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<インタビュー>学芸大青春が語る、2年目の成長を刻んだ2ndアルバム『PUMP YOU UP!!』について



インタビュー

 2020年9月に1stアルバム『HERE WE ARE !』をリリースした学芸大青春が、続く2ndアルバム『PUMP YOU UP!!』を完成させた。「Sugar」をはじめとする先行配信シングル群に加え、今作ならではの要素としてはデュオ曲が多く収録されていて、個性豊かな5人の新しい化学反応を生み出すことに成功している。音楽的にも1stアルバム以上にチャレンジングな内容となっており、彼らのこの1年間の歩み、着実に積み重ねてきた成長がたしかに感じられる1枚だ。

 昨年はコロナ禍の影響もあり、発信するコンテンツも2次元を中心としたものが多かったが、彼ら本来の強みである「2次元と3次元を行き来する活動」がようやく活性化し始めた2021年、その集大成のひとつとも言える本作の内容、制作の過程、新しい気づきなど、5人に話を聞いた。

刺激に満ちた1年間の歩み

――1stアルバム『HERE WE ARE !』からの1年間、皆さんにとってはどんな期間になりましたか?

:すごく成長できた1年間でした。なかでも一番大きな変化だったのは、有観客の状態でツアーできるようになったことだと思います。僕たちはコロナの影響でほとんど配信ライブしか経験してこなかったようなものなので、今年ようやくちゃんとお客さんを入れることができるようになって、そこで初めて音源と生の違いを知ることができました。お客さんを目の前にして歌うと高揚して、例えばキーが上がってしまったりとか、逆に振り付けにないダンス・パフォーマンスが出てきたりとか。一方的にではなく、相手の反応を受けて自分たちのパフォーマンスが変わるというのを初めて体感できたので、音楽面ではそこが一番の経験でしたね。

内田:色んな種類の刺激があった1年だと思っていて。2月にミニアルバムを出させていただいて、春には大阪と横浜で2公演やる予定でしたけど、大阪は中止で、横浜は無観客で配信のみになってしまって、でも夏には初めて全国流通のシングルをリリースして、ツアーを有観客で開催して。挫折とリベンジが目まぐるしく襲いかかってきたので、人としても成長できたなと思います。



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星野:焦りを感じた1年でもありました。特にレコーディングでは、いただく楽曲のクオリティが高いがゆえに、そこに自分の実力が追いつくのかという焦りがあって。いろんなタイプの楽曲をいただくので、「今の俺で歌えるのかな」と毎回焦ってましたね。

――具体的にどういう楽曲でスキルや経験不足を感じたのでしょう?

星野:アルバムにも収録されている「Sugar」なんですけど、サビではいつもより若干低いところを歌っていて。将綺とか勇仁のほうがそういう音域で色気を出せると思うし、「自分がこれを担当していいのかな」みたいな。プロデューサーさんにもいろいろと相談させていただいたんですけど、レコーディングは苦戦しましたね。

相沢:たしかにこの1年間、新しい楽曲をレコーディングするたび、壁にぶつかってきたんですけど、それを乗り越えたら成長できるという自信もあったので、難しい曲も楽しみながらやってこられましたね。1stアルバム『HERE WE ARE !』のときの自分たちとは違う色を、今回の『PUMP YOU UP!!』で提示できたんじゃないかなと思っています。

仲川:グループとしてはTikTokを始めたり、音楽以外の新しい挑戦もありました。いかに自分たちのことを知らない人に知ってもらうか、学芸大青春とはどういうグループなのか、というのを改めて考え直した1年でした。TwitterやYouTubeは基本、マネージャーさんが管理をしていたんですけど、TikTokは自分たちで撮影する動画を話し合ったり、編集も担ったりしていて。

――自分たちの見せるべき個性、武器みたいなものを考え続けた?

:そういうことはみんなで毎月話し合っているんです。もっとこうしたほうがいいんじゃないか、自分たちの何を押し出すべきかって。僕たちが自分たちの武器だと思っていることは二つあって、一つは2次元と3次元を行き来する新しさ。TikTokではダンス動画がすごく流行っているじゃないですか。でも、それを2次元と3次元を組み合わせてやっている人はほかにいないし、例えば踊っている最中にメンバーが入れ替わって、さっきまで3次元だった人が2次元、2次元だった人が3次元に変わったりするのって、僕たちにしかできないことで。

――間違いないですね。

:もう一つは、僕たち5人が共同生活していることで。同じ寮に住むようになって4年目になるんですけど、ここまでの絆を持った人たちってなかなかいないと思うし、その空気感がまさに青春というか、もはや家族に近くて。そういうのをいいなと思ってくれる人たちがいるんじゃないかなと思っています。



南優輝



――1stアルバムの制作時に感じた「壁」、見つかった課題などに対して、みなさんはこの1年間、どのように向き合って、乗り越えてきたのでしょうか?

相沢:1stアルバムのときは、レコーディング自体が初めての経験だったので、どこまで自分を出していいのかわからなくて。あとは逆に、作家さんやディレクターさんのディレクションにどこまで応えられるか、とか。自分がこういうふうに歌いたい、こういう歌い方が自分らしいなというイメージがあって、それをディレクターさんにぶつけつつ、そのうえでプラスアルファのディレクションをしてもらいながら、臨機応変にやれるのが理想だと思っているんですけど、2ndアルバムではそれができたんじゃないかなと思っていて。

星野:この1年ですごく思ったことは、どこからでも吸収できるなということで。例えば、自分はアニメや漫画がすごく好きなんですけど、楽曲制作に合わせて好きな作品のシーンを思い浮かべたり。ほかにも普段から目を凝らしたり、耳を澄ませば、いろんなところから吸収できる。日常でいろんな発見があるというのは、アーティスト活動をやっていなければ気づけなかったことですね。

――ちなみに、例えばどんな作品からインスピレーションを受けました?

星野:『HUNTER×HUNTER』のキメラアント編でけっこう有名な、コムギとメルエムの最期のシーンなんですけど、まだ一緒にいたいのにいられない切なさとか、相手の心情が理解できないときの揺れる感情とか、そういうのはアルバムの「かんじょうせん」という曲で活かされています。あの曲は、自分の感情がよく理解できていない、モヤモヤした様を抽象的に描いている気がしたので。

――抽象的だからこそ、具体的なシーンに置き換えたことでイメージしやすかった?

星野:はい。最高ですね、『HUNTER×HUNTER』は。

:僕もアニメや漫画が好きなので、陽介と同じようにインスピレーションを受けるんですけど、特に刺激を受けるのは、自分の心が動いた瞬間だと思っていて。アニメを見たときも、主人公に感情移入して悲しかったり、苦しかったりすることが、楽曲を歌うときにも生きてくる。楽曲に気持ちを込めるとき、普段から心を動かしておくことで、歌にもラップにも自分の言葉を乗せやすくなるんですよね。

――みなさんは共同生活をしているので、お互いに刺激を与え合うことも多そうです。

内田:多いですね。ジュネスって、僕が今まで生きてきた人生の中でも新種の人ばかりで。今までの友達にはいなかった人たちというか。地元の友達って言い回しとか口調が似ると思うんですけど、優輝はすごくロジカルな言い回しをするし、陽介は大げさなぐらいロマンチックな言い回しをする。蓮は中身が詰まった哲学的なことを言うし、勇仁は意味があるのかないのか分からないけどなにか重みのある言葉を言う。自分にとって新しい表現をする人たちがいるので、それぞれのボキャブラリーから刺激を受けたりします。


デュオ曲で生まれる相乗効果

――『PUMP YOU UP!!』の制作がスタートした当初、描いていたアルバム像みたいなものはありましたか?

:この1年間、僕たち自身もファンのみなさんに会えなかったり、苦しい思いをたくさんしたからこそ、全体のテーマとして“みんなを元気づけるアルバム”にしたいという思いがひとつあって。具体的な楽曲の面で言うと、それぞれが今までやってきた音楽とは違う、新しいものに挑戦したいと思っていました。

――手応えはいかがですか?

仲川:1stアルバムと比べて、より一層、曲と向き合ったというか。今までは歌うのに精一杯でしたけど、今回はみんなが「この曲をどうしたいか」みたいな、クリエイティブな面まで関わっているので。

:個人的に手応えがあったのは「あさりジェノベーゼパスタ」ですね。ジュネスに入ってからラップをするようになって、最初はこなすだけで精一杯だったし、何より“自分らしさ”というところにすごく悩んでいて。やっぱり自分だからできるラップをしたいし、それができるのがアーティストだと思うから、すごく悩んだ1年間だったんですけど、それを一番形にできたのが「あさりジェノベーゼパスタ」だったかなと。



内田将綺



――結果的にどういう解釈で臨んだのでしょう?

:僕と将綺の二人で歌っている曲なんですけど、昔好きだった人に作っていた料理で、作るたびにその人を思い出してしまう、みたいな歌詞で。僕と将綺は共同生活の中でメンバーにご飯を作ったりするので、すごく世界観に入りやすかったですし、自分の声の良さを出すために何パターンも録音して、研究しながら作っていきました。

内田:数日かかったよね。

――お二人は料理されるとのことですが、実際に“あさりジェノベーゼパスタ”も?

内田:こないだ優輝が作ってました(笑)。

:けっこう評判よかったよね(笑)。

内田:デモの時点でタイトルが「あさりジェノベーゼパスタ」だったんです。プロデューサーさんから「べつにあさりじゃなくてもいいよ」と言われたんですけど、結局“あさりジェノベーゼパスタ”が気持ちいいなって。ライブごとにパスタを変えるのも面白いかもしれないです。

:普段、自分が作っているパスタの名前だったら、歌うときにメンバーの顔が思い浮かんできちゃうと思うんですよ。自分が忘れられない人に恋焦がれている曲なので、誰も連想しないような料理だからこそ入り込めるし、聴く人も世界観に連れていけるのかなと思っていて。

――なるほど。

内田:僕はほかにも、陽介と「ずっと」という曲を歌っているんですけど、この曲は陽介が1番を歌って、僕が2番を歌って、ラストのサビを陽介が歌う構成になっていて。ラスサビを陽介が歌っているとき、自分は横で何をしようか考えたとき、ハモってもいいなと思ったんですけど、そうではなく寄り添うようなフェイクをしていれば、ライブでも素敵な形になるかもしれないと思って、もともとデモにフェイクは入ってなかったんですけど、ボイストレーナーの方と相談しながら入れました。

――内田さんは「Happy Ever After」でも、4人のボーカルの裏でがっつりフェイクを入れていましたが、そのあたりの経験も活かされた?

内田:そうですね、だいぶ活きました。僕、輪の真ん中にいるのがあまり好きじゃないんですよ。みんなが盛り上がっているのを後ろでヘラヘラ、ニヤニヤしながら見ていたいタイプなので、フェイクもそんなイメージですね。



星野陽介



――ちなみにこの曲、なぜこの二人になったのでしょう?

内田:一番センチメンタルな二人。

星野:外に自分の感情を素直に出せる二人なんじゃないかなと思います。ただ、出し方のジャンルが違って、将綺はアツい思いを一気に出すんですけど、自分は悲しいことも楽しいことも全部塞がないというか。

内田:わかりやすく言うと、陽介は日常的に感情表現ができる人ですね。僕は酔っ払うとできる人です(笑)。

相沢:自分は優輝と一緒に歌わせてもらった「The Only Thing」が印象深いです。自分がメロディを歌って、優輝がラップをする楽曲なんですけど、二人で1曲を作り上げる相乗効果というか、実際に優輝のラップを聴いてから歌うことで、自分だけでイメージしていた歌とはまた違う感情のニュアンスが出せたなと感じますね。

:最初のプリプロが終わったあと、勇仁がどういうふうに歌うかを知ったうえで「こういうラップとこういうラップ、勇仁だったらどっち?」みたいなことを寮で一緒にお風呂に入りながら聞いたりとかして。



相沢勇仁



――この二人はどういう組み合わせなんでしょう?

:ジュネスの中で「やってやるぞ」という気持ちが強い二人なのかなって。

内田:喧嘩っ早いんですよ。

相沢:違うよ(笑)。

:ライブでもお客さんを煽ったりすることが多いですね。


新たな学芸大青春の一面を

――仲川さんは「Echo」で作詞作曲もされていますね。

仲川:自分たちでもTikTokを始めたこともあって、最近そういうところで流行っているお洒落な音楽というか、TikTokをよく使っているような若者の人たちにも聴いてもらえる楽曲にしたいと思ったので、ちょっと洋楽っぽくしてみました。同じコード進行でループして、でもずっとそのままだと面白みがないので、Bメロでちょっと面白いリズムを取り入れてみたり、けっこう考えながら作りましたね。URUさんに作曲ソフトの使い方を教えてもらいながら、まず最初にコード進行を自分で考えて、次にメインとなるリフとメロディを考えて、そこからURUさんにブラッシュ・アップしてもらった感じです。

――もともと自作の曲をジュネスとして歌いたいと仰っていたので、夢がひとつ叶った形ですね。

仲川:そうですね。ただ、今回は二人で歌う曲だったので、次はやっぱり5人で歌いたいです。



仲川蓮



――「Echo」は仲川さんと南さんが歌唱メンバーですね。

:完成版ができあがる前に蓮が「聴いてみてくれる?」と何曲か聴かせてくれたことがあって。その中でもこの曲は、聴いたときからサビのメロディが頭から抜けなくなって、それが収録曲として採用されたので、歌う前からすごく楽しみにしていました。ただ、レコーディングのときに僕がすごく緊張していたみたいで、自分でも気づいてなかったんですけど、最初のほうは声が震えていたらしくて。でも、僕らは一緒に住んでいるので、家に帰ってからも「優輝のラップ、こういうニュアンスでやってほしい」と言ってもらったり、そういうのが日常的にできるのはありがたいなと思いました。逆に「俺だったらこう表現するんだけど、どう?」みたいに提案させてもらったりもして、いつもより距離が近い楽曲制作だったので、すごく楽しい経験にもなりました。

――仲川さんが南さんと歌いたいとリクエストした?

仲川:そうです。

――なぜ?

仲川:普段偉そうにしているので、僕がディレクションしてやろうと思って。

:この前と言ってること違うじゃん!(笑)

仲川:この曲の雰囲気に優輝がすごく合っているなと思ったので(笑)。

――ユニット曲もそれぞれ個性的でしたが、全員で歌唱している楽曲にも新しいジュネスの魅力が目白押しです。例えば、先行配信されているリード曲の「Sugar」の艶やかさだったり。

:あの曲は最初に聴かせてもらったとき、5人全員すごくテンションが上がったのを覚えていますね。ジュネスが“青春”を強みにしていることもあって、今までは等身大で爽やかな曲が多かったですけど、「Sugar」はすごくセクシーな大人っぽい曲で。曲の構成的には、5人のボーカルがうまく回るようになっていて、最初にリリースした曲の「JUNES」を彷彿とさせるような部分もあるんですけど、だからこそ2年目になって、まだまだ未熟でガキっぽいところはありますけど、ちょっとだけ大人になったジュネスというのを表現できた楽曲なのかなと思います。



【MV】君甘美曲『Sugar』学芸大青春 / 2次元と3次元が行きかう「じゅねす」ならではの映像美


――星野さんが低音で苦戦したのもこの曲でしたね。

星野:そうですね。なので正直「俺で大丈夫だったのかな?」って、聴いてくださった方の反応が怖かったです。でも、悪い評価ではなかったみたいで、自分にとっても新しい発見になりました。こういう雰囲気の曲も歌っていいんだなって。今後もチャレンジできたらいいなと思っています。

内田:たまにね。じゃないとこっちのパートがなくなっちゃうから(笑)。

――今作はライブ映えしそうな楽曲も多いですが、もちろんアルバムを引っ提げてのツアーも予定されています。どんなライブにしたいか、現時点で描いているビジョンはありますか?

:今までのライブとは違う、新たな学芸大青春の一面を見せられるライブになると思っていて。今まではソロ曲もたまにやりつつ、ほとんどが5人の曲だったので、そこにデュオ曲や3人の曲が入ってくることで、今まで以上にいろんな見せ方ができると思います。加えて僕たちは、2次元でも3次元でもパフォーマンスできるので、曲によって変えたりもできるし、場合によっては混ぜてもいいし、可能性は大きく広がっているなと。

 

――インタビューも前回は画面越しで2次元のみなさんにお話を伺いましたが、今回は3次元のみなさんと顔を合わせているわけですし、そうやって次元が溶け合って、ジュネスにしかできない活動がどんどん確立されていくのでしょうね。

内田:この1年はTikTokも始めて、YouTubeでも3次元の姿で登場することが増えましたけど、来年はさらに拍車がかかるかもしれないです。

星野:それによってミュージック・ビデオもパワー・アップしたなと思っていて。2次元のパートもあれば3次元のパートもあるし、二つが共存しているパートもある。生身の僕らが出てこれるようになったことで、作品もどんどんパワー・アップしていくと思うし、特にミュージック・ビデオは僕らのことを理解してもらいやすいコンテンツだと思うので、そのあたりの進化にも注目していただけたらなと思います。

Interview by Takuto Ueda

学芸大青春「PUMP YOU UP!!」

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Disc01
  1. 01.Hit me !
  2. 02.HOLD US DOWN
  3. 03.Present Day
  4. 04.Hit the City!!
  5. 05.The Only Thing
  6. 06.Sugar
  7. 07.I’m in love
  8. 08.あさりジェノベーゼパスタ
  9. 09.Echo
  10. 10.IF...
  11. 11.かんじょうせん
  12. 12.Lazy Day
  13. 13.ずっと

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