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<インタビュー>倖田來未が20周年 ベストアルバムと新曲「100のコドク達へ」から垣間見える人物像
倖田來未がオールタイムベストアルバム『BEST~2000-2020~』をリリースする。
デビュー20周年のアニバーサリーイヤーを締めくくる本作は、デビュー曲「TAKE BACK」、ブレイクのきっかけとなった「real Emotion」、“エロかっこいい”というイメージを決定づけた「キューティーハニー」、彼女自身が「これが倖田來未のスタイル!と思った」という「Crazy4U」、ファンの間でも高い支持を得ている「Butterfly」「愛のうた」など、これまでのキャリアを代表する楽曲を網羅。まさに20年の軌跡を追体験できる作品となっている。本作のリリースに際し、倖田來未への単独インタビューが実現。『BEST~2000-2020~』を軸にしながら、現在のモード、未来へのビジョンについても語ってもらった。
「ここに来たらすべて解き放てる」という場所を作りたい
――倖田來未さんは2000年に「TAKE BACK」でデビュー。当時はどんなアーティスト像を思い描いていましたか?
倖田來未(以下:倖田):まず、avexからデビューしたら売れると思っていたんですよ(笑)。私は小学生の頃から歌手になりたくて、何度もオーディションを受けて、ようやくデビューが決まって。すぐ売れると思ったんですけど、オンリーワンのものがないとなかなかヒット曲は出せないし、知ってもらえないんですよね。そこから私の戦いが始まったし、当時は「10年間、愛されたら最高やな」と思っていました。20年続けられるなんて思ってなかったし、本当にありがたいなって。
▲倖田來未-KODA KUMI-『TAKE BACK』~ 20th Year Special Full Ver. ~
――2003年の「real Emotion」を皮切りに、ヒット曲を連発。“エロかっこいい”という言葉に象徴されるスタイルを作り上げました。
倖田:ヒット曲が出ると、今度は「いつ落ちるだろう?」という恐怖や不安が襲ってきたんですよね。アーティストの倖田來未とプライベートの“クミコ”さんのギャップというのかな(笑)。倖田來未がいつもカッコ良くて前向きで、自分で成功や幸せを掴み取れる女性だとしたら、プライベートでは“落ちてしまったらどうしよう”といつも不安がつきまとっていて。ファンの子たちに恋してるような感じもありました。「今は好きって言ってくれるけど、好きじゃなくなるかもしれない」って(笑)。
――その不安、今は解消されたんでしょうか?
倖田:そうですね。不安を抱えながらも毎年ツアーをやらせてもらって、少しずつ自分のエンターテインメントを作り上げて。メロディやリリックに自分の気持ちを乗せることもできたし、コンサートでもやりたいことをやれるようになってきたんですよね。「ライブでこういう演出をするための曲がほしい」という感じで制作することも多いし……。たとえば遊園地に行ったら、大人でも子供に戻って盛り上がってるじゃないですか。その音楽版を作っているような感覚もあるんですよ。仕事でイヤなことがあったり、悩みがあったりしたときも、「ここに来たらすべて解き放てる」という場所を作りたいし、それが私にとってのエンターテインメントなので。人目を気にせずに泣いて、笑って、歌って、踊って、「楽しかった!」って帰ってほしい。それがボーカリスト、エンターテイナーとしての理想だし、それを実現できているんじゃないかなって。
――倖田さんのステージ、どんどんハードになっていますよね。
倖田:そうなの!(笑) サブライズが好きなんですけど、お客さんも「次はどうやって驚かせてくれるの?」と思うじゃないですか。ステージでグルグル回ったり、水から飛び出してきたり、特効も派手に使ってきて。引き算の演出もできるようになったし、すべてが自分の糧になっていますね。声もね、かなり味が出てきたんですよ。ボイトレも頑張っていて、以前より音域も広がって。できるだけ長く使っていきたいし、そのためにはトレーニングも必要なので。ジムは大嫌いなんですけど(笑)、成長を感じさせてくれる先生に出会えてから、ボイトレも大好きになりました。
リリース情報
- 2021/12/6 RELEASE
- ファンクラブ・mu-mo限定版【8CD+3Blu-ray】
- RZC1-77460~7/B~D 16,000円(tax out)
- 通常盤【3CD+DVD】
- RZCD-77457~9/B 5,000円(tax out)
- 2021/12/6 RELEASE
- 配信リンク:https://avex.lnk.to/kk100kodo
『BEST~2000-2020~』
「100のコドク達へ」
関連リンク
取材・文:森朋之
写真:辰巳隆二
20年かけて、いろんな曲を歌ってきた
――ベストアルバム『BEST~2000-2020~』を聴かせてもらうと、ボーカルスタイルや歌声の変化も伝わってききます。音楽性もすごく幅広いですよね。
倖田:最初は右も左もわからなくて、与えられた曲を歌うという感じだったんです。でも、「Crazy 4 U」のときに「これが倖田來未だ!」と思って、MVの絵や衣装、メイク、ダンスが一気に見えてきて。そこからですね、倖田來未らしさが出来てきたというか。音楽的なところで言うと、デビュー当初は“R&Bシンガー”という名目だったんですけど(笑)、小さい頃は歌謡曲で育ってきたし、海外のR&Bやルーツを掘るようになったのは18歳くらいからなんです。
▲倖田來未-KODA KUMI-『Crazy 4 U』~ 20th Year Special Full Ver. ~
――もともとジャンルレスな志向だった?
倖田:そうなんです。ロックやEDMも歌ってきましたけど、曲に歌われるのではなくて、倖田來未が歌いこなすという感じで。いろんなトライを続けてきたんですけど、20代の頃は反骨真みたいなものがあって、周りで流行っているものとは違うことをやりたいという気持ちが強かったんですよ。「〇〇っぽい」ではなくて、「今、私が提示する曲はこれ」という思いで作ってきたし、それがオンリーワンの音楽づくりにつながったのかなと。その頃から「倖田來未というジャンルを作りたい」って言っていたんですよ、生意気にも。
――“倖田來未というジャンル”、達成できたのでは?
倖田:そう思ってもらえたら嬉しいです。このベストアルバムも聴いていて飽きないんですよ、自分でも。同じような曲がないし、いい意味でバラバラ(笑)。20年かけて、いろんな曲を歌ってきたんだなと改めて思いました。リスナーのみなさんも、「この曲を聴くと、あの頃を思い出す」みたいな感じで楽しんでもらえたらなと。20年分の思い出アルバムですね(笑)。
――ベストアルバムのDVD、Blu―rayには、歴代のMVもたっぷり収録。
倖田:テレビでプロモーションできなかった時期は、MVだけが“動く倖田來未”を見せられる場所だったし、1作1作こだわって作ってきて。今も変わらないんですよ、そこは。“スターになったら撮影は3時間くらいで終わる”って聞いていたんですけど(笑)、今も朝から晩までがんばって撮っています。
――昨年の夏は「puff」「Lucky Star」「XXKK」、今年の夏には「We'll Be Ok」「Doo-Bee-Doo-Bop」「to be free」をリリース。音楽性はさらに進化していますね。
倖田:ありがとうございます。倖田來未をアップデートさせたいんですよね、私自身も。「キューティーハニー」「real Emotion」「愛のうた」もそうですけど、同じような曲を作ろうとしても、もとの曲には勝てないんですよ。
――11月にリリースした「4 MORE」は、最新のR&Bテイストの楽曲です。
倖田:超かっこいいですよね! さっきも言いましたけど、ちゃんとR&Bを聴くようになったのは18歳くらいからで。39才になってようやく体に馴染んできたというか、「今だったら、こういう曲も歌えるな」と思ったんですよね。自分で俯瞰で聴いても、「いい声やな」と思うし(笑)、大好きです。最近、こういうテイストを歌っている人は少ない気がするし、みなさんにも聴いてもらいたいなと。
▲倖田來未-KODA KUMI-『4 MORE』(Official Music Video)
リリース情報
- 2021/12/6 RELEASE
- ファンクラブ・mu-mo限定版【8CD+3Blu-ray】
- RZC1-77460~7/B~D 16,000円(tax out)
- 通常盤【3CD+DVD】
- RZCD-77457~9/B 5,000円(tax out)
- 2021/12/6 RELEASE
- 配信リンク:https://avex.lnk.to/kk100kodo
『BEST~2000-2020~』
「100のコドク達へ」
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取材・文:森朋之
写真:辰巳隆二
やっぱりリアルがいちばんいい
――そして12月6日には新曲「100のコドク達へ」がリリースされます。タイトル通り、孤独をテーマにした楽曲ですね。
倖田:すごく切ない曲ですよね。私ね、コロナ禍の影響をそこまで受けていないと思っていたんですよ。去年のステイホーム期間中も遠隔でボイトレしたり、家でレコーディングしたり、充実した時期を過ごさせてもらって。でも、どうやら心が疲れていたようで。「100のコドク達へ」みたいな曲を選ぶのも、そういうことだと思うんです。心が揺らいでいたというか……。みなさんも同じだと思いますけど、海外でインプットもできなかったし、自由に撮影できないとか、いろいろな制限がありましたからね。
――気づかないうちにダメージを受けていた、と。
倖田:そうかもしれないです。「100のコドク達へ」の歌詞はjamさんに書いていただいたんです。私自身、ここまでの孤独を感じたことはなくて。そう感じてもわざと「私はそうじゃない」とうまくかわしてきたので(笑)。性格ですかね? いろんな人が助けてくれたし、恵まれた環境で活動をさせてもらっているんですけど、だからこそ、しっかり理解して歌わないといけないと。きっと孤独を感じてらっしゃる人も多いだろうし、この曲を聴いて、少しでも“明日もがんばろう”と思ってもらえたら嬉しいですね。
――「なぜワタシの椅子が無いのですか?」なんて、本当に切ないですよね……。倖田さん、アーティストだからこそ感じる孤独みたいなものはないですか?
倖田:どうかな……。今はSNS社会なので、何かあったらすべて私の責任になると思っていて。スタッフとのやり取りのなかで、細かいことまで気になることはありますけどね。ファンの方のためにも、ずっとカッコいい倖田來未でいたいですからね。年下の女性にも年上の女性にも「こういう年齢の重ね方をしたい」と思ってほしいし、「倖田來未みたいな歌手になりたい」とか「この曲を聴いて、目標に向けてトライしようと思った」と言われることもあるんですけど、すごく嬉しいんですよ。
――ファンとのつながりも強いですからね。
倖田:そうですね。息子が小さいとき、ファンのことを「ママのお友達」って言っていたんですけど、まさにそういう関係なのかなと。ステージで私が涙を流しているとみんなも泣いてくれるし、私が笑っているとみんなも笑顔になるので。
――ライブを充実させて、ファンとの関係を大事にして。倖田さんの活動は今のアーティストに必要なものがすべて含まれている印象があります。
倖田:だったらいいんですけど(笑)。ただ、「リアルが大事だろうな」とは思っていて。配信ライブも増えたし、仮想空間でできることもいっぱいあるけど、やっぱりリアルがいちばんいいというか。ステージでしっかり自分の思いや言葉を伝えて、生のパフォーマンスや歌を感じてほしいので。そのためにも身体をキープしないと(笑)。
――2022年以降の活動ビジョンは?
倖田:変化していきたいし、アップデートも必要なんですけど、“倖田來未っぽいね”と言われることも大事だと思っていて。40代になるんですけど、良い年齢の重ね方をして、人間として美しくてカッコいい女として認められるようにがんばります(笑)。
――去年、今年とあまりライブができなかったので、新曲のパフォーマンスも楽しみです。
倖田:そう、積立貯金みたいに新曲は山ほどたまっているんですよ(笑)。私も早く観てもらいたいし、来年はできるだけライブをやりたいですね。
リリース情報
- 2021/12/6 RELEASE
- ファンクラブ・mu-mo限定版【8CD+3Blu-ray】
- RZC1-77460~7/B~D 16,000円(tax out)
- 通常盤【3CD+DVD】
- RZCD-77457~9/B 5,000円(tax out)
- 2021/12/6 RELEASE
- 配信リンク:https://avex.lnk.to/kk100kodo
『BEST~2000-2020~』
「100のコドク達へ」
関連リンク
取材・文:森朋之
写真:辰巳隆二
BEST~2000-2020~
2021/12/06 RELEASE
RZCD-77457/9 ¥ 5,500(税込)
Disc01
- 01.TAKE BACK
- 02.Trust Your Love
- 03.love across the ocean
- 04.real Emotion
- 05.Crazy 4 U
- 06.キューティーハニー
- 07.hands
- 08.Butterfly
- 09.you
- 10.D.D.D. feat.SOULHEAD
- 11.WIND
- 12.Someday
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