Special
いよいよジャパン・ツアー開幕!ノラ・ジョーンズ 来日記念特集
ジャジーでシルキー、そして美しさの中にも少しビターなテイストを織り交ぜた歌声。唯一無二のシンガー、ノラ・ジョーンズがいよいよ来日する。昨年には4年ぶりのニュー・アルバム『デイ・ブレイクス』を発表。各方面から高い評価を得る一方で、アジアやヨーロッパを含む大規模なワールド・ツアーも敢行中だ。精力的な活動を見せるノラ・ジョーンズの魅力を、あらためて振り返ってみた。
◎最新作『デイ・ブレイクス』リリース時のインタビューはこちら>>>
ノラ・ジョーンズは、1979年生まれ、ニューヨーク出身。よく知られている通り、父は世界的に有名なインドのシタール奏者ラヴィ・シャンカールである。ただし、3歳の時に両親は離婚し、母親とテキサス州のグレープヴァインに転居。15歳でダラスに移り、本格的な音楽活動を始める。その当時は、ビリー・ホリデイなどに影響を受け、ジャズを歌っていたという。テキサスの大学に進学し、ロック・バンドも経験するが、旅行で行ったニューヨークでチャンスを感じてそのまま学校には戻らず、マンハッタンで音楽活動を継続。紆余曲折の末、ジェシ―・ハリス、リー・アレグザンダー、ドン・ライザーというメンバーでバンドを結成した。
このバンドのデモをブルーノート・レーベルでレコーディングしたのが、2000年のこと。この時のセッションを聴いた当時のブルーノートの社長であるブルース・ランドヴァルが彼女を見初め、2002年にいよいよ『ノラ・ジョーンズ / Come Away With Me』でデビューすることになる。本作はアリフ・マーディンとクレイグ・ストリートという強力なプロデューサーを迎え、ジャジーながらフォークやカントリーも加えた独自の作風が幅広く受け入れられ大ヒット。グラミー賞では8部門において受賞し、全世界で2600万枚を売り上げる結果となったのは、ご存知の通りだ。
▲ 「Don't Know Why」
▲ 「Sunrise」
2004年にはセカンド・アルバム『フィールズ・ライク・ホーム / Feels Like Home』を発表。この作品でもグラミー賞で4部門を制するなど、大きな評価を得た。以降も、シンガー・ソングライターとしての才能を大きく開花させたカントリー色の強い『ノット・トゥー・レイト / Not Too Late』(2007年)、彼女のポップ・サイドを全面に押し出した意欲作『ザ・フォール / The Fall』(2009年)、デンジャー・マウスをプロデューサーに迎え、大胆なアプローチでオルタナティヴな世界を生み出した『リトル・ブロークン・ハーツ / Little Broken Hearts』(2012年)と、賛否両論を渦巻かせながらもコンスタントにソロ作品をリリースしてきた。
▲ 「Chasing Pirates」
▲ 「Happy Pills」
また、ソロ作とは別に、カントリーに特化したバンド、リトル・ウィリーズを結成。ウィリー・ネルソンからエルヴィス・プレスリーまでをレパートリーに、ジャジーなイメージとはまた違う彼女の魅力をアピール。『リトル・ウィリーズ / The Little Willies』(2006年)と『フォー・ザ・グッド・タイムス / For The Good Times』(2012年)という2枚のアルバムを発表している。加えて、サーシャ・ドブソン、キャサリン・ポッパーとともにプスンブーツというガールズ・バンドでも活動。こちらも、カントリーやルーツ・ミュージックに影響を受けた音楽性を押し出している。
他にも、ロバート・グラスパーやキース・リチャーズ、グリーン・デイのビリー・ジョーなど、ジャンルを超えた共演も数多く、それはそのまま彼女の音楽の間口の広さや豊かさを現しているといえるだろう。また、音楽活動以外にも、ウォン・カーウァイ監督による映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』の主演を務め、可憐な演技を見せるなど女優としての魅力もアピール。近年は2度の出産も経験し、母としての役割も増えることとなった。
▲ 「Jolene」The Little Willies
▲ 「Kentucky」 Billie Joe Armstrong & Norah Jones
そして2016年の秋には、待望の新作『デイ・ブレイクス / Day Breaks』を発表。デビュー作以来、14年ぶりにピアノをメインにしたということもあり、原点回帰という言葉が似合う作品に仕上がっている。ジャジーでスモーキーな雰囲気を保ちながら、これまでに培ってきた様々なジャンルの要素を楽曲ごとに展開。ウェイン・ショーターのソプラノ・サックスを配したホレス・シルヴァーの名曲「Peace」のカヴァーがあったり、躍動感溢れるピアノ・ロック的な「Flipside」のような彼女のロック・サイドとでもいうべきナンバーも含めバラエティに富みつつも、あの穏やかで落ち着いたヴォーカルは変わらず心に響いてくる。まさに、彼女の第2章のスタートとでもいうべき傑作といえるだろう。
すでにスタートしているワールド・ツアーでは、デビュー作から最新作までを網羅するセットを予定しているというから、ファンには嬉しい限りだ。また、今回のツアーでは、ギターのジェイソン・ロバーツやドラムスのグレッグ・ヴィーチョレックなどを含む気心知れたメンバーも参加し、ノラの魅力が存分に引き出されることは間違いない。ジャパン・ツアーのスタートはもう間もなく。ぜひ、ノラ・ジョーンズという稀有な歌い手のパフォーマンスを、その目で実際に確かめてもらいたい。
▲ 「Carry On」
▲ 「It’s a Wonderful Time for Love」(Live from Jimmy Kimmel Live)
公演情報
NORAH JONES
JAPAN TOUR 2017
サポートアクト(第1部):Aloysius 3
2017年4月9日 (日) 仙台・ゼビオアリーナ仙台
2017年4月11日 (火) 札幌・ニトリ文化ホール
2017年4月13日 (木) 東京・日本武道館
2017年4月14日 (金) 東京・日本武道館
2017年4月15日 (土) 東京・日本武道館
2017年4月17日 (月) 大阪・大阪城ホール
2017年4月18日 (火) 福岡・サンパレス
2017年4月19日 (水) 広島・広島文化学園HBGホール
2017年4月21日 (金) 名古屋・センチュリーホール
INFO: http://udo.jp/concert/NorahJones
関連リンク
Text: 栗本斉
関連商品