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大塚 愛 『クラゲ、流れ星』インタビュー
大塚 愛、いよいよ5周年に突入!今回のインタビューでは、そこに向けて展開された出来事。その時々に生まれた想い。自身の音楽を世の中にどんな風に聴いてもらいたいか。そして最新シングル『クラゲ、流れ星』について。これまで以上に本音で濃厚な話をガッツリ聞かせてもらいました。葛藤と覚醒、理性と本能の狭間で、たくましく生き続ける表現者のありのままの姿、どうぞご堪能あれ。
ってゆーか「小林さんに嫌われてたらどうしよう?」
--【ap bank fes'08】初出演。いかがでした?
大塚愛:当日ステージでも言ったんですけど、本当に「恋だな」って思いました。不安と緊張と、恋してるが故に上手くできない葛藤と、嬉しさと、終わってしまう切なさと・・・本当に「恋」っていう感じ。イベント自体の趣旨も、軽い感じで「ワーイ!楽しもうぜ」というものではなかったので、やっぱりちゃんとした心構えで臨まなくてはいけなかったですし、選曲もそういうイベントに合うものでありたいなと思っていたので。
--【ap bank fes】と言えば、毎年、音楽プロデューサーの小林武史さんとMr.Childrenの桜井和寿さんが、各出演アーティストと有意義な共演を魅せてくれているフェスです。その点でもかなり楽しみなフェスだったんじゃないですか?
大塚愛:小林さんと桜井さんはもちろん、全員初めて一緒にやらせて頂くミュージシャンの方だったんですけど、めちゃくちゃスゴ腕の人ばっかりが集まっているのにビックリして。本当に素晴らしいので「今後どこかでご一緒したいなぁ」って思いました。そんな感じで今まで出会えなかった方々との出会いもあったので、すごくプラスになったなと思います。
--『クムリウタ』と『プラネタリウム』の2曲を披露されたみたいですが、あのメンバーとあの場で『クムリウタ』をやれたっていうのは・・・。
大塚愛:もう感動ですよ!
--あと、今年はフェス尽くしで、毎年恒例の【a-nation'08】はもちろん、【J-WAVE LIVE 2000+8】や【ZUSHI MARINA LIVE FESTIVAL'08】にも出演。どうして今年はこんなにも夏フェスモードだったんでしょう?
大塚愛:別に「夏フェスだぁ!」っていうモードではなかったんですけど、自分のツアーだったりワンマンライブをもっと良くさせるためにも、他のところに流されてみて、何かを掴んだり感じたりしたいなと思って。そういう意味でもいろんな場所に出させてもらえるのは有り難いんですけど、まぁ恐怖でもあります。
--夏フェスって、言うならば、異種格闘義戦みたいなところあるじゃないですか?ましてや初めて出るフェスとかになると、ここのオーディエンスに私は受け入れられるんだろうか?みたいなドキドキもあると思うんですけど。
大塚愛:そうですね。特に【ap bank fes'08】のときは「ステージに立った瞬間、みんながサーって冷めたらどうしよう?」とか「私を嫌いな人ばかりだったらどうしよう?」とか。ってゆーか「小林さんに嫌われてたらどうしよう?」とか(笑)。
--(笑)。
大塚愛:「大丈夫かな?」っていろいろ心配はあったんですけど、実際に小林さんとお話をしてみたら睨まれなかったです(笑)。それどころか「あなた、良いよ」って言ってくれました。
--あと、そうしたフェスやイベントに出ることで、単純に「実は私こんな歌もうたうんだよ」「ライブだとこんなんなんだよ!」みたいな部分をまだ知らない人に知ってもらいたい欲もあります?
大塚愛:そうですね。やっぱりシングル以外にも、自分の核となるものだったりとか、そういうのも知ってほしい。で、そういう場じゃないと、やっぱりCDを購入しないと知らない楽曲とかは聴いてもらえなかったりするので、どんどんやっていきたいんです。ただ、フェスだと持ち時間も限られているから少しの曲数しかやれないし、その中で「知ってる楽曲で喜んでもらおう」っていうのと「こういうのもあるんだって知ってほしい」っていうところのバランスを取るのが難しくて。だから選曲は結構難しかったりします。
--正直、大塚 愛という人の音楽をどんな風に聴いてもらえるのが理想だったりしますか?
大塚愛:シングルだけのカラーが私の全てではないというか、シングルはほんの一部なんですよね。それで、他のカラーっていうのはアルバムを聴かないと分かってもらえない。テレビでシングル以外の楽曲を流させてもらうのは難しいですし。なので「大塚 愛ってこういうのでしょ?」って思わないでもらいたい・・・っていうのは難しいんですけど、でもやっぱり「こういう風な人!って決めつけないでほしい」という願いはありますね。
--例えば、今年の春のツアーで魅せた、ストリングス奏者に囲まれて歌った『クムリウタ』とか『恋愛写真 -春-』での世界が一瞬止まってしまう感じとか、『蚊取線香』や『ポンポン』でみんな狂ったように踊ってる場面とか、ああいう振り切れた大塚さんの世界って、大塚さんのファンじゃないとなかなか知れないじゃないですか。
大塚愛:そうですね。
--でも本当はそこまでの大塚 愛を「ちょっとそこのアンタも観ていきなさいよ!」って言って見せたいんじゃないかなって。どうです?
大塚愛:まずひとつ軸となるものがあって、その変化系やそこから繋がる内容の楽曲を生んでいく。そういうひとつのカラーが定まった上で楽曲を創っていく人って多いと思うんですけど、私の場合は色が定まっていないというか、いっぱいありすぎるんですよね。でもその全部でひとつっていう。だから何かのシングルを聴いて「こういうのかぁ、あんまり興味ない」と思っても、そのカップリングは全然違うカラーのものだったりするし、アルバムはもっといろんなカラーのものがあったりするので、難しいとは思うんですけど、本当はそこまで聴いてもらいたい。それで、出来ればテレビとかでも、もしそこを理解してもらえるのなら、シングル以外の楽曲もやらせてもらいたいですし。理想ですけどね。
--ただその理想に対するチャレンジには、ライブではもちろん、それぞれの作品をリリースするタイミングや順番に至るまで、毎回アーティスト生命賭けてますよね?
大塚愛:そういう立場なんだと思います。やっぱり「大塚 愛と言えば、こういうの!」って思ってらっしゃる人が多数で、「こういう楽曲もああいう楽曲もやるのが大塚 愛!」って思ってる人は本当にごく一部だと思うから、「あの楽曲が良かったからああいうの次もやってよ」って言われたりするんだけど、そこだけ切り取ることは出来ないし。私は私でやりたいことがあるから。でもそれが大衆に受けるものかどうかっていうのもあって。「もっと音楽を突き詰めたものを時には出してみたいけれども、メジャーという中でそれをやるべきなのか?」とか。いろいろ考えるんですけど、でも少しずつ少しずつ、上手い具合なところを進めたらいいなとは思ってます。まぁでも「アルバムとかツアーとかで判断して頂けたらな」っていうのが、正直なところです。
Interviewer:平賀哲雄
ラブソングで一番やっちゃいけないこと
--今作『クラゲ、流れ星』は、どんな思惑や経緯があってこのタイミングで発表することになったんですか?
大塚愛:2004年に作って、そこから4年間ずっと息を潜めていた楽曲なんですけど、「そろそろタイミングだな」と思って出したものなんです。だからアレンジャーと「やっとだね」って言っていて。なぜ4年前に息を潜めさせることになったかと言うと、そのときはまだデビューして間もなかったので、シングルリリースを控えてる楽曲がもう決まっていて。それも結構なところまで決まっていたんですね、私の中で。なので「今はもうこの楽曲のことは考えないで、置いておこう」と思って。でも当時から「シングルで出したいなぁ」とは思っていたんですよ。ようやくその順番がやってきた感じですね。
--どんなイメージや背景があって生まれた楽曲なんですか?
大塚愛:本当にこれは“ど・ラブソング”で、好き・好きじゃないとか、そこだけにフォーカスを当てた内容で。で、シーン的には遠距離なんだけれども、そこよりはもっと気持ちの不安というか、拠り所とか、弱さを全面に打ち出した楽曲になっているんです。「なんでなんだろう?」「どうして?」っていう、そういう恋愛ならではの葛藤を綴った歌ですね。
--すごく繊細な部分の話かも知れないんですけど、なぜに大塚 愛の歌う「好き」っていう言葉はこんなにも切ないんでしょう?
大塚愛:何でですかね(笑)?
--「好き」とか「愛してる」というフレーズを使うとき、大塚 愛は100%真剣ですよね。この言葉に想いを乗せられないんだったら歌わない方がマシ!ぐらいの勢いを感じさせるというか。
大塚愛:確かにそこは真剣ですね。ラブソングで一番やっちゃいけないなと思うのは、好きでもないのに「好き」って書いてしまうこと。それはあり得ないです。この前、亀田誠治さんと物凄く長話をさせて頂いたんですけど、そこでも同じような話をしていて。本当にある気持ちで詞も楽曲も書かないと、生きてる感じがしない。ということは「辛くてどうしようもない」っていう内容のものが生まれたときは、本当に自分が辛くてどうしようもないときだから、そういうことを繰り返していく人生って辛いねって(笑)。
--でも、これからもそこは変わらないんでしょうね。
大塚愛:そうだと思います。自分的にもリアルであるかないかは大きくて、特に恋とか愛をテーマにした楽曲は、リアルな気持ちが薄いと、何でもない、すごく薄っぺらいものになってしまう気がするので。そこは変えちゃいけない。ただ、その中でも、ここまでネガティブな言葉が並んだラブバラードは『クラゲ、流れ星』が初めてですね。これまでは「こんなにあなたが好きでした」的な、そういうポジティブな言葉の並びが多かったので、こんなにも「どうしてなの?」「そうなの?」とか、ネガティブなところに入り込んでるラブソングっていうのはなくて。そういう意味では、一番暗い楽曲かもしれない。
--仮の話ですけど、大塚さんが幸せな結婚をしたとして、こういった楽曲たちはどうなっていくんでしょうね?
大塚愛:結婚したことがないので分からないです(笑)。
--ですよね(笑)。いや、でもさっきの話じゃないですけど、リアルな想いを歌っていく人であればあるほど、プライベートでの恋愛だったり絆みたいなものがそこに反映されていくわけで。
大塚愛:そうですね。なので「もしかしたら私はこうして作家活動を続けていく限り、ひとりの人と永遠を共にしてはいけないのではないか?」と、過去に考えたことはあります。新鮮な恋が始まって、中盤があって、終焉があって、また次の恋ってならないと、もしかしたら楽曲を作るためにはダメなのかもしれないとか。で、「何?その人生」って(笑)。「その代償は大きいなぁ」と思ったことはありますね。
--今は?
大塚愛:永遠かどうかは永遠になってみないと分からないし、ひとつの恋愛が続く中でもずっと同じではないし、やっぱりいろんなことがある。恋愛がスタートする時点では味わえない愛情もあるし。そう思ってからは、別に「いろんな人と恋愛を繰り返していかなければいけない」なんてことはないなって。
--『クラゲ、流れ星』の話に戻しますが、どうしてこのタイトルに?
大塚愛:遠く離れてる人との距離を感じる中での、自分の気持ちの行き来。その中で大きなアーチを描くものとしての“流れ星”だったり、“流れ星”を見つけて嬉しくなったときに思い出す人の顔だったり、そういうイメージが自分の中であって。で、その“流れ星”がスローになっときに“クラゲ”に見えるなって感じて『クラゲ、流れ星』と思ってしまったんですよね。それでこのタイトルに。
--そんな『クラゲ、流れ星』、どんな人にどんな風に届いたらいいなと思いますか?
大塚愛:やっぱり恋愛をしている女性に届いてほしいですね。想いが上手く発散できなかったり、何て言葉にしていいか分からなかったり、どうすればその気持ちをストレートに伝えることができのか?と思い悩んでしまって、ちょっと自分の中で立ち止まってしまっている女性たちに聴いてほしいです。別にそれでどうにかなるってわけじゃないと思うんですけど、でも自分の気持ちがこの楽曲に重なることで、何かしら前へ出せたらいいなって。伝わるかどうかは別としても、自分の気持ちが吐き出せるような楽曲になってくれたらいいなと思います。
--バラードシングルとしては前作となる『ポケット』では、なかなか自分の気持ちをコントロール出来ずに音楽番組などで苦しんだこともあったと話していましたが、今作はどうなりそうですか?
大塚愛:『ポケット』は別格で、気持ちの整理があまりに難しいものだったので、別に歌的に難しいわけではなかったんですよ。ただ『クラゲ、流れ星』は、何が難しいかって本当にキーが高くてしんどい(笑)。で、息継ぎできる場所もあんまりなくて。ちょっとあんまり・・・。
--あんまり(笑)?
大塚愛:いや、難しいなって(笑)。どんなに練習しても、そのときの体調と気分と、いろんなモニターとかの環境がすべてなんですよ。だから練習すれば何とかなるものじゃなくて、その瞬間にラッキーな状況が整わないとダメなんです。でも「そんなに打率が低いっていうのは、プロとしてどうか?」と思って(笑)環境が悪くても歌えるようにならないとなぁって。
--今作の他の収録曲についても聴いていきたいんですが、2曲目『H2O』。こちらはどんなイメージを膨らませながら作っていった楽曲なんでしょう?
大塚愛:これは、いろんな人生の中で、くっついて作られるものとか、離れても忘れられないものとか、いろいろ形を変えながらいろいろなものに出会っていく不思議さ。それって液体っぽいなと思い、タイトルも『H2O』に。
--大塚さんの楽曲の話を聞いてると「液体」ってよく出てきますよね。
大塚愛:確かに(笑)。人間の体の中も水多いし、あらゆる毛穴からいつも水が出てるじゃないですか。だから液体は切っても離せないものなんです。
--あと、個人的には「目の前にあなたがいる!」のくだりの、大塚さんの力み具合がたまらなく好きなんですけど、最近はこういうアッパーチューンでもどれだけエネルギーを爆発させられるか!?的なところに果敢にチャレンジしてますよね?
大塚愛:そうですね。最近そういうパワフル系の歌をやっていくゾーンに入っちゃったのか、そういうのが多くて、すごく疲れます。
--自分で作ってんのに(笑)。
大塚愛:疲れます!本当に歌い終わった後に「疲れた」って言っちゃう感じ。でも、なんでか分かんないんですけど、そういうゾーンに入っちゃったんですよね。早く抜け出したいんですけど(笑)。
Interviewer:平賀哲雄
どっぷり切ない、でも想いは強い
--あと、この楽曲の歌ってることって、ちょっと『ロケットスニーカー』にも近いですよね?私はこれからこんな風にして生きていく!っていうことが歌われているというか。
大塚愛:そうですね。ただ、この楽曲はすごくユーモアがあるなって自分では思ってて。壊れては出会い、またときめいて、歩き出して、嬉しくて、でもまた壊れるっていう。やっぱり恋愛は「ああなってこうなってゴールです!」では終われないし。そのリアルに最後戻すかどうかは迷って、良いままで終わるのも良かったんだけど、なんかそれって本当じゃないなと思って。で、やっぱり壊しちゃいました。
--今って、もう思ったことがあったらとにかく歌にして叫んでみよう!みたいなモードだったりしますか?
大塚愛:そういうときもあるし、「あ、いいな」って食い付いてみたものの「まだそこまで深くは掘り下げられないな。だから候補にしとこ」とか、いろいろパターンはあります。
--なんで今の質問をしたかと言うと、前作『ロケットスニーカー』とか今回の『H2O』とか、心から湧き出てくるままに歌いますよ!的なアッパー系の楽曲が続いたからなんですけど。
大塚愛:昔のアッパー系の楽曲は、ちょっと“遊び”っていうテーマが目立ってたり、いろんなものをふざけてみたりとかしてて。でも最近はアッパーの感じが“生命力”っていう感じにシフトしているような気がしていて。もちろん遊ばないわけじゃないんですけど、そういう生命力のある歌っていうのを今までやってこなかったので、ある意味、新境地だなって思うし、音楽を聴いて生きるパワーが湧いたりしたらすごく素敵だなって思ったんですよね。
--今後もそこは突き詰めていきたいなと?
大塚愛:そうですね。どうしても日本人は切ない恋愛の歌が好きだと思うので、その中で「生命力!」とか言って受けるかどうかは分からないんですけど、なんか、やっぱり「人生疲れるなぁ」とか「明日も大変だなぁ」って思ってる人に聴いてもらって「頑張ろう」って、意外に思ってもらえるようなジャンルも私の引き出しとしてあったらいいなと思っていて。
--春のツアーで『ロケットスニーカー』を聴かせてもらって、多分あの時は初披露というのもあって・・・。
大塚愛:すみませんでした!
--完成系ではなかったと思うんですけど(笑)、やっぱりあの楽曲があれだけの人の前でガツン!と決まったら、とんでもないことになるんだろうなとは感じたんですよね。
大塚愛:はい。
--なので、そこはぜひぜひ追求していってほしいなと。
大塚愛:はい。
--なんで、うなだれてるんですか(笑)?
大塚愛:『ロケットスニーカー』は物凄く難しくて。未だに成功したことがないんですよ(注:このインタビュー後の【a-nation'08】では、ガツン!と決まった同曲を体感させてくれました)。リハーサルでもほとんどないんじゃないかっていうぐらい難しくて。あの楽曲って、私も演奏しているみんなも気持ちがひとつにガツン!と決まらないとダメ。心の底から全身全霊でぶつからないと、本当にくっだらない歌に聞こえるんですよ。っていうことは、自分が全身全霊を使ってその1曲にぶつかっていけるパワーがその時あるかないか?って話になるんですけど、それってすっごい大変だなって。
--悪い言い方をすれば、物凄く面倒くさい楽曲を作ってしまったと(笑)。
大塚愛:そうそう!すごい嫌(笑)。でもあの楽曲をやって本当に「やった!」って思えたときは、本当に最高の気分になってると思います。
--そして今作の3曲目に収録されている『雨の粒、ワルツ ~LOVE MUSiC~』。こちらはあの『LOVE MUSiC』のフレーズも使用したナンバーとなっていますが、どんな想いを込めているの?
大塚愛:恐怖を描きました。気持ちというものに翻弄される自分というテーマがまずあって、言葉に冒される恐怖とか、自分が分裂する恐怖とか、ピュア故の怖さとか、愛情に対する憎悪とか、そういう恐怖を描きました。
--なぜそうしたテーマの楽曲を作ろうと?
大塚愛:元々恐怖が好きで。
--はい(笑)。
大塚愛:(笑)。あと映画のサントラっぽい、いろんなものが楽器になっているような、あんまり歌に聞こえない感じとかが好きで。あと、よく分かんない気持ちの書き方とか、そういうのがすごく大好きで、大得意で。なので、自分の中では「なんでそこ行った?」っていう感じはしてないんです。
--最近の大塚 愛のシングルの3曲目は注目して聴いてて。ここはいろんな実験をしている場でもあるのかな?って思ってたりするんですが、実際のところは?
大塚愛:いろんなタイプの楽曲があって、A面系とか、B面だけどA面寄りとか。その中でもちろん1曲目は大衆に好かれそうなもの、2曲目は自分のやってる趣味ぐらいの範囲のもの、そして3曲目は、やりすぎたもの。
--なるほど(笑)。
大塚愛:やりたいほうだい(笑)。そういうポジション付けはありますね。だから私のシングルは聴いてるとだんだん濃くなっていくんです。だんだん私に近くなっていくというか。
--ちなみに今回の3曲目に『LOVE MUSiC』のフレーズを使用したのは?
大塚愛:『LOVE MUSiC』の「あなたの音になる 音になって届けたい あなたの声になる 声になってこの詩届ける」は、最初はサビで使おうと思っていたぐらい、私の中で出てきたときにすごくガッツポーズなフレーズで。で、今回の楽曲は言葉や言葉の作る魂だったりについて書いていたので、サビにそのフレーズがびっちりハマっちゃったんです。
『LOVE MUSiC』のときはその2行のフレーズが温かかったり「助けるよ」「共感するよ」っていうイメージだったんです。でも言葉って温かいものを伝えることもあるけど、逆に発してはいけない言葉だったり、言ってしまったが故に生まれる恐怖だったり、そういうネガティブな要素もあって。今回の楽曲ではそれを表現する為にあの2行のフレーズがあるんですよね。言葉によって支配されてしまう自分だったり、言葉は本当に危ない・怖いっていう。
--そんな3曲が収録されたニューシングル『クラゲ、流れ星』のリリースタイミングで大塚 愛は、デビュー5周年に突入します。10年を一括りと考えて、後半の5年間はどんな5年間になっていくと思いますか?
大塚愛:3年ぐらい先のプランまでは、多分どのアーティストさんもある程度見えてると思うんですけど、5年とかになってくると分からない。多分その頃にはいろんなことをクリアーしてるから選択肢も多いし。ただ、その中で何かを決め込んでやっていくよりかは、成功したら「もっとやってみよう」失敗したら「やっぱ違うか」みたいな感じでやってるのかな~とは思います。
--では、最後になるんですが、読者の皆さんにメッセージをお願いします!
大塚愛:女の子たちから「好き」って言われるのは、やっぱり恋のことを歌っている楽曲が多くて。なので、5周年の節目には大塚 愛が繰り出すラブソングを聴いてもらいたいと思い、この『クラゲ、流れ星』をリリースすることにしました。私のベースにある「どっぷり切ない、でも想いは強い」という内容になっているので、本当に恋をしている女の子たち、過去に恋愛をして今はぐったりしてる女の子たち(笑)とか、いろんな人に幅広く聴いてほしいです。
Interviewer:平賀哲雄
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