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「あらゆる意味で5年前だったら作ることができなかった」と語る新作とは? ベスト・コースト 来日インタビュー

ベスト・コースト 来日インタビュー

 米カリフォルニアにて2009年に結成されたベサニー・コセンティーノとボブ・ブルーノによるデュオ、ベスト・コースト。夏の終りを思い起こさせるちょっぴりノスタルジックで疾走感溢れるナンバー「Boyfriend」が収録された2010年のデビュー作『クレイジー・フォー・ ユー』で、ウェーヴスらとともにローファイ/サーフ・ロック・ブームの火付け役に。プロデューサーにジョン・ブライオンを迎えて制作された2ndアルバム『ジ・オンリー・プレイス』では、よりプロダクションにフォーカスするとともに、ベサニーが敬愛する60~70年代のシンガーソングライターにインスパイアされた楽曲で、1stアルバムの真逆とも言える方向性を展開。そして2015年5月にはレーベル移籍後初となる新作『カリフォルニア・ナイツ』を満を持して発表、アルバムを引っさげ【SUMMER SONIC 2015】に出演する為に3年ぶりの来日を果たした。デビューから約5年を経て、現在28歳になり、ソングライターとして大きく成長したベサニー、そしてボブが、待望の新作について話してくれた。

私たちが影響を受けてきた様々な音楽を網羅した作品にしたかった

Feeling Ok
▲ 「Feeling Ok」 MV

−−久しぶりの来日ですね。2年半ぶりでしたっけ?

ボブ・ブルーノ:そう!

ベサニー・コセンティーノ:もっと長く感じたけどけど、実際そんなものだったのね。

−−この2年間は、表立ったツアーや音楽活動はしていなかったようですが、充電するためにオフの時間をとったことは、クリエイティブ面、そしてプライベートにおいてどのような影響を与えましたか?

ベサニー:家でゆっくり過ごせる時間を作ったのはいいことだったと思う。どんなアルバムを作りたいか、じっくり考えることができたから。1stと2ndアルバムは、ある意味急いで作った部分が少しあるの。だから、今回時間をかけてソングライティングしたり、アルバムに取り組めることができてラッキーだった。プライベートにおいても、友達とハングアウトしたり、家で過ごしたり、リラックスした日常を過ごせて、充実していたわ。十分充電したから、またツアーしたり、これからだんだん忙しくなるのを、楽しみにしてる。

−−2人は、その間も日常的に連絡は取り合っていたんですか?

ベサニー:うん。毎日というわけじゃないけど。家は近所なんだけど、普段はあまりハングアウトはしないの。メールはよくするけどね。オフと言っても、曲は常に書いているから、そういったことで連絡は取っていたわ。

Heaven Sent
▲ 「Heaven Sent」 MV

−−ベサニーは一軒家に引っ越したそうですが、新しい家にスタジオ・スペースはあるんですか?

ベサニー:スタジオじゃないけど、曲を書く作業スペースを設けたの。自分のギターは全部そこに保管してて、私がこれまでにインスパイアされたバンドのポスターが、部屋一面に貼ってある。新作に収録されている曲はすべてあの部屋で書いた曲よ。私は家で曲作りをするのが好きだから、誰にも邪魔されずに、1人でじっくり専念できるようにあのスペースを作ったの。

−−ニュー・アルバム『カリフォルニア・ナイツ』を制作にするにあたって、意識的に取り入れたことや試したことはありましたか?

ボブ:僕は、とにかく色々なギター・サウンドで実験した。これまでのアルバムでは、ギターを多くて2本しか使ってなかったけど、今回はギター・サウンドをレイヤーして、より厚みのあるサウンドに仕上げてる。後は、キーボードも取り入れたね。他にも、多彩なサウンドを加えて、バラエティ豊かな作品にしたんだ。

−−これまでの作品に比べ、サウンドが重厚でありながらも、広がりがありますし、それにこれまで以上に様々なジャンルの影響も伺えます。

ベサニー:それは今回こだわったことの一つよ。特定のジャンルに縛られることなく、自由に自分たちを表現したかった。これまで作ってきた作品は、何か一つのジャンルに傾倒したものだったけど、私たちが影響を受けてきた様々な音楽を網羅した作品にしたかった。あまり深く考えず、沸き上がってきたアイディアに直感的に従った、って感じね。

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私たちが一人前のバンドになったことを証明する作品

Heaven Sent
▲ 「California Nights」 MV

−−中でも、バンドの活動拠点で、これまで幾度も取り上げてきたカリフォルニアについてのナンバー「California Nights」は、サウンド、ソングライティングの面で秀出していて、ベスト・コーストのさらなる進化を感じました。

ベサニー:ありがとう。これまでと全く違うことがしたかったの。プリプロダクションのためにスタジオに入る数日前に私が書き上げた曲なんだけど、レッド・ツェッペリンやストーン・ローゼスにインスパイアされたナンバーね。ドリーミーで…、

−−ちょっとサイケデリックで…。

ベサニー:そう!サイケで、ブリット・ポップの要素も少し感じ取れると思う。これらは私が若い時に聞きながら育った音楽なの。私とボブが共通して好きな音楽だとも言えるわね。初めてこの曲をボブに聴いてもらった時、「他の曲に比べて異色かもしれないけど…。」って言ったんだけど、彼もプロデューサーもとても気に入ってくれた。結果、アルバムの中で突出した曲になってしまったけれど、単純に新しいことに挑戦することで、このバンドはさらなる可能性を秘めているんだ、って知ってほしかったの。

−−先ほど「California Nights」を生でプレイしているのを観ましたが、とてもライブ映えしていて、間奏部分のギター・パートではボブがノリノリで演奏してました(笑)。

ボブ:そうなんだよ~(笑)。

ベサニー:ライブでプレイするのが楽しい曲よね。それに生で聴いても、これまでと少しヴァイブが異なる曲って、明らかよね。

−−それと、ニュー・アルバムに収録されている新曲の何曲かでは、ベサニーがギターを演奏せず、ヴォーカルに徹していたのも印象的でした。

ベサニー:私は、幼い頃からシンガーだったから、ライブでギターを弾かない曲が数曲あるのは個人的に嬉しいわね。ギタリストではなく、シンガーとしての自分を観てもらえるいいチャンスだと思うし。

When Will I Change
▲ 「When Will I Change」 (Live)

−−今作のプロデューサーを手掛けたWally Gagelとは、2013年からタッグを組んでいますが、彼の存在がベスト・コーストのサウンドに大きな影響を与えたようにも思えます。

ボブ:うん、彼は僕らのヴァイブやどういうサウンドを目指しているか、熟知している。その上、自分たちですら気づいていなかった特性を引き出してくれた。アドバイスも的確で、曲もこれまで以上にタイトになったと思うし、プロデューサーとして才能に長けているね。

−−全体的にメロディーがさらにキャッチーなっていて、フックが効いた曲が増えたとも感じるのですが、その部分はどうでしょう?

ベサニー:私がソングライターとして成長した、というのも多少あると思うけど、Wallyは曲の構造の部分で、大きな助けになってくれた。なんて言うんだろう…もっと古典的なポップ・ソングの構造に沿うようなアドヴァイスをしてくれたの。私は、あまりそういうトラディショナルなことにこだわらずに曲を作るから、「ここの部分をもう少し長くすると、プリコーラスっぽくなるよ。」とか指摘してくれたり。その点では、曲をさらにポップに仕上げるのに貢献してくれたと言えるわね。もっと“メインストリーム”ぽくね(笑)。

−−プリプロダクションに時間をかけたのも要因かな、とも思いましたが。

ベサニー:そう、これまでプリプロダクションなんて、したことなかったのよ!きちんと時間をかけることで、何を目指しているのか、っていうのが明確になったから、すんなりとレコーディングに入ることができたのは大きな利点だったわ。

−−サウンドやソングライティングの面での成長はもちろん、レーベル移籍などもあり、このアルバムはベスト・コーストにとって新たな1章になったような気がするのですが、2人はどう思いますか?

ボブ:確かにね。

ベサニー:ある意味そうね。身の周りのスタッフとかも結構変わったし。私が言えるのは、あらゆる意味で5年前だったら作ることができなかった作品が完成した、ってことね。自ずと成長し、進化して辿り着いた場所という感じ。デビュー・アルバムからから5年経って、私たちが一人前のバンドになったことを証明する作品よ。

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Q1. 今年のお気に入りサマー・ソング、またはアルバムは?

ボブ:僕はウィルコの新しいアルバム『スター・ウォーズ』だね。

ベサニー:テーム・インパラの最新作は、すごく気に入ってて、よく聴いてるわ。あと、ラナ・デル・レイの新曲「High By The Beach」も大好き。

Q2. これまで日本買った一番変ったものは?

ボブ:今日バックパック買ってたじゃん。

ベサニー:そう!全部ゴールドで、ちょっと悪趣味なんだけど、ラインストーンで覆われてるの。お店に並んでる時は、「すっごくクール!」と思ったんだけど、ホテルに戻って改めてみてみたら、これ絶対使わないな、と思って…(苦笑)。クールなんだけどね。それと前回来日した時に、スナックス(ベサニーの愛猫)に玩具を買ってあげたわ。ボブは、ウサギの着ぐるみじゃない?

ボブ:だね。初めて日本に来た時に、買ったウサギの着ぐるみで、ソロでショーをやる時に着てるんだ。

Q3. 動物の話題が出たので…現在日本には、猫カフェ、犬カフェ、うさぎカフェ、フクロウカフェ、爬虫類カフェと、様々な動物系カフェがあるのですが、2人が作って欲しいカフェは?

ボブ:アライグマ!

ベサニー:あのリスみたいなやつ…、何だっけ、プレーリードッグ?

ボブ:多分そうだよ。

ベサニー:私Instagramで、ヘンテコなリスみたいな動物の写真のアカウントをたくさんフォローしてるの。

ボブ:あ、カピバラ。

ベサニー:何それ?

ボブ:僕とセシリアが好きな齧歯動物。

ベサニー:あ~、なるほどね。

ボブ:すごく可愛いんだ。

Q4. 分かりました(笑)。最後にお互いの一番悪い癖を教えてください。

ベサニー:食生活があまりヘルシーじゃないこと(笑)?

ボブ:当たってるね。ベサニーは、いつでも、どこでも遅刻して来ること!

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