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【SUMMER SONIC 2019】&【Billboard JAPAN STAGE】ライブ・レポート

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 2019年8月16日~18日の3日間にわたり千葉・ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセと大阪・舞洲SONIC PARKにて行われた【SUMMER SONIC 2019】。記念すべき20周年となる今年は、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ザ・チェインスモーカーズ、そして初の日本人ヘッドライナーにB'zを迎え、BLACKPINK、The 1975、ゼブラヘッド、フォール・アウト・ボーイ、タッシュ・サルタナ、ブロックハンプトン、BABYMETAL、Perfume、King Gnu、Official髭男dismなど、国内外の注目アクトたちが熱いステージを繰り広げた。

 また、ジャンル、世代、国籍を超えたビルボードならではのラインナップを<Billboard JAPAN Stage>で展開。 本特集では、 <Billboard JAPAN Stage> の模様とともに、【SUMMER SONIC 2019】東京会場、土曜日の深夜に行われた【NF in MIDNIGHT SONIC】のライブ・レポートをお届けする。

Photo: (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

DAY 1 l 2019.08.16 FRIDAY

BILLBOARD JAPAN STAGE
XIAO BING CHIH / 八三夭831 / SUPPER MOMENT / RIRI / m-flo / BJÖRN AGAIN / CHERYL LYNN

MARINE STAGE
[ALEXANDROS] / WANIMA / YUKI / WEEZER / THE 1975 / B'z

SONIC STAGE
SAM FENDER / PALE WAVES / SNOW PATROL / TWO DOOR CINEMA CLUB

XIAO BING CHIH
11:00~

 サマソニ初日の午前11時、<Billboard JAPAN STAGE>に登場したのは台湾の人気シンガー、蕭秉治(Xiao Bing Chih)。2015年にバンド“MP 魔幻力量(Magic Powe)”としてサマソニに出演し、翌年バンドは活動休止となったものの、今年はソロとしてサマソニへのカムバックを果たした。この日は台風の影響で悪天候だったが、初日の<Billboard JAPAN STAGE>には台湾のアクトが数組出演予定とあって、台湾からのファンも多く見受けられた。「オハヨー!Xiao Bing Chihです。アイシテル!」と日本語で挨拶をしつつ「サマソニという世界でも大きなフェスに出ることができて本当に嬉しい」と語ると、これが台湾ポップスだ!と言わんばかりの熱量でステージを盛り上げていく。今年リリースされた初ソロ・アルバム『凡人MORTAL』からは「Missing You」を日本語バージョンで歌いあげると、「I Still Love You」では弾き語りを披露。「Superhero」ではラップでヒートアップさせるなど台湾のドーム・コンサートを満員にさせたグループのメイン・ボーカルとして、またソングライターとして曲作りの才能を魅せつけられた。最後は初ソロ・アルバムのタイトル曲「Mortal」を披露し、ソロとしては初となるサマソニのステージを後にした。パフォーマンス中は中国語と日本語で目の前にいるファンへしっかりと語りかけたり、ステージから降りてきたりと、ファンサービス満載のステージとなった。

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八三夭831
12:10~

 初日の<Billboard JAPAN STAGE>の2番手には、台湾発のロック・バンド八三夭 831(バーサンヤオ)が登場。Maydayのヴォーカル、阿信(アシン)のイチオシというだけあり、会場にはアジア圏からの熱狂的なファンも見られるほどの人気っぷり。「飢餓遊戲」「渇了」といったアッパーチューンを序盤から連発し、【SUMMER SONIC】初登場ながら堂々としたステージングでライブを展開していく。ヴォーカルの阿璞(アープ―)のハイトーン・ヴォイスは、興味本位で立ち寄った観客の心も掴んでいき、会場の熱をヒートアップしていった。日本語で“ハワイに行こう”という意味の楽曲「來去夏威夷」では、観客同士の手を繋がせハッピーな空間を作り出したり、コールアンドレスポンスを連発させたり、終始観客を楽しませることを惜しまない。「今年の9月16日に日本でワンマンライブがあります。もう売り切れちゃってるんだけどね(笑)」と嬉しそうに話すメンバーの姿も印象的で、今勢いを増すアジア音楽の中でも注目株のバンドだと実感させられるステージだった。

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SUPPER MOMENT
13:20~

 SEが流れメンバーが登場するやいなや、大きな手拍子と歓声があがり、印象的なギター・イントロから始まる「258km/h」がスタートすると、重厚なロック・サウンドとヴォーカルであるサニーの力強い歌声で会場のボルテージが一気に高まった。続く「飛」のような爽やかな曲や「霊感床」などタイプの異なる曲で豊かな表現力を感じさせつつも、印象的だったのはサニーのステージングだ。舞台を縦横無尽に動き回り、時には自身が舞台を降りて客席に身を乗り出す場面もあり、その迫力で大いに場内を沸かせていた。

 終盤に差し掛かると、ライブでは初演奏というマンドリンを手に取り、リリースしたばかりの「尋回一碗湯(2019)」を披露。声を揃えて歌うフレーズが追加されているこのバージョンは、観客を巻き込んだ大合唱となりサニーも「自国でやっているようだ」と言うような一体感が生まれていた。

 Survive Said The Prophetとのコラボなど日本と縁はあったものの、この日がバンド単独で日本のステージに立つのが初めてだったという彼ら。その記念すべき最初の一歩は、香港でトップバンドと評されるにふさわしいハイクオリティのパフォーマンスをまざまざと見せるものとなった。

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RIRI
14:35~

 ネオン・ピンクの衣装で登場したRIRIは、この日が4度目の【SUMMER SONIC】への出演だった。バンドにホーン隊を引き連れた豪華なセットで、1曲目の「GOLD」を披露。可憐な姿からは想像もつかないパワフルな歌声で、序盤からオーディエンスを圧倒した。小袋成彬がプロデュースしたCMソング「Summer time」ではKANDYTOWNのKEIJUも飛び入り参加。ライブ中盤ではエラ・メイの「boo'd Up」のカヴァーも飛び出すサプライズで会場を沸かせた。自身のライブでは初披露となった、映画『ライオン・キング』の日本版オフィシャルソング「Circle of Life」は、ビヨンセにも劣らない歌唱力を会場中に響き渡らせ、初見の観客を驚かせた。自身の代表曲「HONEY」や「RUSH」も惜しみなく披露し、ティーン最後の【SUMMER SONIC】のステージを締めくくったのだった。

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m-flo
15:50~

 <Billboard JAPAN STAGE>の5組目にはm-floが登場。会場に入りきらないほどのオーディエンスが集まり、オレンジのつなぎに身を包んだメンバーが登場すると、会場からは大きな歓声と拍手が。そのまま代表曲「come again」でフロアを躍らせると、リリースされたばかりの新曲「Toxic Sweet feat. JP THE WAVY」ではゲストに同じ衣装を着たJP THE WAVYが現れ、会場の熱気はさらにヒートアップ。VERBALと☆Taku Takahashiの息の合った完璧な掛け合いで魅了した「gET oN!」では敬礼のポーズで締め、VERBALが「夏休み楽しんでますか!」と投げかけると、ギターを加えた編成で「Summer Time Love」を披露。エモーショナルなバラード「EKTO」では「ギターでラヴソング、かっこいいね!」とLISAの本音が出る場面も。ライヴ終盤では、アニメのエンディングに起用された「against all gods」を初披露。最後は現体制で完全復活を遂げたシングル収録曲「No Question」のリミックスヴァージョンで締め括られ、貫禄のあるステージを魅せながら、夏らしく爽やかなサウンドで終始満員のフロアを躍らせた。

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BJÖRN AGAIN
17:15~

 言わずと知れた伝説的グループABBAのトリビュート・バンドである彼らのパフォーマンスは「Waterloo」からスタート。女性陣の息ぴったりの振り付けと男性陣のコーラスも加わった美しいハーモニーは見事なABBAサウンドとなっており歓喜の声援が贈られた。続く「Gimme! Gimme! Gimme! 」では同楽曲をサンプリングしていたマドンナの「Hung Up」のフレーズを歌うという本家には逆に真似ができない芸当もやってのけた。中盤では女性陣が一旦ステージから姿を消し、サポートメンバーも含めて残った男性達は困り顔になりながらも「アイデアがある」と言い、なんとボン・ジョヴィの「Livin' On A Prayer」を披露。まさかの展開ではありながら大いに観客を沸かせた。再び全員がステージに戻ると「Money, Money, Money」、「Mamma Mia」、「Dancing Queen」などを立て続けに歌い上げた。ABBAのヒットメドレーともいえる豪華なセットリストだった今回、観客が曲を歌いあげる場面も多く、その名曲達がいかに愛されているかを再確認し、更にそれらを現代でもライブで体感できる喜びを届けてくれるバンドへ感謝を送りたくなるステージだった。

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CHERYL LYNN
18:45~

 サマソニ全体の中で、ややエルダーに振れたラインナップが揃う<Billboard JAPAN STAGE>。シェリル・リンもその代表格だが、時代を築き、いまなお多くの新しいリスナーを獲得し続けている彼女のディスコ・サウンドは「クラシック!」と呼ぶに相応しい。この日のステージでも、2人のシンセ奏者や3名のコーラス隊をも引き連れた、その骨太のファンクネスで、詰めかけた音楽ファンを魅了した。こういうステージを見ていると、ディスコ・ミュージックというか、その裏側に歴然と存在するファンク・ミュージックの構造というものが、ある種の“マシーン”と表現できるほどに、堅牢で力強いものだということを感じる。そして、それを維持しているのは、非常に豊富で分厚い、才能溢れるミュージシャンたちの選手層。今なお衰えを全く知らない力強い歌声でファンを鼓舞し、ダンスさせるシェリルと同じくらい、バンドのミュージシャンたちも驚異的なのだ。その有り難さを噛み締めながら「Sweet Kinda Love」「Shake it Up」そして「Got to Be Real」でステップを踏んだ。

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[ALEXANDROS]
13:10~ @ MARINE STAGE

 <MARINE STAGE>に大きな歓声を受けながら登場した[ALEXANDROS]。1曲目から「Adventure」「Waitress,Waitress!」「Girl A」とライブで定番の曲を次々と披露。太くカラッとしたサウンドと歌声が会場に大きく広がっていった。そして、「新曲持ってきました。皆さん準備はいいですか!」とアナウンスして披露したのは、7月5日にリリースされた「月色ホライズン」。ドライブ感あふれるサウンドが会場の空間を駆け巡るように響きわたる。当日は曇天・強風であったが、[ALEXANDROS]の突き抜けた楽曲たちが、オーディエンスの心を晴れやかにさせた。

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SAM FENDER
13:25~ @ SONIC STAGE

 音楽シーンにまで波紋を広げるブレグジット問題をはじめ、社会情勢が大いに揺れる英国から、2017年のDeclan McKenna、2018年のRex Orange Countyと、何気にZ世代のSSWを連続招聘しているサマソニのステージに、今年も新たなゴールデン・ルーキーがやって来た。先日の【The BRIT Awards 2019】では、かつてAdeleやSam Smithらにも与えられた<評論家賞>を受賞した、現在23歳のSam Fenderである。そのパフォーマンスは、骨太のギター・ロックを基調としつつ、デビュー・アルバムのリリース直前ということもあって、叩き方次第でどんな輝きも放ちそうな可能性の原石とも呼べるもの。The 1975のサックス奏者を招いてのラスト「Hypersonic Missiles」は、早くもライブ・アンセムとしての盛り上がりを見せていたし、今回をきっかけに日本でも着実にファンを増やしていきそうだ。

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WANIMA
14:20~ @ MARINE STAGE

 たくさんの人で賑わう真昼のMARINE STAGE。「SUMMER SONIC 2019、WANIMAとみんなで開催しまーす!」お馴染みの開催宣言とともに登場したのはWANIMAの三人だ。代表曲の一つ「ともに」からスタートしたライブは、序盤から跳べや歌えやの大騒ぎ。「Hey Lady」「アゲイン」とキラーチューンの連続に、フロア各所ではサークルモッシュが巻き起こる。「初めての人もいるかもしれないので自己紹介します。Perfumeでーす!」とオーディエンスの笑いを誘った後は、映画『ワンピース』の主題歌「GONG」をフェス初披露。疾走感溢れるパワフルなナンバーにモッシュピットの盛り上がりは最高潮に。KENTA(Vo./Ba.)も「業務連絡!ステージめっちゃ楽しいです!ここにおる何万人がWANIMAと同じ気持ちだったらいいなー!」と満面の笑みを見せた。

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PALE WAVES
14:50~ @ SONIC STAGE

 英マンチェスターの新星、PALE WAVESは2年連続のサマソニ出演。サウス・ロンドンを中心として、近年のUKインディ・シーンがホットな状況にあるなか、彼女たちは独自の美的センスと確かなソング・ライティングの実力で、いち早くグローバルな認知度を獲得、2月のツアーでは東京公演2daysをソールド・アウトさせている通り、日本でもコアなファンダムを築いているわけだが、今回はそんな躍進の経験値がしっかりと反映された、発展期らしいエネルギーに満ちたアクトを見せてくれた。もともとタイトな演奏と浮遊感のあるサウンド・デザインで、小さなライブ・ハウスの密室感にもフェスの開放感にもハマりそうなポテンシャルを備えていた彼女たちも、同郷のThe 1975のツアー・サポートなどを経て、昨年と比べても明らかに大舞台が似合うバンドに成長したのだ。EDM的な高揚感を演出する「Red」、軽やかな4つ打ちのダンス・ナンバー「Came In Close」など、昨年のセットにはなかった新曲群のフックも効いていたし、まだまだ名実ともに上昇気流を保っていくに違いない。

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YUKI
15:30~ @ MARINE STAGE


Photo by Teppei Kishida

 サマソニ出演は2011年以来8年ぶり、東京は初出演となるYUKIがMARINE STAGEにてオンステージ。名越由貴夫(Gt.)ら豪華バックバンドがバナナラマ「ヴィーナス」をセッションするなか、朗らかな表情でステージに登場したYUKI。「プリズム」でゆったりとオープニングを飾ると、続く「ふがいないや」では、両腕を覆う大ボリュームのレースを揺らしながらステージ中を飛び跳ねる。ハネるビートが心地良い「やたらとシンクロニシティ」、MVの振り付けを真似するオーディエンスの姿も見られた「JOY」など、持ち前のキュートな歌声とポップなパフォーマンスが曲ごとにいろんな表情を見せていく様には、目も耳も離さずにはいられない。「今日はこのステージに立てて嬉しかったです!ありがとうございました!」と、フィナーレに「フラッグを立てろ」を投下し、ステップを踏みながらステージを去っていった。

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WEEZER
16:40~ @ MARINE STAGE

 1曲目で「Buddy Holly」が披露された瞬間、オーディエンスは『いきなり「Buddy Holly」をやるのか!』という気持ちを表すような歓声が生まれた。1月にリリースされ、カバー曲で構成されたアルバム『ウィーザー(ティール・アルバム)』からも「Africa」「Take On Me」を披露した。MCでは日本語で「疲れた?元気ですか?ちょっとジメジメですね。はジメジメまして」と、素晴らしい親父ギャグも披露。最後に披露した「Say It Ain't So」では全員でサビをシンガロングし、非常に幸せな空気で公演は終了した。

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SNOW PATROL
17:35~ @ SONIC STAGE

 2006年のフジロック出演以来の来日となるSNOW PATROLがアコースティック・セットで登場。オープニング・ナンバー「Chocolate」からクラップやコール&レスポンスを誘うなど、13年ぶりの来日とは思えぬほどリラックスした雰囲気でライブは進行していく。昨年リリースした通算7枚目のオリジナル・アルバム『Wildness』からの楽曲はもちろんのこと、「Just say yes」「Open Your Eyes」といった人気曲も惜しげもなくポスト。アコースティック・セットがよく映えるUKらしいグッドメロディと、繊細でふくよかなギャリー(Vo./Gt.)の歌声がSONIC STAGEに染み渡っていく。ラストソングには、ここ日本でも『テラスハウス』EDテーマとしてもお馴染みの「Chasing Cars」を披露。シンガロングを巻き起こし、13年越しのステージを締めくくった。

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THE 1975
18:05~ @ MARINE STAGE

 2013年にサマソニ初出演を果たし、翌年には早くもMARINE STAGEに登場、そして2016年以来3年ぶり、通算4度目の出演となるThe 1975。3rdアルバム『ネット上の人間関係についての簡単な調査』のオープナー「The 1975」、さらに「Give Yourself a Try」「TOOTIMETOOTIMETOOTIME」とアルバムの冒頭をなぞるように開幕したアクトは、新作を中心に展開し、ラストは代表曲の3連打でフィナーレを迎える現行フェス・セット。その中で高揚から消沈まで全てさらけ出すマシュー・ヒーリーの姿こそ、まさしく彼らが新作で描き出したトーンそのものだったし、彼らなりのこのテン年代の総括でもあった。だからこそ、新たなディケイドを目前としたこのタイミングで、現時点ではおそらく世界で唯一、時代の顔として支持されるロック・バンドのステージを目撃することができたのは本当に幸運だった。このステージから約1週間後、英【レディング・フェス】では新曲も披露するなど、バンドがすでに次作のフェーズへ転身し始めていることを考えると、本当に滑り込みセーフの来日公演だったと言っていいだろうし、2020年以降にやってくるであろう新たな機運の中でも、きっと何度でも反芻したくなるような体験になったと思う。

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TWO DOOR CINEMA CLUB
19:10~ @ SONIC STAGE

 1日目 SONIC STAGEのトリを飾るのは、先日の単独公演でも大盛況を収めたTWO DOOR CINEMA CLUB。アレックス(Vo./Gt.)が「Good evening SUMMER SONIC!」と元気よく挨拶をキメて始まったステージは、冒頭からブチ上がり必須。6月にリリースしたばかりの最新作『False Alarm』から「Talk」、世界各国でヒットを記録したデビュー・アルバム『Tourist History』から「Undercover Martyn」、そこから間髪入れずに投下された「I Can Talk」でオーディエンスの熱気は早くも頂点に達する。その後も新旧織り交ぜのセットリストでこれまでもかというほどに踊り狂わせられるのだが、そんな激アツのフロアに対し、ステージングはどこかシアトリカルでクールな雰囲気を纏っていたことが印象的だった。パフォーマンスの勢いで踊らせるのではなく、鳴らす音のニュアンスを巧みに操り高揚感を煽っていくスタイルはまさに職人芸。「What You Want」で巻き起こったシンガロングも、そんな彼らだからこそ成せる光景だっただろう。

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B'z
19:40~ @ MARINE STAGE

 1日目の<MARINE STAGE>、トリを飾ったのはサマソニ初の日本人ヘッドライナー、B’zだった。ファンはもちろんのこと、サマソニがなければ生のライブを見ることはなかったであろう人もいた中で、B’zの放つパワーは絶対的だった。「ultra soul」でのお決まりの掛け声には疑いようのない一体感が存在していたが、「マジェスティック」「裸足の女神」では多くのオーディエンスがスマホのライトをステージに向け、その幻想的な景色に稲葉も「蛍かと思った」と感慨深い様子でコメント。B’zのパワーは最後の「さまよえる蒼い弾丸」まで全く落ちることなく続き、トリにふさわしい“最高の真夏の夜”を演出した。

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DAY 2 l 2019.08.17 SATURDAY

BILLBOARD JAPAN STAGE
TELEx TELEXs / STAMP / Phum Viphurit / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS+ / THE INTERRUPTERS / THE DAMNED / サンボマスター

TELEx TELEXs
11:50~

 太陽が眩しく照らす中、涼しい風が心地よく感じられるステージに登場したのはタイ・バンコクの4人組バンド、TELExTELEXs。オレンジ色のアイシャドウに紫と緑のグラデーションヘアが目を引くAOM(vo.)と、サイケポップな音色を奏でるバンドメンバーたちのサマソニの初ステージは、最初から最後までサイケポップ全開で、かつチリングな雰囲気を醸し出し、観ているこちら側は自然に体が揺れる。彼らの大ヒット曲が東京の地名というところが、なんとも嬉しい。その楽曲「Shibuya」では、80年代の異国にトリップしたかのような感覚を味わわせてくれた。「一緒に踊りましょう!」という掛け声に、一人で見ているお客も、海外から来たお客もみんな汗だくでダンス。「トウキョウ、サイコー!」とシャウトしたAOMは最新アルバム収録の人気曲を観客に語りかけるように歌い、ジャンプでライブの盛り上がりは最高潮に。ラストはラップを効かせたこれまた一味違うパフォーマンスで締めくくった。

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STAMP
13:05~

 煌々とした太陽が照らす午後イチの<Billboard JAPAN STAGE>には、タイのシンガー・ソングライター、STAMPが登場。頻繁に来日公演を開催しており、高校時代はL'Arc-en-Cielのカヴァーバンドもやっていたほどの親日家であるSTAMPは、毎年チケットを買ってくるくらい【SUMMER SONIC】が大好きだという。「今日は暑いですから、みんなで歌いたい!」と日本語で煽った「Bangkok Summer」では、クラップを交えながらのコールアンドレスポンスで会場を一気にホームの空気に。「みんなこの曲を聴いたらアルバムを買うと思います(笑)」と紹介したアルバム『EKAMAI DREAM 1』の収録曲「Die Twice」ではもちろん、親交の深いFIVE NEW OLDのヴォーカルHIROSHIが登場。3日間で一番厳しい暑さだったこの時間だったが、タイの国民的スターは爽やかに、オーディエンスを気持ちよく躍らせた。

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Phum Viphurit
14:20~

 昨日とは打って変わって晴天となったサマソニ2日目、14時20分。タイからの3組目のアクトとしてバンコク生まれニュージーランド育ちのシンガーソングライター、Phum Viphuritがバンドと共に登場。35度を超える猛暑の中、その暑さを吹き飛ばすような爽やかなサウンドで「Paper Throne」からステージがスタート。2018年にも来日ツアーを開催しているだけあって、バンドのサウンドが響き渡る共に<Billboard JAPAN STAGE>にどんどん観客が集まってくる。「Strangers in a Dream」、「Adore」、「Sweet Hurricane」と2017年リリースのアルバム『Manchild』からの楽曲を次々に披露。タイや日本などのアジア圏だけでなく欧米からも支持を得る理由は、このポップでアーバンな心地よいサウンドと、微笑みの国=タイを象徴するかのような彼の笑顔にあると感じた。「初めてのサマソニで本当に嬉しいです!」と挨拶をし、一曲一曲を丁寧に歌い上げる姿に癒されつつ、聴いているこちらはまるで西海岸の潮風を感じているかのような気分にもさせてくれる。最後は日本語バージョンもリリースされている「Long Gone」で初サマソニのステージを締めくくった。タイの音楽シーンを追わないわけにはいかないと思わせてくれた癒し系タイのヤングスターの今後に注目したい。

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LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS+
15:35~

 15:35から<Billboard JAPAN STAGE>に登場したのは、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS+。青空の元、「ここはいい風吹いてるぜ!みんな飛ばしていきましょうか!」と煽ると、会場からは大きな歓声が沸いた。1曲目の「Little Giant」のイントロが鳴ると、観客は手を上に挙げてクラップ。ノンストップで4曲を演奏したLOW IQ 01が、「俺はみんなが今日ここに来てくれるって思ってたよ、どうもありがとう!」と話すと、フロアからは「おかえり!」という声が掛けられる。というのも、彼がこの場所に立つのはAIR JAM2000以来で、約20年ぶりとのことで「あの時は真夏なのに真冬のコート着てました。」と笑いながら振り返る。続いて細美武士をフィーチャリングしたことでも話題を呼んだ「Delusions of Grandeur」を披露し、「回る準備はできてるか!」と呼びかけると、「So Easy」、「Way It Is」のサビではフロアに大きな輪ができ、観客は肩を組んで回りながら踊った。ライヴもいよいよ終盤に差し掛かり、「暴れろ!」と叫んだ後に披露された最後の曲は、SUPER STUPIDの「WHAT A HELL’S GOING ON?」。新旧織り交ぜた盛りだくさんのセットリストで、疾走感のある熱いステージを魅せてくれた。

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THE INTERRUPTERS
16:50~

 <MOUNTAIN STAGE>での出番を終え、この日2度目のパフォーマンスに臨む彼らへの高い期待感を示すように開始前からステージのテント部分から人が溢れるほどの盛況となる中、メンバーが登場。ギターのケヴィン・ビヴォーナが「コンニチハー!」とシャウトすると大歓声が響き「A Friend Like Me」が始まるとそこは興奮のるつぼと化した。スカ・パンクのビートに合わせたモンキーダンスや手拍子で観客は大いに盛り上がる。

 “Unity Song”として紹介した「Take Back the Power」、“Fight Song”と呼んだ「Title Holder」をはじめとしたエネルギーに満ちた曲をパワフルな歌声で歌いあげるヴォーカルのエイミー・アレンは客席に身を乗り出すほどにエキサイトしており、1度目とは異なる距離感のステージをフルに駆け回った。

 彼らを見出したランシドに捧げる曲としてランシドの前身バンドであるオペレーション・アイヴィーの「Sound System」も披露し、その粋な選曲も会場を喜ばせた。締め括りとなる「She’s Kerosene」までその尽きないヴァイタリティと高い演奏力を見せ続け、曲が終わってもアンコールを求める拍手が鳴り止まなかったのは印象的な光景だった。初来日だったという彼らのパフォーマンスは確実に人々の心を捉えており、「すぐに戻ってきたい」と話していた言葉が現実になるのが楽しみで仕方なくなるものだった。

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THE DAMNED
18:00~

 英国を代表するパンク・レジェンドの姿を目撃しようと集まったファン達が今や遅しとスタートを浮き足立つムードで待つ中、“Ladies and Gentlmen...How Do”と「Love Song」のイントロが聞こえると割れんばかりの拍手と歓声がメンバーを迎え入れショウが幕があがった。

 スタンドを使わずマイクを直に持つスタイルのデイヴ・ヴァニアンは艶やかさを纏うしなやかな動きで観客を魅了。「Second Time Around」でジャケットとスカーフを脱ぐとよりパワフルな動きで舞台上を支配した。キャプテン・センシブルのギターは切れ味鋭く、ベースのポール・グレイとドラムのピンチはストイックにリズムを刻み続ける。キーボードのモンティ・オキシモロンのイヤーモニターが不調だった際は彼のドレッドヘアーをいじってユーモラスに乗り切った。

 MCでもキャプテンが“僕らは年をとってると思うけど、まだまだ・・・”と現役ぶりをアピールしようとすると、言葉を遮るようにデイヴが「実際、年とってるよ!」と笑いを誘う場面も。もちろん楽曲もボリューム満点で届けてくれ、サビのフレーズ“Heros”を観客が声を揃えてシャウトした「Noise,Noise,Noise」やパンク・ムーブメントの先駆けとなったアルバム『地獄に堕ちた野郎ども』からの「Neat,Neat,Neat」、「New Rose」などハイテンポなナンバーを最後まで次々と披露してくれた。

 随所にジョークを挟むベテランらしい余裕は持ちつつも、ハードな曲をプレイし続ける衰えないパワーは、年老いた感覚を抱かせず、レジェンドでありながら今なお第一線を走り続ける彼らの凄みを充分に感じさせるものであった。

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サンボマスター
19:10~

 2日目のトリを務めたサンボマスターは、開口一番に「サマソニ、準備はいいか、このヤロウ!」「台風で見れなかった大阪のお客さんの仇を取りに来ました!!」と「世界をかえさせておくれよ」で、初っ端から全開で飛ばした。山口隆(vo., g.)が随時「かかって来いよ」「後ろ、サボってんじゃねえぞ!」と観客を煽ると、それに応えるようにオーディエンスの歓声や手拍子にも熱が入る。その熱気に包まれたステージ周りには人が押し寄せ、観客の最後尾は出店の近くまで伸びた。サンボはこの日、「全員優勝」を連呼したのだが、言葉通り「マリン以上のミラクル」を起こしたに違いない。「ミラクルをキミとおこしたいんです」、「ロックンロール イズ ノットデッド」、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」などをプレイし、レッチリがブイブイ言わせたマリンステージに負けじと、こちらも踊り、歌い、叫び、手を叩き、ジャンプして地を揺らした。正真正銘、サンボ含め、このステージを観た観客全員が優勝したと言ってもいいくらい最高のステージとなった。

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DAY 2 l 2019.08.17 SATURDAY

MARINE STAGE
ROBERT GLASPER featuring CHRIS DAVE, DERRICK HODGE and YASIIN BEY / RED HOT CHILI PEPPERS

MOUNTAIN STAGE
ZEBRAHEAD / BRING ME THE HORIZON / BABYMETAL

SONIC STAGE
TASH SULTANA / FOALS / CATFISH AND THE BOTTLEMEN

BEACH STAGE
Yogee New Waves / SUPERORGANISM / THE LEMON TWIGS

RAINBOW STAGE
CIRCA WAVES

【NF in MIDNIGHT SONIC】
The Cinematic Orchestra / サカナクション

ROBERT GLASPER featuring CHRIS DAVE, DERRICK HODGE and YASIIN BEY
14:20~ @ MARINE STAGE

 <MARINE STAGE>の14:20に登場したロバート・グラスパー。この日の最高気温が33度という灼熱の日差しの中、ドラマーにクリス・デイヴ、ベースにデリック・ホッジ、ラッパーにヤシーン・ベイという豪華布陣となった本公演。昨日の<BEACH STAGE>での公演が中止となってしまったが、彼らリズム隊とラップの織り成すサウンドにいつの間にか没入され、圧巻のステージであった。特にクリス・デイヴのタイトなドラムに心奪われた人もいるのではないだろうか。

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ZEBRAHEAD
14:40~ @ MOUNTAIN STAGE

 

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Yogee New Waves
16:05~ @ BEACH STAGE

 太陽が傾きつつある16時過ぎ、<BEACH STAGE>に登場したのはYogee New Waves。海から吹いてくる風に当たりながら、チルな雰囲気でライブは進んでいく。「CAN YOU FEEL IT」では、少し涼しくなった(それでも暑いのは間違いないのだが)ビーチで、心地よく体を揺らす人が多く見受けられた。曲と曲の合間やMCの時に、右から聞こえてくる波の音にあまりの心地よさを感じたのは私だけではないはず。完全に環境と一体となったライブであった。

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TASH SULTANA
16:35~ @ SONIC STAGE

 オーストラリア出身のシンガー・ソングライター、TASH SULTANAの初来日公演である。ジミ・ヘンドリックスも引き合いに出されるギターの腕前、20種以上もの楽器を操るというマルチ・インストルメンタリストとしての破格のスキルなど、前評判から彼女のスペックはじゅうぶんに理解していたつもりだったが、そのハードルを余裕で超えてくる衝撃のパフォーマンスだった。アンサンブルの独り構築はループ・ペダルの多重録音が成せるワザだが、タップ・ダンスでもしているかのような足元のスイッチング、ハスキーで伸びやかなヴォーカルやボイス・パーカッションのビート・メイク、ステージの端から端までを練り歩き、時には座り込んでギター・ソロを弾き倒す、肉体的な躍動感が溢れるステージングはライブだからこその発見。サイケな映像やスピリチュアルなステージ・セットといった美的センスまで、終始驚きの連続だったアクトだ。

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BRING ME THE HORIZON
17:25~ @ MOUNTAIN STAGE

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SUPERORGANISM
17:30~ @ BEACH STAGE

 冒頭、ステージのスクリーンに流す映像が途中で止まるというハプニングがありながらも、正常になってからはスーパーオーガニズムの空気が支配し、夜に徐々に向かっていく<BEACH STAGE>。スーパーオーガニズムの楽曲と、暑さと、これまでの疲れも相まって、頭の中が気持ちよくなり過ぎているのではと思わずにはいられない人もいた。最後の2曲には、この日同じく<BEACH STAGE>に出演していたCHAIもスペシャルゲストで登場。みんなで楽しく自由に踊り、この上ない高揚感が生まれた。そして公演終了後、英語の勉強を固く誓った人もいただろう。

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FOALS
18:10~ @ SONIC STAGE

 デビュー当時からコンスタントに来日公演を行っていたものの、今回実に約5年半ぶりということもあり、始まる前から異様な熱気に包まれた<SONIC STAGE>。最新作のタイトルをコールするイントロが流れ、レトロなシンセ・ビートと歯切れのいいギターに、フロントマンのヤニスと最新ツアーにサポート・ベースとして参加しているエヴリシング・エヴリシングのジェレミーとのヴォーカル・ハーモニーが絡み合う「On the Luna」でライブがスタート。デビュー初期からのファンに捧げられた「Olympic Airways」のトリッキーでメロディアスなギタープレイにノックアウトされると間髪いれずに、アイコニックな冒頭のギターリフに大歓声があがった「My Number」へなだれ込み、会場の熱気が瞬く間に加速していく。最新作からの「In Degrees」ではメンバーたちが、打楽器やシェーカーなどを片手に軽快なポリリズムを刻み、様々な角度からアプローチされるダンサブルなロック・サウンドに観客は一心不乱に体を揺らす。終盤に差し掛かり、ブルーの照明に照らされたヤニスの円熟味の増したヴォーカルがフロアを包み込む「Spanish Sahara」でクールダウンすると、続く「Inhaler」では途中しゃがむように指示された観客が、ドロップの部分で一斉にジャンプするという演出もバッチリ決まった。ヘヴィーかつグルーヴ感満載の「What Went Down」では、フロアまで降りてきたヤニスが観客に支えられながら吠え、観客の一体感がピークに達したところで誰もが踊らずにはいられないライブのハイライト「Two Steps, Twice」で大円団を迎え、脂の乗りまくった彼らの魅力が凝縮された約1時間のセットは幕を閉じた。

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CIRCA WAVES
18:55~ @ RAINBOW STAGE

 過去3度に渡りサマソニの舞台を熱く盛り上げてきたCIRCA WAVESが、今年も幕張の舞台に帰ってきた。前回出演時(2017年)にはMARINE STAGEでスタジアム感溢れるライブを繰り広げた彼らだが、今回は新機軸を打ち出した最新作『What's It Like Over There?』を引っ提げ、RAINBOW STAGEにてオンステージ。元来のソリッドなイメージに加え、新作のモードともリンクする気骨のあるライブを見せてくれた。なかでも、サム(Ba.)がピアノを、ジョー(Gt.)がベースに持ち替えた「Times Won’t Change Me」は、どっしりとしたビートと軽やかなピアノの対比がユニークで、独特の凄味があった。また、この日はドラムスのコリンが誕生日とのことで、「T-Shirt Weather」の間奏ではハッピーバースデーの合唱もあり。さらに終演後はキエラン(Vo./Gt.)がフロアに降り立ち観客とハイタッチをするなど、パフォーマンスと同様のマイペースさも垣間見られた。

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BABYMETAL
19:00~ @ MOUNTAIN STAGE

 2012年の初出演以降、6年連続でサマソニに出演していたBABYMETAL。特にMARINE STAGEの2ndヘッドライナーという最高のスロットに収まり、2ndアルバム『METAL RESISTANCE』までの集大成を見せつけたのが6年目の2017年だったことを踏まえると、10月に3rdアルバムのリリースを控えた彼女たちが今年、ネクスト・フェーズに向けたモードでステージに立ったことは必然的だろう。YUIMETALがリタイヤするも、新体制でワールド・ツアーに臨んだ2018年が、グループにとって大きく潮目が変わった時期だったことは言うまでもない。既存曲のパフォーマンスにはそんな過渡期を乗り越えたタフネスが滲んでいたし、ニュー・アルバムからの先行シングル「PA PA YA!!」「Elevator Girl」、そして現時点ではライブでのみ披露されている楽曲であり、エキゾチックな趣を漂わせる意欲作「Shanti Shanti Shanti」といった新曲の破壊力も抜群。フロントマンとしての存在感もますます増し、風格すら感じさせたSU-METALの佇まいも印象的だった。

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THE LEMON TWIGS
19:10~ @ BEACH STAGE

 2日目、<BEACH STAGE>のトリには兄弟デュオ、レモン・ツイッグスが登場。この時間帯、裏ではレッド・ホット・チリ・ペッパーズやBABYMETALなどのアーティストが出演していたこともあってか、オーディエンスが少なかったことは否めない。しかし、レモン・ツイッグスに熱視線を向けるオーディエンスに特別なグルーヴがあったことも決して否めなかった。兄ブライアン・ダダリオの歌声、そしてステージで足を高く蹴り上げたり胸を突き出したりする弟マイケル・ダダリオの独特な立ち振る舞いにオーディエンスはすっかり魅了。入魂のステージだった。

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RED HOT CHILI PEPPERS
19:45~ @ MARINE STAGE

 この日の大トリ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのライブは、フリー、チャド、ジョシュが、まずお互いに演奏を確認しあう、白熱のジャム・セッションで開幕。フリーがステージに寝っ転がったり、腰を激しく動かしたりと、アクロバティックなプレイで観客を煽りながら「Can't Stop」へビルドアップしていくと、『Mother's Milk』の30周年を意識してか、ジャケを彷彿とさせるハットを被ったアンソニーが走りながらステージに登場。「おはよう!」というフリーらしい挨拶から始まった「Scar Tissues」では早くもシングアロングが沸き起こり、ランシドTを着たジョシュのギター・ソロが炸裂した「Dark Necessities」、どこか懐かしく哀愁漂うギター・メロディに心酔させられた「Hey」など、次々と披露されるオールタイム・ベスト的なセットリストに観客のヴォルテージは一気に上がっていく。

 「カモーン、ジャパン!カモーン、東京!俺は君たちを愛してる!俺たちは君たちを愛してる!俺たちはお互いを愛している!」と饒舌なフリーは、ニール・ヤングによる「The Needle and the Damage Done」のムーディなソロ・カヴァーで会場の空気を一変させたかと思うと、「Go Robot」ではサポート・ベーシストとともに軽やかにステップ踏んだり、「Around The World」のイントロではお決まりの鋭く空気を裂くような強烈なベースを披露するなど、その独創的で卓越したプレイと愛されキャラで観客を魅了。

 後半に入っても名曲が連発され、中でも観客による無数のスマホのライトに幻想的に照らされる中、目を閉じたアンソニーがまるで祈るように歌い上げた「Under the Bridge」は特に感動的だった。アンコールでは、前回の来日ライブでややミスってしまった「Dreams of a Samurai」を気迫あふれる渾身の演奏で完璧に決め、雪辱を果たした。そして遊び心が随所に盛り込まれたファンキーな「Give It Away」でフィナーレ迎えると、フリーが「みんなへたくさんの愛を。すべての世代の人、そして日本全体へピース&ラヴ、いつも、いつまでも。俺たちは君らを愛しているし、リスペクトしている」という心温まる言葉とともにライブを締めくくった。

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CATFISH AND THE BOTTLEMEN
19:50~ @ SONIC STAGE

 

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The Cinematic Orchestra
23:30~ @ 【NF in MIDNIGHT SONIC】

 サマソニ東京2日目深夜は、サカナクションとサマソニのスペシャルコラボレーション【NF in MIDNIGHT SONIC】。ライブのトップバッターを務めたのは、12年ぶりの新作『To Believe』をリリース、4月には単独ホール公演も成功させたThe Cinematic Orchestraだ。この日はゲストヴォーカルを加えた特別編成で登場。ジャズ、エレクトロ、トラディショナルetc、あらゆる音楽の境目が気持ちよく曖昧になったサウンドスケープを展開した。全体的にはアンビエントな雰囲気のステージだったが、ルーク・フラワーズ(Dr.)から繰り出されるスリリングなビートの洪水や、トム・チャント(Sax.)が鳴らすサックスのエモーショナルな響きには、ただただ覚醒されるばかり。緊張と緩和が混ざり合った大スケールの音楽体験は、真夜中のMOUNTAIN STAGEにピッタリだった。

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サカナクション
26:00~ @ 【NF in MIDNIGHT SONIC】

 26時、超満員のMOUNTAIN STAGEに登場したのは、本イベントのオーガナイザー・サカナクション。オープニングの「アルクアラウンド」からバウンスの波を生み出し、丑三つ時とは思えぬ盛り上がりを見せる。この日の持ち時間は1時間20分とフェスとしてはロングセットとなり、6月にリリースされた6年ぶりのオリジナル・アルバム『834.194』の楽曲を中心としたセットリストが披露された。その中でも特に歓声が大きかったのが「忘れられないの」。MVがバックスクリーンに映し出されると、会場からは大歓声が上がり、シンガロングも巻き起こった。終盤ではラップトップ5台を並べ「INORI」「ミュージック」を投下。ラストは「新宝島」で白熱のミッドナイト公演を締めくくった。終演の頃には午前3時を過ぎていたが、山口一郎(Vo./Gt.)は「いやあ、まだ朝まで時間がありますね。これ終わったら僕も遊ぶんだ!」と上機嫌でステージを去っていった。

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DAY 3 l 2019.08.18 SUNDAY

BILLBOARD JAPAN STAGE
SE SO NEON / 9m88 / 赤頬思春期(BOL4) / LOLO ZOUAï / TOPAZ JONES / NENEH CHERRY / KREVA

SE SO NEON
11:30~

 2018年、本サイトの連載K-STORM(http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/62757)でも取り上げたSE SO NEON(セソニョン)が、サマソニに初登場。当時からベースとドラムスのメンバーが代わったが、その演奏力の高さに変化がないことに、まずは安堵した。そして強烈な興奮。とにかく演奏が上手い。かつてブルース・ギターを学んでいたというボーカル/ギターのソユンと、ジャズやファンク・ミュージックのマナーを感じるリズム隊の組み合わせから生まれてくる音楽は、70sのブリティッシュ・ハード・ロックと、同時期のシティ・ポップス~AORの間の子のような、独特の風合いを湛えている。かと言って、渋好みな感じは全くなく、楽曲はポップでグルーヴィーだし、ソユンをはじめとするメンバーには、キャラクター的な人懐っこしさもある(MCではたどたどしい日本語を披露し開場を和ませた)。インディ感のあるロック・バンドという意味では、日本でもHYUKOH(ヒョゴ)がブレイクしているが、彼らに次ぐ存在となれるか。今年9月には久々の新曲もリリースされるとのことなので、今後の動向にも注目しよう。

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9m88
12:40~

 <Billboard JAPAN STAGE>の2番手には、台北生まれの次世代女性シンガー、9m88(ジョーエムバーバー)がバンドセットで登場。NYの名門校でジャズを学んだ後、KAO!INCのラッパーLeo王とのコラボソングをはじめ、数々のアーティストとのコラボを果たしてきた。そんな彼女のステージは、今年リリースしたアルバムのタイトルにもなっている「平庸之上」からスタートし、最新曲「Aim High」を芳醇な歌声で歌い上げていく。2曲を披露した後は、「みなさんこんにちは、はじめまして、元気ですか?」と日本語で挨拶。「暑いので水を摂りながら楽しんでください。」と会場を気遣う一面も。間奏のポップなシンセサイザーが印象的な「浪費時間」では「Dance! Dance!」と煽り、観客はさらに自由に身を任せて体を揺らした。最後を飾ったのは、竹内まりやによるシティポップの名曲「Plastic Love」のカバー。日本人にとっても馴染みのある曲いうこともあり、会場からは歓声や拍手が。この曲が大好きだと語る彼女の歌声やパフォーマンスからは、曲に対するリスペクトや、歌うことへの喜びをところどころに感じ取ることができた。こうしてスタイリッシュでメロウな彼女の歌声を堪能する40分間のステージは幕を閉じた。

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赤頬思春期(BOL4)
13:50~

 今年6月に日本デビュー・アルバムをリリースした韓国デュオの赤頬思春期(BOL4)のステージには、演奏前から多くの観客が集まった。可愛らしい歌声とリアルな歌詞で観客を魅了した2人は、ただただ可愛い! の一言に尽きる。サマソニを【サマーミュージック】と勘違い(?)する場面では笑いを誘い、その初めてのライブで緊張気味というMCとは反対に、全く緊張を見せないパフォーマンスに、観客もゾッコン状態だった。女子人気が高く、2人の眩しい笑顔にやられる観客も続出。暑さにやられてる2人だったが、「楽しいですか?」「サランヘヨ」と日韓交えたトークでお客を気遣うことも忘れない。「You (=I)」ではハートダンスで会場をハートでいっぱいにして、この日初披露となった「Some」ではイントロがかかると歓声が沸いた。「Some」で際立ったギターは、終盤、機材トラブルが発生。そんなトラブルにも臆することなくトーク&写真タイムで場を繋いだ。アンプの復活後、「Dear. Teddy Bear」、そしてスロウなナンバーにラップが光る日本デビュー曲「宇宙をあげる」ではオーディエンスと完璧な大合唱を奏でて、大歓声の中、ライブが終了した。

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LOLO ZOUAï
15:05~

 サマソニの楽しみの一つは、まだ日本でブレイクする前の新人アーティストのパフォーマンスに、いち早く触れることができること。2018年で言えば、ビリー・アイリッシュのステージがそうだったが、今年は、このLolo Zouaï(ロロ・ズーアイ)のステージがそうした枠として捉えることができるものだった。パリで生まれ、カルフォルニアで育ち、現在はニューヨークを拠点に活動する彼女。そのステージは、本人以外に楽器演奏者もダンサーもいない非常にシンプルなものだったが、それでもなお、アーティストとしてのポテンシャルを十分に感じられるものだった。 “FKAツイッグス以降”と形容できそうな、エッジ感の立ったトラックに乗せて、振り付けを交えながら表現力豊かな歌を聴かせ、<Billboard JAPAN STAGE>に駆けつけた早耳な音楽ファンを魅了した。モデルとして活躍していることにも納得するほかない、キュートなビジュアルも含めて、今後日本でもますます人気ができそうな注目株だ。

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TOPAZ JONES
16:30~

 NY出身の新世代ラッパー、トーパズ・ジョーンズが初来日にして初サマソニ出演を果たした。スピード感あるフロウを70'sファンクの要素を盛り込んだトラップのビートに融合させるスタイルとファッション・アイコンとしても注目を集めるトーパズ。これまでにリリースした曲は全てデジタルとストリーミングのみ、という現代音楽シーンを象徴するような新鋭だ。DJセットでのステージは、2016年リリースのアルバム『Arcade』収録の「Howlin' to the Moon」からスタート。スタイル抜群な長身を生かしつつ、初っ端からステージを駆け回り、踊りながらパフォーマンスする姿に、一瞬で彼の世界に引き込まれていく。「NYから来ました。こうして日本に来れるなんて、まるで宝くじが当たったみたいだ。俺と一緒に楽しもう!」と声をかけると「Powerball」をドロップ。オールドスクールなサウンドとトラップが絶妙に絡み合ったサウンドで集まったファンも自然と身体が動き出してしまう。この日はサプライズとして、「もうすぐリリースする新曲をここで披露してもいい?」と未発表の新曲を2曲披露。その後も流れるようなフロウを放ちつつ、ステージを駆け巡るようにダンスしながら、最後は「Tropicana」で初サマソニのステージを締めくくった。今後の活躍に期待大と思わせてくれる全力投球のショーだった。

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NENEH CHERRY
18:00~

 スウェーデン出身の鬼才 ネナ・チェリーは、夕暮れの爽やかな海風と共にステージに登場した。2018年にフォー・テットがプロデュースし、リリースしたアルバム『Broken Politics』の楽曲を中心に披露されたライブは、HIP-HOPやレゲエ、時にはエレクトロなど様々なジャンルの要素を自己流に消化したサウンドの中、彼女の魅力の1つでもある唯一無二の歌声が響き渡る。バンドメンバーはピアノ、シンセサイザー、パーカッション、そしてハープといった楽器を器用に行き来し、立体的な音色を作り上げていく。まるでアート作品を見ているような豊かな表現力の中に包み込まれ、自由に身体を揺らし、踊る観客を見ているだけでも心地が良い。音楽シーンから常にリスペクトを受け続けるネナの世界観にどっぷり浸ることのできたステージだった。

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KREVA
19:30~

 日が落ちて風も落ち着いた夜、<Billboard JAPAN STAGE>の周りを輝かせている電球、中に吊るされているシャンデリアがキレイに輝くテントの中で、湿度マックスのパーティーが開催された。「パーティーはIZUKO?」の途中で「まだ1曲も終わってないけど最高に楽しい」と、各ステージの最終アーティストのライブを選ばず、ビルボードステージに集まったファンと1曲目からパーティーを繰り広げる。「KREVAを選んだあなた、大正解です。この時間ステージに立ってる日本人オレだけ!」3日間通して<Billboard JAPAN STAGE>に出演した各国のアーティストがいる中で、最終日のトリを飾るのは日本人、KREVA。「基準」、「ストロングスタイル」とつづき、バンドサウンドで運ばれる音、伝える姿が「王者」そのものだ。

 <Billboard JAPAN STAGE>と雰囲気を合わせる「無縁狼煙」も湿度で曇るシャンデリアの輝きは、KREVAが作り出す音の粒がキラキラと反射しているようだった。「I wanna know you」が終わり、ひとつため息の延長線上、誰もが耳にしたことのある「今夜はブギーバック」のフレーズを歌い始める。妖艶な雰囲気にガラッと変わりパーティーはまだ終わりを告げない。「アグレッシ部」と繋がり、集まった全員でサマーソニック最終日を悔いなく楽しむようにシンガロングする。

 「今年やった夏フェスの中でいちばん楽しいな、もうちょっとひとつになりたいなと思って、ひとつになれる曲やっていいですか」と、JQ from Nulbarichが登場。8月にリリースされたばかりの「ONE feat.JQ from Nulbarich」で蒸されて熱気がこもるテントにJQの透き通る歌声が響く。JQも一緒につくりあげた大きな1(ONE)のまま「Na Na Na」へつづく。

 バンドメンバーの紹介が終わると、ポケットから取り出したのはハーモニカ。自らも合奏し観客には合唱してほしいと始める。聴き入る演奏に耳を傾けていると「イッサイガッサイ」のメロディーが。夏休みはまだ終わらない。15周年ともに寄り添ってきた音楽と奏でる「音色」を最後に満面の笑みでむかえた。

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DAY 3 l 2019.08.18 SUNDAY

MARINE STAGE
Perfume / BLACKPINK / ALAN WALKER / ZEDD / THE CHAINSMOKERS

MOUNTAIN STAGE
THE BOYZ / BROCKHAMPTON / DISCLOSURE (DJ SET)

SONIC STAGE
King Gnu / Sofi Tukker

BEACH STAGE
SIRUP

THE BOYZ
12:55~ @ MOUNTAIN STAGE

 いかにも気合い充分な面持ちでステージに登場した11人は、彼らのデビュー曲「Boy」でライブをスタート。彼らが得意とするシンクロ率の高いフォーメーションダンスは、気づけばまるで違う形を作る手品を観ているかのよう。「No air」では変幻自在に動くフォーメーションダンス、「Text Me Back」では息が切れるほどの元気いっぱいなダンスを披露したが、「Walkin’ In Time」ではあえてダンスを封印し、歌声で勝負するシンガーとしての矜持も見せつけた。ラストの「Bloom Bloom」ではストーリー仕立てのダンスで、最後にはどこまでもポップで愛らしいアイドルとしてのパフォーマンスを見せた。

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SIRUP
13:20~ @ BEACH STAGE

 太陽が砂浜を照りつける真昼間「PRAYER」の第一音が流れると、砂浜に足を取られながらも音に吸い寄せられるようにステージに向かう足が軽くなる。時折なびく海風に乗ったサックスの音が心地よくビーチに響き渡った。「みんな踊る準備できてそうやけど、大丈夫?」彼の柔らかな声で始まる「Pool」。日の光に照りかえる砂浜が輝き、音と心が飛び跳ねる。影ひとつない暑い<BEACH STAGE>に『Synapse』とともに爽やかな風を吹かせた。

 「そのまま山場までいこうぜ」うっとりさせるような艶のある歌声で「Maybe」、「LOOP」。ビーチステージが目には見えないヴェールに包まれる。音の波に酔わせるように、アルコールを片手に踊る外国人カップルや、肌が日に焼けるのもおかまいなしにおそろいの服を着て踊る女の子2人組。目に映る情景と聴こえてくる音楽がほんのり甘酸っぱく、そのまま「Evergreen」までも味合わせてくれる。

 この時間をいつまでも過ごしていたい、という気持ちが張り裂けそうになりつつ終盤へと向かう。「LMN」が別れ、終わりを惜しむようですこしだけ切ない。「東京サマソニ初出場、音楽好きな人一緒になろうぜ」と、初めて立ったサマーソニックのステージで観客と「SWIM」で合唱し、さらにビーチステージの盛り上がりはヒートアップ。たくさんかいた汗も、砂まみれになった足も気にしない。最後は「Do Well」でつかの間のサマーバケーションを彩るひとときを過ごした。

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Perfume
14:10~ @ MARINE STAGE

 

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King Gnu
14:50~ @ SONIC STAGE

 8月9日に配信スタートした「飛行艇」が8月19日付ダウンロード・ソング・チャートで初登場3位を記録したKing Gnuが<SONIC STAGE>に登場。パンパンに膨れ上がった会場は「Slumberland」からスタート。「Prayer X」のイントロではシンガロングが生まれた。その後のMCで井口理(Vo.Key.)が「みんなを褒める」と宣言し披露したのは「白日」。会場から大きなうねりが沸き起こる。終盤に披露した「飛行艇」では、BPM80くらいのゆっくりしたビートと「命揺らせ 命揺らせ」の歌詞が呼応し合い、ライブに新たな側面を与えた。これからのKing Gnuのさらなる躍進を確信した瞬間であっただろう。

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BLACKPINK
15:25~ @ MARINE STAGE

 コーチェラ2019のステージで瞬く間にワールドクラスのアーティストとなったBLACKPINK。世界的に人気を誇る彼女たちの登場を待つ<MARINE STAGE>にはサマーソニック初ステージを一目見ようと吸い寄せられる人々。「BLACKPINK IN YOUR AREA」4人の映像が流れると、それだけでも鳥肌が立ち、胸が高鳴る。

 ステージ上に4人の姿が見え、「DDU-DU DDU-DU」であいさつ代わりに初っ端からノックアウト。バンドセットで迎えた演出にだけあって迫力満載だ。「FOREVER YOUNG」の大胆なダンスが熱気であふれる<MARINE STAGE>をさらに熱くする。一気にヒートアップしたステージパフォーマンスとは変わって、やわらかく愛嬌たっぷりな表情で日本語であいさつをし、さらに観客の心を掴んだ。

 そのキュートな表情のまま「STAY」。表情豊かな4人の笑顔が先ほどまでのキレのあるクールな表情と違うのがまたズルい。「WHISTLE」ではステージを端から端へと歩きまわり、観客への誘惑は止まらない。10月にリリースされるニューアルバムの中から「Kill This Love」。ロジェの歌声が<MARINE STAGE>へと響き渡り「Don't Know What To Do」、「Kick it」と立て続けに披露した。

 終盤には、デビュー曲「BOOMBAYAH」。ハードな頭を振るダンスもお手の物。<MARINE STAGE>は一斉にジャンプで一体感を増し、最後は「AS IF IT'S YOUR LAST」で世界で活躍している彼女たちの強い表現力に圧倒された。

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ALAN WALKER
16:35~ @ MARINE STAGE

 3日目の<MARINE STAGE>、ここからはダンス・ミュージック3連続。そのトップバッターを飾るのは、昨年末に開催された単独公演も成功に収めたアラン・ウォーカーだ。「コンニチワトーキョー!」とお馴染みのフードにマスクスタイルで登場。自身の楽曲や手掛けたリミックスを中心に、野太い掛け声でバウンスを煽ったり、DJ卓の上に乗ってはジャンプして見せたりとパワフルなパフォーマンスでフロアを焚きつけていく。終盤では「The Spectre」「Faded」など自身の大ヒットナンバーを連投。大きなシンガロングを巻き起こし、大盛り上がりでこの日のステージを締めくくった。また終演後には、フロアに降り立ち記念撮影&ハイタッチにも応えるなど、フレンドリーな一面も見せてくれた。

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BROCKHAMPTON
16:50~ @ MOUNTAIN STAGE

 8月15日にも来日単独公演を行った“アメリカン・ボーイバンド“のブロックハンプトン。今回の公演の5日後には最新アルバム『GINGER』のリリースを控えており、絶好のタイミングでの出演となった。シルバーの衣装で身を包んだメンバーが一人ずつ登場するたびに、大きな歓声が会場から起こる。そしてメンバーは公演中に何度もモッシュやジャンプを煽り、会場の前方は人が入り乱れ、何が何だかよくわからない状態だったが、とにかく最高のラップが流れているのは確実だった。そんな雰囲気の中でも「BLEACH」が披露されると、歌詞中の「tell me why」で最大級のシンガロングが起こり、会場いっぱいが多幸感で包まれた。オーディエンスには外国人も多く、新たな潮流を実感した人もいただろう。

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SOFI TUKKER
17:30~ @ SONIC STAGE

 

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ZEDD
18:00~ @ MARINE STAGE

 ダンス・ミュージック勢が続く<MARINE STAGE>。続いては、2017年のサマソニでも大盛況を見せたZEDDが2年ぶり出演。大きな輪っかのような大迫力のセットを引っ提げ登場だ。シャツが震えるくらいの低音と共にモニターにZEDDの顔が映し出されると大歓声が巻き起こり、そのまま代表曲の「Spectrum」からステージはスタートする。イントロで大歓声(というより絶叫)が巻き起こった「Stay」や「Break Free」といった誰もが口ずさめるアンセムを次々と投下し、フロアをガンガン盛り上げていく。キラーチューンばかりのセットリストに終始踊りまくりのオーディエンスだったが、要所要所でモニターに映るZEDDの屈託のない笑顔を見ていると、この場を一番楽しんでいたのは彼だったように思う。

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THE CHAINSMOKERS
19:45~ @ MARINE STAGE

 サマソニ東京3日目の大トリを飾るのは、THE CHAINSMOKERS。今回は昨年の単独公演と同じく、マット・マグワイアが生ドラムで参加。ダイナミックなサウンド&パフォーマンスで、ダンス・ミュージックの枠を飛び越えた大迫力のステージを繰り広げた。「Closer」や「Don't Let Me Down」といった自身の楽曲はもちろんのこと、 Red Hot Chili Peppers、Kendrick Lamarなど、ジャンルレスなアンセムを途切れることなく連発。シンガロングに次ぐシンガロングを巻き起こす。特に「Who Do You Love」の合唱は圧倒的で、歌い終わりにはアンドリューも笑みを浮かべていた。ラストは、花火と共に「Something Just Like This」で大団円。3日間を締めくくるに相応しいエネルギッシュなパフォーマンスで20周年のサマソニに幕を下ろした。

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DISCLOSURE (DJ SET)
20:00~ @ MOUNTAIN STAGE

 3日目、<MOUNTAIN STAGE>のトリを飾ったディスクロージャー。いきなり「When A Fire Starts To Burn」で会場の興奮を最高潮にすると、自身の楽曲を織り交ぜながら、最高の怒涛のハウス空間を演出した。終盤、焦らしに焦らして「Latch」をプレイし、これで終了かと誰もが思ったが、「最後にもう1曲かけさせて」と言って「You & Me - Flume Remix」をプレイ。この時間帯、裏の<SONIC STAGE>に出演していたフルームのリミックス曲をプレイするという何とも粋な演出であった。会場は心地よいビートで体を揺らしていた人もいたが、恍惚の表情でディスクロージャーを見つめる人がいたのも印象的だった。

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レッド・ホット・チリ・ペッパーズ「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」

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