Special
【ビルボード 2021年上半期インタビュー】「ドライフラワー」が総合首位、優里が心がける「誰かの心に刺さるような曲作り」
Billboard JAPANの2021年上半期総合ソング・チャートが発表され、優里の「ドライフラワー」が“HOT 100”の総合首位に輝いた。これに伴い、優里本人にインタビューを行い、首位獲得の感想や楽曲に込めた想い、ヒット・チャートに対する印象、そして今後の活動にかける意気込みなど、話を訊いた。
ーー「ドライフラワー」がBillboard JAPANの2021年上半期総合ソング・チャート“HOT 100”の首位となりました。まずは率直な感想をお聞かせください。
優里:僕も毎週発表されるチャートを見て、こんなにたくさんの方が聴いてくれてるんだなと嬉しい気持ちになりましたし、まさか上半期の1位になるだなんてまったく想像もしていませんでした。すごくびっくりしていると同時に、とても嬉しいです。ありがとうございます。
ーーいつかヒット・チャートに……という気持ちはほとんどなかった?
優里:こういう歌だったら誰かに響くかもしれない、大勢でなくとも誰かの心に刺さるような曲作りをしたいと思っていました。でも、それがたくさんの方に届いて、結果としてチャートインするというのはやっぱり嬉しいです。「ドライフラワー」に関しては、「かくれんぼ」がたくさんの方に聴いてもらえていたので、その後の物語もちゃんと描きたいという気持ちで作った曲です。
▲「ドライフラワー」MV
▲「かくれんぼ」MV
ーー2019年12月にリリースされた「かくれんぼ」は、各種ストリーミング・サービスのチャートで上位をマークし、SNSでも大きなバズを起こしました。その対となる楽曲として、男性目線を描いた「かくれんぼ」のアフターストーリーを女性目線で描いたのが「ドライフラワー」です。この構想はどのようにして生まれたのでしょう?
優里:まず「かくれんぼ」は、自分にとって初めてのオリジナル曲で、それ以前まではまったく無名の存在だった僕にとって、大切なきっかけをくれた曲だったことが大きくて。あとは、自分の中で「この後を描きたい」という気持ちが沸いてきたというのもあります。例えばメジャー・デビュー曲の「ピーターパン」は「ここから頑張っていくんだ」みたいな、自分のそのときの想いや決意を書いた曲なんですけど、「かくれんぼ」はそうじゃなくて、自分の頭の中で風景を思い浮かべながら書いていったんです。頭の中で物語を作っていった感じですね。
▲「ピーターパン」MV
ーー男性として女性目線を描くことに苦労したりなどは?
優里:「かくれんぼ」を作ったときに架空の男女が頭に思い浮かんでいたし、自分の中ではそれぞれのキャラクターが確立されていたので、そういう苦労はなかったかもしれないです。
ーー「かくれんぼ」にしろ「ドライフラワー」にしろ、自分の楽曲が社会的に広く知られていったとき、優里さん自身はそのことをどんな瞬間に実感しましたか?
優里:街で流れていたときです。あと、僕の曲を口ずさんでいる子をたまたま見かけたことがあって、そのときはしれーっと通り過ぎたんですけど(笑)、そういう瞬間にも「届いてるんだな」って実感しますね。あと、僕はずっとSNSで弾き語り動画をアップしてきたので、「みんなは何を弾き語りしてるんだろう」って気になって、自分でもハッシュタグ検索したりするんですけど、僕の曲を歌ってくれている方を見ると、自分もカバーしてもらえるようなアーティストになれたんだなって嬉しくなります。
ーーSNS上の反響も意識的にチェックする?
優里:自分のことを検索するというより、単純にそうやって音楽を聴くのが好きなんです。
ーー優里さんが自分の活動の中で、SNSやYouTubeチャンネルでの発信を意識するようになったのはいつ頃からですか?
優里:1年半ぐらい前だと思います。ライブって基本的には自分のことを知ってくれている人が来てくれるものだと思っていて。けど、SNSなら誰にでも見てもらえるチャンスがあるし、一人でも自分の声を気に入ってくれる人が見つかればいいなと思って歌っています。なので、その短い動画の中に「絶対に心を掴んでやる」って気持ちを込めるというのは常に意識してます。
ーーちなみに優里さんがそうやって心を掴まれるのはどんな動画でしょう?
優里:例えばボカロPの曲とか、すごく難しい曲を完璧に歌いこなしている人を見ると「すげー、歌上手いな」ってびっくりして、そこから刺激をもらったり、自分でもカバーしてみようと練習したり。単純に真似をするのではなくて、そのカバーの中でも自分の良さも出せたらいいなと。最近は上手な子が多いので、僕も負けないように頑張りたいなって思いますね。
ーー「ドライフラワー」のヒットがそれ以降の活動に影響したりは?
優里:例えば「かくれんぼ」と「ドライフラワー」は恋愛の曲で、その2曲がきっかけで僕のことを知ってくださった方も多いとは思うんですけど、その人が僕のことを調べて、他の曲もいいなって思ってもらえたら嬉しいので、すべての曲がちゃんと心に刺さるものになってほしい、という意識はより強くなったと思います。そのために皆さんの心に届く曲を作れるように頑張っていきます。
ーー優里さんにとって、ヒット・チャートとはどんな存在ですか?
優里:僕は弾き語りでよくカバー曲を歌うんですけど、やっぱりヒット・チャートから色んな曲を知ることができるし、チャートって色んなジャンルの曲が入り混じってるじゃないですか。なので、音楽を聴く最初のきっかけになるものだなと思っています。
ーー学生時代もランキング番組などで情報を仕入れていたり?
優里:学生時代は同じような音楽しか聴いてこなくて、日本の音楽もすごく好きなんですけど、昔は親世代のロックをずっと聴いてました。親の影響なんですけど、ボン・ジョヴィとかクイーンとか。小学生の頃とか真似して練習したりしてましたし、高校生になってからもカラオケではMr. BIGとか歌っていました。
ーーでは、優里さんの“心のヒット・チャート”があるとして、1位を選ぶとしたら?
優里:ボン・ジョヴィのデビュー曲「夜明けのランナウェイ」は週に3日ぐらい、朝に聴いてます。聴くと1日頑張れる気がして。ボン・ジョヴィって色んな曲があるけど、すべてはこの曲から始まったんだって、彼らもここからビッグ・スターになったし、自分も頑張ろうって思えます。あと、曲ではないですけど「THE FIRST TAKE」は自分が出演させていただく前から好きだったので、よく見てます。最近もadieuさんの「よるのあと」とかすごくよくて。胸にすっと真っすぐ入ってくる歌というか。繰り返し聴いてます。
▲「夜明けのランナウェイ」MV
▲「よるのあと / THE FIRST TAKE」
ーーでは最後に、2021年下半期以降で叶えていきたい夢、果たしたい目標や野望などがあれば教えてください。
優里:この半年間はたくさんの方に僕の曲を聴いていただけたので、次は優里という人間をもっと知ってもらいたいなって思います。この人の曲は全部聴きたいと思ってもらえるようなアーティストになれるよう頑張ります。これからはSNSにあげた1分の動画だけじゃなくて、皆さんに直接メッセージを届けて、そこからまた広がっていったらいいなとも思います。僕は歌が大好きなので、これからも楽しく歌い続けていって、それが皆さんに届くととても嬉しいです。
関連商品