FM802が送る一大ライブサーキット【“PlayStation” presents MINAMI WHEEL 2015】特集レポート

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Suchmos

MINAMI WHEEL 2015

　大阪”ミナミ”と呼ばれるエリア一帯のライブハウス21箇所で、三日間に渡って行われる、FM802秋の恒例イベント【"PlayStation" presents MINAMI WHEEL 2015】が今年も開催された。パスを首から下げた参加者は開催期間中、400組以上ものアーティストのライブを好きなだけハシゴして見て回ることができる。普段から賑やかなミナミの街が、多くの音楽ファンやミュージシャンで溢れかえり、今年も大盛り上がりの三日間となった。ここではFM802 DJ鬼頭由芽がいくつか印象に残ったライブをレポート！

[DAY1]10.10 Sat

10/10 15:15～

DENIMS @JANUS
DENIMS

　初日、土曜日の早い時間からすでに入場規制の会場も数多く出ていた。
　心斎橋JANUSでのDENIMSのライブも、リハーサルの時点から後ろまでぎっしり人が詰まっている。地元大阪のバンドだけに、ライブが始まれば関西弁のMCでしっかり会場を味方につけ、客席の呼びかけに応えたりアンプに乗って煽ったり、とにかく自由にライブを楽しんでいるのが伝わってくる。セッションのような肩の力の抜けたラフさと心地の良いグルーヴ感で、気づけば客席も思い思いに体を揺らし、温かくピースなムードが広がっていた。

10/10 16:00～

saku @VARON

　心斎橋VARONでは、現役タワレコ店員としても話題の女性シンガーsakuも会場を沸かせていた。綺麗にそろえられたボブスタイルにキッチュな帽子がとてもキュートで、ファッションアイコンとしての注目度の高さも納得。目がくらむほど眩しい笑顔で元気いっぱいに歌い上げられる「Start Me Up」や「Girls＆Boys」はCDで聞く以上にポジティブなパワーに満ち溢れていて、ライブだからこそ感じられる、曲の、歌詞の、そして彼女自身のエネルギーを存分に浴びることができるライブとなった。

10/10 18:00～

FINLANDS @Pangea

　同じく女性アーティストでこの日印象に残ったのは、どんな時もモッズコートでライブをするという異色の女性二人組FINLANDS。この日もステージ上のバンドメンバー全員がモッズコートを着用。ルックスのインパクトはもちろん、歪んだギターの音色にも少し似た塩入冬湖(Vo,Gt)のハスキーボイスは一度聴いたら忘れられない。ライブ中、どんどん人が増えていき、ラストの「クレーター」が演奏される頃には、会場となったPangeaが満員の観客による凄まじい熱気で埋め尽くされていた。

[DAY2]10.11 Sun

10/11 14:15～

Shout it Out @FANJ

　FANJの幕開けは、大阪・堺市の四人組Shout it Out。メンバー全員が十代で、ミナミホイールは今年が初出演。しかし既に様々なコンテスト等で結果を残しているだけに、演奏も歌声も貫録すら感じる安定感。様々なアーティストのファンが入り乱れるこのイベント。恐らく彼らを始めてみるという人も多かったと思われ、更にトップバッターということもあり、序盤は観客も静観している様子だった。が、ミディアムナンバーから徐々に加速＆加熱していき、最後の「17歳」では観客みんなが拳をあげて応戦。疾走感たっぷりの爽快なバンドサウンドで見事に会場を一つにしていた。

10/11 17:00～

WOMCADORE @VARON

　続いて、こちらもミナホ初登場のWOMCADOREはVARONに出演。
　本当なら去年もミナミホイールに出演しているはずだったが、台風で中止となった日に出演予定だったため、今年におあずけとなってしまっていた。「一年越しの雪辱を晴らしに来ました」と戦闘態勢万端なMCと共に、「少年X」、「夜明け前に」など攻撃性の高い曲を立て続けにお見舞いする。樋口侑希(Vo,Gt)の鋭い視線も相まって、非常にスリリングで血が騒ぐロックサウンドを楽しめた。

10/11 18:00～

SUPER BEAVER @BIG CAT
SUPERBEAVER

　BIG CATに登場したSUPER BEAVERも去年、台風の被害を受けたバンドの一組。実は大阪での初ライブは数年前のミナミホイールだったという彼ら。当時の観客は身内を含め六人。「そこからようやく、(一番大きな会場の)BIG CATに決まって『やったぜ！』と思っていたら、台風直撃！」と去年の悔しさを覗かせる。しかしこの日、BIG CATは見事入場規制の超満員。「一番大事なのは音楽より言葉より、そこに乗せた気持ち」と渋谷龍太(Vo)の熱いMCの後に歌われた「ありがとう」の「見つけてくれてありがとう…憶えててくれてありがとう…」という一節がこの日の状況にもピタリと当てはまり、心に突き刺さった。

[DAY3]10.12 Mon/Holi

10/12 15:00～

空想委員会 @BIG CAT

　最終日のBIG CATも早くから多くの人でにぎわっていた。
　去年メジャーデビューを果たした空想委員会は、トレードマークのシャツ＆ネクタイ姿で登場。開口一番「空想委員会のライブを初めて観る人は？」という質問に、ほとんどが挙手した会場を見て苦笑いしつつ「じゃあ自己紹介替わりに…」と演奏したのは「名前を呼んでくれ」。四つ打ちのビートでフロアを跳ねさせていく。更に「せっかくこんなに人がいっぱいいるのでダンスタイムに入っていいですか!?」と「空想ディスコ」の力強いリズムで一気に会場をヒートアップさせ、佐々木直也(Gt)はステージ上を縦横無尽に全力疾走。草食系男子のイメージをバッサリ裏切るアグレッシブな演奏で会場を魅了した。

10/12 17:00～

Suchmos @BIG CAT
Suchmos

　湘南からやってきた六人組Suchmosも、この日キョーレツなインパクトを与えてくれた。会場はBIG CAT。ライブ開始から数分間、バンド演奏のみでたっぷりムードを作り上げてから、YONCE(Vo)が登場。DJのスクラッチに合わせて軽快にステップを踏みつつ、ソウルフルな歌声を披露する。「YMM」から「Alright」にするりと変化し、途中セッションも挟みつつ、再び「YMM」に戻るというため息が出るような華麗なメドレーには、客席から大きな歓声が。観客も手を叩いたり両手を挙げて左右に揺れたり、自由で開放的な空間が広がる中、楽しそうに歌うYONCEの笑い声さえもまるで演出の一部のようで、聞こえてくる音全てが心地良い。「たまたまだとしても今日の出会いに感謝をこめて…」「良い波をありがとう」と、MCも最後までビシっとクールに決め、「Life Easy」の爽やかなグルーヴでライブを締めくくった。

10/12 18:00～

Wienners @SUN HALL

　SUNHALLではWiennersも満員の観客を躍らせていた。今年の五月に新メンバーが二人加入し、新たなスタートを切った彼ら。玉屋2060％(Vo.Gt)のパワフルな歌声と新ボーカリスト・アサミサエ(Vo,Key)のキュートなハイトーンボイスに彩られ、超ハイテンションにWiennersワールドが繰り広げられていく。メンバー加入後、初となるシングル「みずいろときいろ」も聞くことができた。彼ららしい鮮やかなパンクサウンドは新曲と思えないほど会場を盛り上げ、新たなライブ定番曲の予感を感じさせた。

10/12 18:15～

ヨモギ|イ|チヨウ @SOCORE FACTORY

　一方、SOCORE FACTORYに登場したのは大阪を拠点に活動する二人組、ヨモギ|イ|チヨウ。会場に入った瞬間、KZM(Vo,Gt)のすらりとしたスマートな立ち姿に、まずは視線が釘付けになる。刺激たっぷりのガレージロックから耽美的なミディアムナンバーまで、ギターボーカルとドラムコーラスというたった二人で作り出す音は、抜群の存在感。無理に観客を煽ったりせず、じわじわ会場を熱くしていく硬派なパフォーマンスが、最近の若手バンドの中ではとても新鮮に思えて胸に残った。

　さて、ここに挙げたのは約400組のアーティストのほんの一部。
今年は三日間とも天候に恵まれ、秋の散歩気分であっちへこっちへ例年以上に動き回っていた人が多かったように思える。一組一組じっくり見るも良し、一日に何十組もハシゴするも良し、最近よく聞く気になるバンドをチェックするも良し、名前も聞いたことが無いアーティストばかり見るも良し……楽しみ方は無限大。きっと来年もたくさんの音楽LOVERがこのMINAMI WHEELに集結するはず。また次回も皆さんと大阪・ミナミの街でお会いできますように。

text by FM802 DJ 鬼頭由芽

プロフィール

鬼頭由芽（YUME KITOU）

9月20日生まれ A型。両親の影響で新旧洋邦問わず音楽にどっぷり浸った環境で育つ。小学６年でラジオを買ってもらい、世の中には自分の知らない音楽がこんなにあったのか！」と激しく感動。いつしかそんな素敵な音楽たちを聴く側から届ける側になりたいと思うようになり、DJを目指す。 2007年、FM802DJオーディション合格、2007年10月「FUNKY JAMS 802」でDJデビュー。

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