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大塚 愛 『I ■ ×××』インタビュー

大塚愛 『I ♥ ×××』 インタビュー

 大塚 愛が『ゾッ婚ディション』リリース後にまさかの結婚。今回のインタビューでは、まずその驚きを本人にぶつけさせて頂いた。そして「第77回NHK全国学校音楽コンクール」中学生の部 課題曲であるニューシングル『I ♥ ×××』についてはもちろん、CDが売れない音楽シーンへの苛立ちや、表現者としての現在のモード。変わる自分に、変わらない自分。あらゆる角度から彼女の本音に前のめりで迫った。これを読まずに大塚 愛は語れませんっ!

結婚の真相~大塚 愛のイメージ

--まず今日会ったら言いたかったことがあって。『ゾッ婚ディション』出した後に結婚って!

大塚 愛:(笑)。いや、本当にたまたまそういう順序になったんですよ! 全然狙ってないですね。『ゾッ婚ディション』は結構前に創っていた楽曲だったし、Slat(すらっと)さんのタイアップの関係でリリースが先延ばしになったりしてたんですよ。で、それが春に落ち着いて『ゾッ婚ディション』のPVを撮るときに「どうする?“大塚 愛 結婚疑惑!”みたいなの創っちゃう?」「ウェディングドレスで逃亡するPVを創ろう」って提案されて。私は「それだったらPV解禁の翌日に本当に結婚しないと面白くない」って言ったりしてたんですけど、そのときに結婚の予定はなくて。まぁ今になってはやっておけばよかったな~って。

--結婚疑惑PVは実現しなかったにしても、今年の大塚 愛のストーリーは凄いですよ。その結婚相手と『aisu×time』で共演してるし。それが入ってるアルバム『LOVE is BEST』には『ふたつ星記念日 ~新婚日和~』『甘えんぼ ~Wedding~(New Rec)』ですからね。

大塚 愛:(笑)。

--ここまで露骨にそのときのモードが音楽に出る人は本当に珍しいと思っていたんですが、すべて偶然であると?

大塚 愛:偶然なんですよね。だからこれから『LOVE is BEST』が縁結びのお守りになればいいなと思って。で、みんなが買ってくれた後に「大塚 愛 離婚!」とかなって、今度は「あれ買うと離婚するよ」ってなっちゃう(笑)。

--いつまでも“縁結びのお守り”であることを願ってます。で、そんなめでたいトピックもあったところで、今日は改めて大塚さんの真相に迫りたいんですが、自身では大塚 愛ってどんなアーティストだと思ってますか?

大塚 愛:家のない人。「どこに住んでるの?」って聞かれたら「昨日は渋谷で、明日は池袋」みたいな。ひとつのところに止まれない人。その理由としては、すごく飽き性なんです。あと、好きなものがとっちらかってるし、顔も声も歌も創るものも多分全てが中途半端なんですよね(笑)。だからひとつのところに集中して打ち込めないというか。あれもこれもそれもどれもやるから、幅がボーン!って広がってるんだと思います。

--そのすべてに相当な気合いを入れて創ってきましたよね。

大塚 愛:でも今振り返ると『蚊取線香』って何だよ!って思います。この前、久々に聴いてビックリしましたね。なんですかね、あれ。怖いですもん。

--(笑)。では、逆に世間では大塚 愛ってどんな人に思われていると感じていますか?

大塚 愛:元気で可愛い人みたいな。未だにそういうイメージだと思いますよ。例えば、タイアップとかでアッパーな楽曲がメディアにたくさん流れたりすると、そこだけピンポイントにスポットが当たったりとか。ライブDVDを紹介してもらうときも大体アッパーが流れちゃったりとか。そういうので偏ったイメージが付いていってるのかなって。

--でも本当はそこだけじゃない訳ですよね。

大塚 愛:どちらかと言ったら逆の方が多いですもんね。曲数的にもアッパー系の方が少ないし。

--どう思われる、見られるのが大塚さんにとっての理想なんでしょう?

大塚 愛:「心に残る」って言われるのが一番嬉しいかもしれない。例えば「美人なんだけど、何故か顔を憶えられないよね」っていう人よりも「あんまり可愛くないけど、何故か頭に残っちゃうんだよね」みたいな。そんな感じが良い。

--そこに自分が行けている気はしてないの?

大塚 愛:初期のイメージが先行しちゃってるので、そのせいで「あ、大塚 愛か」みたいな感じになっちゃって聴いてもらえてない楽曲も多分たくさんあると思うんです。

--そこをどうにか出来ないか試行錯誤してきた訳ですよね?

大塚 愛:今はもう諦めてます(笑)。

--大塚 愛というアーティストは『さくらんぼ』のときのイメージを大事に大事にしながら走ってさえいれば分かり易いポップスターだったり、もしかしたらアイドル的な存在にもなれたと思うんです。でもそこに興味はなかったんですよね?

大塚 愛:やっぱりアイドルっていうのは天性的に可愛くないと、私の中で許せないです。私は全然そういうビジュアルでもないので、ちょっと『さくらんぼ』で可愛いことをやったのもギャグ的な感覚だったし。全くアイドルには不向きですよね。アイドルは下ネタとか言っちゃいけないです。

--いや、アイドルじゃなくても。

大塚 愛:ハハハハハハハ!

--(笑)。話を戻します。では、元気で可愛いっていうイメージに固執したままの人が未だにたくさんいたりするのは、大塚さんにとっては誤算だったの?

大塚 愛:そう受け取られるとは全く思ってませんでしたからね。私は「あの人、何?」「この歌、誰が歌ってんの?」みたいに言われると思ってて。その後に違うタイプの楽曲を出して「えっ?同一人物なの?」ってなる予想だったんですよ。それで「嘘でしょ?本当はこの人、全部作り物でしょ?」ってなると思ってた。大塚 愛という人自体が本当は存在していないイメージに。

--初期の強烈なインパクトがある故の「こんな楽曲もやっちゃうの?」という驚き。そこの気持ち良さが大塚 愛にはあって。シンガーソングライターでここまで毎回新しいものを創造して提供している人っていない訳で。そこを楽しんでもらいたい想いは強くある?

大塚 愛:「楽しんでもらいたい」とか、そうやって聴く人のことを楽曲を創る段階では考えてないんですよ。自分が楽しんでいる感じで。もう自分の作品を創ることにガーッ!って入っちゃってる。

--でも少し前までは、あれもこれもそれもどれも本当は聴いてほしいとよく言ってましたよね。そこは変わってきたの?

大塚 愛:いや、それは思うんですけど、言ったところでそうはならない。もう治らない。ちょっと諦めてきちゃってるんですよね、いろんなことを(笑)。どんなにオフィシャルであーだこーだ言ったって、ちょっと時間が経っただけでそことは相反する、全く違うことを新聞とかに書かれていたりして。「ダメだわ、これ」って思っちゃった。

--じゃあ、これからはどうするの?

大塚 愛:もう自分のやりたいようにやる!って感じですかね。今までも周囲を気にして楽曲を創ったりはしてなかったんですけど、その反響に対して凹む自分もいたし、辛いなと思うところはあったんです。でもそんなこと思っても仕方ないから。誰か1人の為になら楽曲は創れるんですけど、大勢の為にってなるとハチャメチャ過ぎちゃって創れない。ってなると、自分が「この作品を創ってよかった」って思うものを目指すしかないんですよ。自己満になるんですけど、そこが一番として無いと、それを自信持って「聴いてください」とは言えないので。

--音楽の聴かれ方も含めたところで、大塚さんが思う理想的な音楽シーンの在り方ってどんなものなんでしょう?

大塚 愛:とりあえず最近の“美味しいところだけ”っていう方向性が何とかならないかなと。Aメロだけとか、サビだけとか、あの楽曲を千切ってる感じとか、テレビ尺というめちゃくちゃな音楽の流し方とか、何とかならないかなと思ってます。そういうのをちゃんとしていかないと、どんどん音楽の伝わり方が無茶苦茶になっていく。それで受け取る側も楽曲全体の流れを聴かないようにどんどんなっちゃうと、怖いなって思います。だって楽曲を切り取るのって無理なんですもん。自分の人生でいきなり4歳から12歳に飛べるかって言ったら飛べないし、繋げられない。それと一緒なんですよ。だからもうちょっと音楽をちゃんと伝える場があっても良いんじゃないかなって。それが今は少ないと思います。

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大塚愛「I LOVE ×××」

I LOVE ×××

2010/09/08 RELEASE
AVCD-31895 ¥ 734(税込)

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Disc01
  1. 01.I LOVE ×××
  2. 02.I LOVE ××× (Instrumental)

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