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<インタビュー>KREVA、約1年半ぶりの有観客公演を前に訊くライブと音楽制作への思い
KREVAにとって、約1年半ぶりとなる有観客公演となる「KREVA in Billboard Live Tour 2021」が6月17日から開催される。2020年の初の無観客有料配信ライブも[ビルボードライブ東京]から最高のパフォーマンスを届けてくれたKREVA。常にビートを磨き、言葉を紡ぎ続けてきた彼が、2021年のリスタートに[ビルボードライブ]を選択した理由とは? コロナ禍でツアーが全公演無期限延期となり、音楽の制作に邁進した日々や新曲「変えられるのは未来だけ」に込められた思いなどを訊く。
「生の声の波動」が届くような空間でライブがしたい
――【KREVA in Billboard Live Tour 2021】がいよいよ近づいてきました。
KREVA:この6月、横浜・大阪・東京の[ビルボードライブ]で念願のステージに立ちます。去年は2月から予定されていた全国ツアーがコロナの影響で全公演無期限延期となり、単独の有観客ライブは2019年12月以来。1年半もライブから離れていたのは自分のキャリアでもなかった経験です。じゃあ、そのリスタートはどこから始めるのか。その舞台には[ビルボードライブ]しか考えていませんでした。これまで武道館、アリーナ、野外フェスなど規模の大きいステージも経験してきましたけど、今はまだ観る側もスペシャルな心構えで来る状況だとしたら、大きな会場よりも自分の「生の声の波動」が届くような空間でライブがしたいと思ったんです。その願いを叶えてくれるのが[ビルボードライブ]なんです。
――[ビルボードライブ]にはこれまで東京・大阪のステージに立たれています。
KREVA:自分にとっては思い入れのある特別な場所です。2016年の9月8日(&9日)の「クレバの日」に[ビルボードライブ東京]で行ったライブがムチャクチャ良かった。強い印象が残っています。あの時は武道館の直後だっただけに、お客さんがステージとの距離の近さに驚いて、ちょっと呆気に取られてステージをガン見していたことを思い出します。
――[ビルボードライブ東京]では、昨年6月24日に、初の無観客有料配信ライブ『KREVA Streaming Live 「①(マルイチ)」』を開催しましたね。
KREVA:本来ツアーを共にするはずだったバンドメンバーでツアーのためにリハーサルしていた曲と[ビルボードライブ]にふさわしい曲を合わせてセットリストにしたんですが、いつものライブとは考え方を変えなくてはいけないと思ったんです。厨房のシーンからスタートするという演出は自分のアイデアだったし、スモークを焚いた無観客の客席やバー・カウンターでパフォーマンスしたり、いずれも通常ではできないことですからね。打ち上げのシーンまで配信したのが斬新だったとよく言われました。
――バンドメンバーとの息の合ったパフォーマンスと[ビルボードライブ]にふさわしいセットリストでしたね。
KREVA:あのときはツアーに向けて準備していた曲と、[ビルボードライブ]に合うようなセットリストにしました。バンドはソウル・ミュージック好きなメンバーが多いので、[ビルボードライブ]へのアプローチ、そのイメージを共有できることも大きいかもしれないです。2019年にリリースしたベスト・アルバム『成長の記録~全曲バンドで録り直し~』は、ほぼソウル・アルバムと言ってもいいですし、自分の数ある曲の中にはこの空間のサイズ感や雰囲気に合う曲があると思います。それをいい感じでバンドと共にダイレクトに伝えることができるみんなじゃないかと。
――[ビルボードライブ]にはこれまでソウル/R&Bのアーティストも数多く登場していますからね。
KREVA:俺もミュージック・ソウルチャイルドなどのステージを観たことがあります。前の公演では開演前に流れる音楽を自分がDJ MIX した70sソウル・ミュージックにしてみたら、お客さんやスタッフの方にも好評だったんです。そういう親密さが味わえる、エントランスから席に着くまでの時間も含めて「ライブに来た!」という体験が濃くなるのが[ビルボードライブ]の魅力だと思います。
「変えられるのは未来だけ」
――2020年は、コロナ禍によりライブやフェスがままならい状況になりましたが、KREVAさんはどのように受けとめましたか?
KREVA:去年は2月26日にツアーのゲネプロ(本番同様にステージで行う最終リハーサル)が終わった時点でコロナ禍に見舞われました。あの時点では自粛要請だったから、ライブは出来ないこともなかったんですが、俺は「止めましょう」と言いました。一瞬だけがっくりきましたが、すぐに「どうしたらみんなが少しでも楽しくステイホームを過ごせるか」ということに頭が切り替わって、YouTube Liveで楽曲制作を見せるなど、今できることをやるマインドになりました。
――ツアーが無期限延期となり、楽曲制作に費やす時間が生まれたことで変化はありましたか?
KREVA:ツアーがなくなって時間ができたので、より制作に集中できるようになりました。今まではライブ中心のリリースサイクルもあったし、夏や年末のフェスでは不特定多数のお客さんを盛り上げるような曲をどうしても意識せざるを得なかったんですが、そういったことから解放されて曲をつくれるようになったのは、ここ何年ではなかったほど純粋でポジティブなことでした。
――昨年も活動は途切れることなく、「素敵な時を重ねましょう feat. SONOMI」、「タンポポ feat. ZORN」「Fall in Love Again feat. 三浦大知」をリリースしました。
KREVA:「タンポポ」と「Fall in Live Again」の2曲は自宅でつくったトラックがもとになっています。大ちゃん(三浦大知)とは、これまで何度かコラボしてきましたが、「2020年をのちに思い出した時に記憶に残るような曲にしたいね」と話し合ってつくりました。ありがたいことに去年も香取慎吾さん、石川さゆりさん、PUNPEE、ZORN、tofubeats、尾崎裕哉さんから客演やプロデュースの依頼を受けてコラボする機会に恵まれたし、どんな状況にあっても、自分の場合、音楽をつくることが未来に繋がっていくんです。
▲KREVA 「タンポポ feat. ZORN」MUSIC VIDEO
▲KREVA 「Fall in Love Again feat. 三浦大知」MUSIC VIDEO
――コロナ禍でも制作への意欲は変わらなかったんですね?
KREVA:負のスパイラルを食らいそうになっても、音楽をつくりたいという気持ちはまったく変わらなかったし、特にビートメイクすることに関しては、ずっと楽しいです。コロナ禍で、世界中のビートメイカーが動画やライブを配信するようになり、自分が思いもつかない機材の使い方をしていたりすることにすごく刺激を受けました。気鋭の若手だけでなくティンバランドがいたり、ディスクロージャーの曲作りの工程もすごく参考になった。そこでまた新しいトラックが生まれたし、ステイホーム期間も制作に集中することができました。
――6月2日には新曲「変えられるのは未来だけ」がリリースされました。このリリックは今、多くの人に響きますね。
KREVA:今年つくった曲の中の1曲です。自分も時にはネガティブになることもあるんですが、この状況ではそんなこと言っている場合じゃないと思う気持ちの方が強かった。「変えられるのは未来だけ」は、2021年に届く言葉と曲になったんじゃないかと思います。
――[ビルボードライブ]ツアーは、久しぶりの有観客リアル公演になります。
KREVA:1年半近く自分のライブをしていないと、ラップを思い出せないことにショックを受けたし、トレーニングしていても試合に出ていない選手と同じなんですよ。俺は人に見てもらうことで自分を確認しているところが大きいんだと思いました。この[ビルボードライブ]ツアーは、思いきりラップして、歌っている自分をじっくり観てもらいたいですね。
――最後に【KREVA in Billboard Live Tour 2021】に対する意気込みをお願いします。
KREVA:バンドも一度やってみたかった新しい組み合わせになりますし、今までとは少し違うステージになると思います。初めての[ビルボードライブ横浜]も含めて[ビルボードライブ]ならではのベストな選曲と構成を考えたいと思います。マイクをオフにしても声が届く、そんな空間マジックが起きる会場で、皆さんにガン見されることを楽しみにしています。
リリース情報
KREVA「変えられるのは未来だけ」
- 2021/6/2 RELEASE
- 視聴等詳細:https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A025671/VE3WA-19173.html
公演情報
【KREVA in Billboard Live Tour 2021】
- ビルボードライブ横浜
- 2021/6/17(木) - 6/18(金)
- [1st] 開場14:00 開演15:00 [2nd] 開場17:00 開演18:00
- 詳細:詳細・チケット購入はこちら
- ビルボードライブ大阪
- 2021/6/23(水) - 6/24(木)
- [1st] 開場14:00 開演15:00 [2nd] 開場17:00 開演18:00
- 詳細:詳細・チケット購入はこちら
- ビルボードライブ東京
- 2021/6/29(火) - 7/1(木)
- [1st] 開場14:00 開演15:00 [2nd] 開場17:00 開演18:00
- 詳細・チケット購入はこちら
取材・文:佐野郷子
構成:Billboard JAPAN編集部
写真:網中健太
スタイリング:藤本大輔 (tas)
衣装:COGNOMEN・WEWILL
ヘアメイク:結城藍
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