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Kero Kero Bonito 『Bonito Generation』 インタビュー



Kero Kero Bonito 『Bonito Generation』 インタビュー

ロンドンを拠点に活動する、バイリンガルの歌姫セーラとクリエイターのガス、ジェイミー。異色な組み合わせから、絶妙のゆるさで抜けの良いサウンドを鳴らしながら、日本語と英語をミックスした不思議な語感のラップで新感覚の衝撃を届ける3人組 Kero Kero Bonitoが遂に日本デビュー!

先日は【SUMMER SONIC 2017】にも抜擢され、あの水曜日のカンパネラ コムアイも注目する他、本国では時にあのチボ・マットを引き合いに語られるなど、世界が注目するニューカマーに話を訊いた。

馴れ合いの関係じゃなくて冒険的なことをやりたい

▲YouTube「Kero Kero Bonito - Forever Summer Holiday」
▲YouTube「Kero Kero Bonito - Forever Summer Holiday」

--ガスさんとジェイミーさんは、インターネットの掲示板サービスで、グローバルな情報が集まるGumtreeや日本人向けのMixBなどを利用して、シンガーを募集していたそうですね。

ガス:ジェイミーと僕は学生のころから友だちで、バンドを組んだり音楽の情報交換をしたりしていたんですけど、もっと新しいことをやりたいと思ってコラボできる人を探していたんです。

でも、そういう人を見つけるのは大変なことで、レーベルや出版社に属していたわけでもなかったので協力してもらえる人がいなかった。バンドって友だちの延長で結成されることが多いと思うんですけど、馴れ合いの関係じゃなくて冒険的なことをやりたくて、GumtreeやMixBに募集を出しました。

ただ、Gumtreeではオーディションに出てくるような普通に上手い人たちはいたんですけど、それも違う。そうして悩んでいたときに僕たちの友だちがMixBを紹介してもらって、サーラと出会いましたね。

--セーラさんが加入することが決まったとき、Kero Kero Bonitoのサウンド・コンセプトというのはあったのでしょうか?

ガス:音というより、3人の個性を活かしたいと思っていたので、セーラが入ってより明確になりましたね。

--オフィシャルYouTubeを辿りながらKero Kero Bonitoの歴史を辿ってみると、一番最初にアップされた動画は2013年の「Why Aren't You Dancing?」で、よりダンスの要素が強く、ボーカルも男性になっています。

ガス:あれは僕が歌っていますね(笑)。元々は違うプロジェクトで発表するべき曲だったんですけど、色々あってKero Kero Bonitoの楽曲になりました。

Kero Kero Bonito『Bonito Generation』インタビュー
▲左から:ガス/ジェイミー/セーラ

ジェイミー:あれは前身の期間でしたね。

--一方、Kero Kero Bonitoの楽曲にセーラさんが登場するのは、2013年の「Homework」が最初でした。

セーラ:あの動画はiPhone4で撮影しました(笑)。バックのアートワークは大学の卒業制作として私が作ったもので、着ている着物も1年かけて作っていたものなんです。

ガス:セーラが大学生のときに、「Homework」 「Kero Kero Bonito」「Pocket Crocodile」をレコーディングしたのも良い思い出ですね。

--今挙がった楽曲は、2014年にダブル・デニム・レコーズよりリリースしたミックステープ『Intro Bonito』に収録されています。ダブル・デニムといえば、日本でもジェシー・ルインズやホテル・メキシコなどのリリースにも携わってきた新進気鋭かつ先鋭的なニューカマーを取り扱うレーベルです。

ジェイミー:僕らはそもそもBandcampに自主制作の楽曲をアップしていたのですが、イギリスのライターでJamie Miltonという人が僕らを発見してくれて、その記事をダブル・デニムが読んで、彼らから直接連絡をもらったことがきっかけです。

--また、本作にはオリジナル曲が収録されていますが、そうした作品を“ミックステープ”としたのには理由があるのでしょうか?

ジェイミー:たとえばドレイクは『If You're Reading This It's Too Late』をミックステープと位置づけていましたけど、僕たちの中では、すべてをごちゃ混ぜにして収録する意味合いで使いました。

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  1. CDはリアルなバンドであることの証明
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インタビュー写真

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CDはリアルなバンドであることの証明

▲YouTube「Kero Kero Bonito - Lipslap」
▲YouTube「Kero Kero Bonito - Lipslap」

--『Intro Bonito』は高い評価を獲得しましたが、皆さんがKero Kero Bonitoの活動に手応えを感じた最初はいつだったでしょうか?

セーラ:『Intro Bonito』をリリースしてからロンドンの小さなクラブでライブをしたときに、歌を返してくれたのには感動しました。曲を聴いてくれていて、歌詞まで覚えてくれていて、歌ってくれた。それは本当に嬉しかったですね!

--日本語と英語が混在した歌詞が評価されたことも嬉しかったのでは?

セーラ:でも、ロンドンには色んな国の人がいるので、ハーフということで注目されたことはないと思いますね。

--では、ご自身の存在で一番の強みになっている部分はどこだと思いますか?

セーラ:アートワークなどビジュアル面だと思います。『Intro Bonito』やアルバム『Bonito Generation』のアートワークも、私がデザインしているんですよ。Kero Kero Bonitoをやるまでバンドに入ったことも無かったですし、ラップすることも歌詞を書くことなども、すべて初めてだったんです。

ジェイミー:セーラの性格が声に出ていると思うし、やっぱりバイリンガルという点も他のアーティストとは違うところですよね。

--日本語と英語がミックスされた歌詞というのは、自然に出てくるものなのでしょうか?

セーラ:私にとっては自然なんです。英語と日本語を同時にしゃべりながら育ったので、むしろ両方を使う方が100%自分を表現できる気がしています。

--また、2014年にYouTubeの人気チャンネル Majestic Casualにアップされた「Flamingo」が200万再生と大きな話題を呼びました。

Kero Kero Bonito『Bonito Generation』インタビュー
▲左から:ガス/ジェイミー/セーラ

ガス:Majesticは僕らが大学生のころによく見ていましたし、あの露出があったから今の僕らがあると思います。「Flamingo」はそもそも、Secret Songsというレーベルから「ピンクをテーマに曲を書いて」という依頼で制作した楽曲で、ピンクといえばフラミンゴだと(笑)。

ジェイミー:“ながら聴き”できるMajesticで流してくれたおかげで受け入れられたと思いますので、感謝していますね。

--Kero Kero BonitoのCDリリースは『Intro Bonito』からしばらく期間が空き、今年7月のアルバム『Bonito Generation』が2作目です。ただ、その3年間の間に様々な形で新曲が配信され、その集大成となっているのが『Bonito Generation』になりますが、3人にとってCDというのはどういう存在なのでしょう。

ジェイミー:物として触れられるCDを出すことは、僕たちがリアルなバンドであるということの証明ですし、HMVをはじめCDショップに並んでいることが一人前の証とも言えますよね。たとえばドレイクだってSpotifyで1位を取っているのに、ヴァイナルを出しますよね? リスナーの所有感、マーチャンという位置づけだと思います。

ガス:僕もCDは買っていますね。ただ、日本でのフィジカルはCDが重要かもしれませんが、西洋ではヴァイナルだと思っていますし、ファンからも「いつヴァイナルで出すの?」って訊かれたりします。

セーラ:私は、CDのブックレットをデザインするのが楽しいです!これはデータをプレイするだけでは伝えられない部分ですよね。『Bonito Generation』のアートワークは、サイモン・ワイフリーっていうグラフィック・デザインをしている友だちと一緒に作ったのですが、撮影に使った衣装なども全部自分たちで用意したんですよ。

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私はみんなと同じ地球人

▲YouTube「Kero Kero Bonito - Trampoline」
▲YouTube「Kero Kero Bonito - Trampoline」

--ブックレットの最後に写っているのは、セーラさんのご両親ですよね?

セーラ:そうです(笑)。歌詞で英語と日本語を使っている自分のルーツを、親を載せることによって表したかったんですけど、やっぱりふたりもびっくりしてました(笑)。今回の作品は収録曲の1曲ずつにアートワークを用意していて、これは両親について歌っている「Hey Parents」のための写真です。

私は日本で育ったときはイギリス人としか見てくれなくて、イギリスにいると日本人としか見てくれなかった。ひとつの国からじゃなくて、色んなルーツを持っている人たちがいるってことを、両親を載せることで主張したかったんです。

--どこにいっても異質と捉えられてしまう?

セーラ:そうです。でも、私はみんなと同じ地球人だから、それは伝えたかったです。

--そんなセーラさんがシンパシーを感じるアーティストや、標榜にしているミュージシャンなどはいますか?

セーラ:ジャンルは違うんですけど、ヤング・M.Aは自分の道を切り拓いているところに共感できて大好きです。

--また、『Bonito Generation』 ではよりマスをターゲットにしたサウンドに感じました。

ガス:アイドル曲やトロピカル・ハウスを歌って有名になるっていうありがちなところじゃなくて、KKBらしさでマスに訴えかけられるサウンドということで、こういう形になりましたね。

--「Big City」のようなサウンドは、近年日本でも流行していますので、一番受け入れられやすいと思いました。

Kero Kero Bonito『Bonito Generation』インタビュー
▲左から:ガス/ジェイミー/セーラ

ガス:シティ・ポップは全世界でトレンドになっていますし、アメリカやイギリスでも和田加奈子や今井美樹などが密かに注目されたりしているんですよ。今はYouTubeがあるので、そのレコメンドから知ることができたりもしますし、Kayo Kyoku Plusというサイトでも山下達郎やいしだあゆみを紹介していたりと、良い意味でリバイバルが起きていると思います。

--Kero Kero Bonitoは他にはない独自のサウンドを展開しているバンドですが、日本でも受け入れられる自信はありますか?

ガス:自分たちが好きな音楽を作っているので、他の人がどう思うかはあまり気にしていないですね。

ジェイミー:逆に言えば、自信が無ければこういう形にはなっていないと思います。

--個人的に、日本の音楽は大げさなサウンドやメロディが多いと思っているので、Kero Kero Bonitoのような音楽が日本で受け入れられることには大きな期待を寄せています。

ガス:僕はプロデューサーという立場で、西洋の音楽に対してはとても消極的です。Spotifyのプレイリストはウケやすい流行りの曲ばかりで良い曲が埋もれてしまいますが、日本ではこうして僕らの攻めている楽曲がソニーに所属してリリースできて、【SUMMER SONIC 2017】でプレイできたりもする。そういう土壌があることに大きな期待をしています。

--Kero Kero Bonitoは8月22日にも『Bonito Generation』のリリースパーティが控えていますが、日本のリスナーにはどのようなライブを見せたいと思いますか?

セーラ:日本語でMCできるのが楽しみです(笑)。Kero Keroワールドを見せたいです!

ジェイミー:僕らも最高峰のダンスをお見せしますよ(笑)。

--今後はどのような活動を行っていく予定ですか?

ガス:常に進化し続けていって、これからも一皮二皮と剥けていければと思います。

インタビュー写真

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Kero Kero Bonito「ボニトジェネレーション」

ボニトジェネレーション

2017/07/12 RELEASE
SRCP-436/7 ¥ 2,547(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.WAKING UP
  2. 02.HEARD A SONG
  3. 03.GRADUATION
  4. 04.FISH BOWL
  5. 05.BIG CITY
  6. 06.BREAK
  7. 07.LIPSLAP
  8. 08.TRY ME
  9. 09.PAINTBRUSH
  10. 10.TRAMPOLINE
  11. 11.PICTURE THIS
  12. 12.HEY PARENTS
  13. 13.FOREVER SUMMER HOLIDAY (ボーナストラック)
  14. 14.PICTURE THIS (FELICITA REMIX) (ボーナストラック)
  15. 15.FISH BOWL (FRANKIE COSMOS REMIX) (ボーナストラック)
  16. 16.HEARD A SONG (CFCF REMIX) (ボーナストラック)
  17. 17.TRAMPOLINE (SAINT ETIENNE REMIX) (ボーナストラック)
  18. 18.LIPSLAP (MAKENESS REMIX) (ボーナストラック)
  19. 19.BREAK (JONAH BASEBALL REMIX) (ボーナストラック)

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