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山崎育三郎、初のフルオーケストラツアーが遂に幕開け
山崎育三郎の初のフルオーケストラツアー billboard classics 【山崎育三郎 Premium Symphonic Concert Tour 2021 ーSFIDAー】が6月15日、東京・渋谷のオーチャードホールからスタートした。6月から9月までの間に全国5都市8公演が開催される予定だ。
Text:Sayuri SAKAGUCHI
山崎育三郎の初のフルオーケストラツアー 初日公演をレポート~リハーサル&第一部
ツアー初日は午後2時半から最終リハーサルが始まった。会場入り口では早くから多くのスタッフが新型コロナウイルス感染防止対策の準備に追われている。会場へ入ると、すでにオーケストラの楽団員たちは音の調整を始めていた。客席でも音響や演出、照明スタッフが最終調整を行なっている。この日のオーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団、指揮は世界的に活躍する栗田博文。ステージに上がった山崎は、栗田や楽団員に挨拶をした後、客席にも降り立ち、次々とスタッフへ挨拶していく。
「これまでやってきた僕のすべてが詰まった、ある意味、集大成のようなコンサートになります」
山崎が「長年の夢だった」というフルオーケストラとの共演。コンサート前に取材で語った本人の言葉が蘇る。一曲ずつ歌っては確認し、栗田が山崎に、楽団員に声をかける。時折、楽団員からも栗田へ質問が飛ぶ。一体どんなコンサートになるのか。数時間後に始まる本番への期待は否応なしに高まっていく。
開演時には、オーチャードホールは満席となった。女性を中心に、NHK連続テレビ小説「エール」の影響だろうか、年配のご夫婦や小学生くらいの子供たちを連れた親子の姿も見られた。昨年から続く新型コロナウイルスに悩まされても、いや、だからこそか、多くの人が山崎の伸びやかな歌声を待ち望んでいたに違いない。
オープニングはオーケストラによる序曲「ミュージカルメドレー」。リハーサルでも音がキラキラと輝くような響きにワクワクしたが、本番はやはりそれ以上!山崎が12歳でミュージカルデビューを果たした『フラワー』から今年4回目の主役を務めた『モーツァルト!』まで流れるように曲が連なっていく。目を閉じれば、すでに夢の世界にいるかのような幕開けにふさわしいメドレーだ。観客の気持ちの盛り上がりに合わせるかのように、山崎が登場。割れんばかりの拍手が鳴り響く。差し色の赤を効果的に使った黒のロングジャケットは、まさにミュージカルのプリンスといったいでたちに、会場が盛り上がらないはずがない。
最初の歌唱曲は、『モーツァルト!』から「僕こそ音楽」。音楽の申し子を歌ったこのナンバーは山崎の世界に引き込むのにふさわしい。
そして、数曲後の山崎のトーク
「こんな贅沢なことがあっていいのでしょうか?」
そんな言葉に会場がドッと沸く。山崎自身、どれほどこのコンサートを待ちわびていただろう。「今日が最後でいいかもしれない」という言葉まで飛び出した。
今回のコンサートは2部構成。1部は、山崎がこれまで演じてきたミュージカルの楽曲が中心だ。
ここ数年、山崎と共にコンサートを重ねてきたピアノ演奏の宗本康兵は、「オーケストラと育三郎さんの声が相まって、めちゃめちゃ気持ちよくないですか!」とトークで観客に語りかけたが、まさにその通り。どの曲も山崎の力強い高音の伸びを感じるたびに、現実ではない気持ちの良い世界へ連れて行ってもらえる気になった。例えば、『アラジン』の「ホール・ニュー・ワールド」。山崎の歌声自体がフライングカーペットのよう・・・聴く者は、声と一体化したオーケストラの響きを体全体で感じることで、世界を旅するような気分になる。
ツアー情報
【billboard classics 山崎育三郎 Premium Symphonic Concert Tour 2021 -SFIDA-】
(1)2021年6月15日(火)東京・Bunkamuraオーチャードホール ※完売、終了
(2)2021年7月4日(日)名古屋・愛知県芸術劇場 大ホール
(3)2021年7月8日(木)福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール
(4)2021年8月7日(土)西宮・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
(5)2021年8月8日(日)西宮・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
(6)2021年8月19日(木)札幌・札幌文化芸術劇場 hitaru
(7)2021年9月2日(木)東京・東京芸術劇場 コンサートホール ※完売
(8)2021年9月3日(金)東京・東京芸術劇場 コンサートホール ※完売
出演: 山崎育三郎
指揮・管弦楽:
(1)栗田博文/東京フィルハーモニー交響楽団
(2)田中祐子/京都フィル・ビルボードクラシックスオーケストラ
(3)田中祐子/九州交響楽団
(4)(5)太田弦/日本センチュリー交響楽団
(6)田中祐子/ビルボードクラシックスオーケストラ
(7)(8)栗田博文/新日本フィルハーモニー交響楽団
チケット:
一般 11,000円(全席指定・税込)
学生席 2,000円(全席指定・税込)※席数限定
※未就学児入場可(3歳以上チケット必要、3歳未満もお座席が必要な場合はチケット必要)
主催:ビルボードジャパン、メ~テレ(名古屋)、道新文化事業社(札幌)
企画制作:ビルボードジャパン
後援:米国ビルボード、TNCテレビ西日本(福岡)、FM大阪(西宮)
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2部は山崎育三郎を堪能できるステージに
2部は歌手としての山崎育三郎を堪能できるステージだ。衣装も背中に「SFIDA」と黄金の刺繍が入った白ジャケットにチェンジしてイメージを一新。ここでの1曲目は自身の楽曲「Congratulations」。すべての人の心をウキウキさせるような歌声に自然と体が動き出す。山崎自身も楽しくなったのだろうか。指揮台にも上がって会場を盛り上げる。さすが、「いつもお客様を喜ばせることを考えています」というだけの生粋のエンターテイナーだ。
映画作品からは『トイ・ストーリー』から「君はともだち」と、『美女と野獣』から「美女と野獣」「ひそかな夢」の2曲。「美女と野獣」ではスクリーン上にボールルームを映し出し、映画の世界を盛り立てる。「ひそかな夢」は山崎が「フルオーケストラで歌いたかった」という渾身の1曲だ。クライマックスの「彼女と迎える愛の夜明けを~」の声の伸びは驚異的。山崎の歌声とオーケストラ演奏との親和性を感じずにはいられなかった。
最後のトークで、元高校球児たちとの対話から生まれた新曲「誰が為」が8月にリリースされることが発表された。春の選抜高校野球大会への出場が決まっていたのにもかかわらず、新型コロナウイルスの影響で夢を断念せざるを得なかった球児たちの想いを胸に、野球だけでなく、すべての学生に向けた応援ソングを作ったという。話し終えると、山崎がアカペラで歌い出した。昨年の「エール」でのシーンを彷彿させる「栄冠は君に輝く」。だれもが彼の歌に集中し会場は恐ろしいほど静まり返っている。やさしく人の心を慰めるような美しい歌声を聴くうちに、涙がこぼれ落ちそうになった。アカペラでじっくり聴かせた後はオーケストラとの共演で歌の世界を広げ、未来へ続く希望を感じさせる曲の展開に圧倒された。
コンサート最後の曲は、「You Raise Me Up」。荒川静香がトリノオリンピックで使用したことで日本でも広く知られようになった名曲だが、ストリングスや管楽器を効果的に使っていて印象深い。「あなたの存在が私を起き上がらせてくれる」という力強い歌詞を、オーケストラの重厚な響きがさらに後押しするかのようだ。アンコールでは森山直太朗作詞・作曲の「君に伝えたいこと」を熱唱。ここでは、事前に募集した「大切な人」の写真が次々と舞台のスクリーンに映し出され、山崎の歌声が、オーケストラの演奏が、人々の想いに寄り添っていく。
▲ 山崎育三郎「君に伝えたいこと」
ミュージカル曲、オリジナル、カバー曲……、アンコールまで20曲近くを圧倒的な歌唱力で歌い上げた山崎。会場にいた誰もが、手を真っ赤にするほど拍手を贈ったに違いない。フルオーケストラとの共演という山崎の新たな挑戦は、聴く者に極上の時間を与えてくれた。
「(先が見えない今だから)この瞬間を、どれだけ自分が悔いのないパフォーマンスができるかということだけ」
そう語っていた山崎に、感謝を伝えたくなる納得のステージだった。
ツアー情報
【billboard classics 山崎育三郎 Premium Symphonic Concert Tour 2021 -SFIDA-】
(1)2021年6月15日(火)東京・Bunkamuraオーチャードホール ※完売、終了
(2)2021年7月4日(日)名古屋・愛知県芸術劇場 大ホール
(3)2021年7月8日(木)福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール
(4)2021年8月7日(土)西宮・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
(5)2021年8月8日(日)西宮・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
(6)2021年8月19日(木)札幌・札幌文化芸術劇場 hitaru
(7)2021年9月2日(木)東京・東京芸術劇場 コンサートホール ※完売
(8)2021年9月3日(金)東京・東京芸術劇場 コンサートホール ※完売
出演: 山崎育三郎
指揮・管弦楽:
(1)栗田博文/東京フィルハーモニー交響楽団
(2)田中祐子/京都フィル・ビルボードクラシックスオーケストラ
(3)田中祐子/九州交響楽団
(4)(5)太田弦/日本センチュリー交響楽団
(6)田中祐子/ビルボードクラシックスオーケストラ
(7)(8)栗田博文/新日本フィルハーモニー交響楽団
チケット:
一般 11,000円(全席指定・税込)
学生席 2,000円(全席指定・税込)※席数限定
※未就学児入場可(3歳以上チケット必要、3歳未満もお座席が必要な場合はチケット必要)
主催:ビルボードジャパン、メ~テレ(名古屋)、道新文化事業社(札幌)
企画制作:ビルボードジャパン
後援:米国ビルボード、TNCテレビ西日本(福岡)、FM大阪(西宮)
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