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特集:大野雄二&ルパンティック6 ~永遠の名作「ルパン三世」に感じるジャズ・サウンド
永遠の名作「ルパン三世」サウンドの生みの親である名ピアニスト大野雄二が、メンバー編成を新たに2016年に結成した大野雄二&ルパンティック6(Yuji Ohno & Lupintic Six)を率いてこの10月にビルボードライブ東京に登場する。作曲家としてCM音楽制作の他、「犬神家の一族」「人間の証明」「大追跡」等の映画やテレビ音楽も手がけ、数々の名曲を生み出している大野雄二。リリシズムに溢れ、クール且つ哀愁も感じさせるスケールの大きな独特のサウンドは正に大野雄二マジックだ。
「ルパン三世」の痛快でスリリングな世界観を、ダイナミックなアレンジと遊び心溢れるスリリングなプレイで披露してくれる期待の新編成にも注目してほしい。
Text: The Walker’s 加瀬正之
「ルパン三世」は音楽に例えるなら正にジャズ!
大野雄二は静岡県熱海市出身。 小学校でピアノを弾き始め、高校時代からジャズを独学で学ぶ。慶應義塾大学在学中にライト・ミュージック・ソサエティに在籍。 藤家虹二クインテットでジャズピアニストとしてキャリアをスタートさせる。その後、白木秀雄クインテットでの活動を経て、自身のトリオを結成。トリオ解散後は作曲家としても活動し、CM音楽の他、映画やテレビの音楽も手がけ、数多くの名曲を生み出していく。その代表作は1970年代後半に大きな話題をさらった「犬神家の一族」「人間の証明」「大追跡」等のサウンド・トラックだが、中でも忘れてはならないのが「ルパン三世」だ。
「ルパン三世」は音楽に例えるなら正にジャズ! 登場人物はもちろん、映像やストーリー、アドリブのようなセリフもクールでスリリングでオシャレ。その「ルパン三世」の音楽を手がけた人物こそが、ジャズピアニストである大野雄二なのだから「ルパン三世」にジャズを感じるのは当然なこと。
▲ルパン三世のテーマ'78(30周年コンサートDVDより)/大野雄二【公式】
大野雄二は近年再びプレイヤーとして活動を開始し、大野雄二トリオを結成。トリオでの活動に加え、 2006年に結成したのが大野雄二&ルパンティック・ファイブ。精力的に作品をリリースし、都内ジャズクラブやライブハウス、全国ホール公演、ロックフェスまで積極的にライブ活動を行い、約10年間に及ぶ活動期間を経て、新たにメンバー編成を行った現在の大野雄二&ルパンティック6に至る。
▲【MUSIC VIDEO】THEME FROM LUPIN III 2016/Yuji Ohno & Lupintic Six with Fujikochans (Short ver.)
ウェブサイトの情報によると大野雄二&ルパンティック6の正式な結成日は2016年3月23日。新編成のメンバーは、初代You & Explosion Bandのメンバーであったミッチー長岡(Eb)、市原康(Ds)に、大野雄二&ルパンティック・ファイブから松島啓之(Tp)、鈴木央紹(Sax)、和泉聡志(Gt)が参加し、更に若手の宮川純(H-Org)が加入。大野雄二のルパンジャズ魂は、今後もルパンティック6とともに継承され続けていくことになるが、そのルパンティック6の各メンバーについても紹介しておきたい。
大野雄二のルパンジャズ魂を継承するルパンティック6とは?
ミッチー長岡 / Mitchy Nagaoka (Electric Bass)
1949年生まれ。神奈川県川崎市出身。16歳で最初のバンドThe Feverを結成し、川崎、蒲田、横浜、新宿で腕を磨く。1969年に東京キューバンボーイズに参加し、初レコーディングの機会を得る。その後、ロスオノデラス、ビートジェネレーショ ン等で活動。また、クロードチアリや森山良子の全国ツアーにサポートメンバーとして参加。1975年頃フリーのスタジオミュージシャンとなる。その後、ゼロ戦での活動を経て、1978年に芳野藤丸、大谷和夫等とOne Line Bandを結成。翌年レコード会社の移籍に伴いバンド名をSHOGUNに変更。TVドラマ「俺たちは天使だ!」のアルバムや「探偵物語」のテーマ曲等、計3枚のアルバムと5枚のシングルを発表。80年代前半にSHOGUN解散(自然消滅)後、スタジオミュージシャン、作・編曲家として、数多くのアーティストのレコーディングに参加。1983年に斎藤ノブ、松原正樹等とAKA-GUY結成。1997年にはSHOGUNを再結成し、現在も幅広く活動中。
市原康 / Yasushi Ichihara (Drums)
1950年 生まれ。愛知県名古屋市出身。早稲田大学在籍中にジョージ大塚に師事。江夏健二トリオで本格的なキャリアをスタートさせる。その後渡米し、当時アメリカで活動していた喫惣領泰則率いるBrownriceに参加。また、当時バークリー音楽大学に留学していたミッキー吉野と知り合い、帰国後に短期間ミッキー吉野グループに参加。鈴木宏昌のコルゲンバンドで活動後、1980年代はスタジオミュージシャンとして活躍。この間、You & The Explosion Bandに在籍し、Jim Rock Super Sessionにも参加。1990年代以降はジャズ系のライブハウスに出演。東京音楽大学の作曲科の映画放送音楽コースで教鞭もとる。その後、寺尾聰のバンドや渕野繁雄グループ、宮川組、菊池ひみこ率いるHIMIKO KIKUCHI BIG BAND等で活動。2004年にTRIO’名義で初リーダーアルバム「What Are You Doing the Rest of Your Life」リリース。現在もTRIO’での活動も続けている。
松島啓之 / Keiji Matsushima (Trumpet)
1967年生まれ。神奈川県藤沢市出身。中学時代にブラスバンドでトランペットを始め、その頃からジャズに目覚める。高校卒業後、1988年から1991年までバークリー音楽大学に留学。 帰国後、数々のセッションに参加。その後、日野元彦、峰厚介、本田竹廣、小林陽一&グッドフェローズ等のグループで活躍。1995年にルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオで録音された初リーダーアルバム「サムシング・ライク・ジス」を発表。トレードマークのベースボールキャップとともにリー・モーガンやクリフォード・ブラウンを彷彿させる力強いトランペットスタイルで注目を集める。自己のクインテットでの活動の他、熱帯JAZZ楽団や大野雄二&ルパンティック・ファイブに参加し、幅広いジャンルの音楽ファンに支持される。2012年に最新アルバム「dedicated to you」をリリース。現在はアルト・サックス奏者の山田穣と 2管フロントによる自己のクインテット中心に都内ライブハウスなどで活動中。
鈴木央紹 / Hisatsugu Suzuki (Saxophone)
1972年生まれ。大阪府大阪市出身。サックス奏者の父親の影響を受け、4歳よりピアノ、作曲を始め、10歳よりサックスを始める。ジャズを独学で学び、16歳の頃から演奏活動を開始。17歳の時にAXIA MUSIC AUDITIONでAXIA賞 Instrumental部門Grand Prixを受賞。大阪音楽大学音楽学部サックス科を卒業後、クラシックを前田昌宏に師事し、ジャズの演奏活動も行う。現在、自己のリーダー・バンドの他、鈴木央紹カルテット、原大力グループ、土岐英史バンド等でも活動。海外の著名なミュージシャンとの共演も数多く、プロデュースや楽曲アレンジ等でも「スタジオ協会録音賞」や「ゴールドディスク賞」を受賞。2009年に大野雄二プロデュースによるメジャーデビューアルバム「Passage Of Day」をリリース。2014年には鈴木央紹カルテット名義でリーダーアルバム「Standards++」を発表。数々のセッションやレコーディング、アーティストのサポート等、幅広いジャンルで活動中。
和泉聡志 / Satoshi Izumi (Guitar)
1978年生まれ。千葉県出身。10歳の頃からギターを弾き始め。中学3年時にスクールコンサートで来校した寺内タケシとブルージーンズに飛び入りしたのを機にジャムセッションに通い始める。渋谷毅オーケストラの演奏に刺激を受け、高校在学中より演奏活動をスタートし、ピットイン、 JIROKICHI、アルフィー等に出演。10代後半より自身のトリオでの活動する他、佐藤帆、渕野繁雄等のグループに参加。20代の頃には浅川マキ、kankawa122、本田珠也、臼庭潤JAZZROOTS、AYRAY、八木のぶお等のグループに参加し、レコーディングも経験。その後も布谷文夫&Bluesbreakers、GROOVESIGN等で活動。海外のミュージシャンからの信頼も厚く、Philip woo、Fayrayのサポートも担当し、以後数年アレンジやツアー等で活動。2006年に大野雄二&ルパンティック・ファイブに参加。2009年に窪田晴男とのギターデュオも始動。2012年には第11回 千葉市文化新人賞奨励賞も受賞している。
宮川純 / Jun Miyagawa (Hammond Organ)
1987年生まれ。愛知県出身。5歳でエレクトーンを始め、ジャズ、フュージョン、ロック等に傾倒。高校卒業後本格的に音楽家を志し、甲陽音楽学院名古屋校に進学。ジャズピアノを水野修平、竹下清志に師事。在学中より小濱安浩バンド等でライヴ活動を行い、nobody knows+、S.B.B.のレコーディングにも参加。2009年にデビューアルバム「Some DayMy Prince Will Come」を発表。noon、マヤ・ハッチ、グレース・ マーヤ等のアルバムに楽曲やアレンジを提供し、作編曲能力も高く評価される。2015年には夏の爽健美茶の「爽健美音キャンペーン」で音楽を担当。自己のグループ以外に、TOKU、土岐英史、市原ひかり等のバンドで活動する一方で、元PE'Zの門田Jaw晃介主催のBERB、ものんくる、佐藤竹善、土岐麻子、Zeebra等のレコーディングにも参加。新鋭ピアニスト、オルガニスト、キーボーディストとして注目の逸材。
▲【Music Video】BUONO!! BUONO!! (BUONISSIMO)~Short ver.~ /Yuji Ohno & Lupintic Six
今年5月に喜寿(77歳)を迎えた大野雄二。この日本が誇る名ピアニスト&作曲家が新生大野雄二&ルパンティック6を率いて、10月15日(月)と10月16日(火)にビルボードライブ東京に登場。ジャズピアニストならではのセンスとアレンジ、そして、ジャズ/音楽シーンで百戦練磨の活躍をしているルパンティック6のメンバーが、「ルパン三世」の世界観を最高のサウンドで届けてくれる。大野雄二の勢いはルパンティック6とともに止まらない。大野雄二が選んだ鉄壁のメンバーで編成された大野雄二&ルパンティック6が繰り広げる生のルパンサウンドをお聴き逃しなく。
「犬神家の一族」オリジナルサウンドトラック
2018/03/21 RELEASE
VICL-64976 ¥ 3,056(税込)
Disc01
- 01.愛のバラード
- 02.怨念
- 03.呪い住みし館
- 04.仮面
- 05.終焉
- 06.愁いのプロローグ
- 07.憎しみのテーマ
- 08.瞑想
- 09.湖影
- 10.祈り (「愛のバラード」より)
- 11.受難の血
- 12.幻想
- 13.孤独 (「愛のバラード」より)
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