Special
傳田真央 【Mao Denda 1st Full Live「I AM」】
2010.02.05(金) at 恵比寿LIQUIDROOM|セットリスト
エメラルドグリーンの光の中に1人の女性のシルエット。10年間という歴史を経て辿り着いたワンマンライブの幕開けに、圧倒的な歓喜の声がこだまする。そこに『Bitter Sweet』の切なきイントロダクションが響き渡り、今夜の主役 傳田真央が「それでも あなただけを 忘れられなかった」というフレーズを口ずさんだ瞬間、超満員のオーディエンスがその歌声に釘付けとなり、さっきまではしゃいでいた人々の動きが止まる。他の追随を許さない圧倒的な歌唱力、もとい、感情を爆発させた声に早くも凄まじい感動が会場を埋め尽くしていく。「今日はたくさんの気持ちを感じてもらいたい」と本人も語っていたが、今宵の彼女はどんなスタイルの曲でもあってもエモーションの限りを尽くしていた。4人の女性ダンサーと共にハッピーなフレーズを放ちながら満面の笑みを浮かべて、みんなとその腕を嬉しそうに左右へ揺らし、往年の人気曲『3 little night~そして目が覚めたら~』では、切なさも幸せも分かち合いながら歌って踊って、自分だけでなくここにいるみんなの心を上へ上へと高揚させる。
「初ワンマンということで、さっきまでドキドキしていたんですけど、こんなにいっぱいの人に集まってもらって本当に嬉しいです」と感極まった様子で語る傳田。緊張が解け、改めて超満員のファンを目前にした彼女は、よりエモーショナルにあらゆる感情をその声だけでなく全身で表現していく。
まるでお姫さまのようなティアラ&白いドレス姿で再びステージに現れた彼女は椅子へ腰掛け、BU-NIによるキーボードの音色だけをバックに『Someday』や『また会えるかな』をリアルな情景が浮かぶ声で聴かせる。そして今から10年前、多くの恋人たちをドラマティックに演出した『あなたとふたりで~Be with me all day long~』では、長い歳月を超えて再び今を生きる恋人たち、恋愛を頑張る人々の心を揺らした。また「音を返すと書いて音返(おんがえ)しをしていきたい」と感謝の気持ちを告げると、何度も何度も「Let it go」と優しくひとりひとりに歌い掛け、更には孤独な夜にそっと寄り添ってくる等身大のバラード『リトルメアリ』を、少女時代の自分の写真をバックに届けていく。更にはニューアルバム『I AM』の中で最も深い愛を綴った『Breathe In Love』を、彼女の気持ちの溢れっぷりをそのまま表現したような目映い光に包まれながら響かせた。
「何気に私、デビュー10周年なんですけど」と言って、その長い時間、互いにリスペクトしてきたDJ JURIを紹介。そしてもうひとりスペシャルゲストとしてSPHEREをステージに招き入れ、3人で“傳田真央 完全復活劇”の立役者でもある『君といたい feat.傳田真央』を。歌詞やメロディを超えた先にある強い絆を感じさせ、オーディエンスを魅了していく。「姫に大きな拍手!」と大いに今日の主役を盛り上げるSPHEREであったが、続くソロのフリースタイルナンバーでもファンと「真央!」のコール&レスポンスを繰り広げ、会場の熱気を一気に上昇させたところで、去り際に傳田真央とハイタッチ。そのまま曲は、日々挫けそうになりながらも自分らしく生きていく女子達の背中を押すパワーソング『My Style』へと流れていき、ライブはいよいよクライマックスへ突入する。
「皆さん、準備はいいですか~!?」そう彼女が言って聞こえてきたナンバーは『ONEWAY Exp.』。誰もがその腕を激しく左右に揺らしながら、楽しそうにハンドクラップやコール&レスポンスを繰り返し、目の前に美しい光景、愛ある一体感を生み出していく。止まることを知らないラブトレイン。「本当にみんなに感謝いたします!」と涙を堪えながら告げると、これからもみんなのことを歌っていきたいと『泣きたくなるけど』を披露。油断すればそのタイトル通り、歌えなくなってしまうぐらいの溢れる想いでもって、多くの共鳴者たちの涙を誘うのだった。
故にアンコールがなくとも成立したライブなのだが、まだ彼女には届けたい曲があり、僕らにも聴かせてもらいたい歌があった。いつの日にか心に秘めた迷いや憧れ 解き放てる未来(とき)まで 歌い続けたい―――。10年前の傳田真央が音楽に刻んだ意思表明が、今現在の傳田真央の声と交錯しながら僕らの心へと叩きつけられる。彼女が音楽を手放さず、今もこうして歌を届けている理由。改めてそれを伝えた後は、同じくあの頃の自分が今の自分へとプレゼントしてくれた名バラード『Happy Ever After』を懸命に歌い上げ、最後にもう一度だけ『Bitter Sweet』を。再び彼女が笑顔でシーンの第一線に舞い戻るきっかけになった歌を、自らが奏でるピアノの音色と共に、そのメロディと歌詞を抱きしめるように響かせるのであった。
セットリスト
【Mao Denda 1st Full Live「I AM」】
2010.02.05
- 01.Always Love
- 02. Bitter Sweet
- 03.晴れ時々雨
- 04.Zutto
- 05.そして目が覚めたら…~3 Little Nights~
- 06.Lights and shades
- 07.Butterfly
- 08.Someday
- 09.また会えるかな
- 10.あなたとふたりで~Be with me all day long~
- 11.Let it go
- 12.リトルメアリ
- 13.Breathe In Love
- 14.君といたい feat.傳田真央
- 15.SPHEREソロパフォーマンス
- 16.My Style
- 17.Be My Hero
- 18.ONEWAY Exp.
- 19.泣きたくなるけど
- En1.耳もとにいるよ…~Ring the bells REPRISE~
- En2.Happy Ever After
- En3.Bitter Sweet(弾き語り)
Writer:平賀哲雄
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