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<Chart Insight>スキマスイッチ 『おっさんずラブ』主題歌「Revival」インタビュー
大橋卓弥と常田真太郎のふたりからなる音楽ユニット、スキマスイッチ。「奏(かなで)」や「全力少年」、「ボクノート」、「ガラナ」、「未来花(ミライカ)」など、自然と体の中に入ってくる軽やかなメロディと、“僕”目線で描かれた歌詞の世界観が多くの共感を呼び、2003年のメジャー・デビュー以降、多くの大ヒット曲を生み出してきた。デビュー15周年を迎えた2018年には、新たなヒット曲が誕生――おっさん同士のピュアな恋愛をコミカルに描いたドラマ『おっさんずラブ』の主題歌「Revival」だ。この曲は、2018年3月に発売されたスキマスイッチの7thアルバム『新空間アルゴリズム』の収録曲だったが、2018年4月~6月に放送された『おっさんずラブ』の影響で、スキマスイッチの楽曲の中でも特に人気が高い作品の一つとなった。
田中圭演じる春田創一(通称はるたん)と、吉田鋼太郎が演じる春田の上司・黒澤武蔵、そして林遣都が演じる春田の後輩でルームメイトの牧凌太の三角関係を描いた『おっさんずラブ』は、そのドラマタイトルが【2018ユーキャン新語・流行語大賞】のトップ10に入るほどの社会現象を呼び、2019年8月23日からは『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』が全国公開される。劇場版では、はるたん、黒澤、牧に加え、狸穴迅(沢村一樹)と山田ジャスティス(志尊淳)も加わり、五角関係に発展。おっさんたちの愛の頂上決戦<ラブ・バトルロワイアル>の行方に注目が集まっている。
今回、ドラマに続き、「Revival」が映画でも主題歌に起用されたスキマスイッチに話を聞き、ふたりが感じる『おっさんずラブ』の人気や、「Revival」の在り方、そしてチャートや音楽の聴き方などを話してもらった。
音楽の話が、話のネタのトピックの一番上にある時代でまだあってほしい
――私たちは、音楽の浸透度を正確に測るためにセールス、ダウンロード、ストリーミング、YouTube、ラジオなど8種類のデータを合算してチャートを作っています。おふたりは普段、チャートをご覧になりますか?
大橋卓弥:見ますよ。ビルボードのチャートも気になります。日本のチャートって、あまり細分化されてないというか、例えば僕らのようなJ-POPもそうですし、ロックやアイドル、アニメなど、全部一緒くたんじゃないですか。そういうところが細分化されると、より色々な楽しみ方ができるんじゃないかなと思います。チャートを気にするという点では、チャートによって僕らの音楽が変わるわけではないですが、他のアーティストさんもそうだと思うんですけど、音楽ってどれだけいい曲を作っても、それをリリースしている情報がなければ、無いに等しいになってしまうんですよね。だから、そういう意味でチャートってすごく必要なものかなと思います。曲がチャートの上にあれば聴かれる機会も多くなるでしょうし、そういう意味で、「今、こういう人たちがこういう音楽をやっているんだな」っていう情報を得るために見るようになりましたね。学生時代は全然違って、今週の1位が誰なのかをただただ楽しみにしていました。だけど今はチャートの見方が変わってきて、「米津(玄師)君、やっぱりまだ1位なんだ」とか、そういう情報を得るために見ているところはありますね。
――なるほど。常田さんはどうですか?
常田真太郎:やっぱり会社内でも、それこそ偉い方たちがビルボードチャートのことを言っていたりします。Twitterのデータを取り入れた唯一の総合チャートですし、まだリリースされていないのにビルボードのチャートで上位に入っていることもあるので、それは他のチャートにはない面白さだと思います。僕ら発信する立場から“バズる”って言葉は言わないかもしれないですけど、ビルボードチャートではとてもうまく拾われている感じがします。卓弥も言った通り、(チャートに入ることで)リリース前に情報を一つ入れ込めるというか。「ビルボードチャートに入っている曲なんですけど、発売はこれからなんです」って言えるのは、過去にはなかったことですよね。あるとすればラジオのチャートですかね。僕らの学生時代みたいに、今の若者や学生たちが「この間のチャート見た?」ってまだ言ってくれるような音楽文化であればいいなと思います。今って自分が聴いているものが一番いいっていう感覚が、良くも悪くもすごく重きを置かれている気がしていて、あんまり人に(曲を)勧めないらしいですね。プレイリストを人に見せるのが恥ずかしいというか。もっと言うと人に「スキマスイッチを聴いてる」って言うのが恥ずかしいと思う人もいるかもしれなくて……。自分で言っておいて、もしそんな方がいたら、ちょっと悲しいんですけど(笑)。二十歳前後の人たちと話をしていると、プレイリストを見せないって言っていました。逆に僕らが学生の頃は、チャートの上位に入っている曲を聴いてないと遅れているっていう危機感がありました。でも、そのおかげで新しい音楽も知れたし、「デビュー曲がいきなりチャート1位。誰だ、あれ!」って、次の日、学校で話題になりました。そういう音楽の話が、話のネタのトピックの一番上にある時代でまだあってほしいという希望がありますね。
――なるほど。チャートから新しい音楽の情報を得るとおっしゃられましたが、新しい音楽を知りたいとき、チャート以外のどういうところから情報を得られていますか?
大橋:今はインターネットで簡単に試聴できますよね。僕らの“ジャケ買い”っていうのは、本当のジャケ買いなんですよ。どんなジャンルかも、下手したらボーカルが男性なのか女性なのかも分からないようなときもあって、本当にジャケットを気に入って買っていましたけど、今は試しにどんな音楽なのか聴けますし、買う場所によって「これを聴いている人はこれも聴いてます」って出てきますよね。あと、月額制の聴き放題もあるので、色々なところから情報を得られますが、一番多いのは、お店や街で流れている音楽とか、ラジオから聞こえてくる音楽ですね。気になったら携帯ですぐ検索できるので。検索していいなって思って、まだ買っていないCDがたくさんあるんですが、あの機能は本当によく使いますね。
――ふいに聞こえた音楽をいつも調べているんですか?
大橋:そうです。僕、聞こえていない音がないというか、なんかそういう耳になっちゃったんでしょうね。ご飯を食べに行っても、どんな音楽が流れているのか、お店に入った瞬間に考えますし、「これ、誰だろう?」って食事中でも友達と話している間でも考えています。そのへんのアンテナというか、そういうのが好きなんだと思います。
常田:僕はYouTubeとAmazonと、あとは「これを買った人はこれも買っています」というようなところからですね。YouTubeもどんどん潜っていけるので、自分の好みとは関係なく、オススメされた音楽をクリックして聴いています。それで若手バンドの音楽を聴いたり、あとビルボードのチャンネル登録もしているので、そこから新しい音楽を聴いたりしていますね。あと、Shazamもそうですけど、ラジオもまだまだ、というか、むしろ最近のほうが勢いあるんじゃないかって感じています。もちろん僕らも出演する立場ではありますが、たまにラジオをつけて、情報を得ることもあります。ネットと実際に流れているものではジャンルが違う気がするので、使い分けています。新人アーティストは圧倒的にラジオが多くて、僕らがラジオに出演するとき、ちょっと早くラジオ局に行って待機するんですが、曲がかかっていると「これ、誰だろう?」って話もするし、ディレクターに尋ねることもありますね。
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公開情報
『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』
- 2019年8月23日(金)全国ロードショー
- 監督:瑠東東一郎
- 出演:田中圭 林遣都 内田理央 金子大地 伊藤修子 児嶋一哉・沢村一樹 志尊淳・眞島秀和 大塚寧々 吉田鋼太郎
- 主題歌:スキマスイッチ「Revival」(AUGUSTA RECORDS/UNIVERSAL MUSIC LLC)
- 製作:テレビ朝日ほか
- 配給:東宝
- 配給協力:アスミック・エース
- (C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会
Text:Mariko Ikitake, Ota Akihiro
Photos:Yuma Totsuka
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