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追悼: 2016年に亡くなった音楽家たち
2016年は例年になく、大物アーティストが鬼籍に入った年だった。ここでは主なアーティストをピックアップし、冥福を祈りたいと思う。
[現地時間1月8日死去・享年73歳]
シカゴ・ソウルを代表するベテラン・シンガーのオーティス・クレイ。70年代頭にはハイ・レコードから数々のヒットを飛ばし、ゴスペル出身ならではの深みのある歌声で人々を魅了した。
[現地時間1月10日死去・享年69歳]
Photo: WireImage
2016年最初の衝撃は“地球に落ちて来た男”の死だった。しばらく引退状態だった2013年に突如カムバックを果たしたかと思えば、生涯No.1と評される遺作『★(ブラックスター)』を完成させた直後に亡くなるという引き際には、誰もが驚き、そして悲しんだ。
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[現地時間1月18日死去・享年67歳]
Photo: WireImage
70年代のウェスト・コーストを代表するバンド、イーグルスの中核をなすグレン・フライ。「テイク・イット・イージー」や「ニュー・キッド・イン・タウン」といった名曲を多数生み出した。ソロとしても「ザ・ヒート・イズ・オン」などヒットを飛ばしている。
[現地時間2月4日死去・享年74歳]
Photo: Hulton Archive
EW&Fの生みの親であり、リード・ヴォーカルからバンドのコンセプトまで自身の美学を徹底してヒットに結びつけることに成功した。ファンクやディスコの時代を盛り上げたひとりといえるだろう。ソロとしてもバラードの名曲「アイ・ニード・ユー」をヒットさせている。晩年は引退状態だった。
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[現地時間3月8日死去・享年90歳]
英国を代表するプロデューサー、アレンジャー。ビートルズのほぼすべてのすべての作品に関わり、彼がいなければビートルズがここまで評価されなかっただろうといわれている。他にも、ジェフ・ベックやエルトン・ジョンなど英国らしいロック作品を多数手がけた。
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[現地時間3月10日死去・享年71歳]
プログレッシヴ・ロックの代表的なグループ、EL&Pの看板的存在であり、ムーグ・シンセサイザーを世界中に知らしめたひとり。代表作『展覧会の絵』からも分かる通り、クラシックやジャズを取り入れた音楽性は多くのミュージシャンに影響を与えた。
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[現地時間3月22日死去・享年45歳]
Qティップやアリ・シャヒードらとともに結成したア・トライブ・コールド・クエストは、80年代のヒップホップ・シーンにおける最重要グループのひとつ。彼のクールなMCは解散後も根強いファンがいた。
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[現地時間4月21日死去・享年57歳]
Photo: Michael Ochs Archives
デヴィッド・ボウイと同じく、ジャンルを超えて多大な影響を与えたポップ・カルチャーのビッグ・スター。サントラでもある代表作『パープル・レイン』で大ブレイクした後、とにかく膨大な数の作品を発表し続けた。ここ数年も精力的にリリースやライヴ活動をしていただけあって、非常に悔やまれる。
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[現地時間4月24日死去・享年81歳]
フィラデルフィア・ソウルを代表するシンガーのひとり。独特のセクシーで渋みのある歌唱法は評価が高く、1972年に米ビルボードのソング・チャートで1位を獲得した「ミー・アンド・ミセス・ジョーンズ」はバラードの定番として人気が高い。
[現地時間6月10日死去・享年22歳]
Photo: FilmMagic
オーディション番組で注目され、YouTubeの動画の閲覧数でも記録的な人気を誇ったシンガー。メジャー・デビューしていよいよという時に、熱狂的なファンによって銃撃され、非業の死を遂げた。
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[現地時間6月24日死去・享年72歳]
ジョージ・クリントン率いるパーラメントやファンカデリックにおける重要人物。彼が弾くスペイシーなキーボードの音色は、Pファンクの色彩感を決定付けた。トーキング・ヘッズや吉田美奈子など、数々のセッションにも引っ張りだこで、ソロでもいくつかの作品を残している。
[現地時間8月22日死去・享年94歳]
ベルギー生まれの貴族でありながら、世界中を飛び回っていたハーモニカ奏者の大ベテラン。ビル・エヴァンスやミシェル・ルグランなどジャズ・フィールドでの共演がメインだったが、ビリー・ジョエルやポール・サイモンなどポップ・アーティストとのコラボも多い。
[現地時間10月23日死去・享年57歳]
デッド・オア・アライブのメイン・ヴォーカルとしてデビューし、ハイエナジー・サウンドの牽引者として80年代を彩った。メイクを施した妖麗なルックスに反して、太い低音ヴォイスが特徴。バンド解散後はソロでも活躍した。
[現地時間11月7日死去・享年82歳]
カナダを代表するシンガー・ソングライターで、ボブ・ディランやパティ・スミスなど多くのミュージシャンに影響を与えた詩人兼小説家でもある。とくに代表曲「ハレルヤ」はカヴァーも多い。
[現地時間11月13日死去・享年74歳]
Photo: Redferns
70年代のスワンプ・ロックの代名詞でもあるレオン・ラッセルは、ジョージ・ハリスンやローリング・ストーンズなどからも支持されたミュージシャンズ・ミュージシャンでもある。名バラード「ア・ソング・フォー・ユー」は、カーペンターズなどのカヴァーでも知られている。
[現地時間12月25日死去・享年53歳]
Photo: Redferns
アンドリュー・リッジリーとのデュオ・グループ、ワム!で「ケアレス・ウィスパー」や「ラスト・クリスマス」などの大ヒットを飛ばて80年代を席巻した。ソロに転向してからも「フェイス」などの名曲で、ソウルフルなシンガーとしての評価が高い。チャリティーに熱心だったことでも有名だ。
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[現地時間12月28日死去・享年82歳]
2016年最後の悲しい知らせは、フランスが生んだソングライターであり、名門レーベルであるサラヴァの主宰者でもある音楽家の訃報。映画『男と女』に出演して世界的に有名になり、フレンチ・ボッサの火付け役にもなった。高橋幸宏や加藤和彦といった日本人アーティストとの交流も深く、実娘マイア・バルーもミュ―ジシャンとして活躍している。
I'm really sorry everyone. This is so sad. I feel awful. #RIPCarrieFisher #sgtpepper2016 May the force be with 2017. pic.twitter.com/3HJM8mJPVQ
— christhebarker (@christhebarker) December 27, 2016
Text: 栗本斉
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