Special
タル・ウィルケンフェルド 11/29(日)@Billboard Live OSAKA ライブレポート
タル・ウィルケンフェルド 2015.10.29(日)at ビルボードライブ大阪
世界が認める凄腕女性ベーシスト、タル・ウィルケンフェルドの
ファン待望の来日公演
弱冠21歳にしてジェフベックのバンドに抜擢、チックコリアのツアーにも参加し、さらにはハービーハンコックとも共演。スティーブ・ルカサーやウェイン・クランツ、リー・リトナーなど名だたるレジェンドアーティストたちから絶大な人気を誇るマルチな女性ベースプレイヤー・・・ こんな華々しい肩書を並べられて、興味をそそられない音楽好きはいないだろう。 そんな唯一無二の存在、タル・ウィルケンフェルドの来日公演が11月29日、東京公演に先駆けビルボードライブ大阪にて行われた。
一体どんなセットで彼女の腕前を披露してくれるのだろう?観客が未知の期待に鼓動を高まらせる中、記念すべき夜が幕を開けた。軽快なドラムのイントロが響く中、タルが最も影響を受けたというジャコ・パストリアスを思わせるヒッピー風のファッションで堂々と登場。
可憐な彼女のビジュアルに歓声があがる。
そして重みのあるベース音を響かせたかと思うと、ハスキーで心地よく突き刺さる美声で重厚なロックナンバーを見事に歌い上げたのだ。これには、タルのファーストアルバムを聴き、自分なりのタル・ウィルケンフェルドのライブの予想をしていた多くの観客は驚かされたことだろう。
高らかに歌い上げながらも独特のグルーヴを轟かせ、随所に彼女らしいフレーズを盛り込んでくる。 この後は一曲ごとにsadowskyのジャズベースタイプやharmonyのベース、さらにアコースティックギターに持ち替え、元ギタリストという彼女の原点も垣間見せてくれた。 会場はすっかり彼女のペースに飲み込まれ、次はどんなパフォーマンスが飛び出すのか期待に胸膨らむ中、ブルーの五弦ベースに持ち変えた。ベース・ヴォーカルのソロプレイだ。
ここで、ジェフに送るから、と客席にカメラを向ける一面も。
「Hey,Jeff!!」とリラックスムードで和むのも束の間。
客席には、タルのテクニックを一音たりとも聴き逃すまいと張り詰めた緊張感が漂う。
しっとりとしたヴォーカルと、まるでスタジオ音源のような完璧な音のバランスで完成されたソロ・ベースは、彼女がベースという楽器を完全に熟知しているからこそ成せる技なのだろう。さらに、どんな曲でもおいしいフレーズを入れてくるあたりはまさに圧巻だった。力強さの中にも繊細さが表れ、手元に目をやると驚くほど華奢な指先がその音を奏でていた。
特に印象的だったのは8曲目、ドラムソロプレイとのセッション。正確にリズムを刻むドラムに一歩づつ歩み寄り背後に回り込んだタルは、先程のキュートな笑顔からは想像もつかない妖しく重厚な音で挑発していく。ほぼ、ドラムとベースだけで2分半ほどプレイが続いたが、うねる重低音が息苦しいほど魅力的で、タル・ウィルケンフェルドというミュージシャンの底知れぬ力を感じさせられた。
このステージを観ずに「タル・ウィルケンフェルドを知っている」と言ってはいけないと思わせる位、私たちの知らなかった彼女の世界観が濃厚に詰め込まれたステージだった。
ジェフ・ベックのツアーに大抜擢された天才美少女は、立派なシンガー・ソングライターへと成長している。
東京公演は11/30、12/2,3の三日間。絶対に見逃してはいけない。
公演情報
タル・ウィルケンフェルド
ビルボードライブ大阪公演 11月29日(日)
ビルボードライブ東京公演 12月2日(水)~3日(木)
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