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メイヤ 新作アルバム発売&来日記念インタビュー ~「意識したのはポップでありながら新しい音、新しい自分であること」

インタビュー

 スウェーデン出身のメイヤが、本国のダンス・ポップ・ユニット<レガシー・オブ・サウンド>での活動を経て、アルバム『メイヤ』で日本に初お目見えしたのは1996年4月のこと。同作から「How Crazy Are You?」が大ヒットしたことをきっかけに、彼女のアコースティックを基調としたオーガニックで、どこかレトロ感のあるスウェディッシュ・ポップは大人気を得た。アルバムは、80万枚を超えるセールスを記録し、来日公演の成功を受けて、豪華ライヴ盤『メイヤ・ライヴ・イン・ジャパン~ザ・フラワー・ガール・ジャム』がリリースされたりもした。そのデビューから25年、それを記念する新作『コズミック・サーファー』をリリース。そして、待望の新作と共に、7月21日(日)、22日(月)にビルボードライブ東京、24日(水)にビルボードライブ大阪で公演を行うことになった。それを前にメイヤにインタビュー、新作についていろいろ語ってもらった。

意識したのはポップでありながら新しい音、新しい自分であること。

−−2010年にカヴァー・アルバム『アニメイヤ』を発表し、その後来日公演も行っているけれど、メイヤの新作としては15年ぶり。まず、この間にどんな活動をしていたのか、教えてくれますか。

メイヤ:音楽活動と並行して、絵を描く時間が増えて、2007年にスペイン・マヨルカ島で初の個展を開いたりしたの。母が画家だから、その影響ね。音楽活動では2006年頃からLAに拠点を移して、ZZ TOPのビリー・ギボンズがプロデュースに加わってくれたアルバム『Urban Gipsy』をレコーディングしたし、2010年の『アニメイヤ』を挟んで、2011年にアルバム『Stroboscope Sky』を自分のレーベルからリリースするなど、残念ながら日本で発売されることはなかったけれど、活動は続けていたのよ。それから東日本大震災後に何かしたくて、アバやカーディガンズ、ヨーロッパなどスウェーデンのアーティストに呼びかけてチャリティ活動を展開して、福島のお年寄りや子供達のための家を建てる活動に資金提供をするなどしていたわ。

−−ごめんなさいね。そんな活動をしていたとは全然知らなくて。さて、この新作は、いつ頃から制作を始めたのかしら。

メイヤ:3年前からプロジェクトをスタートさせたの。新曲を書いたりするなかで、ポップ・アルバムを作るにはダグラス・カー(※メイヤの1st~3rdを手掛けた人物)にプロデュースをお願いしなくてはいけないと思い、声を掛けたんだけれど、どうしても彼の都合がつかず、複数のプロデューサーに依頼しつつ、アルバム全体を私がプロデュースすることにしたの。不安を抱えながらの船出だった。



▲Meja - How Crazy Are You? (Video)

−−確かに久しぶりのポップ・アルバムよね。2001年のアルバム『リアリテイルズ』の際に「ポップは、私の音楽の一部」と語っていたのを思い出したんだけれど、ポップ回帰にあたって今回は、どんなヴィジョンのもとでアルバムを制作したの?

メイヤ:意識したのはポップでありながら新しい音、新しい自分であること。決して昔に戻ってはいけない。25年前と全く同じメイヤの歌なんて誰も聴きたくないでしょ(笑)。だから、ポップな雰囲気を残しつつも、過去とは異なるコードを意図的に使ったり、歌詞でも新しい自分を表現しようとしたわ。

−−制作は、どう進められていったの?

メイヤ:初めにロンドンに行って、3rdアルバム『リアリテイルズ』で組んだプロデューサーのスティーブン・リプソンと共作を始めて、これは絶対にアルバムに入れなくてはと自信を持てた曲が「Dance Myself Alive」だった。彼と一緒に書き、ホテルに戻って歌詞を手直ししながら歌っていると、思わず踊り出してしまう。そんな曲だったんだけれど、オリジナルは9分!! いくらなんでも長すぎるだろうと、4分にまでカットしたの。彼とはもう1曲、「Light Years Away」を共作したわ。

−−ビリー・スタインバーグとも再び「I Know How You Feel」を共作しているわよね。

メイヤ:この曲は、少し前に書いた曲なの。彼は、とてもオープンマインドな人で、訪ねるたびに「才能あるヤツなんだよ」って新しい誰かを紹介してくれるの。この時は、ジョシュ・アレクサンダーに引き合わせてくれて、この曲を3人で共作したのよ。ビリーは、いつも歌詞から書き始めて、そこにメロディーをつけていくタイプで、デモ音源は、シンプルにピアノの伴奏で歌ったものだった。その曲を今回組んだスウェーデンのプロデューサー、Kleerupに聴かせたら、「絶対に60年代風がいい。昔のアメリカっぽく、オールドスクールな感じでやりたい」と言われて、曲のテンポをあげて、ホルンとかドラムを加えて。デモ音源は、バラードだったんだから(笑)。



▲Meja 『I Know How You Feel』

−−全く想像がつかない。でも、そもそもメイヤは、60年代のカルチャーが好きでしょ。「ヒッピーズ・イン・ザ・シックスティーズ」という曲があるくらいだし、「フラワー・ガール」という曲を自分の代名詞的に使い、ライヴ盤のサブ・タイトルも『ザ・フラワー・ガール・ジャム』だったじゃない。

メイヤ:そうね、子供の頃小さな田舎町に住んでいた私は、自然豊かな環境のなか動物に囲まれて育ち、海も近く、どこかヒッピー的な感じの少女だった。今回のブックレットにもメガネをかけて、頭に花輪を載せた6歳の頃の私が映っているけれど、これがフラワー・ガールの原点だと思っている。母もそういう傾向があって、家にテレビはなかったし、お肉を食べたこともなかったから。69年生まれなので、実際に体験はしていないけれど、60年代はいつも心にある大好きな時代なんだと思う。

−−もう1曲、興味深い共作曲があるんだけれど、エリック・バジリアンと共作した「Light In My Soul」。リッキー・マーティンとのデュエットでヒットした曲「プライヴェート・エモーション」を書いたのも彼でしょ。エリックとの付き合いは続いていたの?

メイヤ:これも古い曲なの。記憶が間違っていなければ、2002年だったかな、「プライヴェート・エモーション」をリリースした後くらいに彼と共作したの。あの頃、LAにアートっぽい素敵なオフィスを持っていたので、そこで一緒に書いたの。彼がギターを持ってきて、いろいろ演奏しながら、アイディアを膨らませていって出来た曲が「Light In My Soul」。でも、しばらく歌う気持ちになれなかった。人生の起伏ってあるでしょ。それがようやく歌えるようになって、曲にもワインやチーズのように熟成させる時間が必要だと知ったわ。そして、共作してから何年も経つのに、エリックは、レコーディングに参加し、ピアノやサックス、ギターを演奏してくれたのよ。

−−それから「Roses In December」を今回再レコーディングし、ブックレットに“In Memory Of A Friend Version”と記されているけれど、これはどういう曲なの?

メイヤ:私が失恋した時に書いた曲で、オリジナルは『Urban Gypsy』の時にレコーディングしたんだけれど、今回LAに住んでいた頃に知り合ったアレンジャー、エルトン・ジョンやデヴィッド・ボウイのストリングスの編曲をしていたポール・バックマスターに捧げるために再び歌うことにしたの。ポールとはスウェーデンに帰国してからも親しく交流していたので、彼の死に直面してすごくショックだった。その気持ちを彼に伝えたくて歌ったのよ。



▲Meja Roses in December live w/ The Osterlen Quartet

−−ボーナス・トラックとして日本で大ヒットした曲のニュー・ヴァージョンを7曲も収録しているけれど、アレンジを変えてセルフ・カヴァーした理由を教えてくれる?

メイヤ:まず日本のファンへの感謝の気持ちを伝えたかったの。それから、ストリングスも入れて、スタジオでの生演奏でレコーディングしたんだけれど、今コンサートでもアコースティックギター1本だけとか、ストリングスのカルテットとパフォーマンスすることが多く、そのスタイルで新たな生命を注ぎこみたいと思ったから。でも、実際に歌うのは難しかった。ダグラス・カーにこれらの曲のプロデュースを今回依頼した時に、「自分が過去に作りあげた作品を消してしまうような作業は難しい」と断られたんだけれど、まさにその気持ちとの闘いがずっとあったわ(笑)。

−−最後に、タイトル『コズミック・サーファー』にはどんな意味があるのかしら。

メイヤ:私達は、みんな夢見るドリーマーだと思うの。夜になれば、誰もが眠る。その時、私達はどこに行っているの? 何を見ているのかしら。私は、きっと夢の波に乗っていると思っているのよ。そうして何かもっと壮大なもの、壮大な場所とつながっている、そんな気がしてならなくて。そういう思いをこめたタイトルよ。

−−メイヤらしい発想と言葉よね。7月の来日公演を楽しみにしていますね。



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