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SuG 10周年記念ベストアルバム『MIXTAPE』インタビュー
「SuGとは何か?」っていうところまで深く潜るところから始めてる
バンドの命運を握る9/2日本武道館ワンマンに向けて一気に加速していくSuGが、10周年を総括するベストアルバム『MIXTAPE』をリリース。これを記念して今回のインタビューでは、ンバー全員揃い踏みで過去も今も未来も全部語ってもらった。希望と不安の両方を抱えながら、けれども5人揃ったら天井知らずに明るくバカ騒ぎできるフレンドリーさも感じさせながら、運命の日へ立ち向かっていく彼らの今。ぜひ感じ取ってもらいたい。
最終的にはあんまり働かないで生きていける……それがバンドとしての成功?
--2016年12月30日【SuG VersuS 2016 EXTRA FINAL「COUNTDOWN」】@東京・豊洲PITにて「ずっと逃げてきた挑戦に、今こそ立ち向かいたいと思います。2017年9月2日、日本武道館! 10年のすべてをもって挑みたいと思います」と発表(http://bit.ly/2mewatS)。あれからどんな日々を過ごしていたんでしょう?
武瑠(vo):1回、めちゃめちゃ休みました。年末年始はしっかり休んだかな。 masato(g):それまでツアーでガッツリ動いていたので。
▲左から:masato/shinpei/武瑠
/yuji/Chiyu
一同:(笑)
--いつでも開いてる磯丸水産(笑)。
yuji:磯丸行って、ボーリングして…… Chiyu(b):学生やん! yuji:ホルモン屋行って、チャリで帰りました。 shinpei:有意義な大学生ライフ(笑)。--そんな束の間の休息を経て勝負の10周年へ。まずSuGの10周年を総括するベストアルバム『MIXTAPE』がリリースされる訳ですけど、この10年間を楽曲やMVで振り返ってみたときにどんな感慨を持たれました?
武瑠:本当に必死にやってきたなって。もちろん成長も見えるんですけど……みんなが感じることだと思うし、それがあたりまえの軌跡だとも思うんですけど、振り返ると「もうちょっとこれ出来たな」と思うんですよ。だけど、完全に嘘偽りなく、そのときそのときに出来ることに対して妥協なくやってきた。ということだけはちゃんと見えるなって。--そんな10周年記念ベストアルバム発売タイミングということで、ベタな質問をさせて頂きたいのですが、SuGを10年間継続できたことにはどんな感慨を持たれていますか?
yuji:たまたまと言えばたまたま。 Chiyu:ロシアンルーレットやってて、まだ弾が出てきてないような感覚なんで。 masato:「まだ続くんだ?」みたいな。 yuji:「次で終わっちゃうかもな……おー!続いた!」っていう。--では、ずっと危機感と隣り合わせだった10年間という感覚?
yuji:最初からずっとそんな感じですね。 masato:このバンドは、初ライブの時点でベースが辞めるって決まっていたんですよ。メンバーが抜けると分かっていた。そういう意味では、いつ終わってもおかしくない状態でスタートしてるんで(笑)。--このバンドに安定期ってあったんですか?
武瑠:…………ほとんどない。 shinpei:多分ないよね。 yuji:本当に爆発的に売れちゃったりしないと、安定はないんじゃないですかね。 masato:安心したことがない。ライブもそうだし、リリースするのもそうだし。 yuji:ファンクラブ限定ライブでさえも……そういうライブって普通は盛り上がることを前提とするから安心できるじゃないですか。でもSuGはそこがもう心配ですからね! masato:下手したらいちばん盛り上がらない(笑)。 yuji:そこでさえも安心させてくれない! 武瑠:逆にファンが安心して観ちゃうからかもしれない。なので、安定期はなかったですね。活動休止前(2012年12月29日 国立代々木競技場第二体育館で行われた【SuG Oneman Show 2012「This iz 0」】(http://bit.ly/1ewvmDW)まで)は、ライブは今より少なかったんですけど、とにかくリリースペースが早くて、撮影とかも含めて制作に追われていて、ディレクションもほぼ自分でやっていたので、今思うとその数が異常だったんですよ。だから空いた時間はすべて吸収にしか使っちゃいけないと思ってましたね。活休が決まった後は、リリースが止まるから初めてスケジュールに余裕が出来て、そこで英語の勉強とかして…… yuji:その時期、レンタルビデオ屋のホラー全部観たもん。--今後の活動の為に?
一同:(笑)
yuji:それぐらい急にスケジュールが空いたんですよ! masato:でもそのあと稲川淳二さんと【SuGフェス】(http://bit.ly/1upzqkl)やったからね。--伏線になってたんですね。
yuji:それが繋がったのかどうかは分からないですけど(笑)。 武瑠:なので、活休が決まる前は人道的なこととか倫理とか全てを捨ててた気がします。すべてがクリエイションに繋がればOKっていう感覚で、本当にその一点しか考えてなかったからプライベートはめちゃくちゃだったと思う。で、活休から復活したときにクリエイションの裏にいる人たちの存在を知って、バンドとか表現の裏で働いてくれていた人の存在を知って、会社の仕組みとかも分かるようになって、そこに大きく関わるようになって、逆に知りすぎてどんどんがんじがらめになってきて、クリエイション的にはすごく不自由になったなって思って。今でもそれが正解だったか不正解だったか分かってないんですけど……--具体的に言うと?
武瑠:やっぱり人を知れば知るほどその人の正解があることが分かる。その人を知らなければ、自分がやりたいことに対して足枷と感じた時点で純度100%で嫌いになれたのに、例えばその人には家族がいて、子供を育てている。そういうことを知ってしまうと、100%嫌いになれないし、どんどん悩むようになってくる。人間的な優しさとかとクリエイションのバランスみたいなものは明らかに取りづらくなる。でも多分そこから生まれてくるものもあるだろうし、シフトしていくものなのかなと思いながら、その場その場で悩みながら必死に生み出してきたからこそ、復活してから3年は、わりとクリエイションに特化しているものもあれば、ストレートな想いを乗せているものもあるし、そこのバラつきはあるなと思います。--クリエイションは傍若無人というか、自分勝手に出来れば出来るほど理想的。そう考えることも出来ますからね。
武瑠:特に自分はそういうタイプだった気がします。まわりのことなんて何にも考えてなかったから。--今から10年前、SuGはどんなバンドになろうとしていたんでしょう?
yuji:全く考えてなかったです。ざっくりと「将来こうなっていたい」みたいなイメージはあったと思うんですけど……--それは?
yuji:ミスチルみたいな。--本当ですか?
yuji:最終的にはあんまり働かないで生きていける……それがバンドとしての成功だなと思っていて。バンドをしてて何がメリットかって言ったら、売れたらもうあんまり働かなくていいじゃないですか。一同:(笑)
masato:3年に1回アルバム出してツアー廻ったら、また数年休んで? 武瑠:でも俺らも「忙しいな」って思うときはあるけどさ、ほとんどの社会人は朝8時とかに家を出てる訳でしょ? しかも毎日。凄いことだよね。
▲左から:masato/shinpei/武瑠
/yuji/Chiyu
--必ず同じ時間に起きて、同じ時間に出社して、同じ時間に帰って……
masato:同じ時間に起きることないもんな。 武瑠:全くそれをしない10年間だった(笑)。 yuji:でもメジャーデビューするまではやってたよ。朝8時からバイトして、午後はスタジオ入ったり取材受けたりして…… Chiyu:俺は起きれたらバイト行ってた。- 「10位から落ちちゃいけない」プレッシャーがめちゃくちゃあったんです
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
「10位から落ちちゃいけない」プレッシャーがめちゃくちゃあったんです
--バイトなのにフレックス(笑)。でもいわゆるルーティンの中にいたらSuGみたいなバンドも音楽も生まれてなかったんじゃないですか?
武瑠:でも高校生の頃はルーティンの中に居たからこそ鬱屈したものがあって、そこで描けるものがあったから、相当エネルギーになっていたとは思います。だから今でもたまに「バイトしたいな」って思いますもん。ちょっと関係ないところに身を寄せることで、そこで生まれるものは相当あると思うんで。やっぱり10年間ひたすら刺激を浴び続けていて、海外行ったりもそうですけど、普通じゃないことばかりしてきたので、逆に普通に生活していたほうが新鮮さはあると思うんですよ。買い物とか行くだけで新鮮だなと思いますもん。ただ、この前、渋谷のドンキに久々に行ったんですけど、VRが気になって店員に置いてあるか聞いたら「それはファミコン系ですか?」って聞かれたんですよ。ファミコン系と言われればファミコン系だけど……一同:(笑)
武瑠:ボードゲームよりはファミコン系だなと思って「ファミコン系です」って答えたら、「ファミコンはないんですけど、互換機なら3Fにあります」って。あ、ガチでファミコンの話になったと思って(笑)。「そうじゃなくて、DSとかVRとか最近のやつが買いたいんです」って言ったら「DSって何ですか?」 yuji:えぇーっ!? 武瑠:渋谷のドンキと言ったらトップ・オブ・ドン・キホーテじゃん。そこにそいつ持ってくるんだと思って。 shinpei:ドンキの人って大体のこと分かってるけどね。 武瑠:だよね。「DSって何ですか?」っていう奴がさ、ドンキで働いてるって面白いなと思って。--というか、たまたまドンキ行ってその店員に命中するのが凄い(笑)。
武瑠:たしかに(笑)。でも俺、そういうのに命中しがちなんですよ! 昔から変な奴にばっかり命中する。 masato:そういう奴を引き寄せる体質とかなかなかないよ。--日常を求めても日常にならない(笑)。
yuji:not日常になってしまう。--そういう星のもとに生きてるんですよ。
武瑠:そうかもしれない。変な奴をつれてきちゃう。--この10年間のSuGの活動の中で、最も幸福感を感じた出来事を教えてください。
yuji:俺は活休に入った瞬間。 武瑠:あれは貯金だからね。6年頑張ったから、あそこで1年休めたんだよ。 yuji:次のスケジュールが何も決まってない幸福感! 多幸感に包まれたよ。 武瑠:なんでカイジ風に言うんだよ(笑)。 masato:圧倒的多幸感(笑)! shinpei:最初の1ヶ月ぐらい、一緒に遊びに行ったりしてたもんね。 武瑠:それまでは「10位から落ちちゃいけない」プレッシャーがめちゃくちゃあったんですよ! 活休する前、何作か連続でTOP10に実際入ってるんですけど、そこから落ちちゃいけないってずっと言われてて。それで「施策どうする?」って考えたりするんですけど、永遠にそれとの戦いだったので、そこからの解放感はヤバかったですよ。数字を見なくていいんだもん。 shinpei:リリースペースがめっちゃ早かったからね。3ヶ月に1回それがやってきて。 武瑠:永遠に中間テストみたいな感じだったから。 shinpei:しかも次の作品の制作が、ひとつ前のインストアとかやっているときに始まったりして…… 武瑠:そこから初めて解放されたら、肌がボロボロだったのに治りましたもん。 Chiyu:一時、本当に肌ボロボロやったもんな。 武瑠:活休中にニューヨークに行ったんですけど、アメリカ行ったら肌が荒れる説あるじゃないですか。でも俺は全部治って! ビックリするぐらいキレイになった(笑)。--では、活休期間中が圧倒的多幸感だったと……
yuji:まーたん、まだなんかあるでしょ? masato:何を言わせようとしてんの(笑)? yuji:いや、まーたんだけは違う幸福感を持ってそうだから! Chiyu:SM的な? masato:SM的なのはないよ。一同:(笑)
masato:バンドをやって海外に行けたというのは、自分の中で嬉しかったです。しかもいろんな国へ行けたんで。元々はそんなに興味なかったですけど、やっぱり行くとそこにいろんな文化があって、日本が如何に恵まれているかも分かりますし。 yuji:だんだん海外のご飯が旨くなってくるんですよ。特にタイ。 武瑠:タイの伸び率は半端ない。 yuji:最初は本当に酷かったんですよ。何にも旨いものがなかったのに、今はどこに行っても大体旨いッスからね。 武瑠:伊達に経済成長してない。 masato:その分、値段も全体的に上がってるんですけど。 yuji:そういう進んでいる国というのは、変化が目まぐるしいなと思って。この7年ぐらいでめちゃくちゃ進化してる……って何の話してるんだ(笑)? shinpei:いや、食事はモチベーションに直結するからね。--大事ですよね。旨いものがひとつもない国でライブし続けるのはキツいでしょうから。
masato:yujiさん、泣いてたもんね。 yuji:1日で泣いてました! shinpei:凄い頑張ってライブやって、でもその後の飯がね。 yuji:八角が本当にイヤだったんですけど、3食連続で八角が入ってたんです。「八角入ってないやつください」ってお願いしても絶対入ってるんですよ! ホテルの部屋で弁当渡されて、それ食おうかなと思って開けたらまた八角で(笑)。それで泣いて、ベビースターラーメンをお湯でふやかして食べました。「八角の味がしない!」って。--Chiyuさんは?
Chiyu:ボーナスが入ったとき。シンプルに嬉しかったんですけど、事務所に金借りまくってたから結構引かれて(笑)。 shinpei:切ない! 武瑠:でも初めてのボーナスはたしかにみんな一丸となって喜んでた。 masato:メジャーデビューしてる感じがちゃんとしましたよ。 yuji:メジャーデビューして一発目は泣いたけどね。「俺ら、本当にこんなことやってていいのか」みたいな。 武瑠:俺が「dot.0」で計算したんですよ。印税を時給換算したら80円だった。一同:(笑)
武瑠:でもそれは俺らが印税の仕組みを分かってなかっただけで、分かれて入ってくることを知らなかったんです。最初にちょっと入ってきたやつが全てだと思ってたから「クソだな」と思って。 masato:あのとき「夢ねぇな」と思ったもん。 武瑠:心を切り刻んで作ったものが80円だった(笑)。 yuji:本当にタイミング悪くて、その時期にアルバム『gr8 story』のセールスが1万枚超えてたから「そろそろ車買ったでしょ?」って言われて、「え、そんなに周りの奴らはもらってんの!?」って(笑)。--ちなみに、幸福感の話が“休み”と“金”なんですけど。
武瑠:ヤバい! yuji:クソだな(笑)! 武瑠:俺は振り返るとPVが完成したときが一番かな。やっぱり最初から最後まで携われるんで、編集まで終わるのが大体朝なんですけど、終わったときの幸福感は凄い。リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
とにかくSuGのプラスになるなら余計なプライドは捨てていった
--では、逆に、この10年間で最も絶望感を感じた瞬間は?
Chiyu:事務所との契約の日に遅刻したとき(笑)。 masato:あれは絶望だった! Chiyu:もうバンド解散やと思った! masato:あの当時、PS COMPANYにA9(Alice Nine/アリス九號.)が入ってから2年半ぐらい期間が空いてて、だから「俺ら、そんなところに入れるんだ?」みたいな感じで「よろしくお願いします!」って二つ返事で入ることを決めて。それで契約する日に前のドラムのMITSURUが遅刻してきて「あー、なかったことになるんだろうな……」って。近くの公園でみんなでしょんぼりしてたんですよ(笑)。 Chiyu:そしたら前の会議が押してて助かったんですけど。 masato:本当に奇跡だよね。--遅刻で解散危機ってヤバイですね(笑)。武瑠くんは何かありますか?
武瑠:すごくボヤかして話しますけど、すごく長期間計画でやっていたものが、いわゆる大人の業界ルールとかそういうつまらないアレで、全部白紙になったとき。あれは凄い絶望感がありましたね。本当に誰も傷つけないように言ってますけど(笑)、やっぱりそういうドラマみたいなことがある世界なんだなとは思いました。自分のプライドとかの為に足を引っ張る人がいるんだなって……人生としては、それがいちばん人の負のエネルギーを感じたかもしれない。 yuji:「本当にあるんだ?」って思ったよね。 武瑠:うん。やっぱりみんながみんなで応援してくれる人じゃないから、人生の中でアレは貴重な経験にしたいなって裏返していかないと、ただの本当にムカつくことにしかならないので。だからこそ「見返してやりたい」って意地を張り続けられた部分はあると思う。--各メンバーそれぞれこの10年間でどんな変化や進化を遂げたと感じるか、自分以外のメンバーに語ってもらいたいのですが……まずまーたん。
yuji:まーたんはよくキレてたね。 Chiyu:いちばん尖ってた。--今はいちばん温厚なイメージですけどね。
masato:スタートがいちばん尖ってた。バンドを組んだことがない状態から始めてるから、理想ばっか。現実を知ったことがないから。 yuji:当時は「正しい事は正しい、正しくない事は正しくない」がまだ通用すると思ってるからね。 masato:「そういうもんなんだ」って思ってた。だから雑誌とかテレビとかで観ているものが大正解だと思い込んでるから、その通りにならないとキレる。--そこからどうやって今のまーたんになったんですか?
masato:現実を知った。 yuji:でも本当にそれはあるよね。「そうか、そういうものか」って。自分を殺さないと生きていけないよね。俺たちヒラ社員なんか(笑)。 masato:でも自分がそういう経験をすることによって、みんなおそらく同じことを大なり小なり経験してるんだろうなって思うから「あの人たちはやっぱり凄いパワーなんだな」って納得させられたりするんです。
▲左から:masato/shinpei/武瑠
/yuji/Chiyu
--グラサンかけてたんですか?
masato:理想ですよ、理想(笑)。 Chiyu:まーたん=グラサンでしたよ。 masato:夜でもグラサン。 武瑠:あと、自分に合うサイジングをすごく知ったなって思います。昔はいつもサイズが合ってない服着てたんですけど、ある時期から急に…… yuji:サイズが合う服を着るようになった。 武瑠:そういうところはすごく洗練されたんだなって。 masato:メンバーのどこが変わったかの話で「サイズが合うようになった」なんて聞いたことないよ!一同:(笑)
--続いて、yujiさん。
武瑠:曲作りの伸びしろで言ったらいちばん成長してますよね。だって、いちばん最初は曲作らなかったんだもん。でも音楽の趣味的に……今でも覚えてるんですけど、バンドメンバーを探していた頃、yujiは挙げるアーティストのセンスが良くて。で、当時の俺は無知だから「良い音楽を聴く人は良い音楽を作る」っていうヴィジョンにしか辿り着けなかったんです。他に何の判断基準も持ってないから。でもその界隈にいる他の奴に話聞いても「それ、DIR EN GREYになりたいだけじゃん」みたいな感じだったから、それでyujiとバンドをやり始めるんですけど、曲を作り始めたら本当にどんどん良い曲を作るようになって、そこにさらにテクノロジーを身についていく訳ですよ。 yuji:猿が火をつけられるようになった(笑)。 masato:macを買ったことによって(笑)。 武瑠:そういう進化を遂げていって、SE的なちょっと特殊な音色とかも使い始めて、その音像みたなものは多分バンドをやっているだけでは出せないものなんですよ。で、今流行っている音楽もしっかり聴いていることは音を聴けば分かるし。--自分からするとそこは自然と進化していった感覚なんですか?
yuji:そもそも飽き性だし、ミーハーなんで、聴いている音楽や好きな音楽がどんどん入れ替わっていくんですよ。だからいろんなことが出来るようになったんですかね。マイブームが変わるからいろんな曲が作れるようになる。--では、yujiさんのマイブームによってSuGの音楽性が変わることもある?
yuji:あるっちゃあると思います。--続いて、Chiyuさん。
yuji:関西人からエセ関西人になった。 shinpei:東京に染まってきた(笑)。 武瑠:そして極道の道へ。一同:(笑)
shinpei:リズム隊としてはすごく明確に技術を身につけていったなって。特に活休明けから。俺がSuGに入ったときのイメージって、みんなめちゃくちゃ演奏が走ってるし、とにかく前へ前へって感じだったんですけど、そういう意味で彼は分かりやすく進化していったなと思います。 Chiyu:SuGやりながらどんどんどんどん要らないプライドを捨てていこうと思って。いちばん最初は「4弦ベースしかやりたくない」って言っていたんですけど、でも5弦の曲ばっかり書いてくるようになったから「分かった。じゃあ、5弦もやる!」となり、5弦ベースを持ってないから4弦ベースに5、4、3、2で張って弾いたり。「ベースは絶対に下がいい」と思っていたけど、今は上でやってるし、とにかくSuGのプラスになるなら余計なプライドは捨てていっていて。 武瑠:サックスも吹くようになったし。 Chiyu:あれは衝動買いでもあるけど(笑)、ベース以外のことも出来るようになりたいなと思って試みたり、そしたらyujiさんがサックスソロのある曲を作ってくれたりして、それを活かす場も与えてもらえて、それはそれでプラスかなと思ったり。--では、結果的に出来ることがどんどん増えていった?
yuji:猿が火をつけられるように……--なんでみんな猿前提なんですか?
yuji:みんな最初は猿みてぇなもん! ひでぇもんだった(笑)!リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
この無謀という挑戦に走っていく。その現象の中で何を伝えられるのか?
--続いて、shinpeiさん。
yuji:髪長かったなー。 shinpei:コテコテのヴィジュアル系だったんで(笑)。 yuji:でも入ってきた時点で完成されていましたよね。 masato:火を起こせる状態から入ってきた!一同:(笑)
武瑠:だから加入当時からそんなに変わった印象はないかも。 Chiyu:強いて言えば、当時より好き嫌いはちょっとずつ減らしてる感はある。 masato:たしかに。今まで見た偏食家の中でいちばん偏食が凄かったから。 shinpei:野菜系、全部ダメなんで。 masato:年取ればちょっとずつ食えたりすると思うんですけど、それが全然ない。 shinpei:だからどこか飯行くのにもすごく気遣っちゃうんです。俺がいることで店の選択肢が狭まるのはイヤだから何も言わないようにしてるし、だから頑張って食べるときもあるんですよ。でも海外はキツい。ま、肉は好きなんで、肉があれば何とかなるんですけど。 masato:困ったときはマック行けばいいし。 shinpei:マックですらキツいところもあるけどね。--マックですらマズいの?
masato:八角バーガー出すところがあるんですよ。--出た、八角(笑)。
yuji:なぜ俺らが海外でマックを頼むのか! masato:っていう話なんですけど、わざわざ現地のマックにしかない八角バーガーを気を利かせて買ってきてくれたんですよ(笑) shinpei:まぁそんな感じなんで、俺はそんなに変わってないかな。音楽的にもいろんなジャンルの基礎的な部分は学んでから入ってきてるんで、それがSuGにハマるだろうなとも思っていたし、活かしてくれるだろうなとも思っていたので。ただ、撮影とかは馴れてないから大変でしたね。 武瑠:PVの撮影で衣装を忘れてきたことがすごく印象に残ってる(笑)。俺の手作りのヘッドフォンを忘れてきたんですよ。 Chiyu:加入祝いで作ったやつな。 武瑠:いろいろ考えたんですよ。途中加入だとやりづらいと思うし、ファンからの目線も最初は厳しいだろうから、手作りの何かをプレゼントすれば俺らの関係性が見えやすいかなと思って。 shinpei:それを忘れてしまった(笑)。 yuji:たしかに忘れ物が多かった。でも武瑠も多かったよね? 武瑠:今思うと、忘れ物をしたというか、考え事をしていたんだと思う。いつでも絶対に次のアイデアを探してなきゃいけなかったから、永遠に考え事してて…… yuji:それで取材中にアイデアが思いついて「ちょっとすみません」みたいな(笑)。 武瑠:常にそういう状態だったんだと思います。だから今は忘れ物しないもん。--では、その武瑠くんはどんな風に変わっていったと思いますか?
yuji:昔のほうが叫んでたね。 武瑠:ライブで? yuji:いや、なんか突然。 masato:奇行が多かった(笑)。 yuji:ツアーとか廻ってると一緒にホテル泊まるじゃないですか。それで寝てたら隣で急にパッと目を見開いて、枕をボン!ボン!ボン!って殴りだすんですよ。「おまえ、どうした?」って言ったら「アイツの分だ!」とか言い出して。
▲左から:masato/shinpei/武瑠
/yuji/Chiyu
--「クリリンの分!」的な(笑)。
yuji:でもそれを次の日に言っても「いや、覚えてない」って。 武瑠:枕に謝ってたんでしょ? yuji:あ、そうだ。殴った後に「ごめん」って枕に謝って寝たんですよ。 武瑠:昔は奇行が多かったんですよ(笑)。でもバンドをやることで最低限の責任感が出てきたというか、何か不祥事を起こしたらその場所が奪われてしまう。というところでだんだんそういうことを意識し出して、奇行も減っていったんだと思います。 Chiyu:その分、溜めて溜めて奥歯を割るようになったのかもしれない。 yuji:その分、噛み締めてるわけ?--え、奥歯割ってるんですか?
武瑠:俺、奥歯、何回も割れてるんですよ。ストレスで10本ぐらい割ってる。起きたら歯が欠けてることが多くて。まぁでもそれだけ大人になったというか、相手のことを考えるようになったんだと思う。殺したいぐらいムカついても相手の正義を考えると素直にキレられない。というので、昔より自分に負荷はかかるようになってるとは思う。--そんな5人が様々な変化を遂げていく中でSuGは10周年を迎えました。そして初の日本武道館へ挑みます。そこで終わるのか、そこから先へ進めるのかの大勝負であると伺っていますが、この状況にはそれぞれどんな気持ちでいますか?
masato:厳しい状況であることは間違いないと思ってます。武道館に王手の状態から武道館をやるんじゃなくて、完全に離れたところから階段飛ばしで武道館へ強制王手をしている状態。なので、このまま9月2日を待っていたら絶対にダメでしょうね。だからひとりでも多く「SuGの武道館に来たい」と思わせるライブをしていかなきゃいけないと思うし、自分たちがどんなバンドなのかをもっと知ってもらえるよう動かなきゃいけない。 shinpei:武道館に今の俺たちが挑戦するというのは、本当にこれで終わってしまうかもしれないぐらいの挑戦だと思っていて。でもそれを言いまくってもファンからすると「脅すんじゃねぇよ」ってなるだろうし、いわゆる「武道館が埋まらなかったら辞めます」みたいな炎上方法がしたい訳でもないし。でも何かしら方法を見つけて成功させなきゃいけないのは間違いないし、本当に人生最大の挑戦だと思ってます。 yuji:SuGの場合は段階があったというか。まず「俺らは武道館目指します」と目指すようになって、去年のEX THEATER ROPPONGIで「やります、日本武道館!」と伝えて、その年末で「2017年9月2日、日本武道館!」と発表。なので、ずっと意識の中に武道館はあったんですよね。だから「やっと」というか「いよいよ来たな」っていう感じですね。意外と冷静と言えば冷静かも。今はやれることを見つけていって、それをひとつひとつやっていくしかないと思ってます。 Chiyu:目標には掲げていたので、それが決定して発表した以上はもうそこに向けて突っ走っていくだけというか…… yuji:Chiyuが舎弟つれてきてくれれば、一発で上手くいくんだけどね。--Chiyuさん、どれだけ舎弟いるんですか?
Chiyu:半分は埋めれる。一同:(笑)
--5000人ぐらいいるってことですね。
武瑠:これまでにも使えよ(笑)。 Chiyu:でも実際に「武道館やる」って発表した後に「さすがに観に行くわ!」と言ってくれた地元の連中も多いし、ファンの人もいろんな遠方から時間を裂いて会いに来てくれると思うので、最高の時間を作れるエンターテイナーとして頑張りたいと思ってます。--どんな日本武道館ワンマンにしたいと思っているのか、そこのヴィジョンは固まり出してはいるんですか?
武瑠:普通のワンマンとは違うんで「SuGとは何か?」っていうところまで深く潜るところから始めてるのと、日本武道館までにやる仕掛けとかもあるんで、それを通してまた出てくるヴィジョンもあると思うので、現時点ではまだ何とも言えないです。根底にあるものと何を表現したいのか、やっぱり今までのことをもう一回見直して、過剰演出していた時期とストレートにライブをしていた時期とどっちがSuGらしいのか? SuGの黄金期はどこなのか? そういうことも見直していかなきゃいけないし、武道館に対して向かっていく中で何を見つけられるか次第なんだろうなって。この無謀という挑戦に走っていく。その現象の中で何を伝えられるのか。それによっても見え方は変わってくると思うんで、あんまり焦って決めたくはないなと思ってます。Interviewer:平賀哲雄
Photo:Jumpei Yamada
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
MIXTAPE
2017/03/08 RELEASE
PCCA-4513 ¥ 3,972(税込)
Disc01
- 01.gr8 story
- 02.R.P.G.~Rockin’ Playing Game
- 03.不完全 Beautyfool Days
- 04.MISSING
- 05.KILL KILL
- 06.sweeToxic
- 07.Vi-Vi-Vi -Rebirth ver.-
- 08.桜雨
- 09.無条件幸福論 -Rebirth ver.-
- 10.teenAge dream
- 11.☆ギミギミ☆
- 12.SICK’S
- 13.mad$hip
- 14.Howling Magic
- 15.LOVE SCREAM PARTY -Rebirth ver.-
- 16.小悪魔 Sparkling
- 17.CRY OUT
- 18.Smells Like Virgin Spirit
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