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特集:JiLL-Decoy association~常に新鮮な音楽を届けるジルデコの秘密
ジャズ?ポップス?ロック?それとも…?日本の音楽シーンで稀有な存在感を見せつけるジルデコこと、JiLL-Decoy association。結成から15年経った今も、変わらず新鮮な音楽を届けてくれる3人の魅力とは一体なんだろうか。まもなく15周年記念ライヴを控えている彼らの秘密に迫ってみよう。
JiLL-Decoy associationは、2002年に結成された。ニューヨークで音楽を学んでいたギタリストのkubotaが帰国した際、同じくシカゴでジャズを学んでいたドラマーのtowadaと知り合い意気投合。そこに、すでにソロ・ヴォーカリストとして実力を付けていたchihiRoが合流してグループを結成することになる。JiLL-Decoy associationという一風変わったネーミングだが、オトリを意味するDecoyは、音楽におびき寄せたいという意味があるらしく、よくある女性名のJillをつなげ、メンバーだけでなくいいチームを作りたいという思いでassociationを加えたそうだ。
変則的なトリオ編成のグループとしてスタートしたジルデコは、都内のライヴハウスを中心にライヴ活動を開始。徐々に実力を付けていき、2006年6月にシングル「like ameba」でメジャー・デビューを果たすことになる。翌2007年には初のアルバム『ジルデコ』をリリース。ここですでに、ジャズ、ポップス、ロックなど様々なジャンルのミクスチャーが行われており、ジャズをベースにしながらもそれだけに縛られない自由な音楽性が垣間見られる。
▲ 「like ameba」MV
その後も、『ジルデコ2』(2008年)、『ジルデコIII』(2010年)、『ジルデコ4 ~ugly beauty~』(2010年)と充実したアルバムを定期的にリリース。同時にライヴの動員もめきめきと伸ばしていった。結成10周年を迎えた2012年には、アニバーサリーイヤーのスペシャルとして3枚のミニ・アルバムを発表。アコースティックをテーマにした『Lovely』、全曲ジャズのカヴァーに挑戦した『Lining』、ダンス・ミュージックをキーワードにした『DECADE』と、それぞれまったく違うスタイルで発表し、音楽性の幅広さと奥深さをアピールした。また、この年の8月には初めてのビルボードライブ公演を行い、大盛況のうちに成功させている。
2013年には、結婚、仕事、シングルマザーといった身近な題材をテーマにし、chihiRoの歌の世界観を大きく広げた『ジルデコ5』を発表。翌2014年には、EGO-WRAPPIN’の森雅樹がアレンジに参加したり、マンデイ満ちるをゲスト・ヴォーカリストに迎えたアルバム『ジルデコ6 ~Just a Hunch~』をリリース。さらに一歩先へとステージを進めていった。また、同年にはライヴ・アルバム『In Concert』を発表し、ライヴ・アーティストとしての存在感も見せつけていった。
このように、彼らはリリースを重ねるごとに、大幅な成長を見せつけてくれる。とくにchihiRoのヴォーカリストとしての振り幅は大きく、いわゆるオーセンティックなジャズはもちろん、R&Bやファンクのビートに乗ってもなんら遜色のない歌声を聞かせてくれるのだ。また、彼女が描く歌詞の世界は、いわゆるジャズにありがちなクールで距離をおいたような感覚は薄く、同世代の女性が共感できる身近な恋愛や友人、家族などがテーマになっていることが多い。加えて、女性特有の情念を込めた内容であることも多く、言葉だけを取り出すとどこかウェットで感情的なところも特徴のひとつだ。
▲ 「Freedom Express」(360°ライブ動画)
その一方で、kubotaとtowadaが生み出すサウンドのクオリティも、他のジャズ系グループとは一線を画している。彼らはもちろん、本場ニューヨークやシカゴで培ったジャズを中心とした音楽的な素養を持っているわけだが、そこに甘んじることなくポップス、ロック、ソウル、ファンク、フォークなどありとあらゆる音楽のジャンルを呑み込んでいく。アッパーなディスコ・ビートで踊らせたと思ったら、しっとりとアコースティックなバラードを奏でるという器用なことができるのも、彼らの持ち味のひとつだ。それも、器用貧乏にならず、chihiRoの声を通すことでジルデコらしさを守っているのもさすがとしか言いようがない。
▲ 「Take On Me」
昨年はchihiRoの出産もあって、しばらく創作活動が途絶えていたが、この2月にはおよそ2年半ぶりのオリジナル・アルバム『ジルデコ7 ~voyage~』を発表。旅のように続く人生をテーマにしたコンセプチュアルな作品で、お得意のジャジー・ポップを中心に、R&Bやジャズ・ファンク、そして壮大なバラードまで、幅広いサウンドと存在感のある歌声で、さらにジルデコの個性を大幅に拡大している。このスケール感はきっとライヴでも披露されるはず。そう思うと、まもなく行われる15周年記念ライヴにも期待が高まるだろう。この機会に、まだまだ進化していくジルデコを、ぜひ間近で体感してもらいたいと思う。
▲ 「Billboard Live Tour 2017 Trailer」
公演情報
JiLL-Decoy association
「Next 15 Years Wave」
ビルボードライブ大阪:2017/7/24(月)
1stステージ開場17:30 開演18:30 / 2ndステージ開場20:30 開演21:30
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2017/8/5(土)
1stステージ開場15:30 開演16:30 / 2ndステージ開場18:30 開演19:30
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
BAND MEMBERS
chihiRo / チヒロ (Vocals)
kubota / クボタ (Guitar)
towada / トワダ (Drums)
成田祐一 / Yuichi Narita (Piano)
Jeff Curry / Jeff Curry (Bass)
中村恵介 / Keisuke Nakamura (Trumpet)
Special Guest
BASI(from韻シスト) / BASI ※大阪のみ
Hiro-a-key ※東京のみ
関連リンク
Text: 栗本斉
ジルデコ7 ~voyage~
2017/02/08 RELEASE
VICL-64709 ¥ 3,300(税込)
Disc01
- 01.夜明けのガーデン
- 02.Where is that?
- 03.虹に気がつかずに
- 04.ミスタービンテイジ
- 05.ラブタブー
- 06.愛の最終スパーク
- 07.びびってんじゃないよ
- 08.航海
- 09.ベッド・サイド・ランプ
- 10.スターキャッチャー
- 11.It is here!
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