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<コラム>新しいフェイズへ―――激情リフレインがニューシングル『臨界sensation』で伝える強い意志とは

Text:阿刀 “DA” 大志

個性的なメンバーが集まったラウド系アイドルグループ

 2020年、結成10周年を迎えたBABYMETALの登場以降、日本のアイドルシーンにはラウドなサウンドを志向するラウド系アイドルグループが続々と登場し、ロックとのクロスオーバーに積極的に挑んでいる。大阪出身のPassCodeは2022年2月に行われる日本武道館公演を発表し、2020年12月に新作をリリースした我儘ラキアは、作家陣にNob(MY FIRST STORY)やYD(Crystal Lake)といった豪華な顔ぶれを揃え、アイドルに興味のなかったリスナーにもアピールするなど、シーンは黎明期を過ぎ、徐々に新たなフェイズへと向かっている。

 そんな中、新たなラウド系アイドルグループが登場した。2020年11月にEP『逆転カラフリズム』でCDデビューを果たした激情リフレインである。東海地方出身のメンバーを中心に結成された5人組で、このデビュー曲は耳をつんざくような鋭いシンセフレーズをフィーチャーしたラウドな1曲となっている。



▲ 『逆転カラフリズム』全曲視聴ティザー


 彼女たちが面白いのは、グロウルやスクリームといった、いわゆるデスボイスを操るボーカリストが2人もいることだ。これがグループの歌唱に迫力と幅広さを与えているのは間違いない。ちなみに、「逆転カラフリズム」のミュージックビデオは先日10万回再生を突破。これからさらに数字を伸ばしていくと思われる。デビュー曲からこの結果を残せたことはグループのモチベーションにつながるだろう。



▲ 「逆転カラフリズム」MV


 メンバーは、茶礼ことり(さらいことり)、羽音朱ジュリィ(はのあじゅりぃ)、桐島ゆず(きりしまゆず)、黒ベリィ(ぶらっくべりぃ)、最果チル(さいはてちる)の5人。そのうち、クリーンボーカルとデスボイスを巧みに操るのは茶礼と黒だ。

 激情リフレインには、ロックやメタルに対する理解が深いメンバーがいることも興味深い。茶礼は趣味としてメタルを挙げているし、羽音朱の趣味もエレキギターだ。その一方で、好きなものとしてディズニー、猫、和菓子、お漬物を挙げるアイドルらしい(?)一面を見せる桐島のようなメンバーもいて、なかなか個性的だ。

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ニューシングルは“激情リフレインサウンド”を見つける旅

 そんな彼女たちがCDデビューから3か月が経った2月24日に放つ2ndシングルが『臨界sensation』である。表題曲はストレートでハードなロックチューンでありながら、エレピやシンセの音が絡み合う繊細さも持ち合わせている。意外にも、彼女たちの武器のひとつであるデスボイスはここでは出番なし。楽曲によって臨機応変に使い分けるということなのかもしれない。



▲ 『臨界sensation』全曲視聴ティザー


 歌唱に関しては黒の歌声が柱になっている。彼女の太くて芯のあるボーカルは楽曲の歌いだしを任せるにはもってこい。オープニングの黒からバトンを受け取る桐島はアイドルらしくクリアな歌声を届け、安定したクリーンボーカルを聴かせる茶礼からメンバー全員によるサビへとなめらかに続いていく。担当パートは多くないが、羽音朱の特徴的な声も耳をひきつける。

 彼女たちの楽曲はメンバーのほぼ全員で作詞を手掛けているのも特筆すべき点だ。「臨界sensation」で筆を執ったのは黒。逆境に立ち向えどもまだ明るい未来は見えない。だけど、今を大切にし、この揺るがない音を届けていくという強い意志が歌われている。自分たちで書いた歌詞だからこそ、より多くの思いが込められているに違いない。

 一方、すでにミュージックビデオが公開されている「椿姫」は、アイドルソングとしてはなかなか珍しい楽曲タイトルが付けられている。これは歌詞から想像するに、アレクサンドル・デュマ・フィスによる小説を原作とするオペラをモチーフとしているのだろう。実は、このドラマチックなミドルチューンの歌詞を手掛けたのも黒。彼女がどんな思いでこの楽曲を手掛けたのか気になるところだ。



▲ 「椿姫」MV


 他の収録曲も含め、激情リフレインの楽曲をすべて聴いてみると、全体的なサウンドこそ重めではあるが、ヘビーであることを必ずしも重視していないように感じる。楽曲によってアプローチを変え、様々な手法を試している最中なんだろう。これから“激情リフレインサウンド”を見つける旅へ向かうのである。

 こうして書いてみると、激情リフレインはアーティスティックな要素が濃いグループのように見えるかもしれないが、「臨界sensation」のミュージックビデオをよく見てみると、1サビと2サビでメンバーの表情が違ったりする。歌詞の展開に合わせて、シリアスな表情から笑顔へと変化させているのは実にアイドルらしい表現力ではないだろうか。

 ちなみに、ダンスはコレオグラファーによってつけられたもの。ライブをまだ観たことがないのでダンスパフォーマンスに関しては何とも言えないが、これから場数を踏んでいくことによって大きく花開いていくはずだ。



▲ 「臨界sensation」MV


 コロナ禍ということで、活動に大きな制限がかかっているが、『臨界sensation』の発売記念として全国5か所(仙台、東京、名古屋、大阪、福岡)のHMVにてリリースイベントを開催することが決定している。さらに、上記の全国5大都市を回る初の主催ライブツアーも敢行。5人の魅力を存分に味わってみたい。※仙台でのリリースイベントと公演は中止となりました。




 残念ながら、羽音朱は4月4日のライブをもってグループから離れることが決定している。これからというタイミングでの決断は大きな痛手だが、グループはまだ始まったばかり。数々の困難も数年後に笑って振り返ることができるぐらい、今後の進撃に期待したい。歴史をつくるのはこれからだ。

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