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大塚 愛【大塚 愛 LOVE is BEST Tour 2009】
2009.11.22(日)at 人見記念講堂|セットリスト
カラフルなハートマークがスクリーンに幾つも輝きを放ちながら浮かび上がり、会場いっぱいのカップルたちを高揚させる。そしてその幕が『チケット』の爽快なイントロダクションと共に開けば、満面の笑みの大塚 愛が登場。会場いっぱいにピンクとグリーンのサイリウムが揺れ始める。「こんにちは、大塚 愛です。今日はよろしく」背後のハートマークが白からエメラルドグリーンに色を変え、膨らみのある、僕らを包み込むような音に溶け込みながら『HEART』を優しく切なく歌う彼女。良いグルーヴだ。続く『甘い気持ちまるかじり』なんてあまりにその音と声が気持ち良くて、それだけで何だか胸がいっぱいになった。そしてそれまでの喧騒、はしゃいでる空気を一瞬にして静寂に変えてみせる『恋愛写真 -春-』。日だまりのようなストリングスと共に愛の歌を「ただ、君を愛してる ただ、君を愛してる」と届けていく。
白い椅子に腰掛けて彼女は、かつて勝手に彼氏の納豆を食って怒られた話を「この話は永遠にしていく」と笑いながら暴露。そして「カップルじゃなきゃ聴けない歌を」と、タイトルはアレだが、ヌーディーな歌『本マグロ中トロ三〇〇円(緑色)』をスウィートにスウィートに響かせる。このムードに包まれて肩を抱き合う恋人同士の姿を目撃っ!なんてラブリ~な空間なんでしょ。やがて「恒例のくっつき虫大会ですが…」と語り出した彼女は隣の人と小指を絡ませるよう命令(笑)。「今日が(みんなの)新しい記念日になるといいね」と言って『ふたつ星記念日 ~ 新婚日和 ~』を“11月22日=良い夫婦の日”に新妻気分で幸せそうに歌う彼女と、そのおかげでラブラブモードにじんわり浸っていくカップルたち。そこへ間髪入れずハッピーグルーヴ全開の『ハニー』が響き渡り、更には『君フェチ』『One×Time』と“もうどれだけ密着させたいんだ!?”とツッコまずには入られないほど、一枚のシーツの中で繰り広げられる2人だけのドラマのような音楽が、ほんとに溺れそうになるぐらい、立て続けに披露される。
“恋してる乙女の目になれるメガネ”を着用して、新曲『Is』をゴキゲンに響かせる大塚 愛とその仲間たち。藤井謙二がステージ前方まで歩み寄ってその腕を振り上げたりしながらギターを掻き鳴らせば、曲は『H2O』へ突入。バンドサウンドを大フィーチャーした、聴き手のテンションを上げることだけを目的としたナンバーの畳み掛けに人見記念講堂が大いに揺れる。「更に深まってゆくよ!東京!」ホーンセクションがどこまでも僕らを晴れ晴れしい気持ちにさせた『Strawberry Jam』、女の子らしさの全てを詰め込んでアッパーに軽快に歌い上げた『GIRLY』、そしてテーマ・オブ・ニコイチ「隣どおし あなたとあたし さくらんぼ!」と、今このシチュエーションをそのまま歌にしたような『さくらんぼ』でもって、会場はこの日一番の熱気に包まれていく。これだけの数のカップルによる「愛し合う~!」の大合唱は凄まじく「ある意味、この子が最強のラブソングかも」とふと思ってみたり。そんないつもの如く会場をかなり高いテンションでひとつにしてみせた彼女だが、本日のハイライトはこの先にあった。
ひとり残ったステージでピアノの前に腰掛けた彼女は、気持ちを伝えることの難しさを語りつつ“自分の全ての想い”を乗せた『ポケット ~ Last Love Letter ~』を弾き語りで披露する。こんな強い声で歌う大塚 愛に会うのは初めてかもしれない。ここにいる誰かが「二人で歩いていこう」「いつもそばにいるから」とその胸にある想いを少しでも伝えられるよう、彼女はこの歌をメッセージとして歌い、響かせていた。“世界で一番”愛した歌を、世界中の人たちにとっての愛の歌にするべく。そして本編の最後「自分の中にある幸せな気持ちがたくさん広がりますように」と祈りながら『甘えんぼ ~ Wedding ~』をバンド、ストリングス、ホーンセクションといった、全ての音たちと共に彼女は歌い始める。すべての悲しみや苦しみを超えて、ずっと探していた人に出逢えた喜びを爆発させるかのように。
オールラブソングでお送りした本編とは打って変わり、とにかくはしゃぎまくる為のアッパーチューンのみを用意したアンコール。体を小刻みに震わせながら「やるよね~!!」と言い出し(笑)次の瞬間には靴ひもを結び直す。更にはメンバーにムーンウォークでの再登場を強制と、そんないつにも増して自由な大塚さんは、愉快すぎる仲間たちと共に伝説の『シヤチハタ』を披露! オチが分かっているにも関わらず、こんなに笑えるのはあまりにも演奏が素晴らしい為だろう。そんなただ「シヤチハタ」が言いたいが為のビッグバンドジャズを経て「皆様、更にノリノリにやっていきます?」と久々の『東京ミッドナイト』も大迫力のバンドサウンド&ステージの上ではしゃぎ回る彼女のゴキゲンなボーカルでもってお届け。「どんどんいきまっせ~!まだまだいくよ~!」と『pretty voice』では、とにかくでっかい声でコール&レスポンスをばっちり決めて、完全にみんなの気持ちをひとつにしたところで、近年のライブでは百戦錬磨のキラーチューン『未来タクシー』を最後に披露する。オープニング同様、会場中にカラフルな光が揺れ、カップルの数だけのハートがこの空間を覆い尽くしていく。2009年はとにかくライブ尽くしの大塚 愛であったが、本日の彼女は他のどの公演よりも幸せそうな表情を覗かせていた。「いってきま~す!」
セットリスト
【大塚 愛 LOVE is BEST Tour 2009】
2009.11.22(日)at 人見記念講堂
- 01.チケット
- 02.HEART
- 03.甘い気持ちまるかじり
- 04.drop.
- 05.恋愛写真 -春-
- 06.本マグロ中トロ三〇〇円(緑色)
- 07.キミにカエル。
- 08.ふたつ星記念日 ~ 新婚日和 ~
- 09.ハニー
- 10.君フェチ
- 11.One×Time
- 12.Is
- 13.H2O
- 14.Strawberry Jam
- 15.GIRLY
- 16.さくらんぼ
- 17.ポケット ~ Last Love Letter ~
- 18.大好きだよ。
- 19.甘えんぼ ~ Wedding ~
- En1.シヤチハタ
- En2.東京ミッドナイト
- En3.pretty voice
- En4.未来タクシー
Writer:平賀哲雄
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