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熊木杏里 『私は私をあとにして』 インタビュー
逞しくなったなと思う。デビューから熊木杏里のことは追い掛けさせてもらっているが、ここまで自信をもって言葉のひとつひとつを放つ彼女に会ったのは初めてだ。それは最新アルバム『私は私をあとにして』で表明した「こうして生きていたいんだ」という決意が心にしっかり根付いているからだろう。私は私をあとにした熊木杏里の今の想いを聞いた。
ライブツアー ~八月の友だち~
--実に素敵なアルバムが完成しました。どうですか?今の気分は。
熊木杏里:すごく満足しています。やりきった感がありますね。「こうして生きていたいんだ」っていう決意をしっかり表現できたというか。
--そんな実に良い状態と状況の熊木杏里にですね、今作『私は私をあとにして』の話はもちろん、夏の全国ツアーや今後の話についても今日は語っていただきたいんですが、まず夏の全国ツアー【熊木杏里アコースティックライブツアー ~八月の友だち~】、自身の中ではどんなツアーになりましたか?
熊木杏里:回数を追う毎に着々と見えるモノがあったツアーでしたね。「次はこうしないと」っていうのがすごく見えたし、思い切った感じでいろいろ出来たので、良かったです。「お客さんのおかげ」というのも多分にありますけど。
--全4公演のツアーでしたけど、毎回毎回変化や進化が感じられたのが印象的でした。
熊木杏里:そうですね。場所によっても印象が違ったと思うし、あと、始まりと終わりの頃でも印象が違ったと思います。特に最終公演の大阪は、今までとは違う感じでライブが出来たんじゃないかなって。
--個人的に特に印象に残ってるのが、2公演目(東京)と4公演目(大阪)で。まず2公演目は一夜にして何があったのかと思うぐらい、初日とライブの雰囲気が変わっていました。それこそ5月の【熊木杏里アコースティックライブ~しんきろう~】にも似た緊張感を自ら作ってましたよね?
熊木杏里:初日はすごく嬉しくて、「嬉しい!」「ありがとう!」っていう気持ちが大きかったんですよね。でも次の日はそれを踏まえてステージに立たないといけないと思ったんで。なので2日目は少しビッとした感じのライブになったんだと思います。で、そうした変化を感じてもらえたっていうのは、その瞬間その瞬間の気持ちが確実に流れ出ていってるからなのかなって。それが伝わってるんだなって。
--僕はあの東京2日目の感じをどんどん突き詰めていくのかなと思っていたんですけど、最終公演の大阪はその真逆とも言える、笑顔の絶えない、とにかく高いテンションの中でのライブとなりました。あれはなんで?
熊木杏里:(笑)。やってみたかったんですよ。ああいうテンションの高いライブを。「やりたくなった」って言った方がいいかな。「自分に蓋をしない」ことをしたくて。どこまで自分が赴くままにできるか。自分の中に溜まっている気持ちを、抑えて伝えることだけじゃなくて、思いっきり発散する。生身で喜んだり、楽しんだりすることで、「あ、今、熊木さん、すげぇテンション高くて、楽しいんだ」っていうのが伝わってくれたらいいなって。
--あれだけ開放的でも自分のライブは成立するんだってことに気付けたのが、実は今回のツアー、一番大きかったんじゃないのかな?と思ったんですけど、実際のところはどうですか?
熊木杏里:そうですね。ただ、まだ完全には振り切れていないので、お客さんも完全には振り切れていないと思うんですね。でもこの方向性でやっていけば、間違いなくコール&レスポンスっていうのが築けるんだなって。なんか、怖がらなくていいんだとは思いました。「こんなことしたらお客さんが引くな」とか、「MCでこんなことを言ったら歌に差し支えがあるなぁ」とか、そういうことを考えちゃうと、高いテンションにはならないので、それを怖がらずにゆったり出来たらもっと自然になれるかなって。考えてやるとダメなタイプなんだなと、気付けました(笑)。
--でね、あの大阪公演で見せてくれた熊木杏里が今回のニューアルバムにはたくさんいて。まずジャケット写真がそうだと思うんですよ、すっげぇ良い笑顔じゃないですか。2002年のデビューシングル『窓絵』以来ですよ(笑)、笑顔のジャケット写真。
熊木杏里:そうですね(笑)。いや、正に仰る通りで。すごく楽しい現場で、写真が撮れたんですよね。目に見える形で喜んでる私がいる。あと、立ち返ってる感もあるんですよ、デビュー当時の感じに。一番最初の頃も自然体ではあったので。それから少しずつ笑顔を閉ざしていったんでしょうね(笑)。
--(笑)。だから、到達感もあるけど、これからまた始まっていく感じもあるっていう。
熊木杏里:それは出てますね。
--タイトルの『私は私をあとにして』もそういうことを表現しようと思って?
熊木杏里:そうですね。「こうやって生きていきたいんだよ」っていう今の私の決意を表現することができたので。これからは、それがまずある中で、環境的にも進歩していって、その中でいろんな物事が良いモノに見えたりするのかなって。そういう肉付けできたところを歌にできたらきっともっといろんな気持ちにもなれるだろうし、「あ~、毎日って楽しんだな」っていう気持ちも大事になるかもしれないし。実際、自然にそうなってきているし。その中でまた書く曲が変わっていくでしょうしね。
生きていれば、いろんな気持ちがいっぱい自分の中に入ってくる。でもそれを裏切ったり、捨てたりするんじゃなくて、もらって、覚えておくけれども、あとは自分で決めていくからっていう。まだ全然変化していく自分だと思うから、多分留まるべきじゃないし。過去の自分とか、いろんなことに俯くことも多分あると思うんですけど、自分が思うところに行った方が良いなって。例えば、今回のアルバムの最後にラブソングが入っていたとしても、それが今の私なんだよねっていう。
Interviewer:平賀哲雄
私は私をあとにして
--では、肝心の今作『私は私をあとにして』の内容の方なんですが、序盤からシングル曲が立て続けに聞こえてきて、濃厚な仕上がりになってますけど、曲順はすんなり決まりました?それとも苦労した?
熊木杏里:曲順は結構すんなり決まりました。前半はシングルを並べようと思っていて。「なんとなく聴いたことあるな~」っていう曲を前半に聴いてもらって、後半では「熊木杏里、こんなところもあります」っていうのを聴いてもらえればなって。だからカラフルな仕上がりになったと思います。あんまり似たような曲調が続かないようにもしましたし。
--1曲目の『新しい私になって』と2曲目の『春の風』って、熊木杏里のことを知らなくても「聴いたことあるかも?」って思わせる可能性の高い曲じゃないですか。それもあってのこの序盤の曲順というか。
熊木杏里:『新しい私になって』は、一番具体的なことを歌っている歌だし、私自身にとっても転機になった曲だから、やっぱり1曲目に居てもらって、そこから『春の風』っていう流れにしたかったんですよね。あと混ざらなかったんですよ、タイアップ曲と現在の自分の気持ちを書いた曲が。やっぱり自分から出ていってるモノと、CMや映画といった他の作品からもらってるモノだと、ちょっとテンションが違うんですよね。だからなるべく後半は、新曲を続けて聴いてもらいたかった。
--では、そんなニューアルバムに収められた新曲の解説をお願いしたいんですが、まず『君まではあともう少し』。もうサウンドが「AOR?」って思うぐらい、今までの熊木杏里にない感じですけれども。
熊木杏里:そうですね。確かにこれは新たに試んでみましたね。ちょっと春のキャンペーンソング的なモノに出来ればいいなと思って。結果、アルバムの中では休憩時間を楽しむ感じの立ち位置になりましたね。箸休め的な。あんまりメッセージを込めずに景色が伝えられればなって。ちょっと細野春臣さんみたいな。ホワ~ンとした世界があるというか、気持ちは言わないで絵だけを書いた感じですね。
--それこそランチタイムにFMから流れてきそうな曲ですよね。
熊木杏里:正にそんなイメージで作りました。女の子が過ごすお昼というか。
--続いて、7曲目の『月の傷』。この曲ではどんな想いを?
熊木杏里:よく分かんないことがいっぱいあって、とにかく悲しかったんですよ。人とのやり取りの中で「思ってる以上に伝わってないぞ」「伝わっていると思っているのは、こっちだけだったかもしれないな」「でも本当は分かってるんじゃないか?」ってぐるぐる考えてる感じがそのまま出てる曲。すごく“人間”って感じなんですよ。人との間でゆらゆらしてて、よく分かんないから同じことばかり言ってる。「人の気持ちが分かるから嫌いにはならないだろう」って言ってて、「人の気持ちはちゃんと分からない」みたいなことも言ってたりするし。ずーっと不安な気持ちが流れていたんですよね。で、月の影掛かってる部分がまるで自分の中のように感じられて。そんなイメージで作りました。
--最近の熊木杏里はどんどん前向きになっていて、それが作品に現れていたわけですけど、ただその裏には確実に迷ったり苦しんでいる熊木杏里も居たと思うんですよ。どんな状態のときもいろんな感情が混在してる。それがこの曲では表現されてるなって。
熊木杏里:そこも出していかないとダメなんでしょうね。前向きでもどっかに迷いはあるわけですからね。
--その『月の傷』に続いて収録されている『0号』。『月の傷』と言わんとしてることは近い内容の曲だと感じたんですけど、実際にはどんな想いを?
熊木杏里:ここは流れですよね。『月の傷』『0号』~『水に恋をする』までは。そういう気持ちの流れが自分の中にあったんでしょうね。『0号』では、ちょっと過去のことで傷付きながらも前を見ようとしているのか、どうなのか?っていう自分を歌ってる。
--『0号』みたいな曲って、熊木杏里が音楽を作っていく限り、定期的に出てくるタイプの曲なのかなって。
熊木杏里:定期的に出ちゃうんですかね(笑)?
--生きてればあたりまえのように浮き沈みがあると思うんですけど、それが熊木さんの場合は、毎回アルバムに今回の『月の傷』『0号』みたいな曲となって出てくるんじゃないかなと。
熊木杏里:多分、戻っちゃうんでしょうね。ガンガンガンガン前には行かないタイプなんだろう・・・か?
--(笑)。
熊木杏里:ただ常にどこかで自分を俯瞰で見ている実感はあるんですよ。「今、どうしたいの?」「あなた、どうしたいの?」って問いかけてる。それが『0号』みたいな曲となって出てくるんだと思います。本音を言えば、次は出てこないことを祈りたいけど(笑)。出るんでしょうね。まぁ嫌いなテイストじゃないし、こういうのは芯の部分だと思うので。
Interviewer:平賀哲雄
ぼくは ぼくは 生きたいのだと思った
--そして9曲目『一等星』。先のツアーのラストでも聴かせてくれた曲ですけど、これはもう今熊木杏里のど真ん中にある一番歌いたいことを歌ってる感じなんじゃないですか?
熊木杏里:そうかもしれないですね。この曲にだんだん自分が追い付いていってる感じです。理想だし、それを理想で終わらせないように歌ってるから。でもそんなことを歌いながらも、まだ『0号』な自分もいて、「ひとりぼっちかな」って思ったりもするんですけど。でもライブで歌っているときとか、人対人を想ったときの自分って計り知れない感じがあるなって思うんです。今まではすごく自分だけのために心を使って生きてきていたし、自分で一歩ずつ歩んで自分で物語を作ってきているような気がしてたんですけど、それだと、確実に見ようと思ったモノしか見れなかったし、狙いを定めたモノしか得られないところがあったんです。でも『一等星』の気持ちになっていったら、自分が意としてない幸せみたいなこととか舞い込んでくるんですよ。そうした気付きがあって。で、ここに居てこそ、笑っていられる自分かもって。『窓絵』の頃の自分をあとにして、今の自分でいられるのかもしれないなって。以前は、自分一人のために「笑顔をしよう」としていたばっかりに「笑顔ができません」って感じだったんでしょうね。自分が「好きだな」って思ってる人とか、「会いたいな」って思ってる人たちのことを考えたときに、人はすごく笑顔になったりするのに。で、そんな風に笑える自分でいられればこそ、物語が動いていくんだろうし、気持ちがここに流れているからこそ、喧嘩も出来るんだろうし。そうした今実感したことを『一等星』では描いているので、全部に意味があるんですよね。
--この曲は確かに心を打つ名フレーズだらけで。「わけのない悲しみはなくて 拾いきれない幸せがあるというだけ」、これはどんな心境から生まれた言葉だったりするんですか?
熊木杏里:自分でも「よく出た」と思いましたね。多分いっぱい幸せが欲しいと思っていたんでしょうね。で、みんなの気持ちを受け止めたいモードになっていたんでしょうね。ただそのすべてを毎日受け止めることなんてできない。そこに悲しみはあるんだけど、意味のない悲しみなんてないし、それは仕方がないことなんだ。拾いきれないモノが在りすぎるだけなんだ。だからそんなにたくさん受け止めようとしなくてもいいっていう。
--それを自分に言い聞かせるように歌っている曲でもありますよね。
熊木杏里:すごくあります。この曲には、自分なりの言葉がいっぱい入ってるから。だから歌うことで開いていくし。打ち上げで「ありがとう!」って言ってるみたいな感じで作った曲ですね。
--そして今作の本編のラストを飾る『水に恋をする』。てっきり『一等星』が最後を飾ると思っていたんですが、『一等星』に勝るとも劣らない強い気持ちの歌があって、本当に感動したんですけれども、熊木さんの口からこの曲にぶつけた想いを語ってもらえますか?
熊木杏里:「形なく変化していきたい」って歌ってるんですけど、『一等星』で対“人”のことは、自分の中では全部出した感覚があったので、それに対して「自分の方はどうするんだ?」っていう。『一等星』で歌った気持ちを持った上でどうするか。それを考えたときに、凝り固まった自分じゃなくて、もっと正直で良いだろうし、もっと何かを受け入れられる自分でいいだろうし。流れてきた後だから止まりたくなかったんだと思います。『月の傷』『0号』からの流れがあって、「しがらみとか要らないよ。気持ちのままに生きたい」って歌ってる。だからこの曲は、自分の中では、熊木杏里のテーマソングみたいな気持ちなんですよ。さっきまでは僕だったけど、風になったり、雲になったりして、心をいろんなところへどんどん飛ばしていけたらいいなって。自分の中だけに置かないで。流れていきたい。
--最後の最後に「ぼくは ぼくは 生きたいのだと思った」って歌ってるじゃないですか。この言葉に辿り着けたとき、泣きませんでした?
熊木杏里:感動的でしたよ。「ぼくは ぼくは」って二回言うのにも自分の意図を感じるし。
--どうして実感できたんでしょうね?その想いを。
熊木杏里:いろんな人のいろんな意見があったりするんだけど、嫌なモノは嫌っていう自覚とかでしょうね。それまでは「違うのに」と思ってるのもあって、人から見た自分を見ないようにしたりとか、でもそれは自分にあんまり自信が持てなくて、人から見た自分を気にしてるからだったり。でも最近は、少なくとも自信は持ててきたし、「もっと自分で行こう」って思う。飾らないで。嘘付いたりとか、隠したりすると、良いことないなっていうのを分かってきて。それはライブのMCでもそうなんですけど、惜しみ隠さず言っちゃった方がいいんじゃんって。それはすべてにおいて言えることなんですよね。だから隠したり我慢したりとかじゃなくて、私が「これが良いんだよ」って思うモノを信じる。それに対して「おかしい」って言われても、「良いじゃないですか。私はこう思ったんです」っていう。多分それによって誰かを傷付けてしまったりとか、確実に自分が生きていく上ではそういうこともあるだろうけど、それはもういい、置いていこう。そういう強い気持ちになった。涙が出るぐらいに気付いたんですよね。
--そんな「生きたい」という実感の先に、今作『水に恋をする』の先に、ボーナストラックとして『ひみつ』という楽曲が待っていました。もう正真正銘のラブソング、女性シンガーソングライターだったら本来もっと歌っているはずの(笑)ラブソングがここに誕生しています。今回この曲が生まれ、今作に収録しようと思った経緯を教えてもらえますか?
熊木杏里:これはですね、正直に言うと、タイアップが付くかもしれない話があって、今回のアルバムに収録しておいた方がいいぞと。それで急遽入ることになったんですけど、入れてみたら、アレンジの方が今までと違う方というのもあって、新しい世界が広がっていて。で、ラブソングを書くっていうのもずっと試みたかったことで、中島監督の『新しい私になって』以降。ただタイミングを逃していて。それで今回、思いっきりラブソングの歌を作ろうっていう気持ちに自然となったんですよ。「今の私はこれだ!」と思ったんですよね。で、実際にそのラブソングを入れてみたら、一歩先の自分が食い込んで参入したみたいな感じがして。すごく曲的に良かったなって思って。
Interviewer:平賀哲雄
ひみつ
--この『ひみつ』、めちゃくちゃ良い曲なんですよ。詞もそうなんですけど、静かにドラマティックで、恋する気持ちに盛り上がっていく描写が見事で。これは新境地だなと。熊木杏里、次行ったなと。それは自分でも感じました?
熊木杏里:感じましたね。全然ドラマティックでもないし、すごく気持ちを鼓舞してる感じでもないし、なんかこう距離がある中で想ってるというか。「気付いてちょ・・・」ぐらいな感じの。それが自分の趣旨だと思うんで。それで、まずは「恋愛一曲目」みたいなモノがすごく自分らしく出来たなって。無理がない曲が。
--熊木杏里としてもそうだけど、ラブソングという括りがあるとして、その中でもすごく新しい曲だと思うんですよ。なんだろう?本当に「恋」について歌ってる曲なんですよね。
熊木杏里:そうですね。恋を歌ってます。恋してる自分が珍しかったんでしょうね(笑)。
--いやぁ~、でも本当に良いアルバムができましたね。
熊木杏里:ありがとうございます。とにかくすごく好きです!好きなアルバム。自分でも聴きたくなるアルバムというか。で、最後の方に行くに連れて、その気持ちの流れもすごく見えるし、それは決してなだらかではなく、いろんな浮き沈みがあるんですけど、その分、何回聴いても、いつも新しいみたいな。すごくその時々を切り取った、今現在をぎゅぎゅっと詰め込んだアルバムなので、もうとにかく早く聴いてほしいなって思います。
--これだけのアルバムを作った今の状態なんですが、まだまだ歌いたいこと、届けたいこと、溢れている感じですか?
熊木杏里:溢れてますね。また今ね、すごく溜まってる状態なんです。「針刺さないと、そろそろ」っていう。『ひみつ』みたいな状態を発展させた曲も書いてみたいし。例えば、恋をしたときに、家に帰ってから「淋しいな」って思うことがあったり、初めて「対“人”と付き合うと、こういう気持ちになるんだ」って知ったり。そういった、ものすごく新鮮な気持ち、「なんだこれは?」って思うような気持ちを曲や詞に出していけたら、女子っぽさも出てくるかなって。女子ですけど。
--ようやく(笑)。
熊木杏里:アハハ!最近、なんか、出てきた(笑)。
--さて、アルバムのインタビュー毎に聞いてる質問なんですが、熊木杏里はこの先どうなっていくんでしょうね?
熊木杏里:たくさんライブをやればやるほど、いろんな気持ちをもらっていける自分かなって気付いたので、ライブをたくさんやっていくと思います。で、曲作りに関しては、あんまり思い詰めた感じじゃなくて、なんか、好きな人と一緒にいるときとかに思っていることとか、そういう感じのモノを生み出していけたらなぁって。そろそろ「熊木杏里、こんな人かな」っていうか、「熊木杏里でーす」って言える感じになってきたかなと思うので、それをどんどんいろんな人に知ってもらいたいなって思うし。あんまり固くならないで、やっていきたいですね。
--あと、アルバム『私は私をあとにして』を引っ提げた、前回より長めのツアーが始まりますが、意気込みをひとつお願いします。
熊木杏里:「長いツアーだなぁ」って思えるぐらい、色濃いモノが出来ればいいなって。8月のツアーはあっと言う間な感じがあったので、今回はひとつひとつどっぷりやってみたいな。で、どっぷりした後、だらだら飲んでもいいかなぁ?ぐらいの(笑)。
--(笑)。
熊木杏里:どっぷりした感じで行きたい。そこであぐらかいて座っちゃうぐらい。じっくり現在の自分を見ながら、現在のライブの状況と向き合いながら出来れば良いですね。あんまり無理のない感じで。「時間がゆっくり流れた感じで終わったね」っていうライブが各地で出来ればいいなぁ。内容的には、ドラムというか、リズムも入るので、広がりを持って出来るかなって。楽しみです。あと、ライブに来てくれる人には、どんどんアルバムを聴いてもらいたい。アルバムをライブで、生で歌いますから。
Interviewer:平賀哲雄
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