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中川翔子 『しょこたん☆かばー3 ~アニソンは人類をつなぐ~』インタビュー
昨年、ファンとの約束の地 日本武道館でのワンマン公演を実現し、シンガーとしての地位を確立したしょこたんこと中川翔子が、『しょこたん☆かばー 3 ~アニソンは人類をつなぐ~』をリリース! 今回は大ボリュームインタビューに加え、本人による全曲レビューも掲載です!!
今は確かに絶対なものがある
--昨年秋の武道館公演は涙なしには語れないほど、素晴らしい公演になりましたね。
中川翔子:色んなことに悩んでいた時期だったし、一番見せたかったおじいちゃんが直前で他界したこともあって、もう無理なんじゃないかって思ってたんです。でもそんなこと言ってられないくらい、みんな楽しみにしてくれていたし、みんなとの約束の場所だったから。
始まる前はドキドキうじうじしてたんですけど、舞台にのぼった瞬間にパーッとピンクの銀河が広がっていたので、「あ、絶対今日は大丈夫!」って。一番最初のC.C.Lemonホール公演の時のような、後戻りもできないし一瞬ずつが勝負だって気持ちでした。また何か人生が変わるきっかけの日になったって思いましたね。
--1曲目に披露した『空色デイズ』(“-天元突破EDITION 螺巌篇-”Ver.)は、歌手・中川翔子にとってひとつのスタートとも言える楽曲ですよね。
中川翔子:『空色デイズ』って最初は晴れた青空のことだと思ってたんですけど、夕暮れかもしれないし夜空かもしれない。その時の自分によって全然違う空を感じられる、コンサートで欠かせない曲になったんです。武道館ではみんなと約束していた“空”だったから、いきなり超派手な七色の服が良いと思ったし、だからこそ「“天元突破EDITION 螺巌篇”でいくしかない! この曲しかないだろう、始まりは!」って。バンドさんの頑張りでかっこ良くなって、嬉しかったですね。
--では武道館を終えた今、コンサートにおける新たな目標というのは?
中川翔子:終わった後、燃え尽きちゃって3kgも太っちゃいました(笑)。一番大好きな人に観せられなかったこともあって、次の目標を見失っちゃってたところがあったんです。自分にとっては大きすぎる場所でもあったし……。
でも、お正月に母に連れられて行く気もなくハワイを旅行したんですけど、夕暮れ時、風がブワーッて吹く中で七色の空を見たんです。その時、「あ、空から見ていてくれるなら、これからも変わらず、もっともっと前に進んで行きたい!」って。
だから今は超やる気満々で、腹筋も固くなりました!(笑) 次のツアーについても楽しみでしょうがなくなりましたね。これまでと違って無理せずやる気が出てる。とっても良い状態ですね! また新しいページが開けたような気がします。
--コンサートに対する自信がついたところもある?
中川翔子:ネガティヴな部分と楽しみな部分の割合が変わりましたね。それまでは練習が大変だったりとか、怖いとか緊張するとか、始まってみないと楽しさが分からなかったんですけど、今は確かに絶対なものがある。みんなと作ってきたものがあるから、ツアーでまた新しいものを作っていくんだっていう楽しみの方が大きいんです。……年を取ったっていうのもあるんですかね?(笑)
--いやいやいや(笑)。そして3月10日、いよいよアルバム『しょこたん☆かばー 3 ~アニソンは人類をつなぐ~』がリリースとなります。
中川翔子:カバー第2弾が発売されたのが2年半以上前だったんですけど、その後はシングルやオリジナルアルバムのリリースもあったので、なかなかタイミングもなくて。久しぶりだからやりたいことも大きく膨らんじゃって、収録曲も5曲から12曲に!(笑)
最初は「せめて2倍にして下さい!」ってお願いしたんですけど、「じゃあ中川が全部決めていいよ」って言われるとそれはそれで恐れ多い気もして! でもお言葉に甘えてやりたい放題、好きな曲や勇気付けられた曲を選ばせてもらいました。ただ、全部が名曲なので、逆に怖いことでもあるんですよ。アニソンが大好きなので原曲を汚したくないって想いが、ファンとしてもあるんです!
Interviewer:杉岡祐樹
国も言葉も性別も時代も関係なく、アニソンで笑顔になれちゃう
--アニソンカバーはコンサートにおいても大きな見せ場になってますよね。
中川翔子:欠かせなくなってますね。去年は海外のライブもたくさんあったんです、シンガポールとかスイスとか香港とか。国も言葉も性別も時代もまったく関係なく、アニソンでみんなが笑顔になれちゃう。「アニソンって人類を繋ぐハッピーなツールなんだ! 世界平和になっちゃうじゃん!」って改めて助けられて、このタイトルになったんです。
(選曲は)発表された世代とかは関係なく、自分が多感な時期に出会った名曲を中心に選んだので、集大成的な感はあります。……私は本当にアニソンしか聴かないから、みんなが何を知っているのか分からないところもあって、客観的になれないんですよ(笑)。だから本当に自分が好きなものでいきました。
--でも幅広く色んな世代の方が楽しめる選曲になってますよ?
中川翔子:結果、そうなりましたね。原曲が最高なので、そのカラオケになってもいけない。歌詞カードがいらないくらいに聴き倒している曲ばかりなので、愛の形をどう表現するかに悩みましたけど、アレンジャーさんたちも1曲1曲に凄くこだわってくれたんです。例えば『星間飛行』は最新の曲だからカバーも難しかったと思うんですけど、キラキラな感じを残しつつ平田祥一郎さんがアレンジしてくれて。
--個人的には最近の楽曲は大きく崩さず、古い楽曲ほどアレンジを活かす形が取られているようにも感じました。
中川翔子:「この音があるからこの曲が好き!」っていうこだわりがいっぱいあって、私が色々言うのでウザかったかも(笑)。でも、第2弾からオリジナルアルバム2枚を挟んでの今回なので、一歩前に出てたらいいなって。
あと、自分の曲だとキーを合わせてくれますけど、原曲の最高の状態が存在する訳だから、例えば『魂のルフラン』とか『微笑みの爆弾』では、自分じゃ絶対出せないような低いキーに挑戦してみたりとか。『でてこいとびきりZENKAIパワー!』のシュールな可愛さも今までの自分の曲にはなかっただろうし、普段とは全然違う歌になってるのも面白いと思います。
--オリジナル以上に色んな歌手・中川翔子の一面を見られる、と。
中川翔子:オリジナルで出会えないところがありますね、いっぱい。『Angel Night ~天使のいる場所~』も難しかったんですけど、生のギターとヴァイオリンで超かっこいいイントロにしてくれたので、私も絶対に原曲キーでやりたいって。出来上がった曲も凄く良かったので、1曲目にくると意外性があって面白いんじゃないか、と。
--特に『でてこいとびきりZENKAIパワー!』は、シンガーとしての成長を強く感じることができました。
中川翔子:最近はシングルでも穏やかな楽曲が続いていたので、ちょっとハジけた曲とか変化球的な楽曲もやりたいと思ってました。その気持ちをこのアルバムで晴らした感じですね!(笑)
--また、『God knows...』もカバーしていますが、今作はジャケットもいとうのいぢさん(「涼宮ハルヒの憂鬱」などのイラストを担当)描き下ろしとなっています。
中川翔子:歌っていた時はまだ描いて下さるって知らなかったです。大ファンとして絵が載っているものは全部買ってるし、のいぢさんが如何に忙しいかも知ってますし。のいぢさんの絵に出会って可愛い女の子の世界を知って、パソコンとかタブレットとか買って絵を描くのが大好きになって、それが色んなことに繋がって……。のいぢさんも私のために凄く色々考えて工夫してくれて、実は今のキャラになる前にも試行錯誤があったんです。だからジャケットも本当に隅々まで堪能してもらいたいです。
--『ゆずれない願い』ではPVも撮影されたんですよね?
中川翔子:小さい頃から好きなことはいっぱいあるけど、まさかこんな未来になるなんて想像もできなくて、それでも憧れは何処かにあって……。好きなことを貫いていったら、いつかこんな嬉しい日が来るんだっていう、今の自分が言えることが詰まってます。
それに高橋胡桃ちゃんとも共演しているんですけど、当時の私が着ていたような衣装を着てもらったら本当にそっくりで。私の人生に欠かせなかったアニソン、ゲーム、猫、絵、とか。可哀想に胡桃ちゃんも戦隊モノのポーズをやらされたりとか……、ゴメンねって言いたいです(笑)。
Interviewer:杉岡祐樹
絶対外せない部分があるので色々戦っちゃいました
--[CD+DVD]盤には永久仕様として、アニメ尺によるボーナストラックが計6曲も収録されます。
中川翔子:本当は全部フル尺にしたかったんですけど(笑)。『Don't say “lazy”』のサビじゃないところとかかっこ良いですよね! あと、リアルタイムで初めて出逢った魔法少女が「ひみつのアッコちゃん」だったので、『DON'T YOU・・・?』も大好きです。この曲はアッコちゃんの声優も務めた堀江美都子さんが歌っているんですけど、(サビを歌いながら)“ひ・と・み・で・抱きしめ・てっ♪”って、一言一言が100万円! ってくらい最高潮なんですよ!
--では、今回唄ってみたことで印象が強く変わった作品はありますか?
中川翔子:『Angel Night ~天使のいる場所~』はすっごい難しかったんですけど、唄ってみてまた違う景色が見えてきたような気がします。アレンジャーの齋藤真也さんの気合の入り方もハンパじゃないので、まずイントロでシビレますよね!
あと、一箇所どうしてもキーが出ないパートがあって下げようって言われたんですけど、「嫌ですッ!」ってその場で何回も練習して出しました! 今回に関しては生意気かなって思いつつも、絶対外せない部分があるので色々戦っちゃいました。
--その背景には、シンガーとしての自信というのもある?
中川翔子:いや……、「できるハズだッ!」「やってやるッ!」って思ってやりましたね。自分の曲の場合だと、まだ分からないことも多いんですけど、確固たる思い入れや尊敬があるので。自分の曲はレコーディングで生まれてライブで作っていくようなところがあるんですけど、アニソンはもはや人生通しての付き合いなので(笑)。悩まないですぐ歌に入れるんですよ。
--こうして幅広い年代のアニソンが収録されていることで、若い子が昔のアニメに興味を持ったり、それなりの年齢の方が今のアニメに関心を示したりできる点も、本作の魅力です。
中川翔子:10代の子とかはそうかもしれないですね。「ハルヒ」や「けいおん!」は知ってても、「ふしぎ遊戯」とか「ひみつのアッコちゃん」とかは知らない人もいる。でも、とにかく名曲ばっかりなので、関係なく聴いてもらいたいですね。本当に色んな方向にトンがってるウニみたいなアルバムです(笑)。
それに今までは5曲しかなかったから選曲に苦悩したんですけど、今回はスカッとしました! ……まだ歌いたい曲はいっぱいありますけど(笑)、でもでもでも、愛と感謝を込めて、ですね!
--では、『しょこたん☆かばー 3 ~アニソンは人類をつなぐ~』を一言で表すなら?
中川翔子:アニソンへの愛を全て固めた“集大成です!”って言えちゃうくらいのボリュームになりました。“アニソンが好き”って気持ちがあったら国も言葉も性別も時代もまったく関係なくハッピーになれちゃう。いっぱい助けてもらったアニソンたちに愛を込めて……、人生が詰まっている感じですね。曲に色んなメッセージが込められているので、アニソンへの愛を共有して、みんなで一緒に笑顔になれたらって思います!
--4月からは新たな全国ツアー【Prism Tour 2010】の開催も決定しました。
中川翔子:もう二度とできないような、誰も見たことがないようなアニメ祭りになります! アルバムを引っ提げてでもあるので、自分たちが二次元の世界に入り込んじゃうような感覚に……。それが本当に可能なのか私も分からないんですけど、いとうのいぢさんのこのキャラを見て、スタッフさんも凄く盛り上がってて。みんなが驚くような企画もたくさん上がってきてるので実現しそうです。今までとは全然違ったコンサート、初めてくる方も今まできてくれていた方も誰も見たことのないステージになりそうです。
--胸を張って「楽しみに待ってて欲しい」って言えるステージになる?
中川翔子:はい! なります!
Interviewer:杉岡祐樹
しょこたん☆かばー3 ~アニソンは人類をつなぐ~
2010/03/10 RELEASE
SRCL-7218/9 ¥ 3,666(税込)
Disc01
- 01.Angel Night ~天使のいる場所~ (アニメ『シティーハンター2』OP)
- 02.God knows... (アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』挿入歌)
- 03.星間飛行 (アニメ『マクロスFRONTIER』挿入歌)
- 04.ゆずれない願い (アニメ『魔法騎士レイアース』OP)
- 05.そばかす (アニメ『るろうに剣心』OP)
- 06.雨にキッスの花束を (アニメ『YAWARA!』OP)
- 07.微笑みの爆弾 (アニメ『幽遊白書』OP)
- 08.ときめきの導火線 (アニメ『ふしぎ遊戯』ED)
- 09.Give a reason (アニメ『スレイヤーズNEXT』OP)
- 10.魂のルフラン (アニメ映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』テーマ・ソング)
- 11.でてこいとびきりZENKAIパワー! (アニメ『ドラゴンボールZ』ED)
- 12.プリキュア5、フル・スロットル GO GO! (アニメ『Yes! プリキュア5 GoGo!』OP)
- 13.DAN DAN 心魅かれてく -short ver.- (アニメ『ドラゴンボールGT』OP) -Bonus track-
- 14.Don’t say ”lazy” -short ver.- (アニメ『けいおん!』ED) -Bonus track-
- 15.ムーンライト伝説 -short ver.- (アニメ『美少女戦士セーラームーン』OP) -Bonus track-
- 16.セーラースターソング -short ver.- (アニメ『美少女戦士セーラームーンスターズ』OP) -Bonus track-
- 17.不思議色ハピネス -short ver.- (アニメ『魔法のスターマジカルエミ』OP) -Bonus track-
- 18.DON’T YOU…? -short ver.- (アニメ『ひみつのアッコちゃん』ED) -Bonus track-
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