Special
ジョス・ストーン Billboard Live 8周年公演スペシャルレポート
BBL 8th Anniversary Premium Stage ジョス・ストーン | 2015.10.13(火)at ビルボードライブ東京
自由なスピリットをもつソウル・シンガー
8年振りの来日公演
黒地にラメやストーンの入ったミニのドレス。そこから綺麗に伸びる長い手足と、見事なブロンドの髪。これだけの美貌の持ち主だったらあやつり人形でいた方がずっと楽だろうと思うのだが、ジョス・ストーンはそういう道を選ばなかった。今回の8年ぶりの来日公演から伝わってきたのは、つまりはそうしたジョスの自立性みたいなものだろう。
オープニングは、09年のアルバム『カラー・ミー・フリー!』に収められていた「ビッグ・オール・ゲーム」。そこから、今年出された最新作『ウォーター・フォー・ユア・ソウル』の曲と過去のレパートリーとが、ほぼ交互に歌われていく。その新作はレゲエを基調にした作風だったが、アルバムの発売時にジョスに取材をした僕は、「特にレゲエのアルバムとは思っていない」という彼女の発言を聞いている。レゲエもソウルもワールド・ミュージックも同じ距離で接したアルバムということを彼女は言いたかったわけで、過去のナンバーが混じる今回のライヴはその時の彼女の発言の意図を、より具体的に示すような感覚にも満ちる。このようなジョスのフレキシブルな音楽性には、以前よりもずっと彼女の中の英国人気質を浮き彫りにしていたはずだ。
バックのバンドは4人編成で、女性のバック・ヴォーカルが2名。ベースとドラムスは新作に貢献していたリズム・セクションだから、レゲエの曲も難なくこなす。過去のナンバーはオルガンをメインに、新作のナンバーはエレクトリック・ピアノの音色をメインに、と使い分けていたキーボード奏者の奮闘も耳を引く。
デビュー時のライヴではシャウター一辺倒という様子だったジョスのヴォーカルにも、だいぶ変化が見受けられた。新作ではレゲエを吸収という一面があるのと同時に、彼女の歌声にフェミニンなトーンが加わった点も大きな聴きどころになっていた。その様子が今回のライヴにも持ち込まれ、ヴォーカルの表現に一層の幅と奥行きが感じられたのだ。ユーリズミックスのアニー・レノックスやヤズーのアリソン・モイエのように、独自の視点でソウルを表現する息の長いシンガーにジョス・ストーンもなっていくんじゃないか。そんな風に思えるライヴだったのだ。
ハイライトは、終盤で歌われた「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」。再評価が高まるニーナ・シモンの録音が頭をよぎる、そんな迫真のヴォーカルが聴かれたことを特記しておきたい。
公演情報
BBL 8th Anniversary Premium Stage
ジョス・ストーン
ビルボードライブ東京
2015年10月12日(月)-13日(火)
ビルボードライブ大阪
2015年10月15日(木)
ウォーター・フォー・ユア・ソウル
2015/08/05 RELEASE
SICX-2 ¥ 2,640(税込)
Disc01
- 01.ラヴ・ミー
- 02.ディス・エイント・ラヴ
- 03.スタック・オン・ユー
- 04.スター
- 05.レット・ミー・ブリーズ
- 06.カット・ザ・ライン
- 07.ウェイク・アップ
- 08.ウェイ・オー
- 09.アンダーワールド
- 10.モリー・タウン
- 11.センシミラ
- 12.ハリーズ・シンフォ二ー
- 13.クリーン・ウォーター
- 14.ジ・アンサー
- 15.ウォーター・フォー・ユア・ソウル (日本盤ボーナス・トラック)
関連商品