【MTV Cool Christmas 2007】

Special

ウィル・アイ・アム

　まだ、慣れない寒さが体を硬直させる12月。学校や職場も年末モードに突入し、あれやこれやと疲労困ぱいな人々。しかしそんな彼らを“待ってました！”言わんばかりに温かく出迎えてくれるのが、この時期のベストプレイスともいうべき繁華街・桜木町である。赤白緑とイルミネーションは眩しいぐらいに輝きを放ち、観覧車はもちろんのこと、クイーンズスクエア内のクリスマスツリーや、はたまた氷川丸までもが“welcome”と恋人たちをご招待。そんな幸せいっぱい夢いっぱいのココ、桜木町にて今宵開催されるのが、毎年恒例であるMTV主催の音楽イベント【MTV Cool Christmas 2007】。2007年、素晴らしい活躍を見せた4組のアーティストが、冬を彩る鮮やかなパフォーマンスで一足早いクリスマスを華やかに演出する！

2007.12.14(金) at パシフィコ横浜国立大ホール｜ライブ写真＆セットリスト

高杉さと美

　今年のテーマは“光”。様々な角度から照明を当て、会場全体を使ったアーティスティックなステージは、まるでプラネタリウムにいるかのような輝きを放っている。そんな中、オープニングアクトとして登場したのが、映画主題歌やCMソングと各方面で大活躍の新人・高杉さと美だ。バンドメンバーを引き連れて登場した彼女は、名刺代わりに自身を一躍有名にした『旅人』を堂々と熱唱。MCではまだぎこちなさが残る微笑ましさを見せた彼女だが、続いて披露した新曲『雪星』では、青・水色・オレンジの温かく華やかな照明をバックに、透き通った彼女の歌声をホールに響かせた。
　その際だったメロディラインで、まだ騒然としていた聴衆の心を瞬時につかんでしまったその存在感。ただのオープニングアクトでは終わらせない、確たる自信すら感じさせる堂々としたステージが印象的だった。

秦基博

　続いて登場した秦基博は、迫力ある歌声と堂々としたライブパフォーマンスで今、大きな注目を集めるニューカマー。彼最大の魅力である歌声を最も際だたせる弾き語り形式で、その伸びやかなメロディラインをハスキーに響かせる。蝶の羽を模したライティングが観衆の瞳を奪った『青い蝶』、藍色に照らされたスモークに深海を想わせる『鱗(うろこ)』と、演出も相まった壮大な世界観に、観客は気持ちよさそうに身体を左右に揺らせている。さらにラストの『風景』では、天才メロディメイカー・冨田ラボこと冨田恵一がゲストとして参加し、胸を打つピアノの旋律で秦を後押し。真っ白なキャンバスに描かれた美しきその旋律には、音楽の無限さえも感じた程だ。

大塚愛

　 3番手・大塚愛は登場と共に大きな歓声を集めるなどさすがの人気。バックバンドに加えて12人のストリングス隊を率いて登場すると、まずはライブ初披露となる『チケット』で正真正銘のエンターテイナーっぷりをフルに発揮！体をフリフリと揺らして陽気に歌う彼女に、オーディエンスは自然と手拍子で応えていた。カラフルで色鮮やかなライティングに光輝くステージで観衆の心を鷲掴みにすると、続いて『ポケット』を静かに歌い始める彼女。今宵、目の当たりにした全ての人が、涙腺を緩まずにはいられなかった瞬間がそこにはあった。“リアル”な詩世界が聴く人全てを虜にする、切ないながらも優しいメロディ。真摯な想いが十二分に詰まったそのパフォーマンスに、熱唱後、観客からはいつまでも悲鳴にも似た声援が彼女に贈られていた。

ウィル・アイ・アム

　そして今年のトリを飾るのはDJブースにサポートMCひとりの小細工なし。仰天の出演に誰もが驚いた“ブラック・アイド・ピーズの頭脳”ウィル・アイ・アムである。「クラップ・ユア・ハンズ！」の掛け声と共にオーディエンスも総立ちとなって応え、『ハートブレイカー』では柔らかい身のこなしのダンスも披露。モチベーションの高さを身体全身で表現する。『ワン・モア・チャンス』では艶めかしい女性ダンサーもふたり交え、ゴージャスなステージを展開し、ラストチューンとなったソロデビュー曲『アイ・ガット・イット・フロム・マイ・ママ』でオーディエンスもテンションは最高潮に！歓声で応じる人から歌う人、体を揺らせて踊る人まで全員が笑顔に包まれた、息をも吐かせぬ抜群のパフォーマンスでライブを華やかに締め括ってくれた。
　終演後、「メリー・クリスマス！！」と笑顔を見せるウィルにも最大級の歓声が贈られ大団円となったこの日。彼が最後にオーディエンスに向けて放った一言は、何故か「ウィルちゃんペ！！」だった……（笑）。