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メディア露出ほぼ無し!注目度の高い2000年代生まれのミレニアル世代特集―Vaundy、映秀。、Ado―



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 Twitterやインスタグラム、TikTokといったSNSアプリがスマホに入っているのが当たり前の今、そういった動画プラットフォームを活用して、テレビや新聞、ラジオなどのマスメディアに取り上げられる前に、大きなファンベースを確立しているアーティストは多く存在する。『第71回NHK紅白歌合戦』のTV初歌唱が話題を呼んだYOASOBI は、今でこそCMにテレビに雑誌と色々なメディアに引っ張りだこだが、ブレイクの兆しが現れ始めた2020年3月~5月頃、主な情報発信メディアは本人たちのTwitterアカウントだった。ミュージックビデオもアニメ映像で構成されていたため、一体どんな人間が曲を作り、歌をうたっているのか想像もつかなかった。最近で言えば、「ドライフラワー」が週間で1,000万回近くストリーミングされている優里も、今のところ地上波番組の出演はあまりなく、YouTubeやSNSを中心に発信している。しかし、チャートの成績や注目度の高さから考えると、今後、続々と様々なメディアに取り上げられていくことが予想される。また、1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』が耳の肥えた音楽リスナーたちにも大きな衝撃を与えた藤井 風も、報道番組で一度特集されただけで、テレビ、雑誌、ウェブといったメディアでの本人出演は一切ない。小学校を終える頃からピアノ弾き語り映像をYouTubeにアップしはじめ、そこからファンダムを築いた藤井は、まさにYouTube世代のアーティストといっても過言ではないだろう。


▲優里「ドライフラワー」


▲藤井 風「優しさ」

 音楽番組がたくさん放送されていた2000年代までは、テレビを中心に新人アーティストがお茶の間に浸透していくことが多かっただろうが、娯楽プラットフォームが増えた2010年代以降、必ずしもテレビだけがメインストリームであるわけではない。ニコニコ動画の人気ボカロPやYouTubeを主戦場とするクリエイターがアリーナ/ドームクラスの会場で単独ライブを行うのも珍しくなく、顔や性別を明かさなくても楽曲ファーストでヒットが生まれる時代である。米津玄師もハチ時代は顔を出していなかったし、Eveやヨルシカ、ずっと真夜中でいいのに。、yamaといった人気アーティストのあえて“すべてを明かさない”世界観が、逆にファンを虜にさせている側面もあるだろう。

 新たな発信スタイルの確立とともに、従来のカテゴリーの枠組みから外れ、音楽はますますジャンルレスに。こうした時代の過渡期を牽引するのは、若く才能に溢れ、デジタル・ネイティブな新世代アーティストたちだ。本稿では、メディア露出をほぼせず、主にSNSや動画プラットフォームを活用して頭角を現し始めた、2000年代生まれのミレニアル世代アーティストをご紹介しよう。

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「2021年コレがバズるぞ!」1位
Vaundy

 2019年6月にYouTubeで楽曲を発表し始め、先日放送された『バズリズム02』の恒例企画「今年コレがバズるぞ!BEST10」でも1位に選ばれたVaundyも、ドラマ主題歌やCMソングの起用こそ増えたが、本人のメディア露出はほとんどない。20歳で現役大学生のVaundyは、作詞・作曲・アレンジなど自身で手掛け、FODドラマ『東京ラブストーリー』の主題歌「灯火」や、一躍ブレイクを掴んだSpotify PremiumのテレビCMソング「不可幸力」など、メロディアスな楽曲を発信している。彼の楽曲は現在、音楽ストリーミングサービスで1億8,000万回以上も再生され、SNSのフォロワー数もトータル約27.5 万人にまで及んでいる。

 Vaundyは楽曲にロックや流行りのヒップホップ、シティポップなど様々なジャンルを取り入れている。2019年に初めて公開したオリジナル楽曲「pain」は語り掛けるようなメロディに叙情的な歌詞を乗せ、メロディアスなサビに繋げている。一方、「不可幸力」は繰り返されるダークなシンセ音のフレーズにラップ調で歌い、「東京フラッシュ」は2010年代後半から再熱したシティポップの曲調だ。始終ロックサウンドでアップテンポな「怪獣の花唄」も非常に聞きごたえのある楽曲で、その潜在能力には驚かされるばかりだ。


▲Vaundy「不可幸力」

 イマドキらしいのは、Vaundyはアルバム以外、全てデジタル限定で配信している点だ。YouTubeでも数曲無料で公開しており、誰でも気軽にVaundyの音楽に触れ合えるのが特徴でもある。2019年の11月に初めてリリースした配信シングル「東京フラッシュ」は初週に119,268回ストリーミングされ、その後しばらく週間15~25万回前後をキープすると、2020年5月のアルバム『strobo+』がリリースされる頃には週間50万回以上へと伸ばした。そして8月下旬に「不可幸力」がSpotifyのCMに起用された時期には、第二波が到来。2020年の1月にリリースされた「不可幸力」はそれまで最高38.5万回だった週間再生数が、CMオンエアを機に一気に140万回を突破し、以降、200万回前後再生されている。サブスクの特徴でもあるように、過去曲の掘り起こしも起きているようで、その他の配信作品も、同時期に再生回数が伸びていった。

 デジタルツールを味方に、徐々にファンを獲得していったVaundyは、TwitterとインスタグラムといったSNSももちろん活用。Twitterでは音楽以外に大学生活のことや趣味を共有し、ファンからジャンル問わず制作したものを募集してコメントするなど、ユーザーとの距離が近い。インスタグラムでもライブ配信機能を使って、ファンとコミュニケーションを取っており、そういった積み重ねを通して、ファンと深い関係性を築いているように感じる。Vaundyは新曲「世界の秘密」が早くもストリーミングで好調な動きを見せており、2021年はさらなる飛躍が期待される。


▲Vaundy「世界の秘密」

Vaundy 公式サイト
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現在18歳の若きソロシンガー
映秀。

 2002年3月17日生まれ、現在大学生の映秀。は、高校時代から作詞・作曲を始め、「ジェラfeat.映秀。」として、クリープハイプやAimerなどの弾き語り動画をYouTubeに投稿し始める(映秀。の隣で、ジェラはただスマホを見ていたりするスタイル)。同アカウントは1年足らずで登録者が10万人を突破し、学生による歌ってみた動画の中でも存在感を放った。その後、高校卒業とともに、ソロシンガーの道を進むことを決めた映秀。は、昨年12月18日に自身のレーベル<Yoruneco Records>から1st EP『別解』を配信リリース。ショート音源と映像が公開後すぐに60万回再生を記録したという「残響」は、エッジの効いたバンドサウンドの裏側でストリングスやピアノが重なり、初めから終わりまで情緒を保つのが難しいほど心が揺さぶられる。


▲映秀。「残響」

 先述した藤井 風やこの数年で国民的バンドへと成長したOfficial髭男dismのように、近年は鍵盤を主とするアーティストが支持されている傾向があり、映秀。の楽曲にも全てピアノが用いられている。演奏するのはYouTube登録者数61万人、総再生数5,000万回超えの「Cateen かてぃん」こと、角野隼斗だ。数多くのコンクールで大賞を受賞し、日本フィルハーモニー交響楽団と共演歴もある彼は、映秀。の主要曲全てに参加している。角野も「表現も発想もセンスも本当に好きで、一緒に音楽をしててめちゃくちゃ楽しい。」と映秀。を絶賛しており、その才能は確かなことが分かる。期間限定公開中の配信ライブ映像からも感じられる、エネルギーみなぎる2人のぶつかり合いは感涙必至だ。


▲「別解」リリース記念配信ライブ

 『別解』のラストを飾るのは、父親との突然の別れを題材にした「Good-bye Good-night」。誰しもが愛する人、特に家族の別れは出来るものなら一生避けたいと願うものだが、この避けては通れない道を心のどこかで「まだまだ先」と過信しているところはないだろうか。「Good-bye Good-night」を聞いて、いたたまれない気持ちになったのであれば、今すぐ行動を。しとけばよかった、言っとけばよかったと、幸せよりも後悔が先に出てしまわぬように。

映秀。公式サイト
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  2. 躍進が期待される新世代 - Ado
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躍進が期待される新世代アーティスト
Ado

 いまや個性の原石が散らばる群雄割拠のネット音楽シーンにおいて、ひときわ異彩を放っているのが、2020年10月に「うっせぇわ」でユニバーサルミュージックからデビューしたシンガー、Adoだ。2002年10月生まれの現在18歳で、音楽のルーツは“ボカロ”や“歌い手”といった、ニコニコ動画発祥の文化圏にある。注目を集めたきっかけは、yamaの「春を告げる」も手掛けたクリエイター、くじらの楽曲「金木犀 feat. Ado」(2019年12月)の参加だった。また、jon-YAKITORY feat. Adoとして発表した「シカバネーゼ」(2020年3月)は、6月25日付のSpotify「バイラルトップ50(日本)」で1位を獲得している。

 <正しさとは 愚かさとは/それが何か見せつけてやる> そんな歌い出しから始まるメジャー・デビュー曲「うっせぇわ」では、楽曲提供者のsyudouによるリリックと曲展開の苛烈さもさることながら、なんといっても圧倒的な激情を滾らせたAdoの歌声に面食らう。まるで台風のようなエネルギーをたたえ、あらゆるフラストレーションを吹き飛ばすかのような楽曲だが、実際は非常に繊細な表現力の上で成り立っていて、がなり声のシャウト、艶やかなファルセット、気だるげなウィスパーまで、声の階層を自在に行き来するヴォーカリゼーションの妙は、後から公開された“Piano Ver.”を聴くことで、より一層体感することができるだろう。YouTube上のビデオは“Piano Ver.”が300万回、そしてオリジナルは3,000万回もの再生回数を記録している(2021年1月13日現在)。


▲Ado「うっせぇわ」

 また、その“Piano Ver.”をカップリングに収録した、華やかなブラス・サウンドを鳴らすニュー・シングル「レディメイド」は、「うっせぇわ」で発露している瑞々しいアグレッションを継承しつつ、個を抑圧する固定観念や社会常識を笑い飛ばすようなAdoの歌が、どこか諦念的でユーモラスでもある。シンガーとしてのさらなる深化を垣間見ることができるうえ、ポテンシャルの底はまだまだ見えない。驚異の18歳、今後の成長と躍進が最も期待される新世代の一人だ。


▲Ado「レディメイド」

Ado 公式サイト
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  2. 番外編!突如現れた謎の新人
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番外編!突如現れた謎の新人
Siip

 昨年のクリスマス・イヴに「Cuz I」で突如現れた謎の新人 Siipは、年齢不詳であるため、ここでは番外編として紹介。アーティスト名にかけて、羊(sheep)がロゴに使われ、ミュージックビデオにも度々登場する。顔出ししていないが、男性と思われるSiipのハイトーンボイスと優しいメロディに反して、全く希望を感じさせない、冷めた歌詞がズキンと突き刺さる。耳に残るこの楽曲のミックスを手掛けたのは、ポスト・マローンやリゾ、チャーリー・プース、カミラ・カベロ、ショーン・メンデスら海外トップ・アーティストの最新作を手がけたクリス・ギャランドということで、新人ながら海外エンジニアの大きなサポートが付いているところが、他のニュー・カマーとは違う存在感を放つ。研ぎ澄まされた感性と繊細な歌詞に早くも飛びついているファンも多い。


▲Siip「Cuz I」

Siip 公式サイト
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