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Kiroro CHART insight インタビュー

Kiroroインタビュー

 「長い間」や「未来へ」、「Best Friend」など、これまでに数々のヒット曲を世に送り出してきたKiroro。それらの楽曲が中学・高校の合唱コンクールや卒業式で歌われる定番ソングとして、幅広い世代に愛されている。今回、3月12日から全国公開されるピクサー/ディズニーの最新作『アーロの少年』の日本版エンドソングに、2001年にリリースした「Best Friend」が選曲され、15年ぶりに再レコーディングを行ったというKiroroに、音楽のヒットの定義や映画の魅力について語ってもらった。

好きな作品なら、きっと買って手元に置いてもらえると思う

−−Kiroroさんは、1998年に「長い間」でデビューされ、その年には全国のコンサートツアーを8月と12月に開催、紅白にも出場されるなど、あっという間に、日本を代表する歌手として有名になられましたね。お二人はどの瞬間に自分たちがヒットしているなと実感しましたか?

玉城千春:今でも覚えているのは、当時はマネージャーも一緒に暮らしていたんですけど、プロモーションが終わって夜遅くに帰って来て、テレビを付けた時に『CDTV』で私達が1位になったのを観た時ですね。あの瞬間、二人で「やったー!」って言ったのを覚えています。

−−私達は、ビルボードジャパンチャートという複合音楽チャートを作っています。日本版ビルボードチャートは、2008年からスタートしたんですが、2008年にラジオとシングルセールスの2つのデータを使って音楽チャートをスタート。2010年に、Amazonなどのイーコマースと、ダウンロードデータを合算、2013年にTwitterとルックアップ、2015年にYouTubeとストリーミングを合算するなど、時代によって変化する音楽の聴き方にあわせた複合チャートを作っています。

玉城千春:そこまでやっているんですか?!

金城綾乃:へえ~、すごい。ごめんなさい、もう付いて行けない…(笑)。

−−(笑)。Kiroroさんがデビューされた1998年と、今とでは音楽の聴き方が大きく変わってきていますね。普段、お二人はどのように音楽を聴いていらっしゃいますか?

玉城千春:最初にYouTubeで、どんな感じなのかを必ずチェックして、気に入ったらCD買います。

−−デビュー前は、どんなふうに音楽を聞いていましたか?

玉城千春:テープでしたね、CDからテープに移していましたね。

金城綾乃:え~、テープじゃなかったような…。

玉城千春:だって、レコーディングした後にテープに落として車で聴いてたじゃん。

金城綾乃:あ~、聴いてた!

玉城千春:私たちはもっぱら、テープでした。アカペラで録音して、それをあや(金城)に渡して、伴奏してもらっていました。

金城綾乃:あの頃のテープ、まだ家にいっぱいあります。

玉城千春:怖い(笑)。

−−当時は、流行っている曲をどうやって入手していたんですか?

玉城千春:テレビとUSENだったと思います。あやは友達からじゃない?

金城綾乃:うん、あと譜面から。ラジオを聴いていたんですけど、テレビの歌番組は特に観てなかったので、どんな曲が流行っているのか全然知らなかったです。でも、千春(玉城)がポップスとかアイドルをよく知っていたので、教えてもらっていました。

玉城千春:スピッツとか、Mr. Children(以下:ミスチル)とか、好きな曲を友達同士で貸し借りしていました。クラスにアッパーな友達がいて、映画みたいに肩にラジカセを乗せて学校に来る子で、授業中とか休み時間はずっと、その子がかける音楽が流れていたんです(笑)。その子の音楽からも色々覚えてったりしました。

−−お二人は具体的にどんな曲を聴いていたんですか?

玉城千春:スピッツとミスチルは絶対聞いていましたね。沖縄の人たちは高校3年になったらすぐに免許を取るので、ドライブ中に聴いていました。ほかにも、TRFとかTHE BOOMとか、THE BLUE HEARTSとか。「ダンスフロア~」は誰だっけ?

金城綾乃:スタタラ? スカダラ?

玉城千春:スチャダラパー(笑)! 地元のアイスクリーム屋さんの上に大きなスクリーンがあって、そこでTRFの「EZ DO DANCE」のダンスが流れていて、部活の帰りとかバス停で待っている時に観ていました。

金城綾乃:よく覚えてるね~! CDショップが高校の目の前にあって、CDが並べられてる中に岡本真夜ちゃんの顔の半分から下しか写ってないジャケットCDが売られていて、「顔が半分しか写ってない~」って話していたの思い出した!

玉城千春:当時はなかなか買えなくて、貸し借りでしたね。

−−最近の流行の曲は、YouTubeをきっかけに知ることが多いんでしょうか?

玉城千春:私は子供からですね。子供は、先生に教えてもらったり、ダンスの授業やお遊戯会で聴いたりするみたいです。オレンジのビキニを着て、テイラー・スウィフトの「Shake It Off」に合わせて、フーって踊るんです。あとは、K-POPとかも聴いているようですね。子供が観ているものを私は遠くから観ています。あとは、音楽関係の方からおススメされて聴くこともありますね。

金城綾乃:私はラジオです。朝起きたらラジオのスイッチ入れて、移動中もラジオ聴いています。ラジオっ子なんです。ジャンルも色々で、時間によってカチャカチャとチャンネル変えています。

−−最近気になる曲はありますか?

金城綾乃:ラジオで星野源さんの「地獄でなぜ悪い」を聴いて、すごいなって思いました。ラジオがきっかけで聴きはじめることが多いです。あと、ユニクロのCMで、ピアノのフレーズがすごくきれいな曲があったので、調べて、世武裕子さんを知りましたね。

−−今の若い人達は、YouTubeなど無料で聴けるところで音楽を聴いていますが、そのことに対して抵抗はありますか? やっぱり音楽は買うものだと思いますか?

玉城千春:私は、好きになったらCDを買う習慣がありますが、そうあるべきだとまでは、思っていません。大人もそうですけど、子供たちはYouTubeなど映像があることによってダンスしたり、情報を得たりするので、PVが身近になったのは良いことだと思います。ただ、アーティスト側からすると、買ってほしいです!(笑)

金城綾乃:色々な音楽にサクサクとリズミカルに触れ合える環境は垣根が無くていいと思います。気になったらすぐに聴けるし、自分の感覚とスピードで何でもできるのはいいと思います。それに本当に好きになったら、きっと買って手元に置いてもらえると思います。

−−音楽の聴き方が増えたことによって、CDが売れた曲がヒットなのか、それともYouTubeの閲覧数が多いものがヒットなのか、ヒットの定義が変わってきていますよね。

玉城千春:YouTubeは同じ曲を同じ人が何回も観ていますもんね。ちょっとここで、ヒットの定義について会議しましょうか(笑)?!

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なので、常に人に感謝しようと思っています

−−今回、『アーロと少年』のエンディングに採用された「Best Friend」は2001年にリリースされた作品ですね。リリースから15年経った今、映画のエンドソングに選ばれることが決まった時は、どんなお気持ちでしたか?

金城綾乃:嬉しかったです。この映画で生まれ変わることができました。

−−録音し直したと伺いましたが、その時はどんなお気持ちでしたか? 15年前の事を思い出しましたか?

玉城千春:15年前は喉を傷めていて、「Best Friend」が出た頃は色々あったんです。この曲に私たちも励まされたこともいっぱいありました。今でも、ステージに立つときに怖くなることがあって、その怖さに負けそうになる事もあるんです。でも、私たちはこの曲が大好きですし、皆さんが喜んでくれるのを見て、幸せを感じるのが好きなんです。どんな感じになるのか不安だったんですけど、『アーロと少年』の中でアーロのお父さんが言う「怖さを乗り越えることで、初めて見える世界がある」というセリフを聞いて、私もその世界を見せてもらえたんだって気が付きました。新しく生まれ変わった「Best Friend」で、その世界を見せてもらえて、すごく感謝しています。恐怖を受け入れながら、前に進み、もっと成長しなくちゃいけないなって、レコーディングしながら思いました。

金城綾乃:本当に久しぶりにレコーディングして、アレンジもMother Earth Versionという広大なキラキラしたアレンジに仕上がりました。それに自分たちが寄り添えるというか、思いを託すことができているという興奮と、映画と曲がリンクしているのを見て、また違った「Best Friend」が生まれたなと感じました。



−−お二人は先ほど作品をご覧になられたんですよね?

玉城千春:そうなんです、もう最高でした! 実は、『アーロと少年』を見たのは、今日で2回目なんですけど、感動しました。短編アニメーション(『ボクのスーパーチーム』)は初めて観たんですけど、超感動的でした。映画館で観る皆さんには、時間通りにきちんと座って、最初の短編から本編エンディングの「Best Friend」が流れる最後まで、じっくりと観てほしいです。観終わってから、みんなで語り合えると思います。大切な人と一緒に観てほしいですね。キャラクターも可愛いんです。

金城綾乃:長男がアーロに似ているんです。次男が少年スポットに似ている気がして、子供たちを応援している感じでした。親目線で観ていたので、ものすごく泣きましたし、子供たちにも観てもらいたいです。

玉城千春:私は自分がスポットに似ているなと思いました。がつがつ行くタイプなので。私も何度でも観に行きますよ。本当に素晴らしい映画です。この映画に携われてよかったなと心から思っています。子供たちにも、この作品を観てもらって、素敵な友達と一緒に、怖がらずに前を向いて進んで行こうって、考えてくれればいいなと思います。

−−好きなシーンや印象的な場面はありますか?

玉城千春:先ほども話した、アーロのお父さんが言う「怖さを乗り越えることで、初めて見える世界がある」というセリフですね。この言葉を胸に生きていきます。

金城綾乃:私は、アーロとスポットが駆けている時に、鳥がパーっと飛び立つシーンが好きです。すごくきれいで、わあーってなりました。映像がとってもきれいで、アニメーションじゃないみたいなんです! 

玉城千春:まずは映画館の大スクリーンで観て、その後DVDでまた観たいです。宝物にします!

金城綾乃:たくさんのことを学べますよね。悩んでる時に観てもいいし、幸せな時に観てもいいんです。感じ方が全然違うはずです。Tレックス一家もいい味出してて、大切なこと言ってるよね~。

玉城千春:ね~。(インタビュアーに向かって)まだ観ていないんですよね? 

−−はい…。

玉城千春:いろんなこと話したいんですけど、ネタバレになっちゃうんで言えないです。とにかく遅刻厳禁ですよ(笑)! 短編からちゃんと見てください!

−−感動的な作品と、おっしゃっていましたが、泣きましたか?

二人:泣きましたー!

金城綾乃:短編から泣きましたもん(笑)! この短編で心が柔らかくなったまま、本編を観ると、いろんな感情が入ってくるんです。

玉城千春:早く皆さんに観てもらいたいです。



−−本作は友情だけでなく、親子愛も描いていますよね。アーロは父親の「やるべきことをやれ、自分よりも大きなことを」という言葉を胸に成長していきますが、Kiroroさんもご家族や大切な方から言われて心に残っている言葉はありますか?

玉城千春:父からは、「感謝しなさい。相手を大切にしなさい」と、うるさいくらい言われてきました。自分が苦しい時に人に優しくするなんて難しいと思った時もあったんですが、振り返ってみると、感謝の気持ちがあったからこそ、みんなが側にいてくれたんです。周りを大切に思えば思うほど、周りも自分が何かあった時に支えになってくれる、いい“輪”ができるんです。

金城綾乃:私は、子供たちからの「自分たちがいるからね」っていう言葉ですね。私が家でバタバタ忙しかった時に言われた言葉で、子供たちに気を遣わせちゃったかなって思いましたが、お互いを支える存在であることが大切だと思いました。優しさを与えた分、回りまわって自分のところに返ってくるんです。自分がしたことは自分に戻ってくるということは、子供たちと日頃話しています。

玉城千春:これは沖縄特有の考え方かもしれません。良いことも悪いことも、全部自分に返ってくるんです。なので、常に人に感謝しようと思っています。

写真

Kiroro「子供といっしょにききたいキロロのうた」

子供といっしょにききたいキロロのうた

2016/03/09 RELEASE
VICL-64540 ¥ 2,200(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Best Friend ~Mother Earth Version~
  2. 02.幸せの種 ~Winter version~
  3. 03.未来へ
  4. 04.月の夜
  5. 05.紅芋娘
  6. 06.Wonderful Day
  7. 07.僕らのメッセージ
  8. 08.みんなあなたを愛してる
  9. 09.生きてこそ
  10. 10.僕らはヒーロー
  11. 11.おやすみのうた (Bonus Track)

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