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向谷 実、再始動!
向谷 実は、2012年にカシオペアを脱退して以降、幼少期より熱狂的な鉄道ファンであったこともあり、鉄道各社の発車メロディや、JR九州のD&S列車のためにビッグ・バンドによって収録されたアルバム『A列車で行こう』の制作、またAKBメンバーとのニコ生レコーディングなどといった音楽活動を展開してきた。さらに音楽活動以外でも、鉄道乗務員の教育用シミュレータの開発・制作、コメンテーターとしてテレビ/ラジオへの出演、講演やセミナーなどを多数こなすなど、幅広く精力的に活動してきた。 そして2018年、まさに満を持して、向谷 実の待望の新音楽プロジェクト“East meets West 2018”がスタートする。
新音楽プロジェクト“East meets West 2018”のきっかけ
この新プロジェクトは、2016年11月に楽器フェアのスペシャル・イベントとして開催されたコンサート“East meets West”が発端となっている。そのコンサートは、向谷 実を中心に、ドン・グルーシン(key)、リー・リトナー(g)、ネイザン・イースト(b)、神保彰(ds)、エリック・ミヤシロ(tp)、二井田ひとみ(tp)、近藤和彦(sax)、村田陽一(tb)という、向谷 実の友人たちでもある、日米の凄腕ミュージシャンたちが集結して、白熱の演奏を聴かせて大好評となった。
ドン・グルーシンとリー・リトナーは、1982年にレコーディングされた、カシオペアとロサンゼルスのミュージシャンたちとの共演アルバム『4×4』で向谷実と初めて共演し、ドンとはその後もプライベートでの付き合いも始まったという。「ドンとは、そんなにたくさん共演したわけではないんですけど、心の友というか、ずっと繋がりが続いていました。僕から言うと“アメリカの兄貴”という感じですかね」と向谷は語る。ドンとは「いつかまた一緒に音楽を作ろう」と話し合っていたそうだが、互いに忙しかったため、本格的な共演はなかなか実現しなかった。だが2016年のコンサートでそれがようやく実現し、ここで手応えを掴んだ向谷は、このプロジェクトをさらに発展させていくことを決意する。
オリジナル・ソロ・アルバム『EAST MEETS WEST 2018 THE GAMES』を制作
そして制作されるのがアルバム『EAST MEETS WEST 2018 THE GAMES』、コンサート・ツアー【向谷 実 presents “East meets West 2018”】だ。ドンとは、EメールやSkypeで何度も何度もディスカッションを繰り返し、さらに打ち合わせのために向谷が渡米して、アルバムの構成や曲のアレンジなどを決めていったという。その結果、向谷 実とドン・グルーシンが共作した新曲、メンバーのオリジナル曲,カヴァー曲に加えて、カシオペアの楽曲も新アレンジでリメイクするなど、とてもバラエティ豊かな内容となった。
『EAST MEETS WEST 2018 THE GAMES』は、向谷 実のソロ・アーティストとしての完全オリジナル・アルバムという意味では、1993年の『ティクル・ジ・アイボリー』以来の作品となる。参加メンバーは向谷 実とドン・グルーシンに加え、アーニー・ワッツ(sax)、ポール・ジャクソンJr.(g)、エイブラハム・ラボリエル(b)、ハーヴィー・メイソン(ds)、エリック・ミヤシロ(tp)、本田雅人(sax)、二井田ひとみ(tp)、中川英二郎(tb)という、日米のトップ・ミュージシャン10名。ハーヴィー・メイソンは『4×4』にも参加していたし、1981年のカシオペアのアルバム『EYES OF THE MIND』のプロデュースを手がけて以来の付き合いだ。またエンジニアのドン・マレーも、デイヴ・グルーシン、フォープレイ、リー・リトナー、エルトン・ジョン、ホイットニー・ヒューストン、ザ・ジャクソンズなど数多くのアーティストの作品を手がけ、グラミー賞も2度受賞している巨匠である。
「このアルバムには、ふたつの側面があると思います。ひとつは、自分としては消し去ることのできないジャズ/フュージョンの長い歴史を持った演奏スタイル。そしてもうひとつは、そんな私をいろいろな目で見てくれてきた海外のアーティストたちと、真顔で真剣に一緒にやること。それによって、ミノルとはこういう音楽の会話をしたいんだということがスタジオで起こり、曲が進化していく。そういうぼくの音楽を聴いてもらいたいです」今回のレコーディングでは、日本のミュージシャンたちも全員がロサンゼルスに赴き、アメリカのミュージシャンたちと同じスタジオに入ってレコーディングを行なう。これもこの作品の重要な要素であり、向谷 実の大きなこだわりだ。
レコーディングへのこだわり
「最近のレコーディングだと、アメリカのミュージシャンたちの演奏はアメリカで録って、日本に帰ってきてから日本のミュージシャンの演奏をダビングする、というのが一般的だと思います。しかも1人1人のパートを別々に録ったり。別々に録ったほうが、予算的にも時間的にも楽ですし、きれいにまとまったものはできるかも知れません。でもぼくは、みんなが同じ場所で、一緒に演奏することにもこだわりたかったんです。ぼくはきれいにまとまったものを作りたいんじゃなくて、カッコいいものを作りたいんです。1人1人のメンバーの熱が伝わってくるような。それを作るのには、やっぱり一緒に音楽を作っていかないと」という言葉にも、彼のこの作品、そしてプロジェクトに対する情熱が感じられる。彼は、現代では非効率なことにあえて挑もうとしている。だがそこに音楽の本質もある。
「日本って高温多湿の気候ですけど、ロスの気候って雨もあまり降らなくてカラッとしていますよね。それって音楽的にも多大な影響があって、空気を通じて音楽を聴いている身であればあるほど、ロスで鳴らすピアノの音とか、プレイバックの音とか、あらゆる音の環境が日本とは違うんです。そしてそういった場所で活動しているアメリカのミュージシャンたちと、日本から来た我々が出会った時にだけ生まれる良さというものをパッケージして、リスナーの皆さんに聴いてもらうというのが、今回のレコーディングの趣旨です。ぼくもロスでのレコーディングを何回か経験してきましたけど、やっぱり日本とは演奏のスタイルも変わるし、言葉も英語が中心になるし、そういう生活のリズムも変わるから、それが当然音楽にも影響があって、そしてそれを前向きに捉えたアルバムにしたいなって思っています。またアルバムでもコンサートでも、フロントに並んでいるアーティストと、それをサポートする日本人ミュージシャンという関係性ではなくて、全員がフロントに並んでもらって、それぞれにソロイストとしての役どころもあるという形にしたいと思っています。全員が主役であり、脇役でもあるという、イーブンな関係が“East meets West”なんです。アメリカ人と日本人の人数も5対5になっているし、アーニーと本田くんが掛け合いしたり、10人のミュージシャンたちがひとつのユニットとしてまとまっている、と」
向谷 実の考える“East meets West”
向谷 実の考える“East meets West”とは、例えば野球やサッカーのように、メンバー1人1人にポジションがあり、それぞれが有機的に機能することによって、初めてチームとして完成する。その誰一人が欠けても、いいチームにはならない、というイメージだ。 「ホーン・セクションがバックのリフを吹いているように聴こえる部分でも、実はすごくメロディックだったり、アグレッシヴだったりっていうのを実現したいんです。単なるセッションというか、ソロ回しが中心というよりも、アレンジもしっかりとして、楽曲としての完成度にもこだわった内容にしたいです」
そしてレコーディング・メンバー10名がそのまま参加したコンサート・ツアーも始まる。「スケジュールの調整がほんとうに大変で(笑)。でもアルバムの音が、コンサートでさらに成長していくのが楽しみですね」さらにコンサートの模様はもちろん、レコーディング風景などもすべて4K映像で撮って作品化し、ビデオ・クリップも制作するという。こういったところも、向谷実の大きなこだわりだ。
そしてこの“East meets West”を、今回限りのプロジェクトではなく、今後も継続的に続けていきたいという。 「東洋のミュージシャンと西洋のミュージシャンが出会うから“East meets West”なんです。だから今後は、ニューヨークのミュージシャンたちとも一緒にやりたいですし、あとヨーロッパ、南米、アフリカなど、様々な地域のミュージシャンたちも巻き込んでいきたいですね。そして“East meets West”のコンサートも、定期的にやっていきたいですし、もっともっと大きなイベントにしたいなと考えています。だから今回は、その大きな第1回目なんです」 向谷 実の、新たなる音楽の旅が、始まった。
▲左から向谷 実(Key)、ドン・マレー(エンジニア)、エイブラハム・ラボリエ ル(Ba)、ポール・ジャクソンJr.(Gt)、ドン・グルーシン(Key)、ハーヴィー・ メイソン(Ds)
公演情報
向谷 実が日米スーパーミュージシャンと繰り広げる白熱のライブ!
【向谷 実 presents “East mests West 2018”】
2018年11月12日(月) 福岡 JR 九州ホール
(問) BEA 092-712-4221(月~金 11:00~18:00/第2・4土曜 11:00~15:00)
2018年11 月 14 日(水) 大阪 メルパルクホール
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400(月~金12:00~18:00)
2018年11 月 16 日(金) 東京 国際フォーラム ホール C
(問) ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999(月~金12:00~18:00)
開場/開演:OPEN 18:30 / START 19:00
【参加ミュージシャン】
向谷 実 / キーボード・総合プロデュース
Don Grusin(ドン・グルーシン)/ キーボード
Harvey Mason(ハーヴィー・メイソン)/ ドラムス
Ernie Watts(アーニー・ワッツ)/ サックス
Paul Jackson Jr.(ポール・ジャクソン・Jr.)/ ギター
Abraham Laboriel Sr.(エイブラハム・ラボリエルSr.) / ベース
エリック・ミヤシロ / トランペット
本田雅人 / サックス
二井田ひとみ / トランペット
中川英二郎 / トロンボーン
料金:8,000円(tax in.)
主催:株式会社 音楽館
企画制作:株式会社 音楽館 / 株式会社 バビック
招聘:株式会社 コンベックス
協力:株式会社 ヤマハミュージックジャパン / MBS / 株式会社 NHKエンタープライズ / ビクターエンタテインメント
【チケット一般発売中】
チケットぴあ0570-02-9999
ローソンチケット0570-084-003(東京) 0570-084-005(大阪) 0570-084-008(福岡)
イープラス・CNプレイガイド0570-08-9999
楽天チケット
Yahoo!チケット
Confetti0120-240-540
リリース情報
『THE GAMES-East Meets West 2018-』
- 向谷 実 オリジナル・ソロ・アルバム
- 2018/10/3 RELEASE [VICJ-61778 / 定価:¥ 2,800(tax out)]
- 詳細・購入はこちらから>>
発売元:ビクター・エンタテインメント
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Text:熊谷 美広
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