Special
スティーヴ・ルカサー来日記念インタビュー
2017年もあと少しで幕を閉じてしまう。これからの師走の時期、仕事も宴会もまさにピークを迎えることであろうが、今年最後の”ロック・ロール・パーティー”は、ここビルボードライブで、この人と一緒にやるのが最高にゴキゲンだ! TOTOのフロントマンとして多くのギター・フリークを魅了してきたスティーヴ・ルカサー! リンゴ・スター・オールスター・バンドでのツアーから自己のバンドまで実に精力的にライヴをこなし、まさにノン・ストップで走り続けている彼だが、12月18日の名古屋ボトムラインを皮切りに、12月19日、20日にビルボードライブ東京、12月21日、22日にビルボードライブ大阪とクリスマス前の活気付く時期をさらにホットにしてくれる。そして、そんなルークが多忙を極める中、電話インタヴューに答え、今回のライヴの話、そして、TOTOの最新情報等をいろいろと語ってくれた。
Interview & Text: 中田利樹 / 電話インタビュー協力:丸山京子
サプライズとしてTOTOの曲も考えている
――今日はお忙しい中、時間を作って下さり、どうもありがとうございます。
ルカサー:いや、確かに忙しいんだよ。でも日本は大好きな国だし、日本には本当によくしてもらっている。日本のためだったら、忙しい時間を割いても構わないって思ってるさ。
――そして、ビルボードライブでのギグがあともう少しですね。意気込みを聞かせていただけますか?
ルカサー:今回のバンドは殺人級ジャム・バンドで、7年前に結成したバンドだが、このバンドが活動するのは12月だけ。12月限定バンドなんだ。Nerve Bundleと名乗って5年。その前2年は別の名前だった。
――Nerve Bundleというバンド名ですが…
ルカサー:Head of your cock(ペニスの先端)っていう意味の卑猥な言葉さ。医療用語ではnerve bundle(神経の束)って呼ぶのさ。
――そうなんですか??
ルカサー:(笑)ガハハハ! 知らなかっただろう? ルカサーが考えたことなんだから、これくらい当然だよ! でも日本じゃきっと誰も知らない。それがおかしいんだ。アメリカだったらみんなわかるが、それでもこの名でやってる。こちらで何回かライヴをやって行くので、日本に行く頃には十分にウォームアップもされた状態だろう。とにかく最高のミュージシャン達だ。キーボードのジェフ・バブコ、ドラムにトス・パノス、ベースはガヴァメント・ミュールのヨーゲン・カールソン、そして俺。いろんな音楽が渾然一体とな ったクレイジーなフュージョン・バンドだ。
――曲は新曲をやるんですか?
ルカサー:以前、ジェフ・バブコなんかと出したクリスマス・アルバムの曲もやるよ。でもあれはだいぶ昔のアルバムなんで、アレンジは変える。ジェフがアレンジをするよ。他にも一緒に書いた新曲、クラシック・チューンも。あとはその時、ステージの気分でやることも考えてる。ロビン・トロワーのカヴァーとか。短い曲から20分の曲までなんだってありさ。自分でもどうなるかわからないし、同じ曲をやったとしても、同じ演奏にはならないからね。だからエキサイティングなのさ。サプライズとしてTOTOの曲も考えているの で、それは期待しててくれていいよ。あ、でも「I’ll Be Over You」じゃないからね。
――(笑)
ルカサー:それよりは、もう少し”筋力”を使う曲だ! とにかくジェフ・バブコを含め、全員友人だ。これは仲良しの友達と一緒に何かをやる、よい口実だってことさ! でもハッピー・ジャズ、スムーズ・ジャズじゃないことだけは約束する。ジャズ、ロック、フュージョン、ブルースのいいとこも悪いとこも全部合わせたような、言葉じゃ説明できない折衷的な音楽なんだ。肩の怪我をしてしまってから、プレイの方法自体を自分なりに工夫して変えなきゃならなかったから、俺の演奏の仕方は少し変わったかもしれないが、俺であることには変わりない。でも心配しないでくれ、もう大丈夫なんで。癌になった、とかそういうことじゃないから。ここ数年は自分にとっても興味深い数年だった。本来の自分を取り戻す、という意味で。でもうまくいっていると思うよ。
――グループ、TOTOとしては1978年のデビューから満40周年が目の前に迫っていますね。
ルカサー:ああ。20歳やそこらでグループを始めて、今では60歳のOld Guyになってしまった。TOTOの40周年ツアーの計画も着々と進んでいる。新しいアイディアや3曲の新曲も加え、ジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロ、デヴィッド・ハンゲイト時代の曲もやるし、特別なものになる。新曲のレコーディングも終わった。ドラムはヴィニー・カリウタが叩いて、ベースは俺が弾いている。「Spanish Sea」という新曲は『Isolation』(1984年)のレコーディングの時に未完のまま終わった曲で、その時のジェフとマイク(・ポーカロ)の演奏を使っているんだ。サビを書き直したり全く新しいものになっているけれど、愛するポーカロ兄弟と再び一緒にやれて、いろいろな想い出が甦ってくるよ。アルバムは2月にリリースだ。その後はツアー!アメリカ、そして日本は2019年の予定だ。
――今、自伝を書いていらっしゃるそうですね。
ルカサー:ああ。TOTOのレコードのリリースと同じタイミングで来年、刊行されるよ。そこではスタジオでのいろいろな話も書いているよ。『The Gospel According to Luke』っていうタイトルで、表紙も最高だ。ところで、マジな話、毎週のように誰かが死んでいく。(2017年10月2日に66歳で死去した)トム・ペティのことは全くの寝耳に水、ショックで誰に電話をしていいのかもわからないし、オロオロするばかりで。俺がトムに会ったのは1回きり。ジェフ・リンのコンサートでだ。ずっと会いたかったのにチャンスがなくて、 ようやく会えた。とっても優しくて謙虚で、ガシッと俺を抱きしめ「まだこうして仕事を続けてるって、信じられるか?」と笑ったんだ。俺は「トム、冗談やめてくれ。君はこの世で書かれた最高の曲を書いた人間だぜ」と言い、素晴らしい音楽を作ってくれたことに礼を述べた。1度しか会えなかったが、少なくとも、それを言えたことが救いだよ。リンゴはトム・ペティと仲が良くて、今もリンゴがそのことでの電話をしてきてくれたんだ。誰かとの電話の最中、リンゴから電話が入ってくるのが俺の日常なんだ! 信じられないけどね(笑)しかし自分でも信じられないよ。もともとビートルズが好きでギターを手にしたガキが、50年後、そのうちの3人と共演をし、そのうちの2人(ポールとリンゴ)とレコーディングもしてるんだぜ。そんなクールな話ってあると思う?! 金星に行った初の人類みたいなもんさ!
――あなたはアグレッシヴなギターワークで多くの崇拝者を生んでいますが、一方であなたが書く、そして歌うバラードも人気です・・・
ルカサー:(笑)あらゆるタイプの音楽が好きなんだよ。ベラ・フレックを聞くのも、マイルス・デイヴィスも、スラッシュも好きだ。ヘヴィなものも好きだよ、それこそスリップノットだって。同様に素晴らしいポップ・ソングも好きだ。俺は決して音楽スノッブじゃない。未だに誰よりも好きなのはビートルズだ。リンゴ・スターのバンドでやるようになった今もね! 悪いね! それ以上にはなれないんだよ。俺は60歳だからね。今の自分でハッピーだ。これでいいんだ。世の中には俺よりうまいギタリストが100万人はいるだろうけど、それで構わない。誰と競うわけでもなく、俺だけの場所を見つけたから、これでいい。なぜかわからないが、100年後振り返ってみると、俺の名前がここにもあそこにもある。「なんでこいつはそんだけいるんだ?」と思われるだろう(笑)。でもそれでいいんだよ。人間が100年後も生きていられる世界ならいいけどな。
――ありがとうございました。
公演情報
スティーヴ・ルカサー ‘Nerve Bundle’
Bottom Line 名古屋:2017/12/18(月)
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ビルボードライブ東京:2017/12/19(火)~20(水)
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ビルボードライブ大阪:2017/12/21(木)~22(金)
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INFO: www.billboard-live.com
MEMBERS
スティーヴ・ルカサー / Steve Lukather(Guitar, Vocals)
ジェフ・バブコ / Jeff Babko(Keyboard)
ヨルゲン・カールソン / Jorgen Carlsson(Bass)
トス・パノス / Toss Panos(Drums)
関連リンク
スティーヴ・ルカサー セッション・ワークスⅡ
2017/11/22 RELEASE
SICP-31101 ¥ 2,200(税込)
Disc01
- 01.ホワイト・シスター
- 02.ラニング・ウィズ・ザ・ナイト
- 03.アイム・フリー
- 04.ヒズ・ワールド
- 05.シーズ・ア・ビューティ
- 06.リーヴ・ミー・アローン
- 07.悲しみを越える道
- 08.ロンリー・ビート・オブ・マイ・ハート
- 09.スクール・ガール
- 10.ユー・アー・ザ・フラワー
- 11.ミドル・マン
- 12.トップ・オブ・ザ・ワールド
- 13.エクスティンクション・ブルース
- 14.イッツ・オンリー・マイ・ハート
- 15.愛は果てしなく
- 16.サムバディ・ライク・ユー
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