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大塚 愛『ネコに風船』インタビュー

大塚愛 『ネコに風船』 インタビュー

 今更説明不要かもしれないけど、大塚愛は今をときめく売れっ子シンガーソングライターってやつである。でも基本は関西でよく目にするタイプの女の子である(笑)。彼女に、トップアーティストとしての誇りを!私が日本のシーンを変えるのよ!なんてことを口にしそうなイメージは一切ない。どちらかと言えば、9th Single『ネコに風船』のジャケット写真同様、フツーの猫とのツーショット写真が似合うような、関西人らしい陽気で楽しいことが大好きな女の子だ。それ故に、僕らは彼女の生み出す音楽に親しみを持つ。それはもう、他のアーティストの曲では感じたことがないほどの親しみやすさ。で、会ったら、やっぱりそんなイメージどおりの女の子で、「うわぁ~めっちゃオモロイわぁ、自分」と言いたくなるぐらいの楽しい時間を今回のインタビューで過ごさせてくれた。『ネコに風船』はついてはもちろん、先日終わったばかりの全国ホールツアー、トリビュートアルバムにも参加した『NANA』への思い入れ、DVDドラマ『東京フレンズ』に出演してみた感想などなど、事細かに語ってくれたので、皆さんもこのインタビューで彼女と楽しい時間をお過ごしください♪

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大塚愛 『ネコに風船』 インタビュー

--今日は初めてインタビューさせていただくということで、本当はデビューからお話を聞きたいぐらいなのですが(笑)、時間に限りがあるということで。2005年、今年も新しいチャレンジや貴重な体験をしながら突っ走っている感じがしますが、我ながら毎回面白いことをやってるなぁ、やらせてもらっているなぁ、という感覚はありますか?

大塚愛:やりたいことを「これやる!」って言って、それをちゃんと受け止めてくれているのはすごくありがたいなって思います。

--今年の動きで一番僕が驚いたのは『NANA』のトリビュートアルバムへの参加だったんですけど、あの話を最初にもらった時はどんな心境でした?

大塚愛:まず、「NANAの・・・、」って言われた瞬間に「ハイッ!!」って飛びつく感じで(笑)、「まぁ話を聞け」みたいな(笑)。それで、トリビュートアルバムの話を聞いて、あんまり何かのために書き下ろすという経験がなかったので、ず~っと読んでいた『NANA』なんだけど、「失礼なことがあってはいけないから、もう一回読もう!とか(笑)。でも、曲を聴いていただいて「トラネスのレイラが本当に見えるよ。」っていう感想をもらった時にはすごく良かったな、狙い通りだなって。結構あの曲の人気も高かったりして、すごい良かったなっていう気がします。

--あのアルバムは、ブラスト側とトラネス側に別れて曲を書くというコンセプトがありましたが、それ以外は結構自由に書いていい感じだったんですか?

大塚愛:そうですね、「本当にその気持ちになって書いて下さい」って言われただけで。なのにも関わらず私は矢沢あい先生と一度お話をしようと思って(笑)、やるからには結構詰めたいところがあったので、一度お話をして、受け止めていた私の感じと先生の思っていることがどれだけ一致してるんだろう、というところをなんとなく聞かせていただいて、それで『Cherish 』が出来たんですよ。

--レイラの気持ちを歌うっていうのは、大塚さんのアイデアだったんですか?

大塚愛:そうですね。『NANA』を読んでいる感じでは、今までのトラネスの歌詞が「どうも嘘臭いな」ってやっぱり思ってて、レイラも“売れる歌詞を書かなきゃいけない”っていうのもあったと思うし、だけどそんなレイラにも心の変化があったので、そこら辺はもうぶっちゃけてもいいかなって。

--聴き手としては、レイラのシンに対する想いを歌っているのかな、という印象を受けたのですが。

大塚愛:そうです。シンに対する想いですね。

--実際に矢沢あいさんにお会いして色々とお話したみたいですけど、どうでした?

大塚愛:出たっ!!っていう感じ(笑)。「いつ来るんだろう、いつ来るんだろう?」って思っていたらそれらしい声が聞こえてきて、その中で失礼なんですけど、私の中で何かが迫ってくるって言ったらジョーズかゴジラのテーマなんですけど、そういう大物が来るって感じ、ああ、来た来た来た来たぁ~!!みたいな感じで(笑)。やっぱりすごく貫禄のある方で、もう存在感がすごい。こんなに存在感の大きな作者の方って他にいるんだろうか?と思いましたね。「ああ、だからだ!」っていう。

--だからあれだけのマンガを書けるんだっていう。ちなみに大塚愛さんから見た『NANA』の魅力っていうのは?

大塚愛:う~ん、そうですね・・・なんか全部が入っている感じがして、リアルも非現実も女の子らしさも汚らしさも、友情とか夢とか恋愛とかが全部入ってる、どれかひとつに固まってない感じがして、色んな親子関係だったりもあって、色んな背景がすべて『NANA』ワールドというか、あの中に入ると、今の自分が暮らしている現実とすごく近いのに、遠いから憧れもするし、すごい不思議なマンガだな、と。

--共感が持てるキャラやお気に入りのキャラはいますか?

大塚愛:ジュンコみたいな友達がいると怖いけどやっぱりいいな。ハッキリ言われるけど、必ず愛情が見えてるから。あとはジャクソンの店長とかと仲良くなりたい。

--ジャクソンって実際にあるの知ってます?僕、あそこに行って、実際に佐藤公一に会ってきたんですよ(笑)。見た目はマンガとはやっぱり違うんですけど、なんか雰囲気で分かるんですよ(笑)。

大塚愛:そうなんですか(笑)。

--ぜひ一度行っていただきたいと思いますが。ちなみに『Cherish』は、『JAM PUNCH Tour 2005 ~コンドルのパンツがくいコンドル~』でも披露されましたよね。実際にライヴで歌ってみた感想を聞かせてもらえますか?

大塚愛:私が最初の最初の頃から「『Cherish』を歌うときは雪を降らせたい」と言っていて、それを聞いてもらっていたから、てっきり降るもんだと思ってたんですよ、そしたらもう本当にライヴが始まる直前ぐらいで「雪は無理だね。」とか言われて、「ええっ!??雪は!?」って思ったら、スクリーンで雪が降ってて、「これかいっ!?」って思って(笑)。そしたら優しいことに東京国際フォーラムの公演では実現してくれて。壮大なんで、ステージも壮大にしたくて、それがウケたのか、『金魚花火』から『Cherish』へのくだりが一番人気だったんですよ。まさか、私の曲だけど、提供したものがそんなにウケるなんてビックリして。でも、そのくだりが山場でもあるので、「すごく良かったな」っていう気がします。

--僕は渋谷公会堂で聴かせてもらったんですけど、あの瞬間は大塚愛ではなく、“レイラ”であって“トラネス”だなって感じました。

大塚愛:そうですね、だから必ずマンガ上でレイラがしているお辞儀とまったく同じお辞儀をして。レイラと一緒。

--それぐらい入った方が観てる方も気持ち良いです。

大塚愛:しっかり読んでます(笑)。

--そんな『Cherish』も披露された『JAM PUNCH Tour 2005 ~コンドルのパンツがくいコンドル~』についてもお話を伺いたいのですが、初めての全国ホールツアーをやり終えてみて、どうですか?

大塚愛:終わってから初めて、「ライヴやりたいな」って(笑)。「あ、もう終わってる!」みたいな感じになって。とりあえず今までは「ライヴがしたい」とかいう気持ちはそこまでなかったのに、「ライヴがしたい」っていう気持ちを持ったっていうのは、自分の中でライヴの意味というか、そういったものがちょっと掴めたのかなっていう。

--学祭ツアーの時はそこまで掴めてなかった?

大塚愛:「やる」って言うことに対しての「頑張る」気持ちはあったんですけど、今回やっぱり一本通して長い時間かけて作り上げていくことで、それが作品に思えてきて、最後にはその一本の作品が「どうあるべきなのか」っていうのもちょっと分かった気がした。

--今回はすごく演出が抱負でしたが、すべて自分のアイデアだったんですか?

大塚愛:そうですね、いかに飽きさせないか。私が今までやってきたことを全てその中に入れた時に、「私のライヴを作っていかなきゃいけない」。それはおふざけでもあり真面目でもありびっくりでもあり、っていうのを全部含めてやるのが多分一番だなって思って。だから、CDも全部含めて「色んなことやるよね」って思われているように、ライヴもライヴなのかショーなのか何なのかが分からない、みたいものであったらいいなっていうことから、アトラクションっぽい感じでもあり、もう本当にディズニーランドみたいな遠くもあり近くでもありみたいな感じで作ってはいきました。

--僕は6年ぐらいライターをやってるんですけど、歴代のライヴレポートの中で大塚愛さんのが一番長くなりました(笑)。それぐらいに見せ所が豊富で、何より、“やるならとことん楽しんでしまえ”的なスピリットをすごく感じたんですけど、それは自分の中で大事にしてる部分だったりします?

大塚愛:そうですね、なんか中途半端な気持ちだったらやらなくてもいいんじゃないか、だったらCD聴いてもらってればいいんじゃないか、最悪3Dとかにしてしまえばいいんじゃないか、みたいな気持ちもするんで。「何が一番大事かな?」って考えた時に「やっぱり会場全体で音を楽しめてたらいいな」っていうことに辿りついたので。

--なるほど。あと、演出の面で触れたい部分があるんですが、メンバー紹介ひとつとっても楽しめる内容になっていましたよね!大塚さんは“忘れんぼ将軍”として紹介されていましたが(笑)、実際に“忘れんぼ”なんですか?

大塚愛:忘れんぼなんですよ、恐るべきぐらいに(笑)。最近ちょっとヤバイなって思うんですけど、昨日のことも忘れちゃうんですよね。何を食べてたのか?とか。これはちょっとヤバイなと、危機感はあり・・・なしっていう感じですね(笑)。

--最近やったひどい忘れものとかってあります?

大塚愛:大体いつも「これは絶対に明日持ってかなきゃいけない」っていうものは夜のうちに用意しておくか、朝起きて「憶えてた!よし、私天才!!」ってすぐに用意をして玄関に置いておく。なのに、いざ行く時になったらそれを玄関に置いて行ってしまう(笑)。用意したことで満足してしまうんですよ。

--確かに“将軍”と言っていいですね(笑)。

大塚愛:もう最悪です(笑)。

--また、ピアノソロから始まる『金魚花火』がすごく鮮明に残っています。ピアノソロから流れるように金魚色をイメージした光に照らされて歌うというのは、実際にやってみてどうでした?

大塚愛:もうあそこらへんは本当に人が口をバンっと開けて観入るようにしたかったので、なんであんなグランドピアノを入れたのかというと、弾き語りをするためでもあったんだけど『金魚花火』のためでもあって、そういう視覚タイムっていう感じですね。聴覚もそうだけど、一番に「おお~!!」っていう感じを出すためにもああいった作り方をして、一番ある意味ボーっとしている、あんまり現実味が無い感じがしている時間帯ですね。一回、あまりに感情に入りすぎて真っ白になっちゃったことがあって「あ、ヤバイ、全部歌詞がとんじゃった!!」っていう時があったんですけど、それでも無意識に歌ってたのは、「ああ、すごい!!」って。

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大塚愛「ネコに風船」

ネコに風船

2005/07/13 RELEASE
AVCD-30741 ¥ 1,100(税込)

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Disc01
  1. 01.ネコに風船
  2. 02.夏空
  3. 03.ネコに風船 (Instrumental)
  4. 04.夏空 (Instrumental)

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