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【TikTok年間楽曲ランキング2019】1位は岡崎体育「なにをやってもあかんわ」が獲得 TikTok発の新人アーティストら/音楽チャートへの影響も
2017年のローンチ以来、広い世代の支持を集め、累計ダウンロード数は15億回を突破しているショートムービー・プラットフォーム“TikTok”が、2019年の年間楽曲ランキングを発表した。ランキングは、楽曲の日本国内における再生回数や影響力などを総合的に判断して生成されたもので、2019年12月11日から発表が開始された週間楽曲ランキングに続き、こちらも公式に発表されるのは初となる。
集計期間:2018年11月25日~2019年11月24日
年間1位は岡崎体育「なにをやってもあかんわ」
2019年、TikTok年間楽曲ランキング1位に輝いたのは、岡崎体育「なにをやってもあかんわ」だ。2019年1月9日にリリースされた3rdアルバム『SAITAMA』に収録された同曲は、岡崎本人も出演するNHKの番組『テンゴちゃん』の“#腹太鼓ダンス特集”で取り上げられたのち、その“#腹太鼓ダンス”を紹介するインフルエンサーのTikTok投稿がバズり、その後はシチュエーション問わず様々な動画で登場。きっかけこそTV番組発の企画だったが、最終的には楽曲の汎用性の高さが決め手となり、見事年間トップの座に君臨した。
TikTokから発信する新人アーティストたち
2位は、宮城出身シンガー・ソングライター、しまもの「YOU」が獲得。しまもは、才能溢れるミュージシャンの夢を応援するプロジェクト“TikTok Spotlight”の受賞者で、「YOU」は同プロジェクトへのエントリー楽曲だ。また同曲は、2019年6月にローンチしたTikTok新機能“MVモード”のおすすめ楽曲にも起用されており、TikTokが提供するプロモーション・リソースを活用した形で見事バズり、ランキングを上昇した。なお、現在は“shimamo”名義でアーティスト活動を行っており、2019年12月11日発表の週間ランキング(集計期間:2019年12月2日~12月8日)では、最新シングル「君に出逢えて」が8位にエントリーしていた。
また、こちらも“TikTok Spotlight”にエントリーし、しまも同様“MVモード”と連携してバズったのは、路上ライブも積極的に行うシンガー・ソングライター、うえのたくとの「you」だ。TikTokでは主にカバー動画を中心に投稿しているが、オリジナル曲「you」が年間ランキング14位に入ったことから、ソング・ライティング面におけるポテンシャルの高さも窺える。“しまも”や“うえの”は、TikTokを自身の音楽を発信する場として活用し、デジタル・ネイティブな若者を中心にファン層を広げる、次世代を象徴するような存在だと言えるだろう。今後、さらなる知名度拡大を果たし、TikTokはもちろん各ストリーミング・サービスなどでもランキング上位に入り、一躍ヒットを果たす可能性はじゅうぶんにある。
“ダンス動画”の強さ
TikTokの人気コンテンツの一つとして、ユーザーが思わずマネしたくなる“ダンス動画”も挙げられる。3位を獲得したGigi Fuscaldo & Fabio Karia「Vanitosa #ドドドどうすか (feat. Angelica)」は、ロシア語の歌詞が日本語で「ドドドどうすか」と聞こえる空耳が話題となり、その後フィンガーダンスなどの振り付けも加わって、TikTok内でミーム化した。また、MONKEY MAJIK × サンドウィッチマン「ウマーベラス#1」は、アーティストが公式アカウントを開設し、本人が音源を使って踊る動画をアップロード。こちらもダンス動画がバズり、年間ランキング4位に入る結果となっている。続く5位のあさぎーにょ「kitai」も、アーティスト本人によるフィンガーダンスがミーム化した。TikTokで動画をバズらせ、楽曲の影響力や話題性を高めるには、“その曲を使って動画を撮りたくなる”というユーザーの能動性をいかにして高めるかがカギだと言えるだろう。
ランキングを見てみると、既存のヒット曲がTikTokで再び注目を集めた事例も多く散見される。6位のエド・シーラン「シェイプ・オブ・ユー」は、2017年にビルボードジャパン総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”年間2位を獲得するなど、日本国内でも屈指の人気を誇っていることもあり、TikTokでも様々な動画で使用された。また、2017年にお笑いタレント、ブルゾンちえみがネタで使用したことで一世を風靡したオースティン・マホーン「ダーティ・ワーク」は、TikTokのスタンプ“#1秒性格診断”と連携して再び注目を集め、年間ランキングでは7位にエントリー。TikTokがきっかけとなって注目される楽曲もあれば、もともとヒットしていた曲がTikTokでさらに広く訴求していくケースもあるということだ。
TikTokは音楽シーンにも影響
TikTokが音楽のヒットをブーストした例として、米ラッパーのリル・ナズ・Xによるデビュー曲「オールド・タウン・ロード」が、米ビルボード・ソング・チャート“HOT 100”で通算19週のNo.1に輝き、歴代最長記録を更新したことは記憶に新しい。この通り、すでにTikTokは音楽シーンとの密接な関係を築いており、ここでバズった楽曲がヒット・チャートを上昇するケースは、日本でも徐々に増えてきている。
「夏夜のマジック」は、indigo la Endが2015年に発表した楽曲だが、今年一人のインフルエンサーによる投稿がバズり、TikTok内のプレイリスト『終わらないで夏』にも選出、多くの動画で使用された。これにより楽曲自体が再び注目を集め、ビルボードジャパンのストリーミング・チャートに3週連続エントリーを果たしている。また、“#2週間で10キロ痩せるダンス”のBGMとしても知られるフィッツ&ザ・タントラムズ「ハンドクラップ」は、2017年に韓国の2人組動画投稿者がYouTubeで公開した動画が元ネタだが、この企画がTikTokでバズり、日本でも知名度が急速に拡大、元ネタの動画も数多く再生され、YouTubeを集計対象としたビルボードジャパン総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”の動画指標では、計5度の週間1位をマークすることとなった。
今後、TikTokは新たな音楽の発信源となり、我々が想像だにしない形のヒットを生みだしていくかもしれない。その先にどんな音楽との出会いが待ち受けているのか、楽しみだ。
【TikTok年間楽曲ランキング2019】トップ20
岡崎体育
しまも
Gigi Fuscaldo & Fabio Karia
MONKEY MAJIK × サンドウィッチマン
あさぎーにょ
エド・シーラン
オースティン・マホーン
エイバ・マックス
神山羊
Che’Nelle
クリーンバンディット/ザラ・ラーソン
Official髭男dism
HUGEL
うえのたくと
indigo la End
フィッツ&ザ・タントラムズ
Reol
WANIMA
CG5
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