHADOW』はセルフ・プロデュースで作り上げたので、『ANSWER... SHINE』で「SUGAさんとタッグを組んだらどんな楽曲ができるんだろう?」と純粋にワクワクしましたね。彼の伝えているメッセージに共感できつつも、どんな楽曲になるのかイメージがつかないという部分も面白そうだと感じました。

――実際できあがった楽曲を聴いて、どう感じましたか?

SUGAさんはもともとヒップホップ・アーティストなので、ヒップホップ・サウンドがもちろん得意なのでしょうけれど、楽曲をプロデュースしていただくうえで「こういうメッセージを伝えたい」「こういうサウンド感にしたい」というのをあらかじめ伝えていました。リファレンスのプレイリストを送ったところ、「あぁ、こっちの方向ですね」とすぐ理解してくれて、2~3曲デモを送ってくださって。そのうちの1曲が「You」です。BTSのファンの方々からすると耳馴染みがあるサウンドかもしれませんが、僕にとってはすごく新鮮な楽曲になりました。

――「You」は各チャートを賑わせていますが、それだけ多くの方にこの楽曲が届いた要因はご自身でどう分析されますか?

世界に対して「You」が届いたという部分では、SUGAさんの存在が全てだと思っています。もちろんいい音楽でなければここまで広がっていかなかったはずですし、楽曲を良しとして聴いてくださった世界中の方々がいるから広がっていったとも思います。SUGAさんが入り口を広げてくれて、グローバル・ファンの方々が盛り上げてくれて、蓋を開けて曲を聴いてみたら「いい曲だね」と拡散されていったのだと僕は受け止めています。


ジャンルレスにミックスして

――そして、12月13日にはデジタル・シングル「SHINE」がリリースされます。この作品はどういった位置づけの作品なのでしょうか。

『ANSWER... SHINE』を「こういうことを伝えたい作品ですよ」と示したのが「You」で、「SHINE」は『ANSWER... SHINE』のテーマ曲のような位置づけです。サウンド的にも“ØMIっぽい”ものになっていて、そういった意味でも『ANSWER... SHINE』に続く決意表明のような楽曲ですね。

――歌詞の中に“影”というワードが何回も出てきていて、『ANSWER... SHADOW』ともリンクしているのかと感じました。

そうですね。「You」の方が先にリリースされていますが、楽曲の時系列でいうと『ANSWER... SHADOW』があって、「SHINE」があって、「You」という順番です。「SHINE」には“後ろの影”というワードが出てきますが、それは『ANSWER... SHADOW』の世界が終わって、光の方向を向いていることを表していています。

――“ØMIっぽい”サウンドともありましたが、サウンド面でのポイントを教えてください。

僕、80'sの音楽の要素を入れるのがすごく好きで。ビートの刻み方や後ろの楽器の鳴り方、音の入れ方は80'sのダンス・ミュージックに寄せていて、上モノのシンセサイザーの使い方などは現行のダンス・ミュージックに寄せてミックスをしています。いつも一緒に制作をしているプロデューサーのUTAさんと今回も一緒に作ったのですが、「これはなんというジャンルなんだろうね」という話をしていました。こういった取材を受けさせていただくときに「今回の曲ってどういうジャンルなんですか?」と質問をいただくんですが、ミックスして作っているからなんとも言えない。「ジャンルレスにミックスして作りました」と答えています(笑)。でも、そこがサウンド面でのこだわりになっています。



ØMI - SHINE (Official Music Video)


――たしかに、とてもよくわかります(笑)。そこにØMIさんの歌声が乗って“ØMIっぽい楽曲”が完成すると思いますが、レコーディングで工夫されたことはありますか?

最後のサビの部分が転調して、キーが上がるんですよ。当初は転調する予定はなかったのですが、制作を進めるうちに何か面白いことがしたいなと思って「転調したら変かな?」と提案して。転調バージョンを聴いてみたら「意外といいかも? 転調したってわかる人はそんなにいないんじゃないかな」と思うくらいマニアックな感じで面白いポイントを作ることができました。そこの歌い方も、声の張り方や鳴らし方を自分が持っている声のHIGHの部分を活かせるように意識をしています。おそらく『ANSWER... SHADOW』の楽曲だったら転調していないのですが、強い光を発する決意表明の楽曲だからこそ、もう一段階ギアを上げる感じを表現してみました。

――あの「エンジンがかかり続けて終わる」という印象の秘密は、転調にあったのですね……! 振り返ると1曲の中に様々なジャンルの音楽やテクニックが入っていたり、ソロ曲のテイストの振り幅が大きかったりしていて、ØMIさんの音楽のルーツが気になります。

僕は音楽教育を受けたわけでも、楽器を習ったわけでも、ボイス・トレーニングを受けたわけでもない人間で。周りから入ってくる音楽を好きになって聴いていたタイプです。中高生くらいは本当にいろいろなジャンルを聴きましたね。ヒップホップも好きでしたし、R&Bにもハマってジョーや(今市)隆二が一緒にやっていたブライアン・マックナイトは特によく聴いていました。ほかにもJ.D.サウザーやドレイクも聴いていて、ひと通り通ってきたというか。ある程度大人になってクラブに行くようになってからも、ヒップホップ、サイケ、テクノなどいろんなジャンルを聴いてきましたし、みんなが知っているJ-POPはもちろん僕も知っています。そういえばケミカル・ブラザーズを観に行ったこともありますね。なのでジャンルに偏りがない。時代に合わせて聴く音楽が変わっていましたが、強いてルーツといえば、始まりはR&Bとヒップホップです。

――なんだか意外です。

って言われるんですよね(笑)。振り幅があるのも、そういう影響があるのかもしれません。


エンタメ・シーンに風穴を

――ØMIさんの声質的にはバラードもハマりますよね。

たしかに、声質はJ-POPやバラードが合いそうだと自分でも思います。でも、自分の声に対して「うーん……」と思う部分もたくさんあります。作った曲はいいけど、声が合わないと思うことも全然ありますし。でも、それをどうにか形にしないといけないので、毎作葛藤しています。ここ最近作っている楽曲も全部そうです。

――その葛藤はどう打破されるのですか?

経験でしかないかもしれないですね。振り返ると、三代目の楽曲もジャンルが広くて。ロックもあればヒップホップや「R.Y.U.S.E.I.」のようなEDMっぽい曲もあるし、日本の歌謡曲っぽいバラードもあります。グループの幅を広げるためには、いろんなジャンルの音楽をやる必要がありました。その都度歌い方を変えなくてはいけなかったのですが、デビューからの11年間繰り返しやってきたので、ジャンルレスに音楽を表現する部分が鍛えられたと思います。



三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE / 「R.Y.U.S.E.I.」Music Video


――グループ活動がソロ活動に繋がっているのですね。そしてご自身を俯瞰して見られる力をお持ちだとも感じました。そこがセルフ・プロデュースというスタイルにも繋がっていそうです。

そうかもしれないです。最近だとセルフ・プロデュース以外にも、ガールズ・グループのプロデューサーをやらせてもらっていて。自分自身、日本のエンタメ業界に身を置いてきましたが、ガールズ・グループの文化があまりないと感じていました。ガールズ・グループのプロデュースが難しいことはHIROさんなどから聞いているのですが、そのジャンルが確立されていないなら僕がチャレンジするべきだと考えています。ボーイズ・グループで言えばLDHにも後輩チームがたくさんいますし、ジャニーズ・グループもいます。最近だとSKY-HIがプロデュースしたBE:FIRST、ほかにもJO1やINIなどたくさんのボーイズ・グループが誕生していますよね。そこをあえて僕がやる理由があまりないと感じていたこともあり、ガールズ・グループのプロデュースに着手しました。それに付随してオーディションを動かすことや市場調査も全部携わり、HYBEさんからもアドバイスをもらいつつ、プロデューサー・チームと一緒にプロジェクトを進めています。

――市場調査! そんなに本格的にやっていらっしゃるのですね。

そういったやり方を知らなくてはいけないし、知っておくべきだなと思っていたので、勉強しながら細かくチェックしていますね。そのほかにも、LDHの後輩グループをグローバル市場に持っていくためのアプローチの仕方や楽曲の作り方を考えたりもしています。今やっている活動で得た知識を、LDHの強化部長のような立場で活かしていきたいとも思っています。

――プレイング・プロデューサーのような。

そうですね。日本のエンタメ市場を見ていても、ちょうど僕くらいの世代がプロデュースに動いているんですよ。SKY-HIもそうですし。でもそれは「◯◯がやってるから俺もやろう」と狙っているわけではなくて、僕らが考える世代になってきているからだと思うんです。一度アーティストとして山を作って、その後どういう立ち位置になっていくのかとちょうど考えるタイミング。その世代が「じゃあここに風穴を開けにいこう」と動き出しているのではないでしょうか。

――この先も様々なジャンルでご活躍されるのが楽しみです。では、最後にファンの方に期待してほしいØMIさんの未来像を教えてください。

まずは12月13日にリリースされる「SHINE」で、僕自身のエンタメ、『ANSWER』シリーズのエンタメを楽しんでいただければと思います。そして日本の音楽、エンタメ業界はもちろんグローバルなフィールドに対する、僕だからこそできるアプローチ、活動にも期待をしていてください。

Interview by 高橋梓

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