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熊木杏里『飾りのない明日』インタビュー
「奇跡を夢見るほど 子供じゃないことくらい分かってる 惨めなくらい私はもう 現実にいるけど……望むことがある以上、この席を空ける訳にはいかないんだ」たまに自分のナレーションが聞こえてくる、「ひとつの時代が終わった」「次の時代に到来するだろう」って―――。熊木杏里、表現者として新たなフェーズへ。
01.溢れ出ちゃった。ちょっと半分泣いてたかもしれない。
--熊木杏里の音楽にはよく泣かされてきたのですが、今回のアルバム『飾りのない明日』は凄いですね。インストアライブで聴いても堪え切れませんでした。ショッピングモールであそこまでの緊張感漂わせるアーティスト、いませんよ?
「飾りのない明日」/ 熊木杏里(Promotion Video)
--買い物に来てるお客さんたちの前で「惨めなくらい私はもう 現実にいるけれど」って歌ってましたからね(笑)。
熊木杏里:でもインストアライブにあんなにひとりで挑んだ事がなかったんで、新鮮でしたよ。第一部と二部で曲を変えて弾き語る形も初めてで、かつ季節やその場のお客さんのニーズに合った曲も何曲か用意しておく。「今日はこれとこれをやろうか」みたいな。そういうちょっとプロっぽいことをですね……(笑)。でも自分ひとりでも結構いろいろ出来るんだなと思ったし、ひとりだからこそ緊張感もあったんだと思う。--僕はテラスモール湘南でのライブを見させてもらったんですけど、新作からは2曲披露。まず「夏の日」で目頭が熱くなりました。
熊木杏里:本当ですか?--「君を幸せにできないぼくだよ それでも生きていかなくちゃいけないなんて」……本来、既婚者で一児の母が書けるフレーズじゃない。
熊木杏里:フフフフ!--あれはいつかの夏の日を歌ってるんですか?
熊木杏里:そうです。わりと遠い思い出を思い出して、そんなに至近距離じゃない、ドロドロしていない、離れて眺めているような……だけど思い出的にはこういう想いだったなって。逆に離れたからこそ、凄くリアルにスルスル書けたのかなって思います。「君を幸せにできないぼくだよ それでも生きていかなくちゃいけないなんて」っていうフレーズは、思いもよらない感じで出てきたんですけど、みんな一度は思うこと、誰もが通る道だし、そういう曲も歌いたかったんですよね。お母さんになったからと言って、お母さんらしい曲をたくさん出す必要もないし、もちろん「子供に対しての想いを歌おう」と思って作った曲もあるんですけど、でも「夏の日」みたいな曲があってもバランス的にも全然悪くない。9枚目のアルバムとして成り立つものにしたかったんで、バリエーションも多くしたかったし、前作『生きているがゆえ』には出来なかったことを今回ちゃんと出来たかなって。--前作『生きているがゆえ』はジャケットも白黒でしたし、カラフルというよりはひとつのトーンの中でのバリエーションを追求してましたけど、今回はポップスアルバムとも言えるぐらいカラフル。
熊木杏里:そうですよね。「夏の日」とかはピアノの弾き語りで歌っていただけの曲だったから、ファンの人もある程度はそのイメージで知っていたと思うんですけど、それがちゃんとアレンジされたときに、ラブソングなんだけど、ちょっとポップスというか。で、言葉がいっぱい乗ってて、あんまりない感じの雰囲気になったかなって。そういう意味でも大事な曲ではある。--あと、ダイレクトに突き刺さる言葉、それに対してベストの声とメロディーで響かせる熊木杏里の凄みを感じました。特に今作の表題曲「飾りのない明日」。「奇跡を夢見るほど 子供じゃないことくらい分かってる 惨めなくらい私はもう 現実にいるけど……望むことがある以上、この席を空ける訳にはいかないんだ」これは熊木杏里の今の想いを話してる?
熊木杏里:そうです、一番話してるのがこの曲。自分のことでしかないんですけど……--でも僕も自分の歌でしかないと思いましたよ。
熊木杏里:(笑)--「奇跡を夢見るほど 子供じゃないことくらい分かってる」これが分かってる年代の人なら誰でもそう思うんじゃないかと。
熊木杏里:だとしたら嬉しいんですけど、本当に自分の想いをそのまま綴ってて。「こうなったらいいな」なんて人頼みで何かを願っていられるほど、能天気な子供っぽい自分ではもうない。かと言って、すべてにおいて「そうなんだ、これが自分なんだ」みたいに納得する訳にもいかない。そんな風にまだ完成された大人でもないから……っていう、本当にただそのまま出てきた言葉。そのまま出てきたんですよ。でも想いも伴って、メロディーも伴ってここまで正直に出てきたことが久々だったから「出来た!」って思った。「久しぶりにこういう曲が出来た!」って。ラブソング以外で自分も手応えのある、熊木杏里っぽい曲が出来たなって思いました。--作ったというよりは、溢れ出ちゃった?
熊木杏里:溢れ出ちゃった。ちょっと半分泣いてたかもしれない。半泣き。「この席を空ける訳にはいかないんだ」なんて恥ずかしくって前は多分言えなかったと思うんだけど、今はなんか……言える。それこそがもしかして歌なのかも? 正直で、ちょっとみっともないけど、その中にちょっとした決意じゃないけど、「だから自分はこう想っていきたいんだ!」っていうすごく明確な答えが自ずと出てくる。--「惨めなくらい私はもう 現実にいるけれど」というフレーズは、実際どんなときに感じたりします?
熊木杏里:みんなの前で歌っている自分と、逆にショッピングモールで買い物をしている自分、私はその両方が経験できる。発信する側であり、イチお母さんとして世の中に暮らしている人間でもあるんですけど……やっぱり出来ることならずっと歌っている側に居たい気もする。でも子供と過ごしていたりすると「これが今の自分の姿なんだよなぁ……」って。それを思っちゃうと、惨めかなぁって。もしかしたら「惨め」という言葉には全然追いついてないのかもしれないし、もっと「惨め」ってツラいのかもしれないけど、でもなんか……ふと悲しくなってきちゃうときがあるんですよ。--それって子供がいるとか結婚してるとかじゃなくても、おそらく誰もが年齢を重ねていく中で感じるものだと思うんですよ。簡単に言うと、体も老いていくし、「こんなはずじゃなかった」と思うことも増えていくし、若い人を見て「なんか輝いてんなー。俺にもあんな時期あったなー」って思うこともあるし……
熊木杏里:分かります(笑)--そういった、もうどうしようもない、抗えないことを「惨め」に感じる瞬間はたくさんあって、だからこそ「飾りのない明日」は熊木杏里の今の心情を綴った曲でしかないんだけど、自分はショッピングモールで聴いて泣いたんだと思うんですよ。
熊木杏里:そっか。--でもこの曲は、それでも「望むことがある以上、この席を空ける訳にはいかないんだ」って歌うんですよ。これ聴いて泣かない人いるの?
熊木杏里:(笑)リリース情報
飾りのない明日
- 2016/03/16
- 初回限定盤TYPE-A[YCCW-10274]
- 定価:7,020円(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 初回限定盤TYPE-Bの詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤TYPE-Cの詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
Photo:Jumpei Yamada
02.前までとは違う、さらけ出し。スガ シカオさんが言ってたんですよ
--少なくとも「惨めなくらい私はもう 現実にいるけど……望むことがある以上、この席を空ける訳にはいかないんだ」という想いは自分にもあるので……
熊木杏里:あるんですか?--ありますよ。そのうち自分の記事なんて「おじさんが書いてることは分かんないよ」って言われるんだろうなっていう恐怖も当然あるし、だんだん若い奴の作る音楽の良さが分からなくなるし、「アレとアレを足して割ったやつじゃないか」とか思っちゃうし、それに対して怒ってばかりいるし、でもそれに熱狂する若者たちはたくさんいて、「ということは、俺はもうそこにはいないんだ」って気付く訳ですよ(笑)。
熊木杏里:でも平賀さんは現役で活躍してるじゃないですか。年齢と共に平賀さんを好きっていう、違うゾーンが増えていったりするんじゃないですかね?--自分の作品や芸で表に立ってる人ならそれはあると思いますけど、僕の場合はそもそもファンがいないですからね(笑)。記事を褒められることはあっても、当然「○○○についてこう書いてくれたから好き」とか「○○○にこういうインタビューしてくれたから嬉しい」っていう、自分が好きなアーティストを介しての評価だから、それなしに「丸裸の僕を見てください」と言っても誰も見ない(笑)。
熊木杏里:そうかな!?--多少面白がる人はいるかもしれないですけど、そこは立場が違うんで……普通に酒場で呑んでるときみたいな話になってるけど、大丈夫?
一同:(笑)
熊木杏里:でも結構深刻な話だよね(笑)。--生きることについて多く歌ってきた身として、そういう深刻な……というか、人生を重ねてきたからこそ辿り着く感覚。それを歌える段階に入ったこと自体にはどんな感慨を持たれていますか?
熊木杏里:わりと第二段階というか、ひとつ時代が終わったというか……--認めたんだ?
熊木杏里:認めた。これが出てきたときに「書いていいのかな?」って一瞬迷ったんですよね。書いちゃえば、私はゴーしちゃうから。でも「これは書いたほうがいいんじゃないかな」っていう自分がいたときに……なんて言ったらいいのかな? これからはどうか分からないけど……ちょっと前までは「こういう曲にしよう」みたいな部分も若干あったりして、自分の事しか考えてないし、自分をちょっとよく見せたいとか、格好付けたいとか、そういう感覚もあったし、変に熊木杏里っぽさみたいなものに捕らわれていたかもしれないし、いろいろな面で目隠しがあったんですね。でも今回は「惨めなくらい私はもう 現実にいる」って思った自分がいるから…………もうそういう自分じゃない。格好付けたりする自分ではない。そうなったときに、もしかしたら曲の作り方とかも変わるのかな?って思ったり、今まで言えなかった部分が微かながら出てきた気がした。--なるほど。
熊木杏里:家族がいて、ある程度は自分の居場所みたいなものがあって、心のどこかではちゃんと幸せであるから、そういう風にみっともなくいられるのかなぁ?って思ったりもして。……前までとは違う、さらけ出し。スガ シカオさんが言ってたんですよ。「本当に正直なことを書かないと歌じゃない。それがどんなに恥ずかしいことであっても」 それが今は分かるかも。前はそこをそんなに歌にしなくてもいいんじゃないかって、表現として上手く言えばいいってちょっと思っていたんですけど、でもそれだと伝わらない原石みたいな言葉が人間にはあるんだなって。それはもう詞じゃないかも。--本当にまんまの言葉。
熊木杏里:本当にまんま。「ここまでさらけ出しちゃっていいのかなぁ」って思うぐらい。恥ずかしいじゃないですか? 自分をここまで出すのって。でも今まで恥ずかしいと思うことがなかったんですよ。何を歌っても全く恥ずかしくない。ちゃんと歌える精神というか、想いを持ってる今の自分がいるから、多分、ライブで「飾りのない明日」を歌ってもちゃんと伝えていける。この曲だけは毎回歌ってても冷めることがない。--刺さりすぎて、膝から崩れ落ちそうになりました。「歌い過ぎだよ!」って(笑)。
熊木杏里:ショッピングモールで(笑)。--それぐらいの衝撃度があります。「この席を空ける訳にはいかないんだ」の席というのは、アーティストとしての熊木杏里の今の立ち位置ということでもあるんですか?
熊木杏里:熊木杏里という場所、音楽を辞める訳にはいかない。誰かの為にじゃなく、自分の為に。っていうことですね。--前作『生きているがゆえ』から約1年半、どのような想いの変遷があってこのアルバムに辿り着いたんでしょう?
熊木杏里:前はとにかく忙しくて、子供がまだ小さかったから。ママ業のほうが忙しくて、言いたいようなことはあるんだけど、深追いは出来てなくて、概要だけをなんかこう表現している感じで、自分ではあんまり中身が伴わなかったような気がしてて。そこをもうちょっと明確に掘り下げてハッキリさせようとしたものにしたかった。それは心の流れそのままの流れだったんですよ。想っていることはわりとたくさんあるから、それをもっと深く整理して形にしたくて。それで「ハッキリ想っていることから書こう、今の自分がハッキリ言えることから書いていこう」と思ったんです。だから「白き者へ」とか「灯び」とか「今日を壊せ」とか「ライナーノーツ」なんかはわりと早く出来て。…………子供がいて、34歳で、自分を惨めだなと思うけど、こんな自分が歌って、人が「いいな」って思ってくれることはなんだ?っていう、それを若干使命感みたいなものに換えて作ってたと思う。--そうして生まれたアルバム『生きているがゆえ』の1曲目「ハルイロ」が、「あれ、熊木杏里かな?」みたいな……
熊木杏里:声?--声。「歌い方変わってる!」と思って。
熊木杏里:これはね、恋愛の始まりぐらいの歌だから、作ったときからわりと可愛らしい系の声で歌ってたんですよ。デモテープの時点で。それをそのまま再現するようなことって今までなかったんですけど、このアレンジと伴う歌の世界にちゃんとしなきゃいけないから、ちょっと頑張ったんです。ずっと口角を上げて歌ってました。最後、ちょっと引きつってたもん(笑)。--ちょっと無理しちゃって(笑)。
熊木杏里:でもそういう歌を目指したから、頑張って口角を上げて歌いました。だからこの曲は、ライブでは楽しいうちに、体力があるうちに披露しなきゃいけない。--(笑)。たしかこの曲を「飾りのない明日」の声で歌われても……
熊木杏里:ちょっとヌルっとしちゃう(笑)。だから、生まれたからにはちゃんと責任を持って「ハルイロ」に染め上げないと!って思ってチャレンジしましたよ。リリース情報
飾りのない明日
- 2016/03/16
- 初回限定盤TYPE-A[YCCW-10274]
- 定価:7,020円(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 初回限定盤TYPE-Bの詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤TYPE-Cの詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
Photo:Jumpei Yamada
03.「ひとつの時代が終わった」「次の時代に到来するだろう」
--前回のインタビューで、「EDM、何それ?」ってなってた熊木杏里が「心地良いBPMに」とか歌ってて……
熊木杏里:ハハハハ!--とっても新鮮でした。
熊木杏里:本気でEDMが何だか分からなくて。かに道楽かな?って。--「かに道楽かな?」が分かんないよ(笑)。
熊木杏里:でもこの「ハルイロ」で始まることで、2曲目の「くちびるの魔法」でホッとすると思うんですよ。自分が知ってる熊木杏里の曲であり、声であるなって(笑)。--そんなバリエーションに富んだアルバム『飾りのない明日』を携えたツアー【熊木杏里 LIVE TOUR 2016 “飾りのない明日”】は、どんな内容になりそうですか?
熊木杏里:中国での公演が決まったのもあるし(※詳細は文末をご覧下さい)、扇谷研人さん(※今作のサウンドプロデューサー)と一緒にライブを出来るのも楽しみです。扇谷さんによる過去の曲を含むアレンジも。あと、インストアライブで自分の気持ちをちゃんと確認しながら、みんなの顔を見ながら歌えたおかげもあって、ちょっと力強く歌える自分と、そんなに押せ押せじゃなくてもちゃんと伝えられる自分がいて。きっとステージ上にも惨めな自分はいると思うんですけど、それもライブの中で感じてもらえるひとつになるかな?って、そういう気はしてます。ただ歌ってるんじゃなく、人間味というか、四畳半フォークっぽい、格好付けてない自分も表現できたらなって。だからきっと「いやぁ~、楽しかったね~」って終わるライブではない。--また言っちゃったよ(笑)。以前それ言ってスタッフに怒られたんでしょ?
熊木杏里:でも実際「楽しかったね~」では終われないと思う(笑)。--スカッとしないライブを全国各地で……
熊木杏里:繰り広げる。日本を抜け出して!--中国までわざわざスカッとさせないライブをしにいくと?
熊木杏里:ハハハハ! モヤっとさせに行きます(笑)。--そもそも中国公演はどういう経緯で決まったんでしょう?
熊木杏里:中国から呼ばれたんです、ライブをやりませんか?と。--きっかけは、挿入歌「君の文字」を歌ったアニメ『Charlotte』だったとか?
熊木杏里:うん、おそらくね。YouTubeとかで観ている人、聴いている人が多いと聞いて、そうなんじゃないかなって。--あの曲も凄い力を持ってますからね。
熊木杏里:全然、私が歌ってきた曲とはイメージが違ってて。歌声だけを求められて歌った曲なので、それによって自分の曲の癖とかも知ることが出来たし、苦手ゾーンも分かるし、自分の得意とする声も分かるし、ああやって外出して歌っていくことはこれからも続けていきたいです。--そんな「君の文字」が歌われるかどうかも気になる中国公演ですが……中国でも日本語で歌うんだよね?
熊木杏里:日本語で歌います。あと2年ぐらいあれば中国語で歌えたんですけど(笑)。--中国の人たちにはどう響くんだろうね?
熊木杏里:どう響くんでしょうね? 一応、中国ではどんな曲がよく再生されているか調べたんですけど、「えっ、「景色」が?」みたいな、意外な曲が人気あったりもするので、それも良い感じに取り入れつつ。あとは、日本での公演もそうなんですけど、久しぶりに歌う曲とかもあるので、楽しみにしてます。--中国から戻ってきたら“アジアの熊木杏里”になってる可能性もある訳ですよね?
熊木杏里:顔隠しながら帰ってきます。--大スターだ(笑)。
熊木杏里:中国公演が今回のツアーで一番キャパ大きいんですよ。--中国でのブレイク、期待してます。中国人がみんなファンになったら、人口的に考えてマイケル・ジャクソン超えられますからね。
熊木杏里:(笑)。でも中国ではどんな客層に求められてるか気になります。--何にしても、自身が第二段階に入ったと感じたこのタイミングで海外遠征。良い流れですよね?
熊木杏里:そうですね。--ちなみに、第一段階と第二段階の熊木杏里ではどこが違うんでしょう?
熊木杏里:何が違うんだろう? でも確実に何かが違う。最近、自分の中ですごく思うんですけど、ひとつの時代が終わったと思っていて。たまに自分のナレーションが聞こえてくる、「ひとつの時代が終わった」「次の時代に到来するだろう」って(笑)。それを感じたのは、今回のアルバム『飾りのない明日』が完成したとき。沸々といろんな感情がわいてくる未来が、自分の中はどうなっていくのかが見えるなって。それが母になったからなのか、年齢的なものなのか、この感覚をどんな言葉で表現したらいいのか、全く分からないんですけど……とにかくひとつの時代が終わった。--今回の見出し、「熊木杏里、新時代到来」で大丈夫ですか?
熊木杏里:ハハハ! そうすると、なんか浮き足立ってる感じになるね(笑)。--これからどうなっていきそうですか?
熊木杏里:ちょっと前まで迷っていたことが無くなっていきそうかも。前までは限界を感じていたのかもしれなくて、音楽に。それで「どういう音楽を作っていったらいいのか」って考えすぎていたところがあって、前作『生きているがゆえ』もちょっと模索していて、「過去の自分にもう一回戻らなきゃ」とか「『無から出た錆』(2ndアルバム)のパート2みたいな感じにしたい」って言ってたじゃないですか。それは捕らわれていたと思うんですよね。「暗く歌おう」とか。でも今はそういう感じがない。「これからどういうものを作っていったらいいのか?」っていう迷いが無くなってきました。今思っていることをやろうとすれば、それでいいって。そういう意味では、少し前までは無理していたんでしょうね。今は前だけ見てる。甑島とかに行って「自分の世界が変わったなぁ」って思っていた時期とちょっと似てるような、ちょっと違うような空気を感じる。--では、最後に、中国で待ってくれているファンの皆さんにメッセージを。
熊木杏里:えぇ!? まず誰か分からないんですけど、私を呼ぼうと思ってくれた人に「ありがとう」と言いたいです。中国へ行くのは初なので、いろんな意味で貴重な体験になると思うし……画面とかヘッドフォンを通した形じゃない生の歌を聴いたときに、さらに好きになってもらえたらいいな。「なんか違ったな」って思われないようにしたい(笑)。言葉が違っても音楽が伝わるのかどうかおそらく体験できると思うし、そこでは私の表現力が試されると思うからがんばりたいと思います。Interviewer:平賀哲雄
Photo:Jumpei Yamada
◎【熊木杏里 LIVE TOUR 2016 “飾りのない明日”】中国公演決定!!
6月3日~5日の3日間、熊木杏里初めての中国公演が決定。
中国で活躍しているシンガーソングライター程壁(チェン・ビー)がゲストに登場。
http://www.tcj.mu/artist/www.panda-record.com
06月03日(金)広州 中山紀念堂(チョンシャン ジーニェンタァン)
開演 / 20:00
http://item.damai.cn/99347.html
06月04日(土)上海 交響楽団音楽庁(ジャオシャン ユエトワン インユエティン)
開演 / 20:00
http://item.damai.cn/98322.html.html
06月05日(日)北京 世紀劇院(シュジー ジューユエン)
開演 / 19:30
http://item.damai.cn/98738.html.html
※なお、日本でのチケット販売はございませんのでご注意下さい。
問い合わせ先は全て中国公演主催者となりますので、ご了承の程よろしくお願い致します。
中国公演主催URL
https://www.douban.com/group/topic/84399889/
チケット購入に関するお問い合わせ
400-185-8666
◎ツアー【熊木杏里 LIVE TOUR 2016 “飾りのない明日”】
05月05日(木・祝)大阪・あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
開場 15:30 / 開演 16:00
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(毎日10:00~18:00)
http://www.kyodo-osaka.co.jp
05月08日(日) 東京・キネマ倶楽部
開場 15:30 / 開演 16:00
お問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999
http://sogotokyo.com/
06月25日(土)札幌・ペニーレーン24
開場 15:30 / 開演 16:00
お問い合わせ:WESS 011-614-9999(平日11:00~18:00)
http://www.wess.jp/pc/
06月26日(日)名古屋・ボトムライン
開場 15:30 / 開演 16:00
お問い合わせ:サンデーフォークプロモーション TEL:052-320-9100
http://www.sundayfolk.com
リリース情報
飾りのない明日
- 2016/03/16
- 初回限定盤TYPE-A[YCCW-10274]
- 定価:7,020円(tax in.)
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