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<SONG&VIDEO REVIEW>「がんばれ!隠れ汗プロジェクト」~どんな星にも劣らない青春のきらめき~



<SONG&VIDEO REVIEW>「がんばれ!隠れ汗プロジェクト」~どんな星にも劣らない青春のきらめき~

 長い冬が終わり、心地よい春を迎え、最近は夏日も経験出来るようになってきた。透き通るような青い空。燦燦と輝く太陽。鮮やかな発色を見せる草木。自然に満ち溢れる活力や生命力とは裏腹に、この季節を好かない人も多いかもしれない。なんせ暑い。汗も出る。進んで汗をかきたい人はあまりいないだろう。けれども、その汗はときに、どんな星にも劣らない青春のきらめきになる。

 隠れ汗――“今日も校舎の片隅で、仲間と努力を競いながら、大好きなものへ、めざす自分へとひたむきに”流す汗。そんな隠れ汗を流しながら努力を重ねる女子高生の青春を応援したい、という思いから、花王『ビオレ さらさらパウダーシート』は「がんばれ!隠れ汗プロジェクト」を立ち上げた。その一環として公開されたのが、オリジナル・ソングを起用したアニメーションWEB CMである。

 監督は『からくりサーカス』のメインアニメーター、『ソードアートオンラインアリシゼーション』のアクション作画監督などを担当してきた菅野芳弘。制作は「見るもの・聴くもの・すべてをカタチにする制作会社」G-angle(ジーアングル)。吹奏楽部でフルートを吹く少女を中心に、演劇部の少女、写真部の少女という女子高生3人にフォーカスを当てており、文化祭の発表へ向けた努力、ほろ苦い葛藤、純粋な友情を、思わず見入ってしまうほどの美しい画、手の込んだカット割りで描き出した。約二分半という短さながら、観終わったあとに強い余韻が残るクオリティの高さを考えれば、ショート・アニメーション、とでも呼ぶべきかもしれない。

「がんばれ!隠れ汗プロジェクト」~どんな星にも劣らない青春のきらめき~

 そして、この青春物語のエッセンスになっているものこそ、密かに流れる透明の汗であるが、映像に彩を添える楽曲「I can」にもこんな歌詞がある。

ひたすらにその気持ち
握りしめ走ってきた
汗を拭く横顔を
ちゃんと見てきたよ

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▲井上紗矢香

 作詞・作曲・歌唱は、井上紗矢香。作詞家として、藤田ニコル、伊藤千晃、Kis-My-Ft2、King & Prince、ジャニーズWESTらに提供経験もあるシンガーソングライターだ。編曲を担当したCHOKKAKUも、これまでに誰もが知っている数々の名曲をアレンジしてきた重鎮である。

 この二人の手によって生み出された「I can」は、清涼感あふれるポップ・チューンに仕上がった。放課後の柔らかな太陽がまぶしい映像の幕開けにふさわしく、聴く者の胸にすっと入り込んでくる、さわやかなピアノの旋律。感性豊かなティーンエイジャーの心境に共鳴するかのように、エレキギターやドラムによるロックな展開、ハートウォーミングなブラスアレンジも加わっていき、明るくパワフルな音像をつくり出す。その奥から、そっと語りかけてくる、耳心地のいい声。

Maybe I can
君ならきっと大丈夫
何だってできる気がするんだって
そう思えるから

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 主人公たちの瑞々しい目線で描かれる映像に、彼女たちを見守る凛とした目線が重なることにより、応援の言葉が圧倒的なリアリティをもって響き渡る。映像と音と歌詞が見事に融合しつつ、それぞれを引き立てているからこそ、いままさに青春のど真ん中を生きている現役学生はもちろん、かつて学生だったすべての人も――その青春がどんなものであったにしろ――奮い立たせられるのだ。また、きれいごとだけではなく、現実をしかと見据えているのも、重要なポイントと言えるだろう。

その汗と涙が実らなかったとしても
いつか虹を架けるから

 望んだ結果が出ないこともある。それでも、決して努力が無駄になることはない。必死に夢を追い求め、地道に精進することの素晴らしさ。陽射しは強く、湿気も多い、なんとも生きにくい日本の夏ではあるが、背筋を伸ばして生きていこうと、そう思えた。

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