Da-iCEから見たBLUE ENCOUNTの印象

ーーDa-iCEとBLUE ENCOUNT（以下「ブルエン」）の交流は、どのように始まったのでしょうか。

工藤大輝：最初は僕がやっているラジオ番組に、田邊さんに出演してもらったのが始まりでした。その時に同い年だということが分かってシンパシーを感じたし、趣味も一緒だったんですよね？

田邊駿一：お互い「サウナ好き」っていうね（笑）。そこからプライベートでも仲良くさせてもらうようになり、大輝くんから「一緒に曲を作りませんか？」と声をかけてもらいました。最初「コライト」と聞いて、「コライトって何？」ってなったんですよ（笑）。「共作」という意味なんだよね？

工藤：そうですね（笑）。

田邊：実は俺、人生で初めて共作をするので、今まで自分でしか作ったことなかったし、友達と共作したらどんな化学変化が起きるんだろう？と楽しみでした。

ーーDa-iCEの皆さんは、ブルエンにどんな印象を持っていましたか？

大野：今回ご一緒させてもらうことになって、恥ずかしながら初めてブルエンさんの作品を聴かせてもらったんですけど、まず楽曲がカッコ良くて驚きました。

和田颯：僕はアニメが好きで、ヒロアカ（『僕のヒーローアカデミア』）のオープニングテーマに起用された「ポラリス」からブルエンさんを聴くようになったんです。

田邊：おお、嬉しい！

和田：その時はまさか、自分たちがこんな風にコラボ出来る日が来るなんて思ってもみませんでした。なのでとても光栄です。

工藤：僕は好きな曲、たくさんあるんですけど、今回のコラボで「どんな曲がDa-iCEに合うのかな？」と考えた時、まず浮かんだのが「coffee, sugar, instant love」。それを駿ちゃんに伝えた記憶があります。

田邊：ブルエンといえば「ポラリス」みたいな、ド直球のエイトビート・ロックナンバーを挙げてくれる人が多いんですけど、大輝くんからいきなり「3枚目のアルバム（『VECTOR』）の11曲目に入っている曲みたいな感じで」と言われた時にはびっくりしました（笑）。ギターロックというよりはファンク寄りというか。めちゃめちゃマニアックなところついてくるなあって。しかも歌詞は「不倫」がテーマっていう。

工藤：あははは！

田邊：でも、ファンの間ではすごく人気が高くて、ライブでも僕ら必ずといっていいほどセットリストに組み込むくらい気に入っている曲なんですよね。そういう意味でも、僕らのことよく観てくれているなあと思って嬉しかったです。おかげですぐにインスピレーションが湧いてきましたね。

BLUE ENCOUNTから見たDa-iCEの印象

ーーブルエンの皆さんは、Da-iCEの活動についてどんな印象を持っていましたか？

高村佳秀：僕は、今回のコラボがきっかけでDa-iCEの音楽を知ったのですが、ジャンル的にはまず交わることのない2組が、こうやって一緒に何かを作れることがとても嬉しいです。というか、僕らを選んでくれたDa-iCEさんの懐の大きさに感銘を受けました。

田邊：僕らが泥まみれだとしたら、Da-iCEはもう天使みたいにキラキラした存在（笑）。音楽はすごくカッコ良いしダンスは超うまくて。「僕らとは全然住んでいる世界が違う」と最初は思ってたんですよ。でも、大輝くんと仲良くなって色々話してみたら、実は音楽的なバックボーンとか近いというか、90年代の音楽をお互いすごく好きというのもあって。僕らが楽曲を提供することで、Da-iCEの皆さんにとっての「新たな武器」となってくれたらいいなと思いましたね。

江口雄也：僕は『ONE PIECE』の主題歌にもなった「DREAMIN' ON」のような、有名な曲は以前から聴いていて。それとは別に、YouTuberのヒカルさんの動画に出演されて、そこで歌っているのを観て、めちゃくちゃ歌がうまい人たちだなと思っていました。この人たちに曲を提供させてもらえるんだ、有名人に歌ってもらっている！っていう嬉しさがありましたね（笑）。

花村想太：髪の色も一緒ですしね（笑）。

江口：あ、ほんとだ。ファンみたいになってる。

（一同笑） ：

辻村勇太：僕も『ONE PIECE』が好きで、「DREAMIN' ON」を聴いたときには「こんなエモい曲も歌っているんだ！」と思っていました。それにテレビなどでダンスを拝見していると、ダンスのキレ味というか。1拍に対するリズムの取り方がめちゃくちゃ凄いなと。日本人のダンスグループの中でも有数の実力派だなと認知していました。

ーー実際に工藤さんと田邊さんでのコライトは、どのように行われたのですか？

田邊：大輝くんと2人きりでスタジオに入って。僕はギター1本だけ持って行ったんですけど、さっき話したように「coffee, sugar, instant love」のイメージというリクエストをもらっていたので「じゃあ、こんな感じはどう？」みたいな感じで、その場で浮かんだのが完成系のサビでした。ほんとあっという間に完成しちゃったんですよ。引くほど早かったよね？

工藤：最初の打ち合わせから、フルコーラス出来上がるまで3時間もかかってなかったですよね。

田邊：そうそう。avexの方には8時間くらいスタジオを押さえてもらっていたんですけど……。

工藤：昼の3時くらいからすでに飲み始めてました（笑）。で、帰りに中目黒の洋服屋さんを一緒に回って帰ってきましたね。

田邊：楽しかったよね（笑）。今回、コライトを初めてやらせてもらって。もちろん、じっくり時間をかけて構築していく楽曲もいいんですけど、こうやってすんなり生まれてくる楽曲もいいなと改めて思いました。そこから先は、大輝くんがメロディラインやコードの微調整、作詞をしてくれて。だから僕はもう、最初のとっかかりの部分、ゼロイチの部分を担当しただけですね。

ーーコライトという形は、普段の曲作りとどんなふうに違いましたか？

田邊：普段よりもカッコつけちゃいますね（笑）。バンドのメンバーと曲作りをしている時は「も〜全然浮かばねえ。どうしよ〜」とか平気で弱音を吐くんですけど、流石に友人の前ではそれ恥ずかしいので、もっと余裕なフリをしてました（笑）。そういう意味ではいい緊張感があったし、イントロのギターフレーズもそこから生まれた産物ですね。新しい引き出しが開いた感覚がありました。

工藤：僕もそうですね。トップライン（メロディ）も自分では思いつかないところへ行ったりして、やっていてすごく楽しかったです。お互いのことをよく理解していたのも、スムーズに（コライトが）進んだ理由の一つだったのかなと思います。

「Revolver」という曲タイトルや歌詞に込めた思い

ーー「Revolver」という曲タイトルや、歌詞のテーマなどはどのように決めていったのですか？

工藤：それは駿ちゃんがモデルガン好きだからですね。

田邊：僕、ミリタリーオタクなんですよ（笑）。それを加味していただいて。

工藤：リボルバー（回転式拳銃）に込める弾は6発じゃないですか。僕らはメンバー5人（5面）にファンを加えた6面で「Da-iCE」というグループ名を名乗っているわけだし、今回は僕らがブルエンさんとコラボして6面という意味もある。しかも今回のアルバムタイトルも『SiX』なので、曲名として「Revolver」がすごくしっくりくるなと。

田邊：しかも、ミリオタとしては歌詞の細部に拳銃の用語が入っているのでエモいんですよ。ミリオタにも響く楽曲に仕上がっている（笑）。いや、本当に自分でもそういう曲をブルエンで作ってみたかったんですよね。それがなかなかうまくいかず、代わりに大輝くんが望みを見事なまでに叶えてくれて。

ーー歌詞はどのあたりが特に気に入っていますか？

田邊：「拳銃」って人によってはネガティブなイメージもあるじゃないですか。それを、現状を打破するための大事な武器という意味に置き換え、ポジティブな歌詞にしてくれたところ。しかも曲調がすごくエッジーなので、その辺りのコントラストが素晴らしいなと思いましたね。

ーー“勧善懲悪のTarget 壊して”という歌詞がすごく印象的です。

工藤：コロナ禍でのモヤモヤを吹き飛ばしたいという思いもあったんですけど、「こんな現状でも自分たちに出来ることをやっていかなきゃ」というポジティブな気持ちを見せていきたかったんです。あとは同調圧力みたいなものが増えている中、それに屈せず自分らしく生きたいという願いも込めました。

　僕らDa-iCEは、シングルの場合はタイアップ曲の場合が多くて、歌詞の内容にも「縛り」があるのですが、アルバムの中では僕らなりのメッセージや哲学を込めたいと思っているんです。今作『SiX』の中でも、特にメッセージ性の強い曲が作れて満足しています。

岩岡徹：すごくスパイスの効いた楽曲に仕上がって、アルバム全体をグッと引き締めてくれたと思いますね。

ーー工藤さんが仕上げたデモ音源をもとに、アレンジはバンド4人で詰めていったそうですね。

田邊：そうです。今回はDa-iCEさんに提供する楽曲でありつつも、ちゃんとブルエンの血が流れているアレンジにしたいと思ったので、まずは自分たちの新曲を作る気分で取り掛かってみようと。100パーセント自分たちの色を出し切って、そこから抜き差ししていく方向で取り組んでいきました。

　大輝くんとのコライトはあっという間に終わったんですけど、バンドでのアレンジはかなり時間をかけてやりました。おかげで、今後の僕らの方向性を指し示すような楽曲に仕上がったと思います。

ーー特にこだわったのは、どんなところですか？

田邊：Da-iCEの楽曲は、基本的に音数も多いのですが、僕らはあえてシンプルなバンドサウンド、ギター2本とベース、ドラムだけの絡み合いだけで勝負しようと。余計な装飾音は一切入れず、花村さん、大野さんのボーカルがグッと引き立つようなアレンジに仕上がったと思います。

工藤：おそらく、Da-iCEのアップテンポな楽曲の中では一番音数が少ない曲になりましたね。

辻村：僕は普段のアレンジではライブを想定しながらベースラインを考えているんですけど、今回はDa-iCEの皆さんが躍りやすいようなリズムを構築したいと思っていました。例えばジェームス・ブラウンが1拍目を大事にしていることとかを、レコーディング前に思い出したりして。バンドの生のグルーヴを大事にしつつ、グリットにしっかり合わせるようにしていました。

工藤：そういえば、2Aのところでブレイクして欲しいというリクエストをさせてもらったんですよね。ダンスのことを考えると、ここでブレイクした方が盛り上がるだろうと思って。

田邊：そうそう、バンドでは「2Aで止める」って発想がなくてびっくりしました。

和田：Da-iCEの曲って、2Aでブレイクすること結構多いんですよ。

辻村：ダンスミュージック的な発想をいただいて、「おお、なるほど！」となったし、自分たちにとっても新しい発見というか、武器を一つもらった気持ちになりましたね。

ーー大野さんと花村さんは、この曲を歌ってみてどうですか？

大野雄大：すでにカウントダウンライブでも披露させてもらったのですが、リハーサルの時からとにかく歌いやすくて。すごく気持ちがいいです（笑）。

花村：僕もめちゃくちゃ歌いやすいですね。サビでのしゃくり上げのタイミングが独特な曲で。そういうところをしっかり意識しながら歌いました。しかも今回、仮歌の段階から歌入れをさせていただいたこともあって、自分も制作から参加させてもらったような、個人的にもすごく思い入れのあるものになりましたね。

ーーダンスに関しては？

和田：とんでもなく難しい振り付けが上がってきました（笑）。初披露の時はボロッボロでしたね。

花村：音数が少ない曲とは思えないくらい、躍りまくる振り付けなんですよ。ただ、ビートはめちゃめちゃわかりやすくて。

工藤：きっと観ている人も、どの音に対して振りを付けているのかが普段の僕らの曲よりも分かりやすいと思いますね。そういう意味では、初見でも楽しめるというか。

ーー初めてDa-iCEのダンスを観る人にとっても、入りやすい楽曲なのかも知れないですね。

田邊：いやあ、かっこいいですよね。僕、小さい頃は踊るのが大好きだったんですよ。『ASAYAN』とかリアルタイム世代だったし、avexさんの楽曲も聴きまくっていて。7つ上の姉が小室（哲哉）さん大好きで、TRFをずっと聞いてきたので、ダンスが上手い人へのリスペクトが半端ない。だから、ちょっとでもいいのでこの曲の振り付けを教えて欲しいです（笑）。

工藤：ぜひ、フェスで共演させてもらいたいです。

田邊：もちろんですよ。今すぐスケジュール調整しましょう！（笑）