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日食なつこ ツアー【クラブ・イクリプス2】インタビュー



インタビュー

 繊細なピアノの旋律と聴くものを鼓舞する力強い歌声が評価されている岩手県出身シンガー・ソングライター、日食なつこ。2017年のワンマンツアー【マニアたちの親睦会】では、東京キネマ倶楽部2daysを含む8会場の公演がすべてソールドアウトとなり、一方で、各地のカフェを中心に巡るツアー【遊泳喫茶】をこれまでに三度開催するなど、日本全国に幅広く独自のファンベースを築いている。


 そんな日食が、今度はクラブ会場でのショーを開催。【クラブ・イクリプス2】と銘打たれたこのツアーでは、5月27日に愛知・名古屋ブルーノート、6月2日に神奈川・Motion Blue YOKOHAMA、そして千秋楽となる6月9日には大阪・Billboard Live OSAKAのステージに立つ。これに伴いBillboard JAPANではインタビューを実施。このツアーに懸ける想いや、会場限定シングルに収録される楽曲について、様々な話を訊いた。

ライブハウスやカフェでのショーとは一線を画す

――5月27日から名古屋、横浜、大阪と巡るクラブツアーがスタートします。会場では限定シングル『空中裁判』も販売されますが、収録曲はこのツアーのために書き下ろされたものですか?

日食なつこ:新曲がいくつか貯まっていたので、そろそろ何かの形で出したいなとは思ってたんです。そこにちょうどクラブツアーが決まって、せっかくだから新曲も一緒に出せたらいいなって。タイミングですね。

――聴かせていただきましたが、たしかにクラブ会場を意識した作風でもないですよね。カバーを抜いた3曲に関しては、なんというか太陽の恵みを感じるような。歌詞も曲調も爽やかで、どちらかといえば解放感のある外向きな楽曲だなぁという印象でした。野外フェスとかで聴いたら気持ちよさそうです。この作品にコンセプトがあるとしたら何でしょう?

日食:今おっしゃっていただいた通りの解放感、爽やかさみたいなものはテーマの一つでしたね。というのも、リリース時期が春の終わりくらい、これから夏に向かっていく、そんな季節なので。1曲目の「空中裁判」は新しい曲なんですけど、「タイヨウモルフォ」は古い曲です。新旧問わず季節感に合った曲を選曲して、“さわやか盤”みたいなコンセプトで作りました。

――表題曲の「空中裁判」はまさにシングルのコンセプト性を体現してるような、グルーヴの軽やかな疾走感のある曲ですけど、これは意識的にこの路線で作られたものなんですか?

日食:この曲はすごく意識的に作りましたね。

――何かインスピレーションがあって?

日食:単純に書きたい欲がすごくあったんです。なんだか最近は爽やかで軽い曲を書かずに、重たい曲ばかり書いていたなと。後者の曲はたぶん日食なつこが一番得意とするところではあるんですけど。



日食なつこ「ログマロープ」Music Video


――なるほど。一方で「タイヨウモルフォ」は昔からある曲とのことで。

日食:曲調はそんなに爽やかではないんですけど、歌詞を見てもらえば分かる通り、夜明け前から朝に向かっていくような世界観になっていて、新しい生活が始まる春に相応しいかなと思って。

――資料に書いてある「浮ついた春にぴったりの曲」ってキャッチコピーがズバリ表しているように感じます。会場限定シングルということで、収録曲はこのクラブツアーでも披露されると思うんですけど、他にこれまでのライブハウスでのショーやカフェツアーとの違いがあるとしたら何でしょうか?

日食:座席に座って美味しいご飯を食べながら、落ち着いて音楽を聴ける質の良い空間という意味では、ライブハウスやカフェでのショーとは一線を画すのかなと思ってます。ちょっと敷居が高い、クオリティの高い空間で鳴らせる音というか。他の場所のクオリティが低いという意味では全然ないんですけど、ライブハウスはひたすら音を楽しむ場所だし、カフェツアーではカフェそのものの空間を楽しんでいただきつつ、リラックスして音楽を楽しんでいただきたいので。

――その違いはセットリストにも表れそうですか?

日食:そうですね。その予定です。

――今回のクラブツアーのバンド編成って…

日食:ピアノとドラムのWロン毛で。

――komakiさんですね(笑)。ビルボードやブルーノートのようなヴェニューでは、その日仕様としてアコースティック編成で臨んだり、ゲストにホーンやストリングスを招いたりするバンドも多いんですけど、今回日食さんはお馴染みの編成でやられるということで、ならばどんなところでいつもと違った日食さんが見られるのか、ということはお客さんも気になっているところかと思います。

日食:それは我々も意識してます。ライブハウスだとやっぱりガツンと刺さる曲を優先して選びがちなんですよね。でもそうじゃなくても良い曲はたくさんあって、そのあたりはライブでもあまり披露されずに残ってるので、今回はそれらをうまく拾ってやっていけたらなと。

――そもそもクラブツアーをやろうと思ったきっかけは?

日食:もともとビルボードみたいな場所でやってみたらいいんじゃないのって話をいろんな人から貰ってて、私もすごく気になってはいたんです。ただ、縁がなかったりタイミングが合わなかったりでやれていなかったので、もう呼ばれるのを待つんじゃなく、自分たちから意欲的にやらせてくださいって感じでツアーを組もうと。何かきっかけがあったというより、自分たちの活動のタイミングとかテンション感で決めた感じですね。

――お客さんとしてこういった場所でライブをご覧になることは?

日食:あまりないですね…。ただ気になっているアーティストがビルボードさんに出ていたりするので、行ってみたいとはずっと思ってたんですけど。

――【クラブ・イクリプス】というタイトルにはどんな想いが?

日食:イクリプスって“日食”っていう意味なんですけど。

――クラブでの日食さんっていう。

日食:はい。“クラブなんとか”ってかっこいい名前にしたいなと思ってて、すごく安直なつけ方なんですけど(笑)。

――【クラブ・イクリプス】は今回が“2”で、“1”は昨年8月に名古屋ブルーノートにて行われました。振り返ってみていかがですか?

日食:高級感溢れる会場で、自分たちの背中もピっと真っすぐになるというか。すごくいい空気感でしたね。

――相方のkomakiさんの反応はいかがでした?

日食:喜んでました(笑)。komakiさんって今ではロック・バンドのサポートをたくさんやったりしてますけど、もともとはジャズ箱で修業を積んでた方なので、一種の憧れだったらしいですよ。

――そういえば昨年の全国ツアー【マニアたちの親睦会】の千秋楽、東京キネマ倶楽部公演の時に、Black Bottom Brass Bandとの共演をkomakiさんがすごく喜んでいたのが印象的でした。

日食:なのでジャズ結構詳しいんですよ。「この曲のこういうのを今度使ってみようよ」とかって話をしてきて、逆に全然私が分からないっていう…。

――では日食さん自身を振り返ってみていかがですか?

日食:私も正直、名古屋ブルーノートさんでの単発の時は、かねてから憧れだったところに立てたって気持ちだけでノってたので、冷静にいつもと違う風にどうこうする、とかはなかったと思います。

――その時の経験は今回のツアーに生かされると思いますか?

日食:大いに生かされると思います。その空間の雰囲気を見てセットリストを決めたり、プレイスタイルを変えてみたり、ちょっとアレンジを入れてみたり、今回は余裕を持ってそういった遊びを試してみようかなと思ってます。

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日食なつこ「鸚鵡」

鸚鵡

2017/09/27 RELEASE
281-LDKCD ¥ 2,200(税込)

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Disc01
  1. 01.ギャングギャング
  2. 02.レーテンシー
  3. 03.座礁人魚
  4. 04.2099年
  5. 05.廊下を走るな
  6. 06.LAO
  7. 07.ハッカシロップ

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