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「バラバラな嗜好性の3人が“日本語にこだわる”音楽づくりを」 ― JiLL-Decoy association インタビュー

ジルデコイ・アソシエーション インタビュー

 ドラムスのtowadaを介してギターのkubotaとヴォーカルのchihiRoが出会って2002年に東京で結成し、06年にメジャー・デビューしたジルデコイ・アソシエーション(以下、ジルデコ)。デビュー10周年を区切りに、2月にベスト盤をリリースし、新しい10年に向けて活動を加速させている3人。5月8日には、もはや恒例の人気企画となった『ビルボードライブ東京』でのステージも決定している彼らに、忙しいスケジュールの合間を縫ってインタビューした。

バラバラな嗜好性の3人が「日本語にこだわる」音楽づくりを

−−ジルデコはtowadaさんを介して出会った3人なのですが、音楽的な嗜好性に共通する部分はあったのですか。

towada:バラバラでしたね。彼女(cihiRo)は完全にポップスの人でしたから。

chihiRo:私は小学生のころから吉田美和(Dreams Come True)さんに憧れていて。ドリカムがすべてでした(笑)。カーペンターズのバンドをやっていたこともありますけど。

kubota:僕は当時、ニューヨークから帰ってきたばかりで、バリバリにコンテンポラリーなジャズにハマっていて。ジャズ・ギタリストになりたくて、例えばカート・ローゼンウィンケルとかジェシー・ヴァンルーラーとか。今はみんな大スターですけど。

towada:僕はkubotaと同じような嗜好を持ちつつも、クラブ・ミュージックをやっていて。でも、同世代のジャズが好きでしたね。

−−そういう嗜好性の異なる3人が1つの音を作り始めたわけですが、最初からスムースにまとまっていったのですか。

chihiRo:いえいえ。自分が作った歌詞にオシャレなコードが乗ると「あぁ、これじゃ伝わるものも伝わらない」って思っていて、だから最初、私は「ジャズはイヤなんです」という話をしていて。何かストレートに伝わっていかない気がしていたんです。でも、2人に勧められているうちにジャズってすごくオシャレだし、歌詞を読むとシンプルなことを歌っているから、その自由なところにだんだん惹かれていって。自分もいろいろなものにチャレンジしていきたいなと思うようになりましたね。

towada:だから最初のうちは1曲に対して3~4ヴァージョンくらいあって、ときにはロック的なアプローチがあったり…。何が自分たちに合っているのか探していた部分もありました。ただ、音楽的な嗜好が最初から一緒で「こういうことをやろう」ということになると、ゴールが見えてしまって、長く続けられないのかなっていう直感はあったので、周りの仲間たちも含めて「どうしたら長く続けられるかな?」って、結成当時から話していました。

kubota:初期のころはいろいろありましたね。まぁ、ベスト盤にも収録されている「輪」という曲などは、作曲の時点で「これはchihiRoに無理をさせよう」みたいな(笑)。何か幾何学的というか人工的なフレイズで、楽器でやった方がいいようなメロディを「歌でやってみたらどんな感じ?」みたいな実験的な部分もありましたから。もちろん歌メロっぽいものもアリなんですけど。

chihiRo:あれはとても大変でしたね。でも、燃えましたけれども。

−−なるほど。しかし、そこが都会的なジルデコの音楽の特徴にもなっていますよね。

towada:でもインストだったら都会的ってなるのかもしれないけど、そこに「日本語にこだわる」というコンセプトを加えてしまったので、オシャレでBGMにも使えますというような音楽には落とし込めていないですね。

chihiRo:その部分は相当大変で、カッコいいサウンドが上がってきたのに、日本語を乗せた瞬間にガクッと来たりとか(笑)。でも、そのいびつ感がジルデコ独自のものなのかなって。

−−そうですね。では、自分たちの音楽はどんなふうに聴いてもらいたいですか。

towada:自分はリスナーを縛りたくないという思いがあって、本当に好きなように聴いてもらいたいと思っているし、それだけ多角的な音楽をやっているつもりなので。

chihiRo:私も歌詞を書くときは余白を残したいんですよ。だから、平面的に捉えられない歌詞を書いているつもりですし、1つの曲に対して悲しいと思う人がいたり、楽しいと思う人がいたりするのが、いちばん面白いなと思っているんです。

−−聴く人の自由な解釈を許すというような…。

chihiRo:そうですね。歌詞は割とワン・フレイズとかを書き溜めているんです。で、実際に歌詞を(kubotaさんに)見せて「思い浮かんだコードをください」といったようなこともあります(笑)。それと、やっぱり歌詞は散文でも日記でもないので、音楽に乗ったときに輪郭がハッキリしてくるようなものになるといいなと思っています。

kubota:即興的というかその場の閃きを大切にする考えが僕たちにはあるので…。

−−アレンジなども緻密で高度な曲が多いと感じるのですが、誰か意識しているアレンジャーなどはいますか。

kubota:僕は日本人なら冨田恵一とか、バート・バカラックは尊敬していますね。

towada:音作りで憧れているのはダニエル・ラノワの空気感とかですかね。

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気心の知れた昔の仲間を集めたライブを

−−今年も5月8日に『ビルボードライブ東京』に出演するわけですが、何か新しい試みとかはあるのですか。

towada:今回はベーシスト以外のメンバー、具体的にはピアニストとホーン隊はデビュー以前から一緒にやっていた人たちを起用することにしたんです。もう何十年ぶりなんですが、ホーンの人たちは最近、ご無沙汰だったんですよね。でも、この節目に集合できるので、とても楽しみなんです。特にトランペットの中村恵介は今、ジャズで活躍しているんですけど、実はデビューしてから1度も音を一緒に出せていなくて。お互いのライブは観に行ったりしているんですけどね。なかなかタイミングが合わなかったから。

chihiRo:そうなんです。だからワクワク、ドキドキって感じで(笑)。

−−それはとても楽しみですね。きっと、そのワクワク、ドキドキ感はオーディエンスにも伝わってくると思うので、今までのジルデコとはひと味違ったサウンドになりそうですね。
 ところで10年間で10枚のアルバムをリリースしてきたという事実は、傍から見ると順風満帆のように感じるのですが…。

towada:相当、無理していますよね(笑)。

chihiRo:でも、この10年で作ったアルバムって、みんな試行錯誤の連続で、ジャズを使ってどれだけポップスにアプローチできるかということを、あの手この手でやってきたので、次の10年に向けて、ここで一区切りつけてみようということで、ベスト盤を出させてもらったんです。

−−そういう意味では、ひとつの「まとめ」ですね。ところで、10年間やってきて、3人が激しく対立して解散…なんていう危機はなかったのですか。

towada:激しく対立したのは、本当に1回か2回くらいですかね。

chihiRo:でも私、年に3回くらい、このバンドを辞めたいと思っていますよ。でも、辞めないですけどね(笑)。

kubota:1回、chihiRoが歌詞に行き詰って「ちょっと書けないかも…」みたいなことが昔あって、相談にも乗ったのですが、僕も当時は若かったので「じゃあ、オレが書くよ」って言ったら、「やっぱり私が書く」って。

chihiRo:あのときは外の人に書いてもらうのもアリかなと思ったんですが、(kubotaが書くと言ったので、それはダメと思って)やはり私が書くと…。

−−そういう意味では、基本的にジルデコはセルフ・プロデュースなんですね。

towada:確かに基本的にはそうですね。結局、アルバムを完成させるときに、曲の方向性がバラバラだと、それらをどう収めなければならないかということが大変なんですが。そんな苦労をしながらも他人に投げずに自分たちで作る…という考えが基本にあるんですよね。

レコーディングでもライブ感覚を大切に

−−アルバムの録音はどのくらいの期間をかけるのですか。

towada:録音は1か月もかけないですね。リズム隊は「せーの!」で録っちゃうし、そのときにcihiRoも仮歌を入れるんですけど、それがよければそのまま使っちゃうし。録り始めると早いですね。

chihiRo:デビューしたころはダビングをするやり方もしていたんですけど、やっぱりみんなに「ライブの方がいいね」って言われる期間が長くて、それで私たちも生の勢いが大事なのかなって思うようになって。

−−ところで10年を機に、何か新しいことをやろうとか、プランを立てていることはありますか。

towada:ここ数年は3人だけでやったりもしていて、今、チャレンジしているのはベースレスで、ドラムスとギターと歌だけというのを実践しています。

chihiRo:3人だけでライブをやるようになって、表現力がすごく幅広くなってきたんです。だから、ときどきバンド編成でやると「こんなに窮屈だったっけ?」と思うくらい。それぞれの表現力が磨かれていると思います。でも、誰も休めないライブなので、とても疲れますけどね(笑)。

−−10年やってきて、「これならいける!」って手応えを感じたのはいつごろですか。

全員で:4枚目の『ジルデコ4~ugly beauty~』(2010年10月リリース)くらいのころですね。

towada:自分たちなりのサウンドの落としどころが見えた気がしました。

−−では、最後に、これからの10年はどのように前進していきたいとお考えですか。

kubota:今までは曲を作るのに、追い込んで、追い込まれてという感じの連続だったんですが、これからはいかに楽しんで作っていけるかを考えています。

towada:今までは音のステージを意識していたのだけど、これからは劇場的というか、何か音から映像がイメージできるようなライブをやっていきたいと思っています。単純に音の後ろにヴィジュアル素材を映すということではないんですけどね。

chihiRo:もっともっと自分たちの中から自然に出てくるものを音にしたいな、と。だから、自分磨きをもっとやらないとと思っていますね。

写真

JiLL-Decoy association「THE BEST SELECTION -A to J-」

THE BEST SELECTION -A to J-

2016/02/17 RELEASE
VICL-64521 ¥ 3,300(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.like ameba
  2. 02.輪
  3. 03.Jolly Jolly
  4. 04.no name collection
  5. 05.裸の歌
  6. 06.GARDEN
  7. 07.ドレスを着る前に
  8. 08.上質サボタージュ
  9. 09.わすれ名草 (Vergiss-mein-nicht!)
  10. 10.パパのベイビー
  11. 11.I say,
  12. 12.Take on me
  13. 13.光の子どもたち
  14. 14.STAY

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