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－－前回『恋愛写真』のリリースタイミングでインタビューさせてもらったあとに映画『ただ、君を愛してる』観たんですけど、去年観た映画で一番感動しましたね。二回観て二回泣きました。大塚さんの中では『ただ、君を愛してる』はどんな映画になっていますか？

大塚愛：すごく良い思い出みたいな感じもありつつ、でもちゃんと未来に繋がっているというか、なんとも言えない不思議な感覚がありますよね？あの映画は。今後ずーっと『ただ、君を愛してる』も『恋愛写真』もみんなの中から消えずに残り続けてほしい。染み込んでいく感じの映画だと思うし、派手な展開や演出があるわけじゃないけど、じんわりと心に残り続ける物語なので。

－－で、『ただ、君を愛してる』が去年最も切なく愛おしいラブストーリーだったならば、その主題歌『恋愛写真』は、去年最も切なく愛おしいラブソングだったとお世辞じゃなく思っていて。それが奇跡的にリンクしたエンドロールにまた涙した人も多かったと思うんですけど、自身でもあそこは感動的でしたか？

大塚愛：ありがとうございます。あそこで『恋愛写真』が流れてくると、切ない想いが倍増すると、自分で創っておきながら思います（笑）。普通に本当に涙が出ちゃう感じです。

－－あそこまで感動的なシンクロを起こしたのは、やっぱり本気で人を好きになった気持ちの価値って誰にとっても等価値だからなんでしょうね。それを本気で映画や音楽で表現すれば、それは当然感動的な作品になるっていう。大塚さんはどう思いますか？

大塚愛：やっぱり『ただ、君を愛してる』の映像とストーリーを追っていく中で、皆さんの中にある想い、本気で人を好きになるっていう感情が高まって高まって、最後に『恋愛写真』が聞こえてくる。そのときに「すごく切ない」っていう想いで心がいっぱいになる。「こんなに好きなのに・・・」っていう想いでいっぱいになる。みんな主人公の女の子、里中静流の気持ちが重なる。で、『恋愛写真』で歌われる言葉の数々が静流の気持ちそのものに聞こえてくるんですよね。それが自分の気持ちのようにも感じるから涙が零れるんだと思います。

－－そんな『恋愛写真』、不思議なことにって言ったら失礼かもしれませんけど、何度聴いても飽きないし、胸を締め付けてくるんですが、だったら創った本人はなおさらそうだろうなって思ったりもするんですが、実際のところはどう？

大塚愛：しみじみする感じです。「切ないなぁ」って。私、ああいう一言では片付けられない切なさを持つ曲がすごく好きなんです。なんとも言えない気持ち。でも幸せなんだなぁとも感じる。そういう楽曲は簡単には生まれてこないですね。

－－で、僕はこれだけの曲を世に出して、そして前回のインタビューで「これまでにないぐらい『ポケット』［※昨年9月9日に日比谷野外大音楽堂で彼女が初めて歌ったナンバー。その後リリースされたライブDVDには未収録］と『恋愛写真』は本当の自分の想いを綴った曲」という話も聞いていたので、もしかしたらこれを最後に引退しちゃうんじゃないかって勝手に心配したりしていたんですけど（笑）。

大塚愛：（笑）。ただいつもシングルを出す度に「ここで終わっても構わない」とは思います。「この一曲で終わっても構わない」って。それは毎回それぐらい「やりきった」と思える作品を出し続けたいと思ってるからです。特に『恋愛写真』は「これで終わっても悔いはない」って思えるぐらい、すごく思い入れのある作品になりました。そこまで思える作品ができたからこそ「次の一歩に踏み出せる」っていう感覚も生まれたし、だからこそ今回のシングルが『恋愛写真』とは、あまりに掛け離れた作品になったんだと思います。

－－『恋愛写真』という楽曲自体が持つ力もさることながら、大塚 愛という人がそこまでピュアに自己表現をしたモノを発表したっていうのは、僕やファンの中でも大きな出来事だったんです。で、「今思えば、なぜ3周年でアニバーサリーライブ？」とか「え？ベスト出るの？」とかあって（笑）。

大塚愛：アハハ！

－－でも「これからも大塚 愛は歌っていくぞ」ということでいいんですよね？

大塚愛：そうですね（笑）。

－－まぁでも今回のシングル『CHU-LIP』が世に出れば、誰も大塚さんが引退するなんて思わないと思います（笑）。なんだろう？過去に遡れば、『大好きだよ。』とか『プラネタリウム』も本当に名バラードだと思うし、実際人気もあると思うんですけど、『CHU-LIP』のような楽曲が飛ぶ出すと妙な安心感があるんですよね。「あ、大塚愛だ」っていう。そこは自覚しているところだったりもします？

大塚愛：アハハ！まぁでも私の印象って本当に人それぞれなんです。人によって全く違う印象を持たれていて。だからと言ってどれかを否定する気もないし、誰かに「違うんですよ！私はこうなんですよ！」って言ったところで、本当にバラバラなんで。
この前、久しぶりに懐かしい言葉を聞いたんですけど、ある人が私のことを「正統派アイドルだ」って言っていたのを聞いて（笑）「懐かしいな！その響き！」みたいな。まだそうやって思ってる人もいるんだと思ったり。でもそれを否定はしない。「アップの大塚」って思ってる方も多くいらっしゃると思うし、「バラードの大塚」って思ってる方もいっぱいいるし。ただ実際ライブとかで困るのは、アップの楽曲が足りないところなんです。バラードだったりミディアムだったり、しっとりした楽曲が多いばっかりに悩むんです。それでも「アップの大塚」って思ってる人が多くいるんで、これは本当に人それぞれだなって。本当バラバラ。まぁ私がバラバラの楽曲を出してるからなんですけど（笑）。でもそうやってバラバラな印象を持ってもらえるのは、すごく嬉しいこと。次の楽曲、次の楽曲を出す度にコロコロ変えていきやすいので、私的には楽しい。

－－ひとつのイメージに固められるのが嫌。っていうのもありますか？

大塚愛：あんまり「こういう娘なんでしょ！」って決めつけられてしまうのは好きじゃないです。だから今のこの状況はすごく好ましいし、面白いです。

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－－以前、デビュー前からファーストアルバム『LOVE PUNCH』をリリースするまでのビジョンはあったと言っていたじゃないですか。「とりあえずそこまで行かないと話になんない」って気持ちが大きかったって。で、実際にそれ以降は、かなり理想的な状況で音楽をやれているイメージが強いんですけど。

大塚愛：そうですね。最初の方は本当に「分かりやすさ」を一番大事にしていたりして、皆さんに「こういう人がいるんだ」っていうことを分かっていただいた上で、どんどん深いモノを見せていきたい。それが最初に作った流れだったんで、それ以降は「これが本当は一番やりたかったことですよ」っていう楽曲も出せたりなんかして、その上でまた遊びつつ、真剣にやりつつ、いろんなモノをやっていけるっていうのは、これまで3年間やってきた中で確立できた形。だからこそ4年目からはもっともっと幅を広げていけると思う。かと言って、芯の部分を変える気もなくて。遊び心のある楽曲もあれば、真剣に伝えたいことを伝える楽曲も作っていきたい。そこは変わらず、華やかにやっていきたいです。

－－で、大塚 愛がデビュー前から考えていたビジョン、そしてひとつの目標を達成した後のビジョンの中の最終的に辿り着きたかった場所が僕は『恋愛写真』のリリースだと思っていたんですけど、今回『CHU-LIP』を聴いて「大塚 愛のビジョンっていうのは、もっと大きいな」って思ったんですよ。

大塚愛：（笑）。私自身も『CHU-LIP』は、自分の中にこれまであったようでなかったような、すごく新鮮な気分にさせてもらってるんです。今まで「ラブソング」とか「何とかソング」とか、結構位置づけしやすい楽曲が多かったんですけど、この楽曲は何ソングなのかよく分かんなくて。でもよく分かんないことがテーマだったりもして、「よく分からないことを伝えたい」みたいな。よく分からないんですけど（笑）。だからこの楽曲を聴いてもらったら「よく分からないな」って思ってもらうことが一番の狙いなのかな。で、そのよく分からない感じに気付いたら洗脳される！みたいな。そんな感じでとりあえず今年の春は飾っていきたいなと。
あと、この楽曲に関しては、良い意味でイライラしてほしい（笑）。「なんかムカつくけど、もう一回聴こう」みたいな。「何がしたいんだよ？この女」っていう感じではあるのに、でも気になるから最終的には聴いてしまう。で、気付いたら意味も分からず「とにかく騒ぎたいから歌いたい！」ってなる。子供たちが意味も分からず歌ってるのも面白いだろうし、大人たちが本当の意味をマニアックに楽しんでいるのも面白いし。まぁよく分かんない楽曲です（笑）。

－－あの、大塚 愛ほどの知名度のあるアーティストになると「ただ純粋に音楽を創る」ってモノ以外の部分がどんどん幅を効かせてくるようになって、勝手なことを言う奴もあちこちに出てくるし、まぁ言うならばしんどい状況だと想定するんですよ。でもライブ観れば『ポンポン』叫んでるし、今回も「なぞ♪」とか言ってるし（笑）すげぇ出てくる音楽は面白いし、バラードでは感動させるし、なんでそんなことができるんですか（笑）？

大塚愛：なんででしょう（笑）？う～ん・・・多分、そういう人なんでしょうね。すごく真面目だし、すごくバカだし、すごく賢いようにも見えたりする。私自身も私に対して一歩引いて見てるんで、自分がリアルなようでリアルじゃなかったりもするんですけど。最近久しぶりに『プラネタリウム』を聴いて、リリースした頃にあった「なんでみんなが良い楽曲って言ってくれてるんだろう？」っていう疑問が「あっ！『プラネタリウム』って良い曲だな」って（笑）。今になって思い始めたんです。それは、“大塚 愛”と言ってもその中ではいろいろ分かれていて、それぞれが考えてやっている部分があるからだと思うんですけど。自分でもね、「一回頭割って中を見てみたいな」と、思いますね。

－－なるほど（笑）。

大塚愛：あと、変なところポジティブなんですよ。「あ、ここで私が泣いているのは、映画で一番みんなが涙するシーンのようだ」「ここで泣いておかないと！」とか、客観的に思ったり（笑）。でも「そんな面白い私の人生はまるで映画のようだわ」って思ったり。そんな感じもありつつ、良い感じで運命の歯車を感じていたりとか。

－－そんな大塚 愛がいろんなモノを通して見せるいろんな要素がですね、僕にはすごく天才的に映ったりするんですよ。

大塚愛：とんでもないですっ。

－－楽曲ひとつにしても「このタイミングでこう来るか！」とか驚かされるし、『恋愛写真』のあとに『CHU-LIP』のような楽曲を出せるところもそうだし、『CHU-LIP』の内容に関してでもですね、こんなに天才的なおバカソングはないと思うんですよね。

大塚愛：（笑）。

－－すごくおバカソングなんですけど、天才的なひらめきと計算によって出来てる楽曲だと感じるんですよ。それは聴く人が聴けば感じることだと思うんですけど、自分で「私って天才？」って思うことありませんか？

大塚愛：・・・たまにありますね！

－－（笑）。

大塚愛：『CHU-LIP』で言えば「謎 遺伝子」を思い付いたときは天才だと思いました（笑）。「これだぁ～！」って。でもやっぱりそれも波があって、そうやって自分を評価するときもあれば、やっぱり突かれたり叩かれたりしているときは、素直に「そう思われちゃうんだな・・・」って落ち込んだりもする。別にいつも「へぇ！そう思うんだ！」って返せるわけでもないし。でも最終的には「自分がどうしたいか？」それだけだろうなって。

－－うんうん。

大塚愛：「何かが足りないんだったら、埋めればいいじゃない！」っていう感覚があるんです。それはもしかしたら幼い頃からいろいろ感じてきたことの結果、辿り着いた感覚かもしれない。例えば「ブス！」って言われたら「じゃあ、努力すればいいじゃない！」とか、「背が小さいんだったらヒール履けばいい！」とか、そうやって何事に対しても返していくんですよね。「だって私、だって私・・・」ってなると、果てしなく悪いことなんていっぱいあるじゃないですか。だったら「それを埋められる何かを見つければいい」「じゃあ見つけよう！」みたいな。それで、すぐに「じゃあそれを見つけるためには！」って考えて、そういうテンポは早いかもしれないです。

－－それって反骨精神みたいなモノだったりするんですかね？

大塚愛：そうですね。それは昔からあるかも。小学生ぐらいのときから、学校に通ってれば、イジメたりイジメられたりっていうのは絶対あるじゃないですか。その中で自分を見失ったりする人もたくさんいると思うんですけど、それでも「生きていかなきゃいけない」って普通に思ったときに「周りがこうだから、自分はこの立ち位置にいなきゃいけないんじゃないか」とかは、どうでもよくて。「じゃあ、自分はどうしたいんだ？」「楽しく生きたい！」ってなったら、その楽しく生きる姿勢を貫いていけばいいと思うんです。そうやって自分から自分を変えていけば、周りも変わっていったりする。だから自分の人生は、自分がどう感じて、どう思って、どう判断するか。それしかないと思うんです。あんまり時代に合わせて生きていこうとは思わず、なんとなく流れに乗りながらも「自分がどうありたいか」っていうのを常に持っておく。音楽に対してもそうですね。そうやって楽曲を創ってます。

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－－その大塚さんの根底にある考えは、今シーンにおける大塚 愛の立ち位置にもそのまま反映されてますよね？「大塚 愛のライバルは誰だ？」とか「大塚 愛はこのカテゴリー」とか、そういう次元や枠組みにいない感じがする。

大塚愛：そうかもしれないですね。あくまで個体でいるような気はしてます。「大塚 愛はこうだからこうじゃない？」って言われるのが嫌なのもあるし。だから他の誰かと一緒にされても私は「？」ですし。かと言って、みんなを懸念してるわけではないんですよ。常に「みんなすごいよなぁ」って本当に思うし。だから私は留まらないだけなんです、ひとつのところに。

－－あの、初めて大塚さんが【a-nation】に出る前のインタビューで、「【a-nation】に向けての意気込みは？」みたいな質問を僕がしたときに「【a-nation】は大先輩の方々がいっぱいいるけど、私はその中で一般人みたいなノリで出る」みたいなことを言っていたのを思いだしたんですけど（笑）。

大塚愛：（笑）。

－－その姿勢でそのまま来てるな！っていうのを、今の話からも感じたりするんですけど、そこは自覚としてあります？

大塚愛：そうですね。元々「エイベックスっぽくない」「だからこそ、おまえをデビューさせるんだ」って言われて入ってるもんで（笑）、だからそのままのノリでやらせてもらってる自覚はあります。でもそれが良いときもありつつ、やり過ぎて怒られるときもあるんですよ（笑）。

－－（笑）。でもそのスタイルを確立できなかったら、『CHU-LIP』っていう楽曲は世に出せなかったと思うんですよ。

大塚愛：（笑）。

－－「本気で遊ぶ」って正にこれのことだなって。そういう楽曲ってなかなか理解されないじゃないですか。まず外に出す前に。

大塚愛：うんうん。そうですね。

－－それをシングルとして世に出せるっていうのは、自ら確立した大塚 愛の在り方あって然りだと思うんですよ。で、実際にこの楽曲が出たら相当ウケると思うんですよ。しかも聴けば聴くほど。そこの自信というのは自分でもあります？

大塚愛：どうだろう？ウケる人にはウケると思うんですけど。でもそれは今まで出してきたどの楽曲も一緒だったし。ただ私は純粋に「ムカつくなぁ！この歌！」って言いながら盛り上がってもらいたい。そんな気持ちで『CHU-LIP』は創ってますね。踊ってしまえるような楽曲。まぁエイベックスのキャッチコピーなんですけど、「踊れる未来へ」（笑）。

－－踊りの種類はちょっと違うけど（笑）。

大塚愛：そうですね！私的に「踊れる未来へ」なんですけど（笑）。

－－『フレンジャー』のときもそうなんですけど、聴けば聴くほど楽しくなるんですよ、大塚 愛の楽曲は。「なんかこの歌い方気になるとか」「このフレーズ気になる」っていう風に。そこって確信犯的な部分もあると思うんですけど、どんどん思い付く感じなんですか？

大塚愛：やっぱり思い付いたときは、テンションが昂ぶって最高潮のときなんで、「これでイケる！」ってよく言ってます。でもどれも偶然ですね。

－－ただそれを聴いた人がハマったときってたまらなく嬉しかったりするんじゃないですか？

大塚愛：そうですね！でも後々気付くことも結構多くって。最初に「あぁ良い曲だな」と思ってリリースして、それから世に揉まれて、久しぶりにそれを聴いたときにその楽曲のどの部分が良いのか、改めて分かったりすることがあって。なんでみんなが『さくらんぼ』に対して「“私 さくらんぼ”だって！」って面白がってるんだろう？って、最初は思うんです。こっちは単純に良い楽曲だと思って出してるだけなので。でも最近聴いたら「“私 さくらんぼ”ってよく言ったな！」「なんだ？それ」みたいな（笑）。「そりゃみんなビックリするわ～」ってことに初めて気付いたり。それは「面白いな～」って客観的に思います。

－－なるほど。まぁでも周りがこれからどんどん「桜」ソング歌っていくのに「チューリップ」っていう、この確信犯的犯行（笑）。っていうのは、深読みしすぎですかね？

大塚愛：アハハハ！あ、そっか！そうですね。確かに春と言えば「桜」ですもんね。まぁでも根強く下から行くのは「チューリップ」ですからね。

－－それが大塚 愛だと。

大塚愛：・・・（笑）。

－－無理矢理ですね、今のはね。

大塚愛：そうですね（笑）。

－－あと、僕、何かのテレビ番組で「大塚さんが電話での会話中に突然電話を切って面白がってる」っていうのを聞いたんですよ。

大塚愛：ごめんなさい（笑）！

－－で、僕も試しに昨日同じことをやってみたんですけど、めちゃくちゃ面白くて笑いが止まらなくなって（笑）そのときに「あ、大塚 愛の原動力ってこれだ」って（笑）。

大塚愛：（笑）。あの～、特に悪気はないんですけど、やっちゃうんですよ。すごく怒られてます。

－－（笑）。

大塚愛：だから何だ？って話ですよね（笑）。

［※よい子はマネしないでねっ］

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－－いや、でも大塚 愛って、一歩間違えれば「悪ふざけ」と捉えられるところと、笑って「喜んでもらえる」のすごく微妙なラインを渡り歩いてる感じがするんですよ。そういう行為にしても、ライブの演出にしても、『CHU-LIP』にしても。

大塚愛：うんうん。でも電話の件に関しては、なんか、おかしくなっちゃってるだけですね（笑）。電話で話してるのに「あ、お風呂洗わなきゃ」とふと思うと、「あ、切っちゃった」ってなる（笑）。

－－なるほどね（笑）。まぁでも以前にも似たような話をしましたけど「楽しむ」っていうのは、この仕事をやる基本姿勢として大塚さんにはありますよね？

大塚愛：そうですね。音楽に乗って、リズムに乗って、一緒に歌って、ワァ～ってテンションが上がることって、本当にすごい薬だなって思うんですよ。楽しい気分に音楽が乗ったときって、最高潮に楽しいし、それをまた数多くの人たちと一緒に体感するっていうのは、本当に人間にとってすごく必要なことだと思う。そういう楽曲を私も求めてるし、求められてるんだなって感じるし。それは大事にしていきたいこと。私自身も『CHU-LIP』とか創って「バッカだなぁ」って思いながらもやっぱり口が笑ってるから、それって「すごい魔法だな」って思います。

－－ちなみに今回の『CHU-LIP』、歌詞はどんなイメージを浮かべて創り上げていったの？

大塚愛：そもそも体の中の遺伝子に対しては「あるんだろうなぁ」ぐらいの感覚なんだけど、でも「みんな遺伝子から生まれて、今も体の中の遺伝子によって・・・」とか考えるとすごく難しくて、すごくシュール。だけどそういうよく分からないことに実はすべてが隠されていて、その中にいろんな情報が盛り込まれてて、知らず知らずになんとなくフィーリングを感じたときに「これって遺伝子のいたずらなのかなぁ」って思ったりする。詳しいことは分からないけど、そんな感じで漠然としたイメージのまま遺伝子について書いてますね。もし私が医者になれるぐらい頭がよかったら、この楽曲はものすごく賢い歌になっていたかもしれないんですけど、私のIQレベルだと、これぐらい。だから「なぞ♪」（笑）。

－－あと、『CHU-LIP』のアートワークは、大塚さんのマイアイデア？

大塚愛：そうです。チューリップの絵も私が書いてるんですけど、「こんな花があったら怖いな」って思いつつ。

－－アートワークは、毎回自分で手掛けてるの？

大塚愛：そうですね。それをやらせていただいているおかげで『SMILY』の綴りが間違ったりとか。「そのまま行っちゃった」みたいな（笑）。

［※ここから先は、『CHU-LIP』のPVを実際に観てからお楽しみください］

▲MusicVideo『CHU-LIP』

－－あと、『CHU-LIP』のPVはどんな内容になってるんですか？

大塚愛：今回のPVはこの楽曲以上にヤバイ、感動的な、真剣な、胞子のストーリー。胞子が飛びだって、死んでいく胞子もたくさんいる中で、最後にチューリップに辿り着く。そういったストーリーをベースに・・・アダルトな、映像になっています。

－－まったくイメージできませんね。

大塚愛：あの～、結構「18禁」的な。

－－セクシー系ですか？

大塚愛：そうですね。あの～、子供には分からないかもしれません。あの、“実際に見たことがある人”にしか分からないシーンもありますし、“経験したことのない人”は見てもなんだかさっぱり分からない感じだと思います。

－－マジっすか！？

大塚愛：はい。ただ、感動的な胞子のストーリーです。

［※ここまでは、『CHU-LIP』のPVを実際に観てからお楽しみください］

－－で、2007年はこの『CHU-LIP』で幕を開けるわけですが、どんな一年になっていきそうですか？

大塚愛：今年は「これまで以上に頑張りたいな」って思っているので、すごく真剣にバカなこともやりたいし、すごく真剣に盛り上がりたいし、すごく真剣に熱い歌をうたいたいなと思っています。さすがにもう新人気分は終わらないといけない時期になってきてるんで、「ここからは自分の足でしっかりと立っていかないと」って思っています。

－－あと、ベストアルバムのリリースも決まってますが、ベストが出るってどんな気分？

大塚愛：あんまり「ここまでよく来たね」とか、そういう感覚じゃなくて、「とりあえず通過点」みたいな感覚ではあるんですけど、聴いてみると、最初の頃からみんなが愛してくれた『プラネタリウム』までの流れがすごくよく分かって、今までのひとつひとつの絵が見えてくるんです。それで、今自分がどこまで来ているのかを改めて感じてます。

－－またベストには収録されない『フレンジャー』『ユメクイ』『恋愛写真』『CHU-LIP』といったシングルも貯まってきていますけど、次なるオリジナルアルバムのイメージも出来上がりつつあるんじゃないですか？

大塚愛：え～っと、イメージはあるんですけど、内緒です（笑）。

－－楽しみにしています。それでは、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします！

大塚愛：今回の一枚は、『CHU-LIP』では思いっきり騒げて、カップリングの『キミにカエル。』ではしんみりできて、この季節をすごく楽しめる作品になってます。振り返ることも前に向かうこともできる、そんな面白い一枚になっているんで、ぜひ聴いてください！