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ヴィクター・ウッテン来日記念特集~代表作10枚から紐解くカリスマ・ベーシストの軌跡
世界最高水準のテクニックを持ち、音楽をグルーヴさせるカリスマ・ベーシストのヴィクター・ウッテン。1964年に米国で生まれ、3歳からエレクトリック・ベースを弾き始めたというこの天才は、目まぐるしく弾きまくるスラップ奏法を武器に、数々のセッションを渡り歩いてきた。ここでは彼の代表作を10枚ピックアップ。ディスコグラフィーからその輝かしい軌跡を辿っていきたい。
(1985年)
米国バージニア州で生まれたヴィクターは、5人兄弟の末っ子だった。兄たちに音楽の基礎を叩き込まれ、兄弟バンドのザ・ウッテンズでメジャー・デビュー。当時のブラック・コンテポラリーらしいモダンなサウンドとメロディはなかなかのものだが、基本的にシンセ・ベースを使用しているのでヴィクターのプレイを聴く作品ではない。ただ、2曲に作曲クレジットが入っており、彼の歌心あるベースの原点という意味では非常に貴重だ。
(1990年)
ヴィクターがベーシストとして高く評価されたのは、1988年にベラ・フレック・アンド・ザ・フレックトーンズに参加してからだろう。バンジョー奏者のベラ・フレックによるブルーグラスとフュージョンのコラボレーションというユニークなコンセプトに、ヴィクターのベースは不可欠だった。このデビュー作では、すでにジャンルを超越した強烈な演奏を聞かせてくれる。彼らは今も活動継続中だ。
(1996年)
初のソロ名義のアルバムであり、彼のテクニックを存分に味わえる記念碑的作品。一部にヴォーカルが入っているが、基本的には全編ペース・プレイのみで他の楽器は一切聞こえてこない。ファンクやジャズ、ヒップホップなどをベースにしたオリジナル曲のほか、スティーヴィー・ワンダーからジャズのスタンダードまで選曲も幅広い。どこから切り取っても、メロディアスなセンスを併せ持つ超絶技巧をたっぷり堪能できる。
(1998年)
主にジャズやフュージョンのシーンで活躍していたベーシストのスティーヴ・ベイリーと意気投合したヴィクターは、ベースをメインにしたインストゥルメンタル・ユニット、ベース・エクストリームスを結成。ヴィクターは4弦、スティーヴは6弦と使い分けることで、それぞれの個性を表出。ウィル・リーを加えた「Bassically Yours」や、ヴィクターがチェロを弾く「Acoustic Brew」などバラエティに富んでいる。
(1998年)
ベース・エクストリームスと時期を同じくして結成したのが、ヴァイタル・テック・トーンズ。チック・コリア・エレクトリック・バンドやザヴィヌル・シンジケートに参加していたギタリストのスコット・ヘンダーソンと、ジャーニーのドラマーだったスティーヴ・スミスとの3人編成。全体的にロック色が強く、とにかくパワーで押しまくるという印象。ヴィクターのプレイもアグレッシヴで、そのテクニックも一層際立っている。
(2003年)
ヴィクターの超絶技巧の到達点を知る作品といえば、本作に尽きるだろう。ハードロックからバカテク・フュージョンを行き来するギタリストのグレッグ・ハウと、ファンクからラテンまで何でもこなせるスーパー・ドラマーのデニス・チェンバース。3人がひたすら自我を出して弾きまくるアンサンブルは、パワー・フュージョンの極北。とはいえ、サウンドにしっかりとグルーヴをもたせているのがさすがだ。
(2015年)
スタンリー・クラーク、マーカス・ミラー、そしてヴィクターという、当代きってのベーシスト3人が夢の共演を果たした記念碑的作品。ヴィクターはあくまでも先輩2人の胸を借りるという立ち位置ではあるが、それでも作曲やアレンジなどで対等に立ち回っている。テクニックを重視するというよりも、ベース3本のアンサンブルに主眼をおいているため、余裕のあるプレイが披露されており聴きやすい。
(2017年)
現時点での最新作は、何度も共演を重ねてきたドラマーのデニス・チェンバースと、ウィリー・コローンのバンドなどラテン・ジャズ・シーンで活躍してきたサックス奏者ボブ・フランチェスチーニを率いたリーダー作。SF風の導入から疾走感溢れるフュージョン・サウンドが繰り広げられる。ヒップホップやファンクからスロー・ナンバーまで様々なタイプの楽曲、であますことなくヴィクターのプレイを楽しめる。
さて、今回の来日は、キーボードのジョセフ・ウッテン、ギターのレジー・ウッテンという2人の兄と、実力派ドラマーのデリコ・ワトソンというお馴染みの布陣によるバンド編成。当然、主役はヴィクターのベースであり、過去の名演も再現されるはず。ベースという楽器の可能性を広げ続けるヴィクター・ウッテンの世界をぜひ体感していただきたい。
公演情報
ビルボードライブ大阪:2019/3/27(水)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2019/3/28(木)-29(金)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
【BAND MEMBERS】
ヴィクター・ウッテン / Victor Wooten (Bass, Vocals)
ジョセフ・ウッテン / Joseph Wooten (Keyboards, Vocals)
レジー・ウッテン / Regi Wooten (Guitar, Vocals)
デリコ・ワトソン / Derico Watson (Drums, Vocals)
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Text: 風奏陽
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