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<コラム>CHEMISTRY×origami PRODUCTIONSの化学反応、過去と現在を繋げるデビュー20周年企画について
origami PRODUCTIONSが名曲群をリメイク
デビュー20周年を迎えたCHEMISTRYが、過去曲のリメイク企画をスタートさせた。
このプロジェクトは、CHEMISTRYの初期の代表曲5曲をorigami PRODUCTIONS所属のクリエイター陣のプロデュースによりリメイクし、堂珍嘉邦、川畑要が新たにボーカルをレコーディングして配信するという内容。トータル・プロデュースは、CHEMISTRYの“生みの親”である音楽プロデューサーの松尾潔が担当。CHEMISTRYの存在を世に知らしめ、00年代前半の音楽シーンを彩った名曲を現代的なサウンドにアップデートさせる意義深い企画だ。
第1弾は、10月27日に配信された「PIECES OF A DREAM feat. mabanua」。2001年3月リリースの1stシングル「PIECES OF A DREAM」(作詞:麻生哲朗/作曲・編曲:藤本和則)にmabanuaがリメイクを施し、2021年のJ-R&Bとして生まれ変わらせている。
バラエティ番組『ASAYAN』の男性ボーカル・オーディションで選ばれた川畑要、堂珍義邦による男性デュオのCHEMISTRYは、松尾潔のプロデュースによって2001年にデビュー。90年代後半~00年代前半のUSのR&Bの潮流を感じさせるトラックメイク、日本の歌謡曲の叙情性とブラック・ミュージック的なフロウを結びつけた歌によって、J-POPシーンに新たなムーヴメントを生み出した。その起点となったのが、デビュー曲「PIECES OF A DREAM」。ロング・セールスの末、発売から15周目でミリオンに到達したこの曲は、00年代初めの音楽シーンを象徴する楽曲であると同時に、日本のR&Bの方向性を決定づけたと言っていいだろう。
CHEMISTRY 『PIECES OF A DREAM』MV
今回配信されたリメイク・バージョンは、10年代後半~20年代前半のオルタナR&Bを感じさせつつ、幅広いリスナーが楽しめるポップ・チューンに昇華した。豊かな低音を響かせながら、厚みのあるグルーヴを生み出すビート&ベース、歌メロの心地よさを支えるギターのカッティング、そして、煌びやかな音像を描き出すシンセなどが配置されたサウンドは、松尾潔のプロデュース・ワークの軸ともいえるタイムリー(時代性)とタイムレス(普遍性)を絶妙なバランスで具現化している。
プロデュースを手掛けたmabanuaは、今や日本の音楽シーンに欠かせないクリエーターだ。Shingo Suzuki、関口シンゴとのバンド、Ovallのドラマーとして注目された彼は、CHARA、iri、藤原さくら、Gotch、星野源など数多くの楽曲に参加。現行のブラック・ミュージックの動きを直感的に捉えながら、日本のポップ・ミュージックに結びつけるスタイルは、松尾潔とも共通している。
リリース情報
CHEMISTRY
シングル「PIECES OF A DREAM feat. mabanua」
2021/10/27 RELEASE
配信スケジュール
10/27「PIECES OF A DREAM feat. mabanua」
11/10「Point of No Return feat. 関口シンゴ」
11/24「You Go Your Way feat. Shingo Suzuki」
12/01「君をさがしてたfeat. Michael Kaneko, Hiro-a-key」
12/08「My Gift to You feat. Kan Sano, Hiro-a-key」
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過去と現在を繋げるプロジェクト
11月10日には、mabanuaの盟友とも言える関口シンゴをフィーチャーした「Point of No Return feat. 関口シンゴ」が配信される。2001年6月に2ndシングルとして発売された原曲は、「PIECES OF A DREAM」と同じく、作詞を麻生哲朗、作曲・編曲を藤本和則が手掛けたナンバー。リメイク・バージョンは、音数を抑制したトラックメイク、有機的なギターのアレンジが印象的な仕上がり。切ないエモーションを湛えた歌のメロディとギターの音色が絡み合い、原曲の良さをしっかりと増幅させている。
「PIECES OF A DREAM feat. mabanua」「Point of No Return feat. 関口シンゴ」に共通しているのは、川畑、堂珍のボーカルを際立たせていることだろう。
2012年4月に活動を休止し、ソロ活動を行った二人。川畑、堂珍はそれぞれのルーツや志向に沿った楽曲制作、ライブを行い、アーティスト/シンガーとして確実に成長を遂げた。そして、約5年後の2017年に行われた東京国際フォーラム公演で活動を再開。同年11月に松尾潔プロデュースによるシングル『Windy/ユメノツヅキ』をリリースし、再び二人の道は一つになった。
CHEMISTRY 「ユメノツヅキ」 from STREAMING CHEMISTRY vol.6
その後も順調な活動を続けてきたCHEMISTRY。その中心にあるのはもちろん、川畑、堂珍のボーカリゼーションだ。40代になった二人の卓越したテクニックはもちろん、人生経験に裏打ちされた歌の表現こそが、現在のCHEMISTRYの魅力の源泉であり、それは今回のリメイク企画でも存分に発揮されている。
もうひとつ記しておきたいのは、20年の時を経て、歌詞にさらなる深みが感じられたこと。それを象徴しているのが<あれからキミはどう生きてるの? 変わったのかな…/キミが最後に詰めた 夢のカケラたちは今どうしてる?>(「PIECES OF A DREAM」)というラインだ。川畑、堂珍がこれまで積み重ねてきたキャリア、そして活動休止を経て、再び動きはじめたCHEMISTRYと重ねることによって、このフレーズはさらに深い意味合いを帯びる――そう、過去と現在が繋がり、豊かな音楽へと結実するプロセスもまた、このプロジェクトの魅力なのだと思う。
今回のリメイク・シリーズはこのあと、「You Go Your Way feat. Shingo Suzuki」(11/24)、「君をさがしてた feat. Michael Kaneko, Hiro-a-key」(12/01)、「My Gift to You feat. Kan Sano, Hiro-a-key」(12/08)と続く。原曲をリアルタイムで聴いていた世代がCHEMISTRYの魅力を“再認識”できることはもちろん、10~20代前半のリスナーが彼らの音楽を“発見”する機会にもなるはず。CHEMISTRYとorigami PRODUCTIONSによる化学反応を大いに楽しんでほしい。
リリース情報
CHEMISTRY
シングル「PIECES OF A DREAM feat. mabanua」
2021/10/27 RELEASE
配信スケジュール
10/27「PIECES OF A DREAM feat. mabanua」
11/10「Point of No Return feat. 関口シンゴ」
11/24「You Go Your Way feat. Shingo Suzuki」
12/01「君をさがしてたfeat. Michael Kaneko, Hiro-a-key」
12/08「My Gift to You feat. Kan Sano, Hiro-a-key」
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