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コラブロ来日直前インタビュー ~イギリスを代表するヴォーカル・グループが語る困難を乗り越え最新作『ホーム』にたどり着くまで



 人気オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』での優勝を経て2015年にデビューしたUK出身のヴォーカル・グループ、コラブロは、2016年に岐路に立たされた。メンバーのリチャード・ハットフィールドが脱退し、さらにサイコ・レーベルとの契約が打ち切られたのだ。大きな試練が同時に押し寄せるなかで、残された4人は、自分達を信じ、何よりも「ミュージカル・ナンバーが好き」という思いを貫くことを決心。移籍ではなく、自己レーベルを立ち上げることと、新メンバーを迎えず、4人で活動を続けることを選んだ。

 そして、2017年9月に3rdアルバム『ホーム』をリリースした。愛するミュージカル・ナンバーを歌うなかで、4人の声がこれまで以上に溌剌と響き、彼らの状態がいいこと、歌うことを楽しんでいる心がどの歌からも伝わってくる。アルバム発表後のUKツアーも大盛況で、2018年2月の来日公演も決まった。

 そんな彼らの魅力は、本来劇中ではソロで歌っているミュージカル・ナンバーを中心に、自在に声の組み合わせを変えながら紡ぐハーモニーを駆使して、ストーリーテリングに歌うこと。転調の繰り返しで、ドラマティックな高揚感を煽ることもなく、愛情を込めて丁寧に名曲の物語を歌っていく。その温かみのある歌にコラブロの人となりが表れている。

 今回は2月の来日公演に先立ち、コラブロにインタビュー。新たな一歩を自分達の足でしっかり踏み出したユニットを代表して、ジェイミー・ランバートがインタビューに応じてくれた。(取材・文:服部のり子)

「4人で歌ってみたら、ハーモニーがより膨らみ、明るい音で大きく響いた」

――まず、リチャード・ハットフィールドの脱退の経緯を教えてもらえますか。UKのメディアでいろいろ書かれているでしょ?

ジェイミー:グループに関するヴィジョンは、デビュー前からずっと変わっていないけれど、リチャードは、活動を重ねるなかで、そのヴィジョンに不満を抱くようになった。それが僕ら4人の悩みだった。その問題を解決する方法として、リチャードが脱退をして、新たな活路を模索するのが一番いいという結論に至ったのが1年半前のこと。それが今になってなぜか僕らがリチャードをいじめていたという報道がされている。でも、それは事実ではないし、僕らは、全然気にしていない。だって、コラブロは、今とても幸せだから。マット、マイケル、トムは、僕の親友であり、兄弟であり、コラブロを最高のグループにするという同じ目標を共有する仲間。仕事がない時でも毎日電話で話し、4人でチャットをしているよ(笑)。

――グループは、いい状態にあるのね?

ジェイミー:そう、僕らは今とても幸せで、それが音楽にもいいカタチで反映されていると思う。

――それは、アルバムからも伝わってきました。迷いのない歌の清々しさ、艶やかで、伸びやかなヴォーカルに歌う歓びが溢れていますよね。とても楽しんでいる感じ。


▲『ホーム』(2017年)

ジェイミー:まさにそのとおり。制作の過程が今回、前2作とは違ったのも大きいと思う。まず、僕達4人の試行錯誤から始まった。ロンドンにある僕のアパートに集まり、どんな曲をやりたいか、選曲について話し合い、次に候補曲を仮にアレンジしてみて、本当にやるべき曲なのか、あらゆる方向から検討してみる。そこに時間を掛けられたことで、収録曲の幅が広がった。こんなにも創作に深く関わったのも、僕らの声が引き立つようなアレンジが施されたのも初めてだった。そのなかで僕らの声そのものが成長できたし、ハーモニーも断然良くなった。

――そのハーモニーですが、5人が4人になったことの影響、さらに新メンバーを入れる選択は、なかったのでしょうか。

ジェイミー:リチャードの脱退が決まった直後は、新メンバーの検討もしたけれど、でも、4人で歌ってみたら、ハーモニーがより膨らみ、明るい音で大きく響いた。何か今まで抑えられていたものが噴出したような感じがあって、僕らも驚いた。だから、5人目は必要なかったんだ。


▲Collabro - Til I Hear You Sing A Capella

――では、過去の楽曲に関しては、4人用にアレンジを変えたりするの?

ジェイミー:実は、これまでもハーモニーは4声で、5人のうち2人が同じラインを歌うことが多かったので、4人になっても、何か大きな対応を迫られることはないんだよね。

――選曲について、当初試行錯誤をしたとのことですが、今回は、ミュージカル・ナンバー以外も歌っていますよね。たとえば、フランク・シナトラの「ザッツ・ライフ」とか。

ジェイミー:有名なラグビー選手から引退セレモニーの際に歌って欲しいと頼まれた曲だった。いつもの僕らとは方向性の違うジャズのスタンダード。当初はセレモニーだけで、レコーディングの予定はなかったんだけれど、意外にファンからのリクエストがあったので、それで歌うことにしたんだ。

――もう1曲、4人がコラボした初めてのオリジナル楽曲「ライトハウス」がありますよね。これはどのようにして生まれた曲ですか。

ジェイミー:もともとは、A1のベン・アダムスがこの曲のアイディアを持ってきて、僕らに興味があるなら、一緒にやってみないか、と提案してくれた曲なんだ。歌詞は、“どこにいようと、そこがホーム”という言葉に代表されるように、今の僕らの心境が反映されている。世界のどこに行っても、ファンがいて、僕らがパフォーマンスをすれば、そこがホームと思える。そういうことを初めてのオリジナル曲で歌っているんだよね。

――そこからアルバム・タイトルを『ホーム』にしたの?

ジェイミー:そうだよ。歌の最後は、“Home”という言葉で終わる。そこから、『ホーム』というタイトルが自然に生まれた。


▲COLLABRO "HOME" ALBUM SAMPLER

――そのアルバム『ホーム』は、自分達で設立したレーベル、ピーク・プロダクションからの発売ですよね。なぜサイコ・レーベルと契約が切れた段階で、ビジネス面の責務も追うレーベル設立を選んだのでしょうか。

ジェイミー:過去2枚のアルバムが成功したことで、いくつかのレーベルが声を掛けてくれた。それはありがたいことだったけれど、僕らのなかで、どういう作品を作りたいのか、一番わかっているのは自分達だという思いがどんどん強くなっていたので、それならば、僕らの力だけでやってみようか、ということになった。幸いなことに過去2作でもレコーディング以外にアートワークなど、リリースに至るまでのプロセスに関わらせてもらって、多少なりとも経験があったので、クリエイティヴ以外にビジネス面でも頑張ってみよう、ということになった。

――ビジネス面では具体的にどんなことを4人はやっているの?

ジェイミー:マットは、コンサートのセットリストと振付、舞台監督を担当。トムは、レコードの著作権関連、マイケルは、経理、僕は、レコード店とか、日本は引き続きソニー・ミュージック・ジャパンと契約しているので、その交渉を担当している。4人で役割分担して、なおかつアルバム『ホーム』がエド・シーランやハリー・スタイルズのアルバムと肩を並べて、UKチャートでTOP10入りを果たした。そのことに僕らはすごく誇りを持っているし、絆がさらに深まったと思う。

――アルバムと同様にライヴも成功しているでしょ。UKツアーは、大盛況だったと聞いていますが…。

ジェイミー:31公演全てがソールドアウトになり、ファンの方も最高のショウだったと言ってくれた。今回のツアーは、構成・演出が凝っていて、『レ・ミゼラブル』、『オペラ座の怪人』、『ジャージー・ボーイズ』といったミュージカルのセクションがいくつもあって、特にフランキー・ヴァリとフォー・シーズンズの活躍を描いた『ジャージー・ボーイズ』ではマットが考えた振付で踊るんだ。僕らがステージで本格的にダンスに挑戦するのは初めて。このセクションでは観客も一緒に踊ってくれる。他にも僕らのこの1年半の歩みを辿るストーリー仕立てのセクションもある。とにかくエキサイティングなショウを行ってきたんだ。

――そのエキサイティングなショウは、約2年半ぶりの来日公演でも期待できるかしら?

ジェイミー:もちろんだよ。前回のツアーでも『夢やぶれて』を日本語で歌ったと思うけれど、今回も何か日本語で歌いたいと考えている。日本のファンにも成長したコラブロの姿を観ていただきたい。僕らも日本公演をすごく楽しみにしているので、ぜひ会いに来てね!


▲Collabro "Home" Tour

コラブロ「ホーム」

ホーム

2017/09/27 RELEASE
SICX-30049 ¥ 2,750(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.時が来た (ジキルとハイド)
  2. 02.カフェ・ソング (レ・ミゼラブル)
  3. 03.美女と野獣 (美女と野獣)
  4. 04.君の歌を聞けるまで (ラヴ・ネヴァー・ダイズ)
  5. 05.悲しみのクラウン (リトル・ナイト・ミュージック)
  6. 06.ザッツ・ライフ
  7. 07.パレードに雨を降らせないで (ファニー・ガール)
  8. 08.ブイ・ドイ (ミス・サイゴン)
  9. 09.あの素晴らしき夜 (ジャージー・ボーイズ)
  10. 10.ジャーニー・トゥ・ザ・パスト (アナスタシア)
  11. 11.ヒー・リヴズ・イン・ユー (ライオン・キング)
  12. 12.永遠に (ウィキッド)
  13. 13.ライトハウス

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